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エリック・サティとバラ十字サロン

2015年7月24日


 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト

 

東京板橋は、とても夏らしくなりました。夕立の先触れなのか、先ほどから雷が鳴っています。

そちらはいかがでしょうか。

 

東京渋谷のBunkamuraで「エリック・サティとその時代展」が、2015年8月30日まで開かれていることを、先日知りました。フランスの作曲家エリック・サティの作ったさまざまな曲は、現在、日本でもっとも親しまれているクラシック音楽ではないかと思います。テレビCMにも使われていますし、映画音楽にも、喫茶店のBGMや電話を保留しているときに流れる音楽にも使われています。

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エリック・サティ By Liszt3 (Own work) [CC BY-SA 4.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], via Wikimedia Commons

 

日本でサティがよく知られるようになったきっかけは、主に2つあったそうです。ひとつは、1975年に開館した西武美術館が、彼の曲をBGMとして使ったことです。そして2つめは、薬師丸ひろ子さん主演の映画『Wの悲劇』(1984年)です。私と年が同じくらいの方は覚えていらっしゃるかもしれませんが、この映画の劇中劇のクライマックスでは、サティの『ジムノペディ第1番』が使われていました。

それ以前も、サティは多くの専門家の間で評価が高かったとのことです。たとえば、日本を代表する、ゴジラの映画音楽で有名な作曲家の故伊福部昭さんは、著書の『音楽入門』の中で、ジムノペディの3部作のことを、「人類が生みえたことを神に誇ってもよいほどの傑作」と書いています。

 

エリック・サティはバラ十字会員でした。といっても、現在のバラ十字会、ちょうど百年前の1915年に活動を開始したバラ十字会AMORCのメンバーではありませんでした。

バラ十字思想を正式に受け継いでいる団体は、すべてバラ十字会と呼ぶことができますが、20世紀以前には、時代や地域によって、さまざまな特徴を持つ団体がありました。

サティが属していたのは、1891年に設立されたテンプル聖杯バラ十字会(The Rose-Croix of the Temple and the Grail)です。この会の創設者は、フランスで秘伝哲学を研究していた作家ジョゼファン・ペラダン(Joséphin Péladan)です。

ジョゼファン・ペラダン

ジョゼファン・ペラダン

 

ペラダンは多才な人で、美術評論家の仕事も行なっていました。そして、良い芸術作品は人間の魂を向上させることに役立つと考え、芸術のことを「神聖な使命」であると見なしていました。そして、型にはまった当時の絵画に反発する人たちの運動を何とか支持できないかと考えていたようです。

 

現在のバラ十字会にも多数の芸術家がいますが、テンプル聖杯バラ十字会は、特に芸術家が多く属していました。そして1892年にパリで、バラ十字サロン(Salon de la Rose Croix)と呼ばれる絵画の展覧会と夜会を催し大成功を収めます。ヨーロッパ中の画家が出展し、開催期間の1ヵ月で来場者は22,000人を越えたそうです。

第1回バラ十字サロンのポスター

第1回バラ十字サロンのポスター

 

開会式の中心になったのは、エリック・サティによって特別に作曲された、ハープとトランペットによって演奏される『バラ十字のファンファーレ』、別名『バラ十字会の鐘の音』でした。また、夜会でも閉会式でも、サティの曲が使われたそうです。

バラ十字サロンはその後も開催され、いずれも成功を収めます。ところが、第6回の展覧会が終わると、ジョゼファン・ペラダンには、使命をもうなし遂げたという思いがあったのか、彼はそれを最終回とし、テンプル聖杯バラ十字会も休止してしまいます。

バラ十字サロン(1893年)の公式カタログの表紙

バラ十字サロン(1893年)の公式カタログの表紙

 

ご興味のある方々のために付け加えておきますと、テンプル聖杯バラ十字会は、南フランスのトゥールーズで活動していたバラ十字会と兄弟関係にあたり、この会の活動をバラ十字会AMORCは継承しています。このあたりの事情は、当会の公式サイト中の記事「クレマンス・イゾール-バラ十字の黄金のイシス」(http://www.amorc.jp/reference/material_015.html)に詳しく書かれています。

 

それにしても、私たちはなぜ、素晴らしい音楽を聴くと感動するのでしょうか。小説なら分かるのです。言葉の意味は他の人と話したりして小さいころから学んでいますし、文字は小学校で教わっているので、文章を読んだときに、生き生きとしたある光景が浮かんできたり、感動を覚えたりするのはそれほど不思議ではありません。

ところが、音楽の方は、専門に学ばれた方は別として、あるやり方で音が組み合わされたり、つなぎ合わされたり、あるリズムに乗せられたときに、それがどのような意味になるのかを細かく学んだことはありません。

それでも、気に入った曲をじっと聴いていると、元気が与えられたり、心が生き返ったような気持ちになったり、あまりに悲しくて、かえって癒されたように感じたり、いろいろなことが起こります。ほんとうに不思議なことではないでしょうか。

 

「良い芸術作品は、人間の魂を向上させることに役立つ」という先ほどのペラダンの言葉は、やや大げさすぎるかもしれません。しかし、優れた音楽に集中すると、心の奥深くにまで良い効果が及びます。

 

以前にもご紹介したことがありますが、以下に音楽を使った瞑想法のひとつをご説明させていただきたく思います。

 

あなたの好きな音楽を使います。どの分野の音楽でも良いのですが、音量の変化があまりない曲が望ましいです。できれば、この文章を読んでくださった機会ですから、エリック・サティの曲を選んでいただければ嬉しく思います。

CDプレーヤーでもスマートフォンでも何でも良いのですが、その曲を聴けるように準備しておきます。そして誰にも邪魔されずに、静かな場所で一人っきりでいられる時間を確保してください。

準備ができたら、椅子に背筋を伸ばして座ります。6~7回深呼吸をして心を落ち着けます。そして目を閉じて、リラックスしたまま音楽に耳を傾けてください。目を閉じることで緊張を感じる方は、開けていても半眼でもかまいません。

音のすべてと、曲の美しさと、それが表わしている感情に注意を完全に集中します。リラックスしたまま、まるで宇宙には、その音楽しかないかのように、深く深く集中してください。そして、音楽があなたであり、あなたが音楽であるかのように、音楽と一体になってください。

曲が終わったら、手を握ったり開いたりして気分転換をして、日常に戻るようにしてください。

 

ストレスが解消するのはもちろんですが、うまく行なえば、心が生まれ変わったような感じさえすることがあります。回数を重ねると上達しますので、何回か試していただければと思います。

 

今回はこれで以上です。少しでもあなたのご参考になる点があったなら、心から嬉しく思います。

それでは、また。

 

追伸:冒頭にも書きましたが、東京渋谷のBunkamuraで「エリック・サティとその時代展」が2015年8月30日まで開かれています。念のために申し上げておきますが、私はこのイベントの関係者だというわけではありません。偶然に開催を知り、良い機会だと思い、バラ十字会員であったサティを紹介するこの文章を書いてみました。


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