投稿日: 2016/10/21
最終更新日: 2022/11/24

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト

この時期は、暑い日と寒い日の差がすいぶんと激しいですね。

いかがお過ごしでしょうか。

先日、『BBCアース~モンスーン』というテレビ番組を見ていて、悲しく、かつ心が洗われるような感動を体験しました。

それは、インドネシアのスラウェシ島でのできごとでした。フィリピンの南、赤道直下にある、日本の半分ほどの大きさのアルファベットのKの形をした島で、ここの熱帯雨林には黒ザルの群れが多数暮らしています。

この島は黒ザルにとって天国のような場所だとのことです。というのも、火山灰で土地が肥沃なうえ、オーストラリアとアジアの両大陸の影響で年に2回もモンスーンの季節があるため、植物の生育にとって理想的な環境であり、100種類以上の果物が実り、かなり大きなサルの群れであっても、食べ物の心配をする必要がないからです。

そのためこの地の黒ザルは、サルの中でも最も愛情表現が豊かなことで知られています。口をパクパクさせることが友情を示すしぐさで、群れのサルは、家族同士でなくてもお互いにひんぱんにハグをして(抱き合って)親しさを確認します。

スラウェシ島の黒ザルの親子
スラウェシ島の黒ザル

番組では、群れの中の一匹のサルが、コウモリの死骸を見つけた場面が映し出されていました。死骸を囲むように何匹かが集まり、口をつぐんでいます。あるサルが、「どうしたのだろう」というような表情をしながら、死骸の羽をていねいに調べていました。

別のサルは、悲しげな目で静かに様子を見つめています。

そして、2匹のサルが、まるで壊してはいけないものに触れるような手つきで、そっと優しく死骸を撫でていたのです。

熱帯のジャングルでは、さまざまな生きものの誕生や死は、珍しくないできごとでしょう。ですからその中でもこのコウモリが、なぜ黒ザルたちにとって特別な存在だったのかは分かりません。しかし、コウモリの死を悼み、深く悲しむ気持ちが映像から直接伝わってきたように感じました。

そのとき、ああ、人の悲しみと変わらないと思ったのです。

動物が他の種の生きものの死を悼むのを、私たちが見る機会は、それほど多くないのではないでしょうか。

以前に聴いたことのある、「ココ」という名前のゴリラの話を思い出しました。サンフランシスコの動物園で生まれたココは、発達心理学の研究の対象となり、ある博士に手話を教わり、1000以上の言葉を覚えます。

そして博士は手話で、多くの絵本をココに“読んで”あげたのです。そのうちの子猫の話をココはとても気に入ったので、ココの誕生日に博士は子猫をプレゼントしました。

この子猫が、あろうことか交通事故で死んでしまうのです。ココは2日の間、嘆き悲しんでいたということです。

参考記事:『人生についてのあるゴリラの意見

この話を知ったときにもとても驚いたのですが、インドネシアの黒ザルの場合は、人が教育をしたというような特別な場合ではなく、ごく普通の自然の中で起こったできごとでしたので、ことさら衝撃を感じました。コウモリをそっと撫でる黒ザルのしぐさが今でも目に浮かびます。人とまったく変わらない豊かな感情がそこに込められていました。

悲しみの例だけでは、ちょっと気がふさぎますので、ありふれた私の経験ですが、動物の喜びの方の話もさせていただくことにします。

それは3年前の夏に網走沖でクジラ・ウォッチングのツアーに参加したときのことです。全長8メートルほどの白い船で、2時間ほど海を巡っていただいた最後の頃のことでした。10頭ほどのイルカの群れが突然現れ、船と併走を始めました。2メートルほどの小さなイルカで、腹が白色で他の部分は灰色でした。イシイルカと呼ぶのだそうです。彼ら(彼女ら?)は、それから5分ほどでしょうか、船の周りを踊るようにまちまちに泳ぎ、ものすごい速さで互いにすれ違ったり、船の下をくぐったり、にぎやかに水面を跳びはねたりしていました。

それはまるで、船と競うように自分たちが力強く泳ぐことができ、巧みに方向を変え、自由に海面を跳躍できることを楽しんでいるかのようでした。

そして、言葉ではうまく表わすことができないのですが、イシイルカたちは、私たちがその喜びを共に感じてくれることを望んでいるかのようでした。そして確かに私たちには、命の喜びが直接伝わってきたのです。

イルカの群れ

生きものの世界は、人間界、動物界、植物界の3つの領域に分けて考えることができます。

バラ十字会の哲学では、この3つの領域は、互いに助け合いながら一体となり、全体として、体の進化だけでなく、心の進化も続けていると考えています。また、長くなるのでここで詳しくご説明することはできないのですが、苦しみや悲しみ、そして幸せや喜びの感情こそが、心の進化のメカニズムを直接支えているとされています。

犬や猫を飼っていらっしゃる方々の多くが、動物も心の進化を続けているということに、きっと同意してくださることでしょう。

そして、植物も心の進化を続けているとすれば、おそらく原始的な感情でしょうが、苦しみや悲しみや幸せや喜びがあるのではないかと私は思っています。

私ごとですが、2年半ほど前からベランダで植物を育てるようになり、今では、バラ、サクラ、レモン、パッションフルーツなどがあります。

パッションフルーツの花
パッションフルーツの花

これらの草木をとても愛おしく感じることがあり、そのようなときには何となく彼(彼女?)たちも、きっと私のことを好ましく思ってくれているような気がするのです。

犬や猫を買っていらっしゃる方は、生きものとの感情の交流を、私よりもはるかにひんぱんに、はっきりと体験されていることでしょう。

生きものたちの、何と愛おしく貴重なことでしょう。そして、このことに気づくことのできる恵まれた環境に自分がいることに深い感謝を感じます。この地球に住むすべての人がそうでいられるようにと、願わずにはいられません。

今回の話題は以上です。最後は少し感傷的になりすぎました。

ではまた。

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