投稿日: 2014/11/28
最終更新日: 2022/11/03

 

こんにちは。バラ十字会日本本部の本庄です。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト

東京板橋でもカエデがすっかりと色づきました。昨日今日と日差しに恵まれて、日中は暖かさが戻ってきました。

そちらはいかがでしょうか。

 

あなたの記憶をたどっていただきたいのですが、とても奇っ怪な夢を見たことがないでしょうか。以前に体験したことから組み立てられているのではなく、自分が望んでいるようなことでもなく、目覚めてから冷静に考えれば、そんなことは決して起こらないような妙なストーリーの夢です。

見たこともない奇妙な品物や生き物が登場する場合もあります。

 

私たちの潜在意識層には、莫大な情報が秘められています。そして、このような夢は、潜在意識から日常の意識へと、その情報のほんの一部が、象徴的に伝えられてきたものです。

 

このような経験から、潜在意識というものは、何かとても気味の悪いものだと感じられてしまうことがあります。

そして、この同じ潜在意識から発しているとされる本能も、何か人間にはそぐわない、ネガティブなものだと思われてしまう場合があるようです。

 

最近読んだある本に、次のようなことが書かれていたのです。

「地球上に生命が誕生したのは40億年ほど前、生命が進化し、最初の人類が誕生したのは1000万年ほど前、そして、人類が壁画を残すようになったのは、わずか4万年前である」

「人類の祖先が理性を働かせて生きるようになってからの期間よりも、考える能力を持たずにただ生きていた期間は、はるかに長かったと考えられる。そのような、理性なき時代の祖先は、なわばりや食べ物の奪い合いから、日常的に、他の生き物や自分たち同士で殺し合いを行っていた。つまり、弱肉強食の世界を生きていた。」

「そして、そのころの本能のなごりによって、今でも殺人や戦争が起こっている。」

「それゆえに、人間は原始的な本能を理性によってコントロールして、人間本来の生き方ができるように、自分たちのことを訓練していかなければならない。」

 

ほんとうにそうなのでしょうか。このように考えると、私たち人間とは、頭蓋骨の中に何か消しがたい欠陥をかかえた生き物であるように思われて、暗い気持ちになってこないでしょうか。本能とは、そんなにネガティブなものなのでしょうか。

 

今から50年ほど前のことになりますが、子供の頃によく見た動物のドキュメンタリー番組のことを思い出します。その当時のこの種の番組では、ライオンが口を赤く染めてシマウマを食べる様子とか、チーターが可愛いインパラの喉笛にかみつく様子とか、動物界が弱肉強食の世界であることばかりが映し出されていました。

ダーウィンの自然淘汰説も、学校で教えられたときには、この弱肉強食という点が強調されていたように思います。

 

ところがどうも、本能が何か悪者のようであり、本能だけに従っている動物は、人間より下等なのだというような考え方は、あまりに人間中心の見方ではないかと、最近では見直しがされているようです。

自然についての最近のドキュメンタリー番組では、動物や植物の世界を支配しているのは、思いもよらないほどの調和と美しさであることが強調されることが多くなってきています。

Beautiful colourful parrot over tropical background

 

考えてみれば、人間の戦争と動物の攻撃本能は、まったく違う種類のものではないでしょうか。

たとえば悪者にされやすい動物の典型として、毒ヘビのことを考えて見ましょう。毒ヘビが相手のことを殺すのはどのような場合でしょうか。自分の命やなわばりが脅かされたと感じたときだけなのではないでしょうか。

 

人間のように、意識レベルが十分に進化した動物には自由意志が現れます。つまり、自分の行うことを自分で決めることができます。

それに対して、ヘビのような爬虫類では自由意志がほとんど働いていません。つまり、行動は本能に支配されていて自動的です。

自由意志がない場合、選択する余地がないのですから、そもそも善悪はありません。

 

神秘学では、本能とは、動物の体を通して表わされている自然の摂理だと考えています。自然界に調和がみなぎっているのは、大部分の動物がこの自然の摂理を自動的にそのまま表しているからだといえます。

 

それに対して、人間には自分の行動を選ぶことができます。このこと自体は、意識レベルの進化の結果であり素晴らしいことですが、自然の摂理に反した行動をすることもできるということを意味します。

そして実際、悲しいことに人間は、資源を確保したり、政治や神についての相手の考え方を変えようとしたり、民族の勢力を拡大したりするために戦争をします。そして信じられないことに、産業革命以降は、過剰な生産を消費する手段として戦争が行われているという説さえあり、必ずしも完全には否定できないようです。

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18世紀のフランスの哲学者で教育家であったルソーは次のような言葉を残しています。

「本能が体を守るのと同じように、良心は魂を守る。自身の良心に従う者は、自然の理法のまっすぐな道をたどるのであり、誤った方向へ導かれることを心配する必要はない。」

たとえば、腐った食べ物を前にすれば、私たちはちょっとにおいを嗅いだだけでも、食べる気が起きません。このようにして、自然の摂理から発した本能によって体が食中毒から守られています。

 

ルソーは、この文章で人の良心が本能と似たものだということも指摘しています。バラ十字会の神秘学では、人の良心とは、魂を通して宇宙の摂理が表わされているものだと考えています。

 

たとえば、人を陥れることによって大金を手にする機会があったとします。私たちの良心が正常に働いていれば、そのようなことをする気は起きません。

しかしそうでなければ、悪事に手を染めてしまい、宇宙の摂理に反した結果を、魂が背負い込むことになります。法律によって罰せられることになればまだ良いのですが、そうでなければ、宇宙の補償作用として、将来、解決の難しい苦難に長期間向き合わなければならないことになります。

 

こう考えると、オレオレ詐欺で老人をだましたり、危険ドラッグを売ったりしている人たちのことをニュースで知ると、怒りを感じることはもちろんですが、無知とはいえ、ほんとうに気の毒にも感じます。

 

一方、良心に従って生活をすることは、神秘学では、幸せの原因を貯蓄することにあたるとされます。それだけでなく、確かな安心感と、すがすがしい気持ちが伴います。

 

本能の強制力に比べると良心の声は小さいので、それを聞き逃してしまわないように注意をしなければならないと、バラ十字会員に限らず、神秘学を実践している人たちの多くが感じています。

そして、この声を確実に聞き取る手段のひとつとして瞑想というテクニックが用いられています。ですから瞑想は、何かとても特別な行いだというわけではありません。

 

いかがでしょうか。少しでもあなたに、参考になったとお感じいただけた点があれば、心からうれしく思います。

それでは、また。

 

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