資料室

バラ十字古代エジプト博物館のコレクションから 〜セクメト女神の彫像 〜

Treasures from Rosicrucian Egyptian Museum 
〜 The Goddess Sekhmet - RC 1605 〜

閃緑岩製
エジプト第18王朝期
(紀元前1350年頃)

 セクメトは、古代エジプトで大きな影響力を持ち、多くの人に愛された女神でした。セクメトとは、「打ち倒す者」という意味です。セクメトは疫病と戦争を司る女神ですが、偉大な治療者であるとも考えられていました。そのため、古代エジプトの医師には、「セクメトの神官」という称号が与えられていました。

 このセクメト女神の像は、およそ1メートルの高さで、アクナトンの父であるファラオ・アメンホテプ3世の命で作られました。アメンホテプ3世は、長い間歯の膿瘍の痛みに苦しんでいましたが、セクメトの力により治癒したので、感謝を表わすことを望んだのです。これと同じような像がアメンホテプ3世の葬祭殿に多数置かれていましたが、後にカルナックの大神殿に移されました。この像は、奉納されたこれらの像のひとつであると推測されています。

 このセクメト像は、とても慈悲深く思いやりのある表情を浮かべており、優雅なたたずまいが際立っています。左手にはハスの花を持っていますが、ハスはエジプトでは無から新しい命が生まれることを象徴していました。右手には、生命の象徴であるアンク(ankh)を持っています。アンクはアンサタ十字とも呼ばれますが、上が輪になった形の十字です。この像は、そのころのエジプト人が使った材料の中でも最も硬い石である閃緑岩で作られています。当時のエジプトには、道具に用いることのできる、閃緑岩よりも硬い金属はありませんでしたので、何ヵ月もかけて、砂で磨いて形を造っていくしか方法はなかったことでしょう。この作品の美しさは、この女神の像を作った石工の技量をありのままに証明しています。

 このセクメトの像は、バラ十字会の古代エジプト博物館の特別展「ナイル川の女性」でも注目を集めました。また、すべての展示物の中でも特に人気の工芸品です。

リサ・シュワッパハ・シリフ、文学修士
バラ十字古代エジプト博物館学芸員、副館長

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラ十字」(No.145)の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

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