こんにちは。バラ十字会の本庄です。
東京板橋では昨日までのはっきりしない空模様が打って変わり、強烈な夏の陽射しになっています。セミも鳴き始めました。
いかがお過ごしでしょうか。
私の友人で作編曲家をしている渡辺さんから、古代エジプトについての寄稿が届きましたのでご紹介します。
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「トゥトアンクアモン-黄金のファラオ」
現在、日本の各地で「国立ベルリン・エジプト博物館」の所蔵物による古代エジプト展が開催されています。
筆者も、普段は中々目にすることのできない本物のエジプトの古代遺物を見るために足を運んでみました。
お目当ては、バラ十字会(AMORC:Ancient Mystical Order Rosae Crucis)とも深いつながりのある「アクエンアテン」(アメンホテプ4世)や「ネフェルティティ」に関するものでしたが、「ネフェルティティの胸像」は、さすがにベルリン博物館でも門外不出ということで、見ることはできませんでした。
さて、前置きはこのくらいにして表題の「トゥトアンクアモン」ですが、何かお分かりでしょうか?
これがお分かりになった方は、かなり古代エジプトが好きな方ではないでしょうか。これは、実は「ツタンカーメン」のことです。
アルファベットでは「Tutankhamen」と表記され、意味的には「トゥト・アンク・アメン」(Tut-ankh-amen)と区切られます。(最後のアメンの部分はアモンとも書かれます)
古代エジプトにそれほど詳しくない方の多くもご存じだと思いますが、「ツタンカーメン」は黄金のマスクで有名なエジプトのファラオです。
そして、この「ツタンカーメン」の父にあたるのが「アクエンアテン」(アメンホテプ4世)で、「ネフェルティティ」は義母となります。
■ 古代エジプトの神々
古代エジプトに詳しい方でしたら、当時の宗教は多神教であることをご存じと思います。そうでなくても、アトゥム、オシリス、イシスなどの神の名は、お聞きになったことがあるかもしれません。
以下は、ヘリオポリス九柱神と言われる神々です。(Wikipediaより)
・ アトゥム(Atum) – 創造神、シューとテフヌトの父
・ シュー(Shu) – ゲブとヌトの父
・ テフヌト(Tefnut) – ゲブとヌトの母
・ ゲブ(Geb) – オシリス、イシス、セト、ネフティスの父
・ ヌト(Nuit) – オシリス、イシス、セト、ネフティスの母
・ オシリス(Osiris) – 冥界の神
・ イシス(Isis) – 豊穣の女神
・ セト(Set)- 戦争の神
・ ネフティス(Nephthys)- 葬祭の女神
そのほかにも、
・ トト(Thoth) – 知恵の神
・ マアト(Maat) – 秩序の象徴、太陽ラーの娘
・ アヌビス(Anubis) – 死者の守護神
太陽神も時代によって、「ラー」、「アトゥム」、「アメン」などと様々に変化し、「ラー・アトゥム」などと習合されることもありました。
しかし、太陽神と創造神が同一視されることはあっても、本質的には多神教であったようです。
■ ツタンカーメン(トゥト・アンク・アメン)それともツタンカーテン(トゥト・アンク・アテン)?
「ツタンカーテン(トゥト・アンク・アテン)」という呼び方をご存じの方がおられたら、かなりの古代エジプト通の方だと思います。
実は、幼少期の「ツタンカーメン」は「ツタンカーテン」と名乗っていましたが、これには、深い訳があります。
エジプトでは、宗教改革が行われ、多神教崇拝から一神教崇拝へと変わった時期がありましたが、それが、「ツタンカーメン」の父である「アクエンアテン」(アメンホテプ4世)が行った、アメン(アモン)神を含む多神教から、アテン(アトン)神への一神教への変更を伴うアマルナ改革と言われるものでした。
そのため、幼少期に彼は、「トゥト・アンク・アテン」(Tutankhaten:アテン神の生ける似姿)と名乗っていましたが、父の死後、アメン神の信仰が復活し、「トゥト・アンク・アメン」(Tutankhamen:アメン神の生ける似姿)に名前を変えられたと言われています。
そして、この「アクエンアテン」による一神教への改革が、その後のユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの一神教へと繋がるという説もあります。
いずれにせよ、この時期のエジプトは様々な思惑が交錯し、その歴史の中でも異彩を放つ時代であったことは確かなようです。
そして、古代エジプトの神々や信仰は、ホルスの目などにも代表されるように、現代人の想像力をかき立てるものでもあるようです。
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ふたたび本庄です。
少し補足したいと思います。古代エジプトは神秘学(mysticism:神秘哲学)の重要な起源のひとつであり、当会でも詳細な研究がされ続けています。
古代エジプト人は、オシリス神とイシス神の息子ホルスの視線に魔術的な力があると考え、ホルスの目を信仰していました。
ホルスの目は、眼自体とその上下に付け加えられている図案がとても印象的で、それが個々に、あるいは全体として何を意味するのかということに、現代のさまざまな仮説があるようです。
当会の教材で学習されている方々は、神秘学(mysticism:神秘哲学)において重要な意味があるのをご存知のことと思います。
古代エジプトでは、母音は文字として表記されませんでした。そのため、当時の神の名前も正確な発音が分っていません。
そこで、多神教信仰の主神はアモン(Amon)、アメン(Amen)などと呼ばれ、アクナトンが提唱した一神教の神はアトン(Aton)もしくはアテン(Aten)と呼ばれています。
渡辺さんが紹介してくれたツタンカーメンの名前「トゥトアンクアモン」または「トゥト・アンク・アメン」の中央の部分アンク(ankh)は命を表します。命を表すヒエログリフは上部が輪になった十字であったため、この十字そのものも命を意味します。エジプト十字、もしくはアンサタ十字とも呼ばれています。
下の写真は、米国カリフォルニア州サンノゼ市にあるバラ十字古代エジプト博物館(https://egyptianmuseum.org/)が所蔵している、アンクの形をした当時のお守りです。
次の写真は、同博物館に展示されているツタンカーメンの父アクエンアテンのレリーフです。右上が欠けてしまっているのですがそこに太陽があり、そこから伸びている二重になっている斜め線は太陽神アトンから発している光線で、神の恵みを表しています。光線のひとつの先端は手の形をしていて、その手がアンク(エジプト十字)をつまむようにして差し出し、アクエンアテンを祝福しています。
充実した展示品で人気の博物館ですので、コロナ禍が収まりサンノゼ市を旅行する機会がありましたら、どうぞ訪れてみてください。
下記は前回の渡辺さんの文章です。
『直観のみなもと』
それでは、今日はこの辺りで。
またお付き合いください。
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