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すべてはエジプトから

2017年1月27日


 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト

 

ニュースでは、各地の豪雪被害が伝えられていて、雪国の方々のご苦労はいかばかりかと、心が痛みます。

お変わりはありませんでしょうか。

 

さて、あるきっかけがあり、ピラミッドの国、古代エジプトの神々について調べていました。

ひとことで古代エジプトといっても、数千年の歳月と広大な地域があり、少なくとも百体以上の神々がいます。そこでやむを得ず、創造神話の神々に注目することにしました。古代エジプトの創造神話は、主に、オンという名前の古代都市の聖職者たちの間で唱えられていました。

古代都市オンは、ナイル川の三角州地帯、現在のカイロのすぐ北東にあり、紀元前3000年ごろから太陽神ラーの崇拝の中心地として栄えていました。

特に紀元前2400年頃には、オンの神学がエジプト王朝の全体に広まり、当時のファラオは「太陽の子」という称号で呼ばれていました。

オンという都市は、ギリシャ語で「太陽の都市」を意味するヘリオポリスという名でも知られています。

西洋哲学の創始者のひとりとされるギリシャの哲学者プラトンは、ヘリオポリスに留学していたという言い伝えがあります。

プラトンの絵

プラトン(ラファエロ作『アテネの学堂』より)

 

ヘリオポリスの創造神話によれば、宇宙に最初に存在していたのは、原初の海ヌンでした。この海からアトゥム・ラーが生まれました。太陽によって象徴される原初の創造神です。

「ネシ・アムス」(Nesi Amsu)という名のエジプトのパピルス文書には、このアトゥム・ラーが、シュー神(大気)とテフネト神(母なる水)を放出し、シュー神とテフネト神からゲブ神(大地)とヌト神(天界)が生じたと書かれています。

そしてさらに、ゲブ神とヌト神からは、オシリス(冥界の神)とイシス(豊穣の女神)とホルス(天空の神)とセト(破壊の神)とネフティス(夜の女神)のすべてが同時に生じたと書かれています。

 

以上の創造神話から、旧約聖書の『創世記』の冒頭を思い起こす方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、エジプトのこれらの神々の系図を表にしてみると、ユダヤ教の秘伝哲学にあたるカバラの、「生命の樹」(セフィロトの樹)と似ていることが分かります。

参考記事:『カバラについて

 

旧約聖書の『創世記』によれば、モーセはエジプトで育った後に、ヘブライ人を連れてエジプトを脱出し、シナイ山で神と出会い、契約を結び、さまざまな掟を伝えられたとされています。この掟がユダヤ教の基礎になっています。

旧約聖書のこのストーリーの多くの点が、事実とは異なっていると考える現代の歴史家が多くいます。

たとえば、モーセは神に出会ったのではなく、当時シナイ山には、極めて進んだ哲学を研究している集団が住んでいて、モーセは彼らから教育を受けたのだという説があります。

現代の歴史家ではありませんが、古代ローマの著作家ヨセフスは、エジプトのファラオのアメンホテップ3世が、皮膚病の流行を避けるために患者たちを移住させたとき、ヘリオポリスの司祭オサルセフがそれを監督し、オサルセフは後にモーセと名乗るようになったという、エジプトの神官の記録を自分の書に引用しています。

 

これらのことを考え合わせると、モーセが、エジプトのさまざまな人々から進んだ思想を学び、それをユダヤ教の基礎として生かしたということは確実に思えてきます。

 

さて、古代エジプトの神々に話を戻しましょう。古代エジプトの宗教は多神教だと言われます。そしてアメンホテップ4世(ファラオ・アクナトン)が、多神教の聖職者たちの多くに対抗して、歴史上初めて一神教を唱えたとされています。

一方で、当会の専門家などの詳しい調査によれば、事情はそれほど単純ではないようです。確かに、エジプトのさまざまな地域で異なる神々が信仰され、人々は、健康や安全や他の御利益を願って、それらの神々に、供え物や寄付をしたり、祈りを捧げたりしていました。

 

しかし、アメンホテップ4世が生まれるはるかに前から、エジプトの聖職者集団の中枢にいる人たちは、さまざまな神々が、実は、宇宙のさまざまな原理の象徴に過ぎないと考えていたようです。

そしてこれらの原理は、宇宙で唯一の絶対的存在の異なる側面の現れにあたり、この絶対的存在は、知ることも名付けることもできないとされていました。

この考え方には現代の神秘学に大いに通じるところがあります。

 

神々が宇宙の原理を表わしているという実例をひとつご紹介します。

オシリスとイシスとホルスは、古代エジプトで最も広く崇拝されていた三大神です。オシリスは男性原理であり、イシスは女性原理にあたります。そして、この二神の間に生まれたのが息子のホルス神です。

ホルス神の像

カリフォルニア州サンノゼ市にあるバラ十字会の図書館の入り口に置かれたホルス神の像

 

現代の神秘学には、「三角形の法則」として知られている原理があります。第1の要素と、その反対の性質を持つ第2の要素が引き寄せあって結合したときに、新しい第3のものが生じるということが、世界のあらゆるところに広く見られるという原理です。

たとえば、プラスの電気を帯びた核と、マイナスの電気を帯びた電子が結合すると原子が作られます。人間では、精子と卵子の結合によって子供が生まれます。電源の陽極と陰極をつなぐことにより電流が流れます。人は身体と魂からなります。ある判断とそれと矛盾するように思われる判断が統合されたとき、より高いレベルの判断が完成します。

 

古代エジプトの進歩的な人々は、オシリスとイシスとホルスという三体の神のことを、この三角形の法則を表わす象徴だと見なしていた可能性があります。

 

プラトンはおそらく、古代エジプトの、このような進んだ考え方を学んだのです。

プラトンは自然界に見られるあらゆるものが、知性と物質の組み合わせだと考えていました。そして、知性のことを「イデア」もしくは「父」と呼び、物質のことを「育むもの」もしくは「母」と呼びました。

有名なイデア説ですが、オシリスとイシスとホルスによって象徴される三角形の法則にそっくりです。プラトンのこの考え方は観念論と呼ばれますが、その後、彼の著作や弟子のアリストテレスを経て、世界中に広がって行くことになります。

 

先ほど話題にしたモーセは、古代エジプトの進んだ思想を吸収して、ユダヤ教の骨格を作り、それは、キリスト教とイスラム教の基礎にもなりました。そのためモーセは、この3つの宗教のすべてで、重要な預言者であると見なされています。

プラトンを通して、エジプトの思想は、その後の西洋のあらゆる哲学に影響を与えることになりました。

また、「哲学の父」と呼ばれる、古代ギリシャの哲学者ミレトスのタレスも、三平方の定理で有名なピュタゴラスも、エジプトに留学していたことがあります。

 

ですから、西洋の哲学と宗教の基礎は、ほとんどすべてがエジプトからもたらされたということができるようです。

 

私はまだ、テレビと写真でしか見たことがないのですが、ギザ高原にある巨大で精巧なピラミッドを目にすると感じることがあります。この国には、何かとてつもなく壮大なことが古代に伝えられていたのであり、それを現代人は、まだほんの一部しか見いだしていないという思いです。

 

では、今日はこの辺で。

また、お付き合いください。

 

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