投稿日: 2018/09/14
最終更新日: 2022/12/09

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

暑さ寒さも彼岸までという言葉の通り、朝夕が涼しくなってきましたね。今日の東京板橋は、はっきりしない空模様で、朝から雨がぱらついています。

いかがお過ごしでしょうか。

小中学生に読書の楽しさを紹介するブックトークというお仕事をされている、岐阜に住んでいる私の親しい友人から「飛ぶ!」という題の寄稿がありましたので紹介させていただきます。

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記事『飛ぶ!』

可児明美
可児 明美

皆さんは、空を飛んでみたいって思ったことありますか? 今なら、飛行機に乗って空を飛べますね。鳥や昆虫は気持ちよさそうに空を飛んでいますね。でも、昔は飛行機もなかったので、人は空を飛ぶことができませんでした。

大昔から、人は空を飛んでみたいと考えていたようです。ギリシア神話の中にも、「太陽に近づきすぎたイカロス」というお話があります(集英社みらい文庫『ギリシア神話』小沢章友著、集英社)。

父親と一緒に高い塔に閉じ込められてしまったイカロス。イカロスのお父さんはいろいろなものを上手に作ることができたので、塔から逃げるために空を飛ぶつばさを作ります。つばさが出来上がり、お父さんとイカロスは空を飛んで逃げ出します。

お父さんは、イカロスに何度も言い聞かせていました…。「あまり高く飛んではいけないよ、低く飛びすぎてもいけないよ」と。ところが空を飛ぶことに夢中になってしまったイカロスは……。

ギリシア神話には、他にもたくさんのお話があります。ヒアシンスやスイセンが出てくるお話や、今ではコンピュータウイルスの名前になっている「トロイの木馬」のお話など。

どれも短いお話なので、気軽に読んでみてください。

青空を飛ぶタンチョウヅル

さて、イカロスは飛ぶことに夢中になってしまいましたが、飛行機を作ることに夢中になった人たちがいます(学習漫画世界の伝記「ライト兄弟」、集英社)。

ライト兄弟が「フライヤー1号」という飛行機で人類初の動力飛行に成功しました。けれども、そこまでの道のりは、けっして簡単なものではありませんでした。

ライト兄弟はどのようにして、人類初の飛行機を作ることができたのでしょうか?

飛行機は鉄のかたまりですが、その鉄のかたまりがいったいどうやって空を飛ぶのでしょうか?

「飛ぶしくみ大研究」(秋本俊二監修、PHP研究所)には、飛行機が空を飛ぶために必要な力の説明や、飛行機の飛ぶしくみ、生き物が飛ぶしくみなどがくわしく書いてあります。

飛行機と生き物の飛び方の違いなど、比べてみてください。スイスイ飛ぶおりがみ飛行機の作り方ものっていますよ。

人が空を飛ぶには、飛行機や気球などの乗り物を利用しないとできない…、のですが、この物語に出てくるスウェーデンのニルスという少年は、ガチョウの背中に乗って、スウェーデンを旅してまわりました(「ニルスのふしぎな旅」1~4巻、ラーゲルレーヴ作、偕成社文庫)。

14歳のニルスは、背が高くやせっぽち。寝ることと食べることが何よりの楽しみで、いたずら好きでした。

あるとき留守番をしていると、トムテというスウェーデンの昔話に出てくる小人を見かけました。いたずら心を起こして、ニルスはトムテをつかまえます。そしてニルスは、逆にトムテに魔法をかけられてしまい、小人にされてしまいます。

小人にされてしまったニルスは、飼っていた白いガチョウのモルテンと、旅をするガンの群れに加わり、スウェーデン中を旅することになります。旅を始めたころのニルスは、なんかいやな奴でした。

けれども、旅をしていくうちに、ニルスに変化がおきます。ニルスはどんな風に変わっていったのでしょうか? また、この本ではスウェーデンの大自然の美しさも味わうことができます。

「ニルスのふしぎな旅」にでてきたガンたちは、群れで空を飛んで、とても長い距離を移動するわたり鳥ですね。この絵本(「わたり鳥」鈴木まもる作・絵、童心社)には、さまざまな渡り鳥がでてきます。

日本の田園風景に欠かせないツバメや、カモやコウノトリもわたり鳥です。何種類もの鳥たちが、空を飛んで遠く旅をしていることがわかります。わたりをする鳥たちが命がけであることも書かれています。

人間に鉄砲で撃たれたり、渡りの途中で休む浅瀬がコンクリートで埋め立てられてしまったり、ガラス張りのビルにまちがってぶつかってしまうこともあるそうです。鳥たちは、いつも大変な目にあいながら、旅をしているのですね。

この物語に出てくる男の子、「星の王子さま」は、自分の星から出ていくときに、わたり鳥を利用したらしいですよ! そして星から星へと旅をして、とうとう地球にやってきました(「星の王子さま」サン=テグジュペリ作、新潮文庫)。

「星の王子さま」日本語初版表紙・帯(岩波書店)
「星の王子さま」日本語初版表紙・帯(岩波書店)、Kitsune, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons

そして砂漠の真ん中で飛行機が不時着してしまったパイロットの「僕」と出会います。王子さまはこれまでの旅のことを「僕」に話してくれます。「僕」は飛行機を修理しながら王子さまと過ごします。

王子さまはどんな星を訪れ、どんなことを思ったのでしょうか。また、王子さまは地球に来てから、キツネと出会います。キツネが教えてくれる、友達になる(なつく)方法は、心にしみます。

また、わかれ際にキツネは秘密をひとつ、王子さまに教えてくれます。それはどんな秘密でしょうか……。

そして飛行機の修理が終わり、王子さまも自分の星に帰る時がやってきました。王子さまはどういう方法で自分の星に帰っていったのでしょうか?

不思議なお話ですが、ところどころにすてきな言葉やせりふがたくさんあるので、味わってみてください。

おわり

紹介した本

集英社みらい文庫『ギリシア神話』小沢章友著、集英社

学習漫画世界の伝記「ライト兄弟」、集英社

「飛ぶしくみ大研究」秋本俊二監修、PHP研究所

「ニルスのふしぎな旅」1~4巻、ラーゲルレーヴ作、偕成社文庫

「星の王子さま」サン=テグジュペリ作、新潮文庫

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可児さんのブックトークの文章を読むと、買いたい本がたまり過ぎて困ります。

こちらは前回のブックトークの記事です。

江戸の話

今日はこの辺りで。

また、お付き合いください。

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