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調和という女神

2017年5月19日


 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

 

今日の東京板橋は、初夏を思わせる陽気です。自転車を漕いでいると汗ばんできます。

そちらでは、季節の進み具合はいかがでしょうか。

 

さて、ハーモニー(harmony)という言葉を聞くと、何を思い浮かべるでしょうか。まず思い浮かべるのは、合唱での心地よい音の組み合わせのことではないでしょうか。英語の辞書を引くと、「調和」、「協和」というような訳が載っています。

「協和」は、人間関係における調和ですが、このことを重んじるのは、日本社会の著しい特徴のように感じられます。

 

当会のフランス本部代表のセルジュ・ツーサンが、「調和」にまつわるギリシャ神話を紹介し、前回このブログでご紹介した〈自然の法則〉と「調和」の関係について論じています。今回はその翻訳をご紹介します。

参考記事:『自然のリズムについて

 

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バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサンのブログ

記事「調和について」

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン

Serge Toussaint

 

調和にあたる英語は「ハーモニー」(Harmony)であり、その語源になっているギリシャ語は「ハルモニア」(Harmonia)です。ギリシャ神話で調和を司る女神ハルモニア(Harmonia)は、戦いの神アレースと愛の神アフロディーテという、正反対の性質を持つ2体の神の間にできた娘です。

ハルモニアは、都市国家テーバイの始祖カドモスと結婚しましたが、神と人との結婚であったにもかかわらず、結婚式には神々が訪れ、貴重な品々を贈ったとされています。その中には、カドモスが受け取った貴重な木製の竪琴や、ハルモニアが受け取った豪華な首飾りがありました。

伝説によれば、この首飾りは盗まれ、後に多くの人の手に渡ったのですが、手にしたすべての人が不幸になったとされています。このたとえ話によって語り伝えられているのは、調和を損なった者は、遅かれ早かれその報いを受けるという教訓であり、カルマという考え方がそこから連想されます。

CadmusHarmoniaEvelynMorgan

カドモスとハルモニアー (イーヴリン・ド・モーガン/画、1877年) Evelyn De Morgan [Public domain], via Wikimedia Commons

 

「調和」とは一般に、「ある全体、特に、ある芸術作品の全体と、その部分との間にある望ましい関係(形、色、音、リズムなど)」であるとされます。彫刻や絵画、音楽などの芸術作品がどのようにあるべきかを、この定義は端的に示しています。

しかし残念なことに現代では、芸術であると称している作品の一部は名ばかりで、調和という要素がまったく見られません。みっともなさ、不釣り合い、耳ざわりなことを売り物にしている作品さえあります。このことから考えると、芸術には互いに補い合う次の2つの要素が必要不可欠であることに思い至ります。それは、美しさと審美眼、つまり、美しいものを美しいと認める能力です。

 

「調和」には、「あるグループとそのグループ内の人たちの間に、考えや好みや意図の一致の結果として成り立っている関係」という別の意味もありますが、このことを私はとても興味深く思います。

この定義によれば、調和が完全に失われたときに生じるのは、仲違いであり、ひいては争いや戦争です。世界の現状は、調和した状態からはほど遠く、さまざまな国の内部の人と人との関係も、国と国の関係も、調和ではなく混沌に支配されていることを私たちは認めざるを得ません。

しかし、希望を失わないでいましょう。表面的にはそうは思われないかもしれませんが、人類は協調へと向かって徐々に歩みを進めています。

 

人と人との関係において調和を育んでいくことが重要であるとすれば、私たちひとりひとりが、自身の心の中に調和を育んでいくことも必要不可欠です。

このことは、神秘学(mysticism:神秘哲学)で知られている人間の4つの側面のすべてでなされなければなりません。身体面においては、健康に十分に注意を払わなくてはなりません。精神面においては、健全な思考を保つ必要があります。感情面においては、美しいものごとを尊び、肯定的な気持ちを保つように努力しましょう。

そしてスピリチュアルな面においては、人格を高めることに取り組み、〈絶対なるもの〉についての自身の観念と同調するための時間を定期的に設けることが挙げられます。

 

この4つの側面のそれぞれに調和を実現したときにだけ、私たちは根本的な心の平安を知ることができます。バラ十字会の哲学では、この平安のことが〈深遠なる平安〉(Peace Profound)と呼ばれています。

 

しかし私たちは、外側にも目を向けなければなりません。自然界がなかったとしたら、私たち人類は一体どうなってしまうでしょうか。人間という生命は、歴史的に見て自然界から生じましたが、人類が今後も存続できるかどうかは、自然環境が健全に保たれているかどうかにかかっています。

自然は、地球上に住むすべての生き物の母であるだけでなく、先ほどの4つの側面を通して私たちが密接に結びついている母でもあり、日々の生活を支えてくれている母です。

宇宙全体と同じように自然界も、いわゆる〈自然の法則〉に支配されており、自然の法則には、常に建設的だという性質があります。私たち人類が幸せで豊かでいられるかどうかは、自然の法則を尊重し、それと調和して生きることができるかどうかにかかっています。

ですから私たちは、このことについて学ばなければなりません。バラ十字会AMORCの会員が、この会から提供される教材を用いて行っていることのひとつに、自然の法則についての学習が含まれるのはそのためです。

バラ十字会AMORCフランス本部代表
セルジュ・ツーサン

著者セルジュ・ツーサンについて

1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。本稿はそのブログからの一記事。

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アフロディーテは、ローマ神話のビーナス(Venus)にあたり、アレースはローマ神話のマールス(Mars)にあたるので、「調和」(Harmony)は金星と火星の間にできた娘だということになります。面白いですね。

では、また。

 

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