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人工知能について

2017年7月25日


 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

 

月日の経つのは早いもので、8月ももうすぐ近くですね。

いかがお過ごしでしょうか。

 

ご存じのことと思いますが、先月末に、中学生の将棋棋士の藤井四段が公式戦29連勝という大記録を作りました。

ニュースを見ていて、きっとそうではないかと思っていたのですが、藤井さんは、自分の将棋の差し手を改善するために、人工知能を搭載した将棋のソフトウェアを用いて研究を重ねているそうです。

 

今年は囲碁でも、人工知能が話題になりました。世界のトッププロが人工知能に負かされるというニュースが相次いだのです。

この分野の進歩の目覚ましさには、ほんとうに驚かされます。

 

当会のフランス本部代表のセルジュ・ツーサンが、自身の人気のブログに、「人工知能について」という記事を投稿していますので、今回はその翻訳をご紹介します。

 

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バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサンのブログ

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン

Serge Toussaint

 

記事「人工知能について」

人工知能は最近の数十年にわたって進歩を続け、特にロボット工学と結びつくことによって、ますます多くの分野で人間に取って代わるようになってきました。

人の脳は、脳を作り上げている多数の神経細胞とその接続によって、知性という働きを実現しています。それと似たようなことだとは思うのですが、配線と接続、コンピュータチップ、マイクロプロセッサー、プリント配線、量子ネットワーク、人工シナプスなどから、知性が実現されている技術を、私自身は十分に理解することができていません。

ですから、“考えること”や“決断すること”や、“独創性を示す”ことさえできるソフトウェアや機械を設計している、コンピュータ科学の研究者や技術者の方々の能力には、ただただ感嘆の念を抱くばかりです。このことは、物質の世界において、人類が並外れた才能を示すことができるという一例ではないでしょうか。

 

人工知能(イメージ)

 

私は、このような感嘆の思いの一方で、人工知能が現在望ましい用途に使われているかということと、将来、望ましい用途に使われるかどうかということについては、大いに疑問を持っています。

多くの分野でロボットが人に取って代わっています。もしそれが、飽き飽きとするような、ストレスの多い定型作業から人を解放してくれるというのであれば、それは望ましいことでしょう。たとえば、鉄鋼を生産する工場で、溶けた金属を溶鉱炉から取り出す酷暑の現場では、今ではロボットだけが作業をするようになりました。

他方では、日本のいくつかのレストランではすでに行われているようですが、ヒューマノイド(人型ロボット)が食事を給仕するのは、ほんとうに良いことだと言えるでしょうか。

行きすぎた機械化とロボット化が、多くの国で失業率を押し上げる主な原因になっていることは、私には明らかに思えます。

社会に人間味が失われていることには、機械化とロボット化に責任の一端があります。

 

テクノロジー(産業技術)が発達することによって、人の生活の水準が大きく向上したことは否定できません。

しかし問題なのは、人間の内面よりもテクノロジーの方が、はるかに速く進歩しているということであり、そのため特に、経済や環境の保全といった面で、テクノロジーが原因でさまざまな危険が生じています。

株式市場では、人間ではなくコンピュータによって、取引の大部分が一秒の何分の一かの間に行われていることが知られています。ですから、コンピュータ・プログラムの不具合によって、ある国の経済や、国際経済全体が破綻してしまう可能性を、私は心配せずにはいられません。

また、これはまったく別の分野の話ですが、運転手なしに走る車が製造されつつあります。人工知能によって全く誤りなく車をコントロールすることは、ほんとうに確実にすることができるのでしょうか。

物流支援ロボット(イメージ)

 

「知能」は「意識」を意味しません。ですから、人工知能は現在では“考える”ことができますが、自体が考えているということを意識していませんし、なぜ考えているのかということも理解していません。

つまり現在のところ、いかなる機械もロボットも自己意識を持っていませんし、人間のように自分の行動の基本的な善悪を判定することもできません。

さらに、喜び、悲しみ、思いやり、愛などの感情を感じることのできる機械もロボットもひとつもありませんし、このような感情を、人工知能がある程度近い将来に持つようになるかということも疑問です。

 

バラ十字会の哲学の観点から言えば、意識とはソウル(soul:魂)が持つ性質ですので、人工知能が感情を持つとは私自身は考えていません。人類には、いかなる機械やロボットにもソウル(魂)を宿らせる能力がないからです。

 

別の疑問があります。人工知能は、人間にコントロールされることなく、自発的に“考え”、“話し”、“行動”することができるようになるのでしょうか。

もしそうであれば、人工知能は人間とは異なり、基本的な善悪についての観念を持たないのですから、未来を描いた映画のいくつかが示しているような最悪の事態が起こることを、私たち人間が懸念するのは当然なことに思えます。

細心の注意を要するこの分野で人類が聡明であり、人類に敵対して、人類を支配したり抹殺したりする可能性のあるゴーレム(golem:人造人間)が作り出されないことを心から願うばかりです。

ですから、人工知能の開発に一定の制限を設けようとする『アシロマ23原則』のような取り決めに、誰もが当然賛同すべきだと私は考えています。

 

(訳者付記:『アシロマ23原則』(23 principles of Asilomar):2017年1月にカリフォルニア州アシロマに全世界の人工知能の研究者と、経済学、法律、倫理、哲学の専門家が集まって作った、人工知能の研究、開発、設計、応用に関する提言。たとえば、第18条「人工知能の軍拡競争」には、「自発的に人を殺す兵器の軍拡競争を避けなければならない」と規定されている。)

 

バラ十字会AMORCフランス本部代表
セルジュ・ツーサン

著者セルジュ・ツーサンについて

1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。本稿はそのブログからの一記事。

 

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インターネットで調べたところ、アシロマで行われた国際会議では、過去には、遺伝子組み替えについての提言も行われています。

人類が、地球や人類自体を滅茶苦茶にしてしまう可能性のある技術を手に入れた今、科学や産業の倫理を問うこのような取り組みは、とてもとても重要だと思います。

 

参考記事1:『アンドロイドと2045年問題

参考記事2:『人工知能と人間

 

今日は、この辺りで。

また、お付き合いください。

 

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