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握手-文芸作品を神秘学的に読み解く10

2018年5月11日

 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

東京板橋では、昨日まで冷たい雨が続いていましたが、今日は初夏を思わせる晴天です。

 

いかがお過ごしでしょうか。

 

札幌で当会のインストラクターをされている私の友人から、井上ひさしさんの小説についての文章を寄稿いただきましたので、ご紹介させていただきます。

 

▽ ▽ ▽

 

文芸作品を神秘学的に読み解く(10)

森和久のポートレート

森 和久

 

『握手』 - 井上ひさし

主人公の「わたし」は、桜の花は散ってしまったが葉桜にはなっていない季節に、天使園の園長であるルロイ修道士に会ったのでした。場所は上野動物園近くの古い西洋料理店。動物園は休みで店内は、「気の毒になるほど空(す)いている」というまったく盛り上がりに欠ける情況下です。

 

天使園というのは児童養護施設で「わたし」は10代の3年半をそこで過ごしたのです。ルロイ修道士は故郷のカナダに帰ることになったのでかつての収容児童たちにこうやって会っているのだということです。

 

会話の中で、「わたし」の現状を案じたルロイ修道士は「『困難は分割せよ』。焦ってはなりません。問題を細かく割って一つ一つ地道に片付けていくのです」と諭します。これは普遍的な金言ですね。是非参考にしたいものです。

 

ルロイ修道士はこんなことも言います。彼は戦争中、日本人監督官に左手の人差し指を木槌で叩き潰され、この時も潰れたままです。「わたし」は、「日本人は先生に対して、ずいぶんひどいことをしましたね。申しわけありません」と謝ります。それに対して、「だいたい日本人を代表してものを言ったりするのは傲慢です。一人一人の人間がいる、それだけのことですから」とルロイ修道士は「わたし」に注意します。まったくそのとおりですね。

 

 

さて、『握手』という題ですが、この作品には握手をする場面が3回出てきます。まず、少年の「わたし」を天使園の園長室でルロイ修道士が迎えてくれた時。この時、ルロイ修道士の握力は、万力よりも強く、しかも勢いよく上下させたため机の上の本にぶつかり腕がしびれたほどだったのです。

 

そして、再会した西洋料理店での握手。「わたし」はまたあのしびれるほどの握手をされるかと顔をしかめたのですが、この時は打って変わって、病人の手でも握るようにそっと握手をしたのです。昔は手が2・3日痛くなるほど強い握手をしたルロイ修道士が、年数を経て、まったく穏やかな握手をするようになっていました。何か心身の変化があったと伺い知れます。

握手するシニア

 

握手とは人間関係の絆を表し、結合の印とも言えます。そして握手のやり方で感情や意思も伝えることが出来ますし、受け取ることになります。

 

 

この作品には握手の他にもルロイ修道士による手や指にまつわる話が盛り込まれています。一つは「平手打ち」。「わたし」が天使園にいた時に平手打ちされたことを告げると、ルロイ修道士は悲しい表情をします。同じように手を使いますが、握手とは対極の破壊的行為です。

 

次に「掌をすりあわせる」行為。オムレツを前にしてルロイ修道士は「おいしそうですね」とこの動作を行います。でもこれも昔は、農作業を熱心にやっていたため掌が樫の板でも張ったように堅く、ぎちぎちと音が鳴ったのに、この時には音はしませんでした。

洋食屋さんのオムレツ

 

それから「右の人差し指を立てる」。怒ったり、注意したりする時にルロイ修道士はこの動作を行います。それに「右の親指を立てる」。これは良いとかOKということを意味する時に行います。対して、「両手の人差し指をせわしく交差させ、打ち付ける」。こう指を動かすことでルロイ修道士は、ダメだ、怒っているんだということを表現します。

 

また、「右の人差し指に中指を絡めて掲げる」。これは、幸運を祈る、しっかりおやりという意味です。日本では「えんがちょ」とか「カギかけた」と言われる指言葉です。古くは平安時代の絵画にもすでに見られ、忌み嫌うものを避ける仕草として行われてきました。それに対して、欧米では、ルロイ修道士のような使い方が一般的で、多くの映画やドラマ、写真などでも目にします。

 

 

当会では、このしぐさにある種の効力があることが知られています。手、特に指、その中でも親指、人差し指、中指は、ある種の生命力のエネルギーの通り道になっていることがこの効力に関係しています。

 

具体的な作用と使用法のテクニックについては、バラ十字会出版の書籍『ビジネス錬金術:幸福のためのバラ十字会の技法』を参照ください。またこのエネルギーの他の活用法は、当会の通信講座の主要なテーマのひとつになっています。

 

(付記:電子書籍版『ビジネス錬金術』は、下記のURLで購入することができます。)

https://www.amazon.co.jp/dp/B01KJ7K602/

 

 

話を戻します。ルロイ修道士と「わたし」の3回目の握手は、上野駅の中央改札口で別れる時です。「わたし」はルロイ修道士の手をしっかりと握り、それでも足りずに腕を上下に激しく振りました。「痛いですよ」とルロイ修道士は、顔をしかめて見せたのです。そして、上野公園の葉桜が終わる頃、ルロイ修道士の知らせが届きました。「わたし」は両手の人差し指を交差させ、せわしく打ち付けていました。

 

△ △ △

 

ふたたび本庄です。

 

この寄稿文をいただいて、短編小説『握手』を読んでみました。優れた小説の多くが共通してそうであるように思いますが、世の無常をつきつけられ、人の誠実さについて考えさせられます。

 

では、今日はこのあたりで。

 

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感謝について

2018年4月27日

 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

暦の上での夏の始まりは立夏の日で、今年は5月5日だそうですが、東京板橋はもうすっかり初夏の陽気です。

いかがお過ごしでしょうか。

 

ふと思ったのですが、日本人の優れた点のひとつは、日常的に感謝を表わす習慣があることではないでしょうか。

食事の時にはほとんどの人が、「いただきます」、「ごちそうさまでした」と、用意してくれた人どころか、命そのものにも感謝しますし、「ありがとうございます」も、とてもよく使われる言葉ではないでしょうか。

 

 

実は先日、当会のフランスの代表が、感謝を話題にしてブログ記事を書いたのですが、それによると、フランスでは最近、親切を受けたり世話になったりした人に感謝を表わすことが少なくなっているようなのです。

 

日本にも最近、そのような傾向があるでしょうか。私はそれほど実感していませんが、もしそうだとしたら、ほんとうに悲しいことです。

以下に、この記事の翻訳を紹介させていただきます。

▽ ▽ ▽

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサンのブログ

記事「感謝について」

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン

Serge Toussaint

 

人間を気高い存在にしている道徳的長所の中でも、話題にされることがあまりない長所があります。それは感謝ということです。

感謝とはもちろん、お世話になったり親切な行ないをしてもらったりしたときに、お礼の気持ちを表わすということです。また広い意味では、恩を受けた人を大切に思うことです。

食事へ感謝して手を合わせる

 

何らかの形で、誰かに助けてもらったことが一度もない人は、ほとんどいないのではないでしょうか。しかし残念なことに、受けた親切を心からありがたく思うどころか、感謝の気持ちを何らかの方法で表す人でさえ、それほど多くなくなってしまいました。

 

なぜ現代社会では、感謝を表わすことが少なくなってしまったのでしょうか。さまざまな状況において自分が受けたよい行ないのことを無視したり、そこから目を背けたりする傾向が関係しているのでしょう。そのような善行が当然のことであると考える人が増えたことが理由かもしれません。

そして時とともに親切にまつわる人と人の関係が希薄になり、親切を受けた人が、それに感謝を感じなくなることさえ起きています。

極端な場合には、親切に対して、悪意や反発をほのめかす言葉で応じたりすることさえ起こっています。親切の価値が認められない場合には、悪意や恨みや憎悪が生じることが良くあります。

 

それでは、親切にしてくれた人にどうしても感謝を感じることができない場合には、私たちはどのようにしたら良いのでしょうか。そのような場合に最低限できることは、その人に対して敵意を持つことだけは避けるということだと思います。

私の考えでは、親切ということに関して理想的な態度は、人や集団や社会に一度でも助けてもらったり、あるいはそのサービスを利用したりしたことがあるならば、恩を受けたと常に考えることです。

もし誰もがこのことを心がけたとしたら、世界から恩知らずな行ないは、ひとつもなくなることでしょう。

 

私たちが感謝しなくてはならないのは、親切にしてもらった人に対してだけではありません。私たちの誰もが、地球に感謝の思いを感じるべきです。

実際のところ、私たちはあらゆる面で地球から恩恵を受けています。やや擬人的な言い方になってしまうかもしれませんが、人類が必要とする無数に多くのものを地球が提供してくれています。間違いなく地球は私たちの“母”であり、私たちが愛すべき対象です。

残念なことに私たち人類は十分にはこのことに気づいておらず、そのため人類は地球に対して極めて恩知らずな行ないを続けています。このことを確信するためには、地球が現在どのような状態にあるのかをちょっと調べてみるだけで十分です。

The Earth seen from Apollo 17
By NASA/Apollo 17 crew; taken by either Harrison Schmitt or Ron Evans [Public domain], via Wikimedia Commons

 

世界全体を見渡してみると、多くの人が生活に困難を抱えているばかりか、苦痛に満ちた暮らしをしています。十分な食事が得られない人、まともな住居で暮らすことができない人、最低限の快適ささえ得られない人がたくさんいます。

そこまでひどい状況ではないとしても、人生には波乱がつきものであり、病気、事故、失業などとまったく無縁な人は誰もいません。

 

そのような状況にある私たちが、どのようにしたら、人生に対して感謝の念を持つことができるでしょうか。

できるだけ幸せであることはすべての人の権利であり、この権利を満たすことは実際に可能であり、それを実現するかどうかは私たち人類全体に任されているということをどうか忘れないでください。

その実現には、私たちが個人としても集団としても、道徳性と意識レベルにおいて進歩することの重要性に目覚める必要があります。

この進歩によって私たちは世界をより良い場所に変えることができ、いつの日か、「人生に感謝します」と誰もが言うことができるようになります。

 

バラ十字会AMORCフランス本部代表
セルジュ・ツーサン

 

著者セルジュ・ツーサンについて

1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。

多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。

本稿はそのブログからの一記事。

△ △ △

再び本庄です。

記事の中で、裕福な国と貧しい国の格差が話題になっていました。このことが国際的な課題として広く知られてからもう何十年もが経ちますが、状況はひどくなっていく一方のようです。

 

2014年に当会が発行したマニフェスト(宣言書)にも指摘されていますが、この格差の最大の原因は、経済活動によってもたらされる生産物や天然資源が、すべての人間を尊重する精神に基づいて運用管理されていないことです。

そして、その根本にあるのは人間のエゴイズムです。人類の一員としてこのことをほんとうに恥ずかしく思います。

 

参考記事:『バラ十字友愛組織からあなたへの訴え』(2014年)

http://www.amorc.jp/pdf/manifesto2014_appellatio.pdf

 

最後までお付き合いくださり、どうもありがとうございました。

 

よい連休をお過ごしください。

では、また。

 

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サイコメトリーについて

2018年4月20日

 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト

 

今日の東京板橋は、よく晴れてさわやかな一日になっています。

 

いかがお過ごしでしょうか。

 

今回はまず、40年ほど前の私の体験についてご紹介させていただこうと思います。

大学生だったときのことですが、心理学のある実験を行うので協力して欲しいと友人から頼まれたのです。何か、経済のモデルを作るために必要な実験なのだそうです。

 

私が役に立つならばと快く応じると、後日、大学のキャンパスの普段は行ったことのない部屋に呼び出されました。私と同じような協力者が他に7人いて、被験者は全員で8人でした。その中に、私の知っている人はひとりもいませんでした。

そこはとても殺風景な部屋で、打ちっぱなしのコンクリートの壁には、ポスターひとつありません。

そして、部屋の左と右には、長テーブルが2つずつ置いてありました。それぞれのテーブルをはさんで、向き合うように2つの椅子が置かれ、テーブルの中央には割と高さのあるついたてが、椅子を隔てるように置かれていました。

 

他の被験者と一緒に、その部屋に入ろうとしたときに、私は今までに一度も体験したことのない奇妙な感じを受けたのです。

それは、部屋の右側にはどうしても行きたくないという感じでした。右の方に進もうとすると、体自体が何かを警戒して、まるで押し戻されるような感覚でした。

そして、まったく反対に部屋の左側には、何やら楽しげな感じがしたのです。

 

どの椅子に座っても良いという説明だったので、「今のは何だ?」といういぶかしさを感じつつも、部屋の左側に進み、置かれている椅子のひとつに座りました。

 

そして、全員が席に着くと、私たち被験者は4組に分かれることになりました。私を含む、部屋の左側に座った2組のペア、部屋の右側に座った2組のペアです。

ペア同士は向かい合わせに座わっているのですが、ついたてのために、まったく相手を見ることができません。

 

そして、金ピカに光るおもちゃのコインが10枚ずつ全員に渡され、実験の説明が始まりました。

 

経済をまねたゲームを、あるルールに従って行います。

ゲームのルールは簡単です。まずゲームの目的は、自分の持っているコインを増やすことです。終わったときに一番多くコインを持っていた人が優勝です。

コインを増やすために、ペアになった相手と、互いのコインを交換するということを20回行います。

 

コインの交換では、手元にあるコインのうちの何枚を相手に渡すかを決めます。同時に相手も、こちらに渡す枚数を決めます。そしてそのコインを、そのテーブルの実験を補助する係の人に預けます。

預けることのできるコインは最大10枚と決められていました。しかし、自分の手元にあるコインが10枚よりも少なくなっていれば、持っている枚数までしか渡すことができません。

 

そして係の人は、渡されたコインそれぞれの枚数を2倍にして、もう一方の相手に渡すということがルールとして定められています。

実験中は話すことが一切許されておらず、ペアになった相手には、係の人を通してコインを渡す以外には、何も情報を伝えることができません。

 

状況がご理解いただけたでしょうか。つまり、私たち被験者は一種のジレンマ状態に置かれたわけです。

ペアになった相手に、たくさんのコインを何回か渡すことで、もし相手との間に信頼関係を築くことができれば、相手もたくさんのコインを自分に渡してくれるようになることでしょう。そうすれば、結果的に多くのコインを手にすることができます。

しかし一方で、コインを多く渡すと決断したにも関わらず、相手が少ない枚数のコインしか渡してくれなければ、自分のコインはどんどん減ることになります。

 

さて、実験が始まりました。

第1回目の交換で、私はずいぶんと考えたあげくに6枚のコインを係の人に渡しました。ですから相手は、12枚のコインを受け取るはずです。すると、相手からは16枚のコインが届きました。つまり、相手は私を信頼して、10枚中の8枚ものコインを手放してくれたのです。私の手元には10 – 6 + 16 = 20枚のコインがあります。

 

今でも覚えています。おもちゃのコインを使った単なるゲームなのですが、この瞬間の喜びは、かなり大きなものでした。

その後の交換でも、相手はたくさんのコインを渡してくれ、私もすっかり嬉しくなって、毎回毎回10枚近いコインを渡しました。

私の手元のコインはどんどんと増えていき、20回の交換が終わったときには、かなりの枚数になっていました。

 

きっと私か相手が優勝だろうと思っていると、驚きのからくりが種明かしされます。私たち被験者は全員がだまされていたのです。

 

実は、部屋の左側に座った被験者4人には、相手が何枚のコインを手放したかに関わらず、必ず14枚から18枚のコインが、係の人から渡されることに決まっていたのです。

一方で、部屋の右に座った被験者4人には、相手が何枚のコインを手放したかに関わらず、係の人からは、必ず2枚から6枚のコインしか渡されないようにされていました。

 

部屋の右側の人たちは、この実験の間ずっと、かなり不快な思いをし続けていたに違いありません。「この人は、ケチなのだろうか」、「何でこの人は私のことを信頼してくれないのだろう」と何回も思ったのではないでしょうか。

一方で、部屋の左側にいる私たちが築くことに成功したと思っていた信頼関係も、実は架空のものだったことになりますので、結局のところ、右側の人に比べて幸せな体験をしたのかどうかということには、ちょっと疑わしいところもあります。

 

ちなみに、この実験は何をしようとしていたのか、心理学や経済学にどのように役に立ったのかは、残念ながら聞く機会がありませんでした。

 

 

さて、皆さんは、サイコメトリー(psychometry)と呼ばれる現象のことを聞いたことがおありでしょうか。

それは、ある人の感情や記憶が、その人の身につけているアクセサリーや時計などの物体、もしくは、その人が長時間過ごしている部屋の調度品や壁に記録され、他の人が後から感じることができるという現象です。

 

いわゆる「サイキック」(超心理学的)と呼ばれている現象のひとつですが、バラ十字国際大学の研究によれば、この現象は、数々のサイキック現象の中でも、比較的簡単に多くの人が体験することができる現象です。

 

先ほどの心理学の実験が始まる前に、部屋の右側と左側に感じた奇妙な印象のことを、私は、このサイコメトリーの一例だと考えています。

つまり、私たちが実験を行う前にも、この部屋には多くの被験者が入り、何回も実験が繰り返されていたのでしょう。そして、部屋の右側には、被験者が感じた不信と不快の感情が何回も記録され、部屋の左側には、信頼感と楽しい思いが記録されたのでしょう。

 

サイコメトリーが物理学的にどのようなメカニズムで起こるのかは、まだ明らかにされていないようです。

しかし、人間にはこのようなことを感じ取る興味深い能力が、おそらく誰にもあるということはほぼ確実です。

 

私たちが提供している神秘学の通信講座では、初回の教材でサイコメトリーが扱われ、この現象をひとりで体験するための実習が紹介されます。

今までも何回かこのブログでは、「神秘学」(mysticism)(神秘哲学と呼ばれることもあります)について話題にしてきました。

 

神秘学とは何かということは、さまざまな方向から説明することができますが、人生のあまり知られていない側面を明らかにして、より幸せでより有意義な生き方を実現するために役立てる取り組みだと言うこともできます。

サイコメトリーも、人間の深層意識の働きに関連している、人生のあまり知られていない側面のひとつにあたります。

 

読者の皆さんの中には、新年度に入ったこの機会に、何か新しいことを始めたいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この講座の初回の教材を、無料で体験することができます。真剣に検討してみたいとお考えの方は、下記のリンクをクリックして、お申し込みください。

http://www.amorc.jp/request/trial.html

 

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

では、また。

 


約束の話

2018年4月13日

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

東京板橋では、桜の木が若葉から、濃い緑へとすっかり変わりました。

 

いかがお過ごしでしょうか。

 

さて、このブログにすでに何回か登場していただいていますが、小中学生に本を紹介するブックトークというお仕事をされている私の親しい友人から、寄稿をいただきました。

彼女の文章を読むといつも、読みたい本、読み返したい本が増えすぎて困ります。

今回はなかなかディープな話です。

真剣に読書をする女の子

 

 

▽ ▽ ▽

 

記事『約束の話』

可児明美

可児 明美

 

皆さんは、これまでに約束をしたことがありますか? お友達やお家の人となにかの約束をしたことのある人も、いますよね?

そのとき、どんな約束をしましたか? 守るのが簡単な約束もあれば、守るのがなかなか難しい約束もあったかもしれませんね。

 

これは日本の江戸時代にできたお話で、『雨月物語』という物語集に出てくる「菊の約束」というお話です。(はじめてであう日本の古典『雨月物語』古田足日編、小峰書店)

あるとき、播磨の国に住んでいた学者が、旅の途中で具合が悪くなった立派な武士を看病して助けました。看病のかいあって、武士はすっかり元気になりました。

二人はとても気が合って、兄弟になることにしました。しかし元気になった武士は、旅の目的を果たすために、出雲へ行くことになりました。

 

武士は別れ際に、今年の秋の菊の花の祝いの日に戻ってくると約束しました。ところが武士は行った先で足止めされ、閉じ込められてしまいました。

武士は困ってしまいます。約束の菊の花の祝いの日に帰るために、この武士はとうとう、ある行動に出ました。

いったい武士は、どうやって約束を守ったのでしょうか? そして待っていた学者はそのあと、どうしたでしょうか。

Ueda Akinari

『雨月物語』の作者、上田秋成の肖像 By 甲賀文麗 (KoKa Bunrei) (甲賀文麗作「上田秋成像」) [Public domain], via Wikimedia Commons

 

先のお話では、誠実に約束を守ろうとした武士のことが書かれていました。次のお話も、友達のために命をかけて走りぬいたお話です。(『走れメロス』太宰治著、角川つばさ文庫)

人間を信じることができないため、罪もない多くの人々を殺す王がいました。

主人公のメロスは、王を暗殺しようとして失敗し、捕まえられて死刑を言い渡されます。

最後に妹の結婚式をすませたいからと、親友を人質に残し、三日間の自由をもらいました。

 

式が終わって、人質となった親友のもとへと、そして自分が死刑になるためにメロスは走り続けます。

そのまま逃げてしまえば、親友の命と引き換えに死刑から逃れることができますね。でも、メロスはそうしませんでした。みなさんなら、どうしますか?

 

……さあ、メロスは約束の時間までに無事たどり着くことができるのでしょうか? メロスと親友の運命はいかに……?

最後のほうに出てくるメロスと親友の会話のやりとりがとてもかっこいいので、ぜひ味わってみてください。

Osamu Dazai

太宰 治 (Shigeru Tamura [Public domain], via Wikimedia Commons)

 

次のお話も、友達を助けるために約束をして、危険な状況に追い込まれてしまうお話です。(『親友のつくり方、教えましょう。』くもん出版)

この本の中には、親友をテーマにした名作がいくつか載っています。その中でも、『ヴェニスの商人物語』は、シェークスピア劇が少年少女むけの物語の形で書いてあります。

 

友人のために自分の肉を担保にしてお金を借りたアントニオは、返済期限がやってきて、高利貸しシャイロックから、肉で借金を返済するように迫られます。

とうとう裁判になりますが、この裁判にはアントニオにとって強力な助っ人がいたのでした。

さあ、助っ人はどうやって絶体絶命のアントニオを救い出すのでしょうか? そしてその助っ人とは、実は……

CHANDOS3

ウィリアム・シェイクスピア By John Taylor (Unknown) [Public domain], via Wikimedia Commons

 

さて、いろいろな約束をご紹介しましたが、昔ばなしにも約束はよく出てきます。(『黒いお姫さま ドイツの昔話』ヴィルヘルム・ブッシュ採話、福音館書店)

この中の黒いお姫さまというお話では、子どもがいなかった王様とお妃様のところにお姫さまが生まれます。

ところがお姫さまは15歳の誕生日の前の日に、私は明日死ななくてはならないが、どうしても約束してもらいたいことがあると言い出します。

お姫さまは、死んだ自分の棺に、1年の間毎晩見張りをつけるよう、約束してほしいと言います。

 

王さまは約束を守って、1年間、棺に見張りをつけます。けれども見張りは、夜中に棺から出てきたお姫さまに首をひねられて次々に殺されます。

そしてとうとう、見張りをしたいと名乗り出る者がいなくなってしまいました。

けれどもヤーコプという羊飼いの若者が、見張りに名乗り出ます。さあ、ヤーコプはうまく見張りをやり遂げることができるでしょうか?

実はヤーコプは、お姫様の呪いを解く、ある一つの条件を満たしていた若者でした。その条件とは、何だったのでしょうか? そしてヤーコプは、うまくお姫様の呪いを解けるのでしょうか?

 

約束がテーマの本をいくつかご紹介しました。こうしてみると、約束と友情には、どうやらつながりがありそうですね。約束と友情をぜひ味わってみてください。

 

おわり

 

紹介した本

『はじめてであう日本の古典 雨月物語』古田足日編、小峰書店

『走れメロス』太宰治著、角川つばさ文庫

『親友のつくり方、教えましょう。』くもん出版

『黒いお姫さま ドイツの昔話』ヴィルヘルム・ブッシュ採話、福音館書店

 

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ふたたび本庄です。こちらは猫の話を扱った可児さんの前回の記事です。

参考記事:『猫がテーマの本

 

今日はこの辺りで。

また、お付き合いください。

 

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直感について

2018年4月6日

 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

今日の東京板橋は、朝から風がとても強く、道端に自転車が何台も倒れていました。

今週は、ずいぶんと寒暖の差が激しかったですね。

 

いかがお過ごしでしょうか。

 

さて、今回の話題は直感です。(直観とも書くことがあり、意味に差があるという人もいますが、ここではどちらも同じだとします。)

直感は虫の知らせとも呼ばれますし、英語では「はらわたの感覚」(gut feeling)と言うそうです。

あなたの今までのご経験で、直感が働いたと最もはっきり感じたのは、どのようなときだったでしょうか。

 

以下は、当会のフランス本部の代表が、直感について書いたブログ記事の翻訳です。

 

▽ ▽ ▽

 

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサンのブログ

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン

Serge Toussaint

 

記事「直感について」

 

誰もが知っている通り、人間には身体能力というものがあります。それは、体の働きであり、具体的には、歩く、走る、登る、跳ぶ、這う、泳ぐ、踊るなどです。

これらの能力には、骨、筋肉、神経が関わっていて、脳によってコントロールされています。

私たち人間には、感覚能力というものもあります。視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚などの五感であり、それぞれの感覚に与えられた刺激は、それに対応する脳の特定の部分によって処理されます。

身体能力は、精神(心)の意図したとおりに体を動かす働きなので精神-運動機能と呼ばれ、感覚能力は知覚機能と呼ばれることもあります。

 

しかし、脳はこの2つの機能だけでなく、精神の機能も司っています。精神の機能の中でも特に重要なものに、思考、記憶、想像という3つの働きがあります。

思考という働きのおかげで、私たちは現在の状況について考えることができます。

記憶という働きのおかげで過去を思い出すことができます。

そして想像という働きのおかげで、思考の限界を超えて楽しいことを思い浮かべたり、未来を予測したり期待したりすることができます。

ですから、心理学で「主観的機能」と呼ばれるこの3つの精神の働きは、それぞれ、現在と過去と未来という3つの時間の区分に関わっています。

 

そして、私たちにはさらに、以上のような精神の働きに加えて、いわゆる”超心理学的”な機能があります。

下意識の機能と呼ばれることもありますし、20世紀の初頭に活躍したインドの神秘家で詩人のオーロビンド・ゴーシュは、超精神的(super-mental)機能と呼びました。

このような働きの中でも特に重要な働きに直感があります。

この働きによって私たちは、時計を見ずに時刻が分かったり、受け取ったばかりの手紙を読む前に、それを誰が書いたかが分かったり、友人の女性が妊娠していることが、本人が気づく前に分かったり、ある場所で、ある出来事が起こったことが、教えられる前に分かったりするというようなことが起こります。

直感(イメージ図):吊された多数の鍵からひとつを選ぶ

 

直感は通常の精神の働きとは異なり、脳の活動の結果から生じているのではありません。直感が働いたときのことを思い起こしていただければ、そのときには、思考という働きを使っていなかったことがお分かりになることと思います。

直感によって意識の中に生じる印象は、突然でつかの間であり、絶対に正しいという感じが伴っています。真の直感は正しく、間違った直感などというものはありません。

そのようなものは実は直感ではなく、直感と勘違いされていますが、その源は“ごく些細な”間違った思考です。

 

バラ十字会の哲学の観点から言うと、直感とは心の深奥の働きの一種です。

より明確に言うと、直感は、魂(soul:ソウル)という、人の最も貴い要素に由来します。このことが、直感が常に正しい理由です。

しかし、人は生まれつき直感を十分に活用できるわけではなく、この能力を目覚めさせる必要があります。そのためには、どのようにしたら良いのでしょうか。

お勧めの方法は、直感によって心の中に生じる印象に常に注目し、それに従うことを習慣にすることです。

日々の生活を送る上で、直感は思考と同じように役立つので、直感という心の働きを無視してしまうのは残念なことです。

19世紀のフランスの作家アンヌ・バラタン(Anne Barratin)はこう述べています。「直感とは、(その人がそう考えるところの)神が与えてくれる、真実の光のきらめきです。」

 

バラ十字会AMORCフランス本部代表
セルジュ・ツーサン

 

著者セルジュ・ツーサンについて

1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。

多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。

本稿はそのブログからの一記事。

 

△ △ △

 

再び本庄です。

 

神秘体験という言葉を耳にしたことがおありでしょうか。

突然、今までにないほど心が澄み切った状態になり、宇宙と自然のすべてが愛に満たされていると感じたり、すべてがひとつであると感じたりして、思考を超えた、人生についての新しい展望が開けます。

神秘体験(イメージ図)

 

私たちが提供している通信講座の教材で説明されていることなのですが、バラ十字会の哲学では、直感のことを最も初歩的な神秘体験だと考え、より高度な神秘体験のための第一歩になると考えています。

ですから、先の記事でセルジュ・ツーサンが説明していた、直感を目覚めさせる方法は、簡単に行えることですが、見かけよりも重要な意義があります。

 

参考記事:『神秘体験の不思議

http://www.amorc.jp/reference/material_005.html

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

では、また。

 

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