こんにちは、バラ十字会日本本部の本庄です。
まだまだ寒いですが、職場までの道を歩いていると、そこここで木々の芽が膨らんでいるのを目にすることができます。春がすぐそこに来ているようです。
あなたのお住まいの近くでは、いかがでしょうか。
さて、唐突ですが、今日は、全宇宙とあなたの心のどちらが広いかを調べてみようと思います。
そのためにまず、茶色の毛をした犬が、あなたの目の前で吠えているところを思い浮かべていただきたいのです。
昔、学校の生物の時間に学んだことを思い出しましょう。まず、太陽から発した光が犬の毛に当り、そのうち茶色だけが反射し、私たちの眼に入ります。そして、眼にあるレンズによって網膜に像が作られ、そこから視神経によって、電気(化学)的な信号が大脳に送られます。
脳科学によれば、この信号は大脳のもっとも後方にある低次視覚野というところに届きます。
この時点では、伝えられている情報は、単なる生のデータです。たとえば、コンピュータ画面の類推で言えば、画面の右から数えて100ピクセル、上から数えて150ピクセルの位置は、赤が70%の明るさ、緑が15%の明るさ、青が15%の明るさであるというようなデータです。
もし、私が人間ではなくて、トンボだったら、複眼という人とは違う作りの眼をしているので、このデータは人とは違い、世界はまったく違うように感じられることでしょう。コウモリだったら、超音波を反射させて物を「見て」いるので、やはりまったく異なる世界を生きていることでしょう。
また、高速道路のトンネルに使われているような黄色のハロゲンランプが犬の毛にあたっていれば、この犬は黒く見えるはずです。
このように、視覚はさまざまな要素の組み合わせによって成立しています。私たちは、この犬そのものが、実際に何であるかを知ることはできず、ある条件のもとで、そこから発する光や音を知ることできるだけです。
長くなるので、ここではご説明できませんが、このことは、この世界の正体を見破るために重要なことのひとつであり、バラ十字会の神秘学通信講座「人生を支配する」で詳細に扱われます。
さて次に視覚の情報は、大脳の下部側面にある高次視覚野というところに送られます。そしてまず、形や動きが判定されます。そして、おそらくこの時点で、心の中のイメージが成立します。
最近、あるテレビ番組でこの高次視覚野のことが取り上げられていました。f-MRI(機能的磁気共鳴イメージング)という医療診断装置があります。この装置を使うと、脳の特定の部分の血液の流れをリアルタイムで調べることができます。
まず、どこでも眠れる、図太い人を探し出してきます。そして、この装置の中で眠ってもらい、その人の高次視覚野の血流を詳しく調べます。そのデータを人工知能ソフトに入力してパタン認識をすると、その人がどのような種類の夢を見ているのかを、おおむね「あてる」ことができるそうです。驚くべきことですね。
しかし、人が物を見るという事柄を、脳内の物質や電気だけで説明できると考えるのはやや行きすぎです。
ちなみに、バラ十字会の専門家の多くは「見る」ということを、物質の世界と心の世界の境界線に起こる、「さざなみ」のようなものだと考えています。
話を戻しますが、形や動きが判定された後は、次にそれが何であるかが解釈されることになります。このときには、過去の経験や、学んだ言葉や知識が、知覚に影響を与えることになります。そして、「この犬」という観念や、犬全般という概念が作られます。
もし、ワンワンと吠えるこの色と形と動きをしているものを「ネコ」と呼ぶと教わっていたら、それは「ネコ」になることでしょう。過去に噛まれた経験があれば、その概念には恐れが含まれるでしょうし、犬を大切に飼っている人であれば、深い愛情を伴う概念になることでしょう。
さて、興味深いことがあります。今まで話してきたイメージも観念も概念も、すべてはあなたの心(意識)に生じています。
このこともまた、この世界の正体を見破るうえで大切なことです。
仏教のある一派では、「心内の影像を心外の実境と見るな」と戒められるそうです。
夜空に見ることのできる星々も、あなた自身もあなたの体も、他の人も、あなたの知識も、すべてはあなたの心(意識)の中にあります。
ですから、全宇宙はあなたの心(意識)の中にあります。
そこで、最初の問いへの答えですが、あなたの心は全宇宙より広いことになるのではないでしょうか。
今日は、世界についての、ひとつの見方をご紹介しました。
ちょっと変わった見方でしょうか。
あなたは、このことについて、どのようにお考えになるでしょうか。
興味深いと思っていただけたなら、とてもうれしく思います。
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