こんにちは。バラ十字会の本庄です。
この数日、東京はとても乾燥していて、金属に触れると静電気がばちっと走ってびっくりします。
いかがお過ごしでしょうか。
2016年に入って半月が過ぎました。国際ニュースでは、米国大統領の予備選で妙な候補者が人気を集めていることや、中東の情勢の変化が報道されたりしました。
このような情報に触れて、最近特に強く感じたのですが、今起きていることを理解するためには、歴史をきちんと勉強しなければと考えています。特に現代史、つまりこの数百年に起こったできごととその背景です。
それにしても、国際ニュースに暗い話題が多いですね。私ごとですが、ニュース番組を見た後に、気分転換のために宇宙に関するドキュメンタリーを見ることがあります。
そしてこの場合もまた、地球や太陽や星々のことをきちんと理解するためには、過去のできごとを勉強しなければならないと感じます。ただしこの場合は、数十億年から百億年というスケールの宇宙の歴史です。
国際宇宙ステーションや「はやぶさ2」などの小惑星探査、天文学、物理学などでは、世界中の研究者が国籍にかかわらず、あたり前のようにインターネットで情報を交換し合いながら協力をしているのに、国際政治では、さまざまな場面で国と国が対立し、人が幸せになるために使えるはずの資源と労力を浪費しているのを見ると、とても不思議な気がします。
きっと、今は過渡期で、歴史と人間の意識そのものが、大きく変わろうとしている時期なのでしょう。
このような状況について、バラ十字会のフランス本部の代表セルジュ・ツーサンが、自身のブログに記事を書いていました。今回は、その翻訳をご紹介させていただきます。
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バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサンのブログ
記事「歴史について」
当然のことですが、歴史は過去の積み重ねであり、歪曲しようとする人たちはいますが、過去をやり直すことはできません。
数日、数ヵ月、数年、数世紀と、さまざまなスケールの歴史を考えることができますし、すべての人、地域、国家には、それぞれに固有の歴史があり、長かったり短かったり、多数の人が関わっていたり、そうでなかったり、広い地域が関係していたり局地的だったりします。
このように、個人の歴史、地域の歴史、国家の歴史、国際関係の歴史、世界の歴史と、さまざまな歴史について語ることができます。
数十年前までは、大部分の人たちが、自分たちの歴史以外には興味を持っていませんでしたし、その興味は民族や国家を誇ることが目的でした。現代社会に起きた流通と通信の発達により、国と国どころか、大陸と大陸の関係までもが緊密になり、人類の歴史は国際的で全地球的な性質を持つようになりました。
このことは一般に「グローバル化」と呼ばれています。それはすでに避けることのできない現象であり、そもそも異論を唱える必要はないように思われます。なぜならグローバル化は、人と人の絆を強める方向に働き、平和を促す要因になるからです。
多くのバラ十字会員もそうでしょうが、世界が全体として今後どのような道を選ぶかに、すべての国の未来がかかっていると私は考えています。ある国の歴史が将来の世代の人たちにとって幸せなものになるかどうかは、グローバル化に前向きに対応することができるかどうかに大きく左右されることになるでしょう。
このことを人々と政治家が早く理解すればそれだけ、人類全体が直面している危機への全地球的な解決に、より早く取り組むことができるようになります。
見かけ上はそう思えないかもしれませんが、多くの人口を抱えた国も、さまざまな意味で強大な国家も含め、いかなる国も、他の国の人たちの幸せを考慮せずに中長期的に繁栄を続けることは不可能です。
可能かもしれないとお思いの方には、次の2つのことをお考えいただきたいのです。ひとつは、グローバル化によって国家のカルマ(訳注)が、それぞれ別々のものではなくなっているということです。
もうひとつは、すべての人が自分の正体に気づく時期が来たからです。つまり、すべての人は同じ起源を持ち同じ運命を共有している、命を与えられた魂(living soul)だという意識が広がることになります。
訳注:カルマ(karma):過去に行なった思考、発言、行動の集まり。その善悪が、未来の幸・不幸に影響することが、神秘学ではカルマの法則と呼ばれる。
人類の歴史は今まで、対立と競争の歴史でした。しかし、今こそが団結と協力を促すべき時期であることに間違いはありません。そうしなければ、すべての国とその住民にとって、現在の状況は悪化していくばかりでしょう。
危機から逃れて、自分たちの住む限られた地域では繁栄を続けることができると考えている人たちがいますが、それは思い違いです。政治と経済という見方だけに支えられた視野の狭い幻想なのです。
ややショッキングなたとえを使うとすれば、癌が全身に広がるのを放置して、いくつかの臓器が健全に働くように努力するようなものです。そのような試みでは、それらの臓器も冒されてしまう日が必ずやってきます。
人類は重い病気に冒されています。利己主義、個人主義、寛容のなさ、貪欲、物質偏重主義という病気です。
「歴史は繰り返す」ということが良く言われます。同じ原因からは同じ結果が生じ、人は同じ過ちを繰り返す傾向があるので、ある意味でこの言葉は真実を突いていると私も考えます。国単位でもそうですし、現在では地球全体でもそのように言えるでしょう。
ですから、私たちは過去から学び、その教訓を生かさなければなりません。しかし残念なことに、人間は個人としても集団としても、過去のことをすぐに忘れてしまいます。それゆえに、私たちが現在直面している問題の多くは、実際には目新しいものではありません。グローバル化の影響で、より厳しく、より急速に、より広範囲に問題が生じているだけのことです。
繰り返しになりますが、根本的な解決のために、団結と協力が必要とされると私は考えています。
バラ十字会AMORCフランス本部代表
セルジュ・ツーサン
著者セルジュ・ツーサンについて
1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。本稿はそのブログからの一記事。
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いかがでしたでしょうか。決して明るくない世界の現状についての、歯に衣を着せない意見もありましたが、ご参考になったと少しでもお感じいただけたなら、心から嬉しく思います。
それでは、また。
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