投稿日: 2017/05/26
最終更新日: 2022/11/24

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

今日の東京板橋は、しとしとと雨が降っていて、濡れた新緑がそこここで鮮やかです。

いかがお過ごしでしょうか。

祭りの笛の世界にどっぷりとはまった、山形にお住まいの親しい友人からの寄稿を、一か月ほど前にご紹介させていただきました。

今回は、その続きです。

前回記事はこちら:『笛の世界』(その1)

▽ ▽ ▽

『笛の世界』(その2)

バラ十字会日本本部AMORC 理事 山下勝悦

バラ十字会日本本部AMORC 理事 山下 勝悦

さて、2年目(平成8年)の祭りも無事に終了。それから5年後の平成13年のある日、『和太鼓教室開校』のポスターを見つけました。何気なく見ますと『横笛・津軽三味線・日舞の教室も同時開校』とあります。

そのとき思いました、「この機会に本格的にプロの指導を受けてみよう」と。早速に入校を申し込み、説明を聞くと、横笛と津軽三味線の教室は同じ講師で、月一回、2日間、青森から来られて和太鼓教室の建物の一室を借りて行われるとのこと。

教室は9月から開始で時間は予約制でマンツーマン形式でした。さて、講師が青森に在住の方と聞いた時に予想はしていたのですが……やはり講師の喋りは百パーセント津軽弁でした(笑)。ならば、こちらは山形弁で対応です(笑)。

それから確か二ヶ月後だったと記憶しています。いつもの様に『よろしくお願いしま~す』と教室のドアを開けると直ぐ目の前に三味線を抱えた女性が立っています。『えっ!!』と驚いてパニック状態に。実はこの方、私の若い頃の知り合い……ご想像にお任せします(笑)……にソックリだったんです。

正直、ひっくり返るほど驚き、固まってしまいました。すると講師が『お~山下さん。新しい生徒のY・Sさんだよ、仲良くしてくれな』。

ところでこのSさんこと自称「よっちゃん」、とにかく明るく楽しい方で直ぐに良き友となりました。その後しばらくして、講師の提案でよっちゃんに、私の横笛教室の手伝いをやって貰うことになりました。

講師と一緒に三味線で私の笛の伴奏です。それからは実に賑やかな楽しい日が続きました。

津軽三味線

ところが、時を同じくして私は壁に突き当たってしまったのです。講師の吹く笛と、私の吹く笛がどこか違うのです。テクニックや音色の差はさて置き、何かが違うのです。散々悩みました、考えました、奏法の研究も色々とやって見ました。しかし、どうしても分かりません。

諦めかけたその時、突然ひらめきました。講師の笛のメロディーは津軽弁のイントネーションなのです……。分かりやすい表現で説明します。歌手の吉幾三さんや福田こうへいさんの唄い方、と言えば分かってもらえるのではないでしょうか……。

早速に対策を考え、実行に移しました。講師に色々と喋ってもらって、津軽弁のイントネーションを自分の身体にたたき込もうという魂胆です(笑)。次々と楽しい話を聞くことができました。そしてついに、津軽弁のイントネーションで笛を吹くことに成功。

ところがそれから約2年後の平成15年の夏、講師の仕事の都合で横笛・津軽三味線の教室は終了となってしまいました。夢を見ていたような二年間でした。

夏祭りの笛

講師ともよっちゃんとも会うことは無いだろうなと思っていたある日のこと、突然、よっちゃんから『山下さん、笛の教室で使ってた楽譜、コピーで良いですから譲ってもらえませんか』という連絡が入りました。

楽譜は全部保管してましたので、『良いですよ~。直ぐに送ります。ところで、今どうしてます? 元気ですか?』と聞けば、今度は講師の住んでる青森まで出かけて指導を受けているのだとか。

さらに『笛の斡旋販売を始めたよ、特注も受け付けるから、良かったら声かけてね』と。さて、それから数ヶ月後、特注で笛の注文をファックスで送信しました。すると返ってきた返事が『これだけの説明では分からない、もっと詳しい説明が欲しい、電話くれ!!』。

そして『電話は午後10時~午前2時頃の間にください、その時間帯以外は電話に出られません』と。おいおい、一体どんな生活しているんですか…(笑)。

とにかく電話しました。まずは『元気~?』、すると『元気だよ~!!』。後は用件そっちのけで。今、こんなことやってます、こんなこと計画してますの話しで盛り上がってしまいました。

ところが……何かが変なのです。電話の向こうにいるのは間違いなくよっちゃんなのですが……よっちゃんとソックリな声の他人(?)と話しているような感じなのです。でも、間違いなくご本人です。『う~ん。これは何事?』と思った次の瞬間、はっと閃きました。

すかさず『ちょっと待って。ところでさ~。よっちゃんの喋り……津軽弁のイントネーションになってるよ(笑)』(ちなみに、よっちゃんは青森の生まれではありません)。

すると受話器の向こうで、小さく『えっ?』と言う声。つぎに『あっはっは~。んだば、これがらは津軽弁でえぐが~(笑)』。楽しく愉快な友人を持ちました(笑)。

ふとしたことがきっかけで入ることになった笛の世界。もし、笛を手にすることが無かったならば出合うことのなかった友人、知人、大勢のお祭り仲間。

さらに、絶対に経験することのなかったであろう、笛の音の醸し出す心地よい異次元空間の世界。運命の女神に感謝です。

△ △ △

最後までお読みくださり、ありがとうございます。

人生の折々に、出会った人たちに影響を受けて、思ってもいなかった道に進んでいたという経験が、誰にもあるのではないでしょうか。

人と人の出会いは不思議ですね。

では、また。

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