投稿日: 2021/06/04
最終更新日: 2022/08/08

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

東京板橋では今日の朝早くから、細かい雨が降り始めました。もう梅雨入りが近いのかもしれません。

そちらはいかがでしょうか。

 

山形県にお住まいで、三度の飯よりもお祭りと音楽が好きな私の友人から、寄稿が届きました。

▽ ▽ ▽

記事:『車の話あれこれ』

バラ十字会日本本部AMORC 理事 山下勝悦

バラ十字会日本本部AMORC 理事 山下 勝悦

 

昨今の自動車の技術開発には目を見張るものがあります。

私が自動車関連の仕事に就いたのが昭和41年、マイカーブームと言われるようになる少し前の時でした。その頃は今のような時代が来るとは誰もが想像することも夢に見ることもありませんでした。

今は、操作性、乗り心地、安全性に関しては世界中のどのメーカーも素晴らしい車を生産してくれています。

しかし、それと引き換えに、これは私の個人的な思いですが、最近の車は個性(遊び心?)が薄くなってしまったように思えてならないのです。

そんなことはないよと言われる方もおられることと思いますが。もしよろしければ、少しの間、私の思い出話にお付き合いください。

草原と青空とクラシックカー

 

マイカーブームの到来とともに外国製の車も次第に増えてきたころのことです。

各国の自動車の個性を見事に表現した文章を自動車雑誌で目にしました。以下、その時に読んだ内容です。

『ドイツの車は頑固職人が造る』、『フランスの車は芸術家が造る』、『英国の車は貴族が造る』、『イタリアの車はスピード狂が造る』、『アメリカの車はカウボーイが造る』、『日本の車はエコノミックアニマルが造る』。

『日本の車』に関しては言葉通りの解釈はなさらないでくださるようにお願いします。後ほど説明しますので少々お待ちください。

それでは一ヶ国ごとに解説して行きましょう、私自身のことや私の友人たちの経験談(笑い話?)も交えながらに……(笑)。

ドイツの車といえば数年前に生産終了となってしまいましたがワーゲン・ビートルがあります。ワーゲン・ビートルを讃えたこんな言葉があります。『20世紀に世界を制覇した三種の品物が存在する。一つ目はワーゲン・ビートル、二つ目はコカ・コーラ、三つ目がホンダのスーパーカブ。世界中のどこにでも人のいる所に必ず存在する』と。

フォルクスワーゲン・ザ・ビートル(東京モーターショー2011年)
フォルクスワーゲン・ザ・ビートル(東京モーターショー2011年)Morio, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons

 

ところで、ワーゲン・ビートルは水に浮くということをご存知でしょうか? 車体が完全に密閉された構造となっているので水の上に浮くことができるのです(というより浮いてしまうのです)。

昔、私の友人が当時でもレア物(いわゆるビンテージカー)のワーゲン・ビートルに乗っていた時がありました(格安で手に入れたと言ってました)。

その友人がこの車に乗って自宅近くのアンダーパスに差しかかったときのことです。

少し前に降った雨で水溜まり状態になっていたのだそうです。さて行けるだろうか(?)一瞬迷ったものの、この位の水量だったらビートルの車高は高いから大丈夫だろうと判断。そのまま前進したのだそうです、すると次の瞬間、車がふわりと持ち上げられたようになりハンドルが軽くなってしまったのだそうです。つまり水に浮いてしまったのです。うわ~しまったと思ったものの時すでに遅しです。すると次の瞬間、スーっと流されて向こう岸(?)に到着。無事に通過することができたのだそうです(笑)。

その後、経済的にどうしても持ちこたえられなくなり(国産車をもう一台所有)手放してしまったのです。しばらくして分かったことなのですが、実はこのビートル、相当なお値打品だったことが判明したのです。

このビートルは日本に正式に輸入が開始された年の翌年に輸入された非常に珍しい車だったのです。

友人は『しまった~、ナンバーを切って(いわゆる“廃車”の業界用語)でも保管しとけば良かった~』と残念がることしきり。

でも、本当に残念に思ったのは私たちの方でした。その後も所有してくれていれば『時々貸してもらえてたのに~』です(笑)。

次に行きましょう。フランスは流石に芸術の国です。どの車もユニークなデザインでした。さらにデザインだけでなく内容もユニークでした。中でもシトロエン社の2CVと云う車は別格でした。

シトロエン・2CV(1955年)
シトロエン・2CV(1955年)PLawrence99cx, Public domain, via Wikimedia Commons

 

生産計画が発足し、会社が設計部所に提示した内容が『廉価な国民車であること。悪路を走行してもバスケットいっぱいに入れた生卵が割れないこと』といった設計屋泣かせの要求だったのだそうです。

設計開発は並みの苦労でなかったそうです。そういった困難の末に誕生した国民車2CVは小排気量・低馬力のエンジンを積み、屋根は質素なキャンバス地、ボディーは薄い鉄板を継ぎ接ぎしたような一見抽象画を想わせるようなデザインとなりました(流石に芸術の国フランスです)。そういったことで付いた愛称が『2馬力、ブリキ細工、タイヤの付いたコウモリ傘、等』。

ちなみに屋根のキャンバス地を丸めて畳むことによりしゃれた感じのオープンカーになるのですが、実は車内にこもるエンジン音を外に逃がすために採用された苦肉の策と言われています(これってホントらしいです)。

その後、このユニークなデザインがマニアの間で末長く愛されることとなり、今でも元気に走り廻っている姿を街中で見かけることができます。

友人が一時期シトロエンDSという名の車を所有していたことがあります。整備を頼まれ一度だけ運転したことがありましたが、あの乗り心地はまさに芸術品の域でした(乗り心地の良さはシトロエン社のお家芸でもあります)。

この乗り心地を自動車評論家の言葉を借りて言えば『雲の上に乗ったような』となるんだそうです。

すると、口の悪い友人が言いました『雲の上に乗ったことのある人っているのかい?』笑わせてもらいました……。

次に英国車の話にいきましょう。英国車といえば真っ先に頭に浮かぶのがロールスロイスではないでしょうか、実は日本の大衆車クラス位の大きさのベビー・ロールスと呼ばれている車も存在するのです。

正式名称はバンデンプラス・プリンセス。通称バンデンプラ、あるいはバンプラと呼ばれています。

ベントレー4.5リッター バンデン・プラ・トゥアラー(1930年)
ベントレー4.5リッター バンデン・プラ・トゥアラー(1930年)Ramgeis, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons

 

英国の一流ホテルではメルセデス・ベンツとバン・プラが同時に入って来たとき、ベル・ボーイは真っ先にバン・プラに駆け寄るのだそうです。

お分かりでしょうか、バン・プラは貴族階級の方たちがプライベートで使っている車なのです。

私も一度だけ間近で見たことがありますが近寄り難い一種独特な雰囲気を醸し出す車でした。

英国の車はオースチン・ミニを仕事で運転したことがあります。運転するのがすごく楽しい車でした。その時は小型の大衆車とはいえなぜか無意識の内に背筋がピンと伸びていたような気が……。

次はイタリアの車です。

イタリア車と云えば皆さん、高級スポーツカーのフェラーリを思い浮かべられるのではないでしょうか。私の場合は赤いサソリのマークのアバルトです。今はフィアット社の傘下となっていますが、以前はフィアット社で製作する小型車をベースにしてエンジン・ブレーキ・サスペンションを徹底的に改造し全く別物のスポーツカーに仕立て上げるメーカーだったのです。レースでは倍以上の排気量を持つ他社のレーシングカーを相手に負け知らずの快進撃を成し遂げたのです。真っ赤なボディーのアバルトがトップでチェッカー・フラッグを受けると観客が総立ちになり『スコルピオーネ・スコルピオーネ』の大歓声が起きたのだそうです。ちなみにスコルピオーネとはイタリア語で蠍(さそり)の意味です(創業者のカルロ・アバルトが蠍座の産まれがマークの由来となってます)。

フィアット・アバルト500
フィアット・アバルト500, Späth Chr.User ChiemseeMan on de.wikipedia, Public domain, via Wikimedia Commons

 

アバルトに関しては様々な逸話が有りますが、私が一番に好きなのは『アバルトは走りっぷりも一流だが、壊れっぷりも一流だ』です。これに加えて『走行中にエンジンが破裂した!!』等といった話もあるのですが。これらの話はラテン系のノリのイタリア人のジョークのようです(笑)。

こういった話を友人たちとするたびに『イタリアに産まれたかったね~』。

次はアメリカの車、通称アメ車の話です。アメリカ合衆国はご存知の様に広大です。移動にはどうしても大型のゆったりした乗り物が必要となります、更にアメリカはガソリン価格が安い、といった好条件も重なり大型車の文化が定着したと言われています(他の説もあります)。

アメ車に関して友人から聞いた話です。大型のアメ車を購入したユーザーが『ブレーキを踏むたびにドアの中から変な音が聞こえる』と言ってディーラーに持ち込んだのだそうです。そこでサービスマンがドアの内張りを外して中をのぞいてビックリ仰天。ドアの中に酒の空瓶が入っていたのだそうです(!?)。

手に取って良く見るとラベルに英語で何やら走り書きが。そこで英語に堪能な方に読んでもらったところ『チェッ残念。見つかっちまったよ!!』と書かれていたのだそうです(笑)。

その後、その酒瓶はどうなったのかは聞きそびれてしまいました(残念)。

最後に日本の車です。

『日本の車はエコノミックアニマルが造る』これは誤解のないように願います。日本の自動車産業はヨーロッパやアメリカに比べて出遅れてのスタートでした。そこで各メーカーは外国車を徹底的に研究。さらに、日本の気候・風土・道路事情・日本人の体型・等々を総合的に考え抜いて日本独自の車を造り上げたという意味なのです。

最後は私の経験談(ほとんど笑い話ですが)で閉めましょう。

私が某ディーラーに勤務していたときのことです。

ある日、営業マンから『下取り車両の引き取りに行ってもらえないだろうか』と頼まれました。工場長には話を通してあるからとのことでした。

そこで先輩のFさんと二人で出掛けることに。

ところが、教えてもらった通りの道順に来たはずなのですがユーザー宅が見つかりません。

散々迷った末にやっと見つけました。来る時に営業マンから聞いてきた話では『ボディー・カラーは茶色・オート三輪・ユーザー宅は全員が留守・キーは付けておくので構わず持って行ってもらって構わない』。それでも一応声をかけてみました、やっぱり留守でした。

さあ、それでは持って行きましょう。ところがバッテリー上がりの状態でエンジンはウンともスンとも言いません。それではと牽引ロープを使いサービスカーで引っ張ることにしました、いわゆる押し掛けです。

すぐにエンジンは始動したので早速に帰ることにしました。ところがその後にとんでもないことに。

帰り道に解体作業中の家の前を通りかかったその時です、屋根の上で作業中の男性がしきりに手を振ってます。そこでFさん『○□さんですね、車もらっていきますから~』

 

ここから先は録音中継と行きましょう(笑)

Fさんが声を掛けると。『つがう~オレ○□なんなえ~△□だあ~。おらえんな車どごさ持てんぐどこだぁ~』。一瞬にして事情を察したFさんと私。転げ落ちる様に車から降り『もうし訳ございません、私どもの勘違いでした』と平謝り。すると『ところでよ。今日の朝バッテリー上がてエンジンかがらねくて困ってたんだけげんともよ。どだえしてエンジン掛けたもんだや~。まんずありがどさま~。車はもどんどごさおいででもらてええがら~。よろすぐたのむちぁ~』。そこで私とFさん、遠慮しながらも『ところで○□さん宅は何処でしょうか?』すると『あ~。○□さんのえーだったら、ああえって、こうえって』。聞けば全くの方向違いでした。

教えて貰った通りに行ってみると全く同じ色と形のオート三輪がありました。今度は表札と車検証で間違いないことを確認。

やっとの思いで会社に帰ってきました。するとサービス工場の同僚全員が仕事の手を休め『おもしゃい事やらかしたんだってなぁ~。あっはっは~』

大笑いされました。どこからどうやって伝わったものやら、私らが帰る前に会社には情報が届いていました。

もう大分前のことなのですが、今でもつい昨日のことのように思い出します。

 

一部難解な会話部分がありましたので翻訳文を付け加えます。

 

『違う、私は○□ではありません、△□です。我が家の車をどこに持って行くつもりですか。

ところで、今日の朝方バッテリー上がりでエンジンが掛からなくて困ってたのですが、どうやってエンジンを掛けたんですか?

まずは、ありがとう。車は元の場所に置いててもらえれば良いですから、それじゃたのみますよ』。

大体こんなものです。

以上、録音中継を終了致します。

ご清聴・ご精読、ありがとうございました(感謝)。

△ △ △

ふたたび本庄です。

 

私が大学を卒業して企業に就職したのは40年ほど前のことですが、その当時の男性の多くは、意中の人とドライブすることが目的で、お金を稼いで自分の車を手に入れることを大きな目標にしていました。

最近の若い人たちの事情には詳しくないのですが、どうやら様子が変わっているようですね。

 

話は変わりますが、私たちの事務所の前には中山道と首都高速道路が通っていて、昼夜を問わず車がひっきりなしに通っています。その車の何割かは軽油で走る大型トラックで、その輸送がさまざまな産業を支えています。

しかし、脱炭素化の動きがあり、きっと5年後、10年後には、この状況も大きく変わっていることでしょう。

 

下記は前回の山下さんの記事です。

記事:『時間よ止まれ

 

では、今日はこのあたりで

また、お付き合いください。

 

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