こんにちは。バラ十字会の本庄です。
東京板橋では、花が散った後のサクラの葉の緑が鮮やかです。
そちらはいかがでしょうか。
さて、唐突な質問ですが、時間とはいったい何でしょうか。このことを私は、いつも大切なテーマだと感じています。この世界には私たちの多くがまだ知らない全く別の見方があり、その見方を実感するためには、時間の正体について考えることが役に立つと思われるからです。
このブログでも、始めて間もないころに「時間の正体について」という記事をお届けさせていただいたことがあります。そしてその後も、さまざまな調査を続けています。
参考記事:「時間の正体について」
大森荘蔵さん、入不二基義さんなどの哲学者が、このテーマに関する素晴しい本を書いています。
また、当会のフランス代表が、今月の7日に自身のブログ記事で、時間のことを日常的な視点から取り上げています。今回はこの記事をご紹介させていただきたいと思います。
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バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサンのブログ
記事「時間について」
時間というものをどのように定義するとしても、それが私たち現代人の生活に大きな影響を与えているということには誰もが同意されることと思います。昼と夜の入れ替わりや、月の満ち欠けや、季節の移り変わりによって、自然界に現れている時間が区切られています。
望んでも望まなくても、動物や植物や鉱物からなる自然界全体と同じように、私たち人間もこのようなリズムに支配されています。時間は、私たち人間の物質面に関わっていて、生き物である私たちが、この物質面を無視して生活することはできません。
時間を支配し、生活をより良くコントロールしようと試み、人は時間を細かく分割しようとして、さまざまな時代に、さまざまな時計や時間の区分が発明されてきました。月、日、分、秒という区分どころか、ご存知のように今では、百分の一秒や千分の一秒という単位が普通に使われている分野もあります。
人類がますます正確に時間を測るようになったことは当然であり予測できたことでしょうが、人がある意味で時間の奴隷になっているのは残念なことです。大部分の人が、目が回るほどせわしないペースで暮らしていて、ストレスから“神経性の”あらゆる不調が生じているということに目を向けるだけで、現代人の多くが時間の奴隷になっていることが明らかにわかります。
時間が細かく分割されるようになったのと同時に、社会生活のリズムがめまぐるしいほど加速しました。今日では、あらゆる活動のための時刻が定められ、テレビ番組表のようにスケジュール化されています。
「時は金なり」という言葉の通り、より短い時間でより多くの物を生産するという考えに経済がとりつかれています。このことに関連していますが、マスメディアは自分たちが重要だと考えるできごとを、先を争って生中継しようとします。良くも悪くもマスメディアは、将来を予想し先取りし推測します。
このような風潮に引きずられて、多くの人がせきたてられるように生活をしています。時間が足りないと愚痴をこぼすことも少なくありません。
世の中がこのようにスピードアップしたことで、私たち現代人は昔より幸せになったでしょうか。その答えは「いいえ」であるように思われます。なぜでしょうか。それは、時間を最大限有効に使おうとして、私たちが人生の質を犠牲にしてしまっているからです。
このような傾向があまりにも行き過ぎたため、矛盾しているように思われるのですが、何も行なわずに過ごす時間が一時間たりともあることを、多くの人が望んでいません。何らかの案件を消化しないで時間を過ごすということに、居心地の悪さを感じるのです。
そこには、自分自身にひとりで向き合うということに対する恐怖心があるのかもしれません。さらに言えば、時間に対して戦いを挑む競争に明け暮れることで、私たちは、自分自身、他の人たち、自然、そして人生の深い意味から、ますます遠ざかってしまっているのではないでしょうか。
哲学的な見方から考えると、時間とは、物質的な実在ではなく意識の状態です。ですから眠っているとき、つまり意識がないときには、人は時間の経過を感じません。また、不幸なことに何らかの理由で昏睡状態に陥ってしまった人は、意識を取り戻したときに、数時間、数日どころか、数年間もが一瞬のうちに過ぎたように感じます。
ですから突き詰めて言えば、時間を支配し人生と和解するための最良の方法は、日々用いている物質的な生き方を、より精神的な性質の生き方に置き換えることです。
バラ十字会AMORCフランス本部代表
セルジュ・ツーサン
著者セルジュ・ツーサンについて
1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。本稿はそのブログからの一記事。
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最後に、時間の正体についての考え方をひとつ、手短にご紹介させていただきます。
未来が現在になり、現在が過去になり、時間は流れていくと常識的には考えられています。ほんとうにそうでしょうか。私たちが未来だと思っていることは、現在の想像であり、私たちが過去だと思っていることは、現在の記憶なのではないでしょうか。
そうすると、ほんとうに存在するのは現在だけで、時間は流れていないことになります。この考え方を歴史上最初に唱えたのは哲学者アウグスティヌスだとされています。以前、このことを、紹介させていただいたことがありますので、ご興味をお持ちの方は下記をご覧ください。
参考記事:「時間とはいったい何なのでしょうか」
いかがでしょうか。参考になる点があったと、少しでもあなたにお感じいただけたなら嬉しく思います。
次回もまた、お付き合いください。
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