こんにちは。バラ十字会の本庄です。
東京板橋では、サクラソウや桃の花をたくさん見かけるようになりました。
いかがお過ごしでしょうか。
先日、高校の同窓会に出席したときに、久しぶりに再会した親友に、こう言われました。
「おお、こんばんは。フェイスブックで活躍だね。ホームページも見たよ。なかなかいい感じだけど、神秘学って言うところが何となく怪しいかな。」
確かに、「神秘学」(mysticism)あるいは「神秘哲学」という言葉を何となく怪しく感じる人は多いようです。
まあ、無理もないことなのですが、事情を知ると意見が変わる人も多いのです。
たとえば、今私が座っているデスクの後ろの本棚には、井筒俊彦さんという哲学・文化研究の大家が書いた「神秘哲学」という本があります。
この本を読むと、ソクラテス、プラトン、アリストテレスなど、西洋の哲学の源流が、まさに神秘学にあたるということが分かります。
ですから、「ヨーロッパの伝統的な哲学」と「神秘学」はほぼ同じ意味だと考えることができます。
神秘学とは何かという説明は、さまざまな切り口から始めることができます。当会のフランス代表が書いた「神秘学について」というブログ記事では、「神秘学」という言葉の由来から説明が始まっています。
今回、この記事を日本語に初めて翻訳しましたので、ご紹介させていただきます。
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バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサンのブログ
記事「神秘学について」

「神秘家」(mystic)という言葉を用いて、謎めいた人や奇妙な人を指したり、ひどい場合には、現実感覚を失った偏った考え方をしている人のことを意味したりするジャーナリストやコラムニストがいます。
もちろん、このような意見に私は同意していませんが、残念ながら「神秘家」という言葉が、軽蔑的な意味や否定的な意味で用いられることが時として見うけられます。
そこで、「神秘家」という言葉の本来の意味を、その語源から考えてみましょう。「神秘学」(mysticism:神秘哲学)という言葉は、ギリシャ語の「ムスティコス」(musticos)に由来します。
「ムスティコス」は「人生の秘密」、より広く言えば「人生の秘密について調べること」を意味します。
ですから神秘家とは、人生の秘密に興味を持ち、物事がなぜ、どのようにして起こるのかを理解しようとしている人のことを指します。

神秘家と、この語の本来の意味で呼ばれる人たちの多くに共通している特徴は、人生について、宗教というよりはむしろスピリチュアルな(spiritual:非物質的な領域が存在すると想定し、それを重視する)取り組みをしていることです。
つまり、このような人たちは、ソウル(魂)と神が存在すると考えていますが、神のことを、人格を持たない絶対的な知性だと理解しています。
さらに、宇宙と自然界と人間はこの知性に満たされていて、この知性は、物質的な法則と非物質的な法則として表れていると考えています。
神秘学的な見方からいえば、これらの法則を学び、それを活用し、それに沿うように生きることが、私たちの誰もが望んでいる幸福を実現するための最も確実な方法です。
そして、私たち人間の大部分が幸せでないという現状は、私たち人間がこれらの法則に無知であり、あまりにも頻繁にそれに違反しているということがまさにその原因です。
一部の人の想像とは異なるかもしれませんが、神秘学の探究を行っている人たちの大部分は、バランスの取れたごく普通の生活を送っています。
さらに言えば、このことは神秘学の探究にとって必要不可欠なことです。
というのも、神秘学は社会から遠ざかったり現実から逃避をしたりすることを意味しておらず、それとはまったく反対に、神秘学が意図しているのは、他の人たちとの交流を通じて個人が内面的に進歩するのを補助することだからです。
ですから神秘学は日常生活のことを、役に立ち必要不可欠な経験の場だと見なしています。

このことはまさに、バラ十字会AMORCの世界中の会員の大部分が共有している見解です。
「神秘家の頭は天空にあるが、足を大地につけている」という古くからのことわざも、このことを表しています。
ちなみに私は神秘学のことを、スピリチュアリティを探究する(内面の崇高さを究めようとする)行いの中でも極めて優れた種類の探究のひとつだと考えています。
なぜなら、神秘学とは単に神を信じることではなく、先ほどご説明したように、神(人格を持たない絶対的な知性)が私たちの周囲に表現しているさまざまな法則を理解することだからです。
別の言い方をすれば、神秘学とは、宇宙(と神)を理解するためだけでなく自身を理解するための知識です。
さらに、私たち人間は自分の運命をコントロールすることができ、自分の望みにできるだけ合致するような人生を実現することができるということを、多くの神秘家が確信しています。
もちろんこの実現のためには、自分の考え、発言、行いをさまざまな法則に沿うように変えていくことが必要になります。

この文章の結びとして、優れた科学者であり真の神秘家であったアルバート・アインシュタインの言葉をご紹介したいと思います。
「我々が経験できる最も美しく、最も深遠な感情は神秘の知覚である。(中略)私たちにとって計り知れないことが実際に存在し、最高の英知かつ燦然(さんぜん)たる美として現れていて、私たちはその最も粗野な部分しか理解することができない。この知識、この感覚こそが真の経験すべての核心である。」
バラ十字会AMORCフランス本部代表
セルジュ・ツーサン
著者セルジュ・ツーサンについて
1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。
多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。
本稿はそのブログからの一記事。
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以前にこのブログでは、ルドルフ・シュタイナーが神秘学をどのように捉えていたかということをご紹介しました。この記事も神秘学とは何かをご理解いただくためのご参考になること思います。
参考記事:「シュタイナーと神秘学」
では、今日はこの辺りで。
また、お付き合いください。
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