こんにちは。バラ十字会日本本部代表の本庄です。
※ バラ十字会は、宗教や政治のいかなる組織からも独立した歴史ある会員制の哲学団体です。
関西を中心にゴスペルやライブハウスでの演奏活動を行っている、当会の役員の方から寄稿をいただいたので、ご紹介させていただきます。
記事:『創造されつつある世界』
「世界を創造する」というと大げさに聞こえるかもしれませんが、私たちは宇宙という大海原を漂いながら、一人一人の心(精神)の中に宇宙的な広がりを持った世界を、時々刻々と創り上げています。
その意味では、「創造する」というよりも「創造されつつある」と言う方が正しいかもしれません。
昨今の「引き寄せの法則」などのブームにより、「想像したことが現実になる」や「望んでいないことを手放す」などのフレーズが精神世界の常套句のようになっています。
また、それらが高じて、「望んでいたものが向こうからやってくる」「この場所に呼ばれた」などという表現をSNS上などでもよく見かけますが、私は個人的には、このような表現はあまり好きではありません。
なぜなら、この世界の主体は自分自身であるはずなのに、いつの間にかパワースポットや情報が主体になっているように感じられるからです。
では、「創造する」、「創造されつつある」世界とは、実際にはどのような世界なのか、考察してみたいと思います。
参考記事:『世界の十大聖地』
美味しいパスタを食べたい
もしも、あなたが美味しいパスタを食べたいと思った場合、どうしますか?
美味しいパスタを食べているところを想像して、魔法のようにパスタが現れることを期待しますか?
もしくは、友人から美味しいパスタ屋に行こうと誘われるのを待っていますか?
もしも、自宅で食べるとすると、
・パスタや食材、調理器具を用意する
・レシピ、作り方を調べる
・実際に調理する
・失敗したとしても、再度挑戦する
などのプロセスを経て、最終的にあなたは美味しいパスタを食べることができます。
とても普通のことで、これのどこに「世界の創造」というものがあるのかと思われるかもしれませんが、これらの原動力は、最初に考えた「美味しいパスタを食べたい」という「衝動」がきっかけとなっています。
しかし、思っただけでは何も生まれないのが、魔法の世界ではない、この世界の法則でもあります。
ですから、この「衝動」を「行動」に変えていかなければなりません。
そこに、何らかの不思議な作用はありません。
これは、私たちが生活している中で常に行っていることです。
しかし、最初の「衝動」とそれを「実行」するという「選択」がなければ、最終的に「美味しいパスタを食べた」という現実を作ることはできません。
しかし、「引き寄せの法則」などを意識するあまり、「望んでいると偶然素晴らしいレシピを手に入れた」、「このお店に呼ばれた」などと表現したりして、主体が自分ではなく、他の素晴らしいものに「自分が引き寄せられた」というような表現にすり替わってしまっていることもあるようです。
しかし、冷静に考えると、その原初のきっかけは「自身の衝動」であり、それによって周りにアンテナが張り巡らされ、パスタのレシピが目に付いたり、美味しそうなお店を自分自身で発見したりすることになります。
また、パワースポットなどに「呼ばれた」と表現されることも多いですが、パスタのときと同様に、
・その場所に行きたいと思う
・交通経路を調べる
・予定が合うか、天候は大丈夫か
・車や交通機関を利用して現地へ行く
などのプロセスを経て、現地へとたどり着きます。
道を間違えたとしても、たどり着きたいという気持ちがあれば、道を引き返すことも苦にはなりません。
しかし、この場合も、どのような結果になったとしても、主体はあくまでも自分自身になります。
決してその場所が、そこに来る人間を選別しているわけではありません。
そこにたどり着きたいと思った人だけが、その場所にたどりつけるだけなのです。
ですから、この世界は、ある意味、「思考」と「選択」の連続であると言えますが、私が言いたいことは、主体が「自分自身」であることを忘れないでほしいということです。
そして、この主体が「自分自身」であるということを意識し始めると、周りの世界の見え方がまったく変わってきます。
そして、もう一つの「世界の創造」について考察してみたいと思います。
リンゴとは?
あなたの目の前に「真っ赤なリンゴ」があります。
この場合、あなたは「リンゴ」というものが何であるかを「知っている」ので、美味しそうだと思ったり、食べたりすることができます。
しかし、あなたの中からリンゴというものの観念がなくなり、目の前にあるものが、ただの「赤い得体の知れない物体」として認識される場合、美味しそうだと思ったり、食べたい思ったりすることはありません。
同様に、周りの物などに対する自身の観念がなくなった場合、椅子に座っていいのかさえも判断できなくなります。
ですから、もう一つの「世界の創造」とは、自身の中に、存在するものすべての「観念」を造り上げることでもあります。
そうすることによって、「得体の知れない赤い物体」が、食べることができる美味しそうな「真っ赤なリンゴ」へと、あなた自身の中で変化します。
しかし、このプロセスは、リンゴ自体が変わるわけではなく、「得体の知れない赤い物体」に対するあなた自身の「認識」が変わることによって引き起こされます。
例えば、少し苦手だと思っていた人がいたとして、話してみると共通の趣味があって話が弾み、今まで苦手だと思っていた人にとても親近感を感じたりすることがあります。
しかし、この場合も、その「少し苦手だと思っていた人」自体は何も変わっておらず、あなた自身の中の「認識」が変わったことによって、あなたの周りの環境に変化が生じます。
神秘学の世界でよく使われる「人は見たいようにしか物事を見ない」という格言も、このことをとてもよく表しています。
ですから、その様な自身の認識、観念を通して自身の「心(精神)の中の世界」を構築し、または再構築していくことによって、自身の中に「世界が創造されつつある」のです。
ですから、この世界に夢や現実を引き寄せる「魔法」があるとすれば、最初の「衝動」こそ、その源泉であると言えるでしょう。
あとがき
再び本庄です。
下記は前回の渡辺さんの記事です。こちらも興味深い内容ですので、お読みくださればと思います。
参考記事:『アイスマンというミイラに施された入れ墨と古代の医学|5300年前のツボと生薬の知識』
さて、この寄稿文は、「私たちは宇宙という大海原を漂いながら、一人一人の心の中に宇宙的な広がりを持った世界を、時々刻々と創り上げています。」という文で始まっていました。
この点を少し掘り下げてみたいと思います。
考えて見ると、私たちが存在している宇宙も、上記の文章で話題になったリンゴと同じように、自身の観念と言えるのではないでしょうか。
すると私たちは、自身の観念の中で暮らしているという奇妙な矛盾が感じられて来ないでしょうか。
下記の2つの記事は、このことについて書いていますので、ご興味のある方はこちらもどうぞ。
参考記事:『全宇宙とあなたの心はどちらが広いか-視覚と脳科学』
参考記事:『宇宙意識とは? 潜在意識との違い、普遍的意識とつながることとスピリチュアルな進歩』
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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執筆者プロフィール
渡辺 篤紀
1972年9月30日生まれ。バラ十字会AMORC日本本部下部組織(大阪)役員。ベーシスト。 TV番組のBGM、ゲーム音楽の作編曲のほか、関西を中心にゴスペルやライブハウスでの演奏活動を行っている。
本庄 敦
1960年6月17日生まれ。バラ十字会AMORC日本本部代表。東京大学教養学部卒。
スピリチュアリティに関する科学的な情報の発信と神秘学(mysticism:神秘哲学)の普及に尽力している。
詳しいプロフィールはこちら↓
https://www.amorc.jp/profile/