バラ十字会日本本部の本庄です。こんにちは。
今週の初めに、私用で札幌を訪れる機会がありました。とても良く晴れ、日中の気温は東京とそれほど変わらなかったのですが、朝晩はとてもさわやかでした。
残念ながらとんぼ返りで東京に戻り、気合いを入れ直して仕事をしています。
梅雨が続いていますが、お元気にお過ごしでしょうか。
ある大悪人についてちょっと調べてみました。
外国の話ですが、1000年以上も続いているイギリスの王室には、ずいぶんと多くの悪人が登場します。そして、そのうちの幾人かを、シェークスピアが、面白おかしく劇に仕立てています。
その中でも、ヘンリー8世は、悪人中の悪人、暴君中の暴君であるとされ、あるテレビ番組では、「やりたい放題王」と呼ばれていました。
もともと彼は、カリスマと呼ぶにふさわしい人物だったようです。長身で広い肩幅を持ち、スポーツ万能・語学堪能で、音楽や詩にも豊かな才能を発揮し、イギリスの王室史上最高のインテリとも言われていました。
ところが急死した兄から王位を継承すると、その絶対的な権力を用いて、じゃまになる人物たちを、次々と粛正します。
左遷や追放などという甘いものではありません。反逆罪で斬首刑です。
その後は、妻の侍女やその妹や、多数の庶民の女性に手をつけるは、邪魔になった妻に政敵と姦通したという濡れ衣を着せてまとめて処刑するなど、まさにやりたい放題です。
最初の妻との離婚を望んだ時には、ローマ・カトリックでは離婚が許されていなかったので、カトリック教会と絶縁します。そして新たにイギリス国教会を創設し、その首長は国王であるという法令を発布します。
結局は生涯で6人の妻を持つことになりますが、彼を看取ったひとりを除き、ひとりが幽閉、2人が処刑、2人が離婚されています。
半年で離婚した4人目の妻の時には、見合い用の絵が実物より美しかったことに激怒し、画家は身分剥奪、家臣が斬首刑になっています。
テムズ川沿いにあるロンドン塔は、当時の王室が幽閉や処刑に使っていた場所です。罪人は市中でさらしものにされた後に、ここで首をはねられたのだそうです。
当時の斧は切れ味が悪く、運が悪い罪人は一回では死ねなかったそうです。
ロンドン塔には、多数の無念の人の思いが残っているのか、今でも幽霊がたびたび目撃されるとのことです。
いやあ、すごいですね。
しかし、ヘンリー8世が人類の歴史に与えた影響は、必ずしも悪いものとは言えないのです。
彼が自分の離婚のために作ったイギリス国教会には、独自の教義があり、ローマ・カトリックに比べると、人間の理性を重視し、自然科学を柔軟に受け入れる傾向が強かったのです。
このことが大きな要因となり、イギリスを中心として近代の自然科学が発達し、後の産業革命につながったと言われています。
神秘学では、人生を支配している主な法則のひとつに、「償(つぐな)いの法則」というものがあるとされています。別名「カルマの法則」とも呼ばれ、要するに、ピーマンの種をまけばピーマンが収穫されるし、インゲンの種をまけばインゲンが収穫できるように、人は自分の思考や発言、行動によって、自身の未来の運命を創造しているという法則です。
ですから、この法則から言うと、ヘンリー8世はあまりにも極端な例ですが、悪事をためらわない生き方は、一般的に言えば、後に大きな後悔が生じる人生だと考えることができます。
しかし、ふと思うのですが、この世にひとりも悪人がいないとしたら、世の中は、とても退屈な場所になってしまうのではないでしょうか。
トリックスターという言葉をお聞きになったことがおありでしょうか。世界中のおとぎ話に共通して出てくる、いたずら好きの妖精などに代表される、奇妙な役割を果たすキャラクターのことです。
トリックスターは、社会の道徳や秩序を乱すいわゆる悪者なのですが、その奇妙な行ないが、物語の結末では、なぜか不思議なことにすべての人のハッピーエンドにつながります。
ヘンリー8世には、妖精のかわいさなどはひとつも見られませんが、何となく、トリックスターと似た役割を果たしているように思われるのです。
さきほどご紹介したように、工業技術と自然科学が発達したのは、ヘンリー8世のおかげとされます。彼は知らず知らずのうちに、何か大きな意志に導かれて、このことのために行動していたのでしょうか。それとも、単なる偶然なのでしょうか。
工業技術と自然科学が人類を幸せにしたかということには、さまざまな意見があります。しかし、この2つによって人類が豊かになり、世の中が刺激に満ちた場所になったということには間違いがないように思われます。
歴史は、ほんとうに不思議ですね。
いかがでしたでしょうか。少しでも興味深い点があったと、あなたにお感じいただけたなら、心から嬉しく思います。
それでは、また。
追伸:メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」に、こちらから登録すると、このブログに掲載される記事を、無料で定期購読することができます(いつでも配信解除できます)。
コメントは受け付けていません。