公式ブログ

エメラルド・タブレットと樹皮のたとえ

2018年11月16日

 

 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト

 

東京板橋では、昨日から晴れが続いていますが、朝は、手がかじかむほど寒くなりました。

 

そちらはいかがでしょうか。

 

さて今日は、『エメラルド・タブレットの解釈と説明』の後半をご紹介したいと思います。

前半についてまだお読みでない方は、できればこちらの記事を先にご覧ください。

参考記事:『エメラルド・タブレットの解釈と説明』(前半)

 

しかしその前に、前半の文章に登場した「スピリット」(生命力)と、後半の文章に登場する「外皮」に深く関係している、カバラの研究家の「樹皮のたとえ」をご紹介したいと思います。カバラの研究家は、人間が犯す罪のことを樹皮にたとえています。

 

樹皮とは、樹液が循環せずに固まってしまったため、汚れたしわができた“外皮”の部分で、やがて乾燥してはがれ落ちます(fall away)。

神秘学(mysticism:神秘哲学)によれば、私たち人間には、周囲の環境と社会を理想の状態に近づけるという仕事と、自身の性格を洗練し完成させるという仕事があります。

この2つの仕事は、「善を行うこと」にあたります。そして善を行うためには、樹液(生命力)を働かせなければなりません。樹液を働かせずに固まらせてしまうならば、その人は死んだ樹皮のように退化し萎縮して、樹皮と同じように堕落(fall away)してしまいます。

 

しかし、悪は必ず善に包み込まれて無効にされるため、自然の中には、最後まで悪であり続けるものはありません。

死んだ樹皮は、誰かがそれを拾(ひろ)い、火を起こし、その熱で体を暖めたり、その灰で肥料を作ったり、木を育てたりするので、やはり役に立ちます。

また、樹皮は木の根元で分解して栄養になり、木の根を通って樹液に戻ります。

 

カバラによると、永遠の炎が悪を焼き尽くしますが、それは実は罰ではなく、浄化のための再生の炎であり、悪は、全般的に有用である善に戻されます。

 

それでは、ヘルメスのエメラルド・タブレットの解釈と説明の後半をご紹介します。原本は、バラ十字会AMORCの北中南米担当英語圏本部の所有している英語訳のデータで、日本語に訳されるのは初めてのことです。

 

前回も申し上げましたが、通常の読み方をしても、専門の方以外には、この文章はさっぱり分からないと思います。

 

しかし、すべての人の心の奥には、真実と英知が潜んでいます。この文章には、それを活性化してくれる効力があります。

ですから、次のようになさることをお勧めします。

 

1.30分ほど、誰にも邪魔されない時間を確保して、ひとりきりになれる静かな場所に行ってください。

2.まず、心を静めて、エメラルド・タブレットの図版をじっくりと観察してください。ご自身で着色した図があれば、それを用いてください。

3.そして、次の言葉を唱えます。

「これから読む文章によって、私の心に、錬金術の秘法が明かされますように。」

4.次に図版を参照しながら、以下の文章(後半)を読んでください。

5.読み終えたら、しばらくの間、心の奥の声に耳を傾けてください。

 

この文章には、2重の意味があります。表面的な意味は物質の錬金術、つまり卑金属を貴金属に変えるための方法です。しかし、より重要なことが伝えられています。それは心の錬金術、つまり自分の中にある卑しい要素を高貴な要素に変換するための技法です。

錬金術師の部屋

バラ十字古代エジプト博物館(カリフォルニア州サンノゼ)に再現された錬金術師の部屋

 

* * *

 

ヘルメスのエメラルド・タブレット(Tabula Smaragdina Hermetis.)

エメラルド・タブレットの図版(カラー)。クリックすると画像ファイルが表示されます。

ヘルメスの秘密の言葉(Verba Secretorum Hermetis.)

 

(ヘルメスの秘密の言葉の内容については、次の記事をご参照ください)

参考記事:『エメラルド・タブレットとは

 

* * *

 

ヘルメスのエメラルド・タブレットの解釈と説明(後半)

(Interpretation and Explanation of the Tabula Smaragdina Hermetis)

 

この技法には、7つの方法がある。そのひとつでも無視したとしたら、汝は無益な作業をすることになる。

 

しかし、何よりもまず、汝は純化をなし遂げなければならない。

そして純化には2つの側面があるが、汝はまずそのひとつだけを行う必要がある。

 

最初の作業は、他に何も加えることなく、

何かを抽出するのでもなく、単に腐敗によって自然に行われる。

世俗的なあらゆるものから、すべてのものがその後に準備される。

 

この最初の方法には2つの道がある。正しい道を進む者に幸あれ。

第一の道は、火の力によってそれ自体で自動的に継続していく。このことを良く心得ておきなさい。第2の道は、さらに遠くまで続き、手に入れるべき宝に達する。

このことは、溶解によって行われる。そして飽和によっても行われる。私は汝に伝える。何よりもまず、純化に取りかからなければならない。そうすれば汝は、この優れた技法の最後にまでたどりつくであろう。

純化のすべてが完了した後に、“それ”が準備されて、太陽、すなわち望ましい時節にある温かい動物の糞(ふん)の中で煮沸される。この段階ははるか先にまで進み、それは揺るぎのない完全なものになる。そして、賢者の宝がその中に存在する。

 

その他のすべての方法は極めて微妙であり、能力の高い多くの人がそこで失敗をする。というのも失敗が蒸留の目的であり、賢者たちの昇華であるからである。

 

四大元素が分離される。四大元素を賢者たちは、空気、水、調整された火、大地の土と呼ぶ。

大地の土は、多くの人を惑わせた。すべての力がその中にあるにも関わらず、それは役に立たないものだと考えられた。

 

自分の〈外皮〉から土をどのようにして分離するかを知らない人々がおり、彼らはそれゆえに失敗する。

〈外皮〉は、扉の向こう側に捨てられる。しかし、賢者は再びそれを取り上げ、雪のように白く、汚(けが)れのないように純化する。私は指摘するが、実際のところ、このことが基礎である。

 

しかし、汝がそれを分離することを望むのであれば、その重大さを心得よ。というのも、私は誓って言うことができるが、準備が不足していれば、汝は失敗するからである。

それゆえに汝は、賢者たちが正体を知っているある種の酢(す)も持っていなくてはならない。それを用いて、汝は分離を行うことができる。もはやその中には、世俗的なものは何も残らなくなり、肉体と魂が分離される。すなわち、火と土が呼び集められて、その後にこの2つが純粋にされる。

 

右を向いた手が3つ

 

そしてその結果、注目すべき混合物がもたらされる。そしてそのようにして、それは驚くべき力になり、完成されたものと、完成されていないものが現れる。

そしてまた、もし火が正しく調整されるならば、それは一年よりもはるかに短い期間で、全体的に完全になる。

 

そして、汝はついにすべての方法を手にする。そこには3つ以上の道はない。

すぐに惑わされて道を誤る人もいるが、他の人には、すべては明確で容易である。

 

ひとつの道は、賢者の水であり、それは水銀に他ならない。

もうひとつの道は酢と呼ばれる。これは極めて少数の人にしか知られていない。

そしてこの酢は、哲学者の鉄を避けて通る。

この酢は、銅という主人を喜ばせる。

それゆえに賢者の水と酢は、それぞれがもう一方を選んだ後に極めて密接に結びついて、何百もの形と名前が与えられた。

 

真の源からひとつの道が生じ、少なからぬ人々が、丸々一年の間、その道に沿って作業を行った。

しかし、多くの人は、技術と巧みさによって、その長い期間を短縮した。

そして、錬金術が述べている準備は、速やかに自由に行うことができるようにされた。

準備によってこそ、この石は偉大で栄光あるものになる。

 

とはいえ、何ひとつ欠けるところのない物質は、ただひとつだけしかない。

しかし、それが自体の名前を明かすとき、その名前に多くの人が惑わされる。

そうではあるが、私は汝に十分に、多くの方法、多くの形、多くのやり方で示してきた。

多くの名前がある。私は汝に忠告する。真の道から外れた方向に導かれてしまわないように。

 

それはある種の水薬、ある種の強力な毒であると、長老たちは写本に書く。

他の人は、それをヘビ、怪物と呼び、いかなる意味でも高価ではないと言う。

それは、世界中のすべての人、富める者にも貧しい者にも良く知られている。

それはさまざまな金属の性質であり、それを通して金属は輝かしい勝利を得る。

完全さは、それと同じことであり、完全さは、その上に載せられる王冠である。

 

それを理解し、事情を知った者にとって、実践は完了する。

もし汝が正しい道に従い、作業に注意深く加わるならば、汝は遠からず、さらに2つのものを発見し、それを選ぶであろう。

そのひとつは構成であり、賢者たちはそれを秘密にしていた。

火の性質にもまた、巧妙な技巧が隠されている。それゆえに、火の秩序が、発見されるもうひとつのものである。

この2つとともに、あまりに多くのことを扱うべきではない。さもなければ、あらゆる行ないが失敗してしまう。

 

人がこの技法を行うときには、最高の巧妙さが必要とされる。

雌鶏(めんどり)から雛(ひな)が生じるのと同じことを、時の始めにそれが行ない、時自体がそれを検証した。

火が調節されるまさにそのとき、この宝が作り出される。

 

勤勉であり、常に怠るな。心に平静を保ち、絶対なる者を敬え。そして、絶対なる者に助けを求めよ。もし、汝がそれを得たならば、貧しい者たちと彼らが必要としているもののことを、いつも忘れないようにせよ。

 

* * *

 

いかがでしたでしょうか。

この文章から受ける刺激によって、あなたが、重要なヒントを手に入れられることを願っています。

 

先週この文章の前半をご紹介した後に、バラ十字会の通信講座では、こんなに難しいことをやっているのですかというご質問を受けました。

そんなことはなく、この講座のカリキュラムは、どなたにもご理解いただけるように段階的に構成されています。

実はエメラルド・タブレットは、15ヵ月の初心者課程と4年6ヵ月の本科課程を学んだ後の、専門課程で扱われる内容のひとつなのです。

しかし、高度なこの文章の内容も、先ほどご紹介したような方法を用いれば、多くの皆さんに楽しんでいただけるのではないかと思っています。

 

ご参考:神秘学通信講座「人生を支配する」-学習コースのご案内

 

では、今日はこの辺りで

また、お付き合いください

 

追伸:メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」に、こちらから登録すると、このブログに掲載される記事を、無料で定期購読することができます(いつでも配信解除できます)。


エメラルド・タブレットの解釈と説明

2018年11月9日

 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト

 

東京板橋では、快晴だった昨日とは打って変わって、朝から雨が降り続いています。

 

いかがお過ごしでしょうか。

 

3年ほど前のことですが、このブログでエメラルド・タブレットについての記事を書いたことがあります。それ以降、何人かの方から、感謝の言葉と、もっと詳しく知りたいというご要望をいただいていました。

そこで今回は、錬金術についてのこの話題を再び取り上げたいと思います。

 

錬金術と聞くと、なんだか怪しいと感じる方も多いことと思います。苦労しないでお金を儲ける詐欺まがいの方法というような意味を連想される方もいます。

しかし、古代エジプトで生じ、長い歴史を持つこの分野に携わっていた人たちの大部分は、極めてまじめな研究者たちでした。また、この研究から現代の化学と薬学が生まれました。

錬金術について理解するためには、次のことを考えに入れる必要があります。さまざまな学問が個々の分野に分かれたのは、比較的最近になってからのことであり、それまでは、たとえば哲学、政治学、医学、化学、占星術や宗教の研究などは、同じ人が行っていたのです。

自然哲学者として有名なあのアイザック・ニュートンも、物理学や数学だけでなく、錬金術や神秘学(mysticism:神秘哲学)の研究者でした。

参考記事:『アイザック・ニュートンと太古の神殿

 

専門家によれば、錬金術の根本的な考え方として次の2つを挙げることができます。

1.自然界では、不完全なものは完全なものに進化していく

2.人間は自然界をまねて、それと同じことを行うことができる

 

たとえば錬金術師たちは、自然界では、錫や鉛のような不完全な金属が、徐々に進化して、金や銀のように完全な金属が生じたと考えました。

そして、人間には自然界と同じことができるので、卑金属から金や銀が作り出せると考え、その方法を研究しました。

 

また彼らは、人間は、自然界で利己的な不完全な状態から徐々に進歩して、賢者のような完全な状態になると考えました。

そして、どのようにして、そのような人格の向上を促し、確実にするかということを研究していました。

 

また、病気とは不完全な状態であり、健康とは完全な状態だと考えました。自然界では多くの場合、病気を健康に変える自然治癒という現象が起きるので、錬金術師たちは、それと同じことを人の介入によって実現する方法を探していました。

 

ですから、錬金術師たちは、自然界というシステムを研究すると同時に、卑金属から金や銀を作り出そうとし、人格を向上させるための方法を試し、エリクサーと呼ばれる万能薬を調合しようとしていました。これらのすべては錬金術師たちにとって、ひとつが他のヒントになる一貫した研究だったのです。

ドイツの錬金術師ハインリッヒ・クンラートの本には、錬金術師の部屋を描いたイラストが登場します。左のテントのような部分は、人格を向上させるために祈りと瞑想を行う場所であり、オラトリウムと呼ばれていました。カーテンがある右の四角いテーブルは、実験を行うための場所で、ラバラトリウムと呼ばれていました。

この2つから、現在の英単語「オラトリー」(oratory:祈りの部屋)、「ラボラトリー」(laboratory:実験室)が生じました。

ハインリッヒ・クンラートの『永遠なる叡智の円形劇場』(1609年)の挿絵

ハインリッヒ・クンラートの『永遠なる叡智の円形劇場』(1609年)の挿絵。クリックすると拡大されます。

 

話を戻します。錬金術についてのある言い伝えがあります。それは、ヘルメス・トリスメギストスという賢者が錬金術の秘法を刻んだ、エメラルドでできた板、もしくはエメラルド色の板があるという言い伝えです。

ヘルメス・トリスメギストスとは誰かを説明するためには、古代ギリシャの時代にまでさかのぼらなければなりません。

古代ギリシャ時代に、アリストテレスという優れた哲学者がいました。彼の授業を受けたアレクサンドロス3世(アレキサンダー大王)は、その知識によって優れた王になり領土を拡大します。そして、自分の名前にちなんで、アレクサンドリアという都市を世界中にいくつも作ります。

 

そのうちのひとつである、エジプトのナイル川の下流にあったアレクサンドリアでは、古代エジプトの文化と古代ギリシャの文化が混ざり合いました。

エジプトのトート神は、言葉と文字を人間に教えたとされていた神でしたが、ギリシャのヘルメス神と同一視され、「第1のヘルメス」と呼ばれるようになります。

そして、エジプトに住んでいた優秀なある哲学者が、「第2のヘルメス」、別名「ヘルメス・トリスメギストス」と呼ばれるようになりました。彼が実在の人物であるかどうかは分かりません。トリスメギストスとは「3重に偉大な」という意味で、神智学、錬金術、魔術の3つの分野を知り尽くしているという意味です。

 

エメラルド・タブレットがほんとうに存在したかどうかも、はっきりとは分かっていません。

しかし、そこに書かれていたとされる文章が、何種類か伝えられています。

そのひとつが、18世紀の後半にドイツ北部の町アルトナで発行された『バラ十字会員の秘密の象徴』という本に登場します。

円形をした図版とラテン語の表題が2つあり、その下にドイツ語でヘルメス・トリスメギストスの言葉が書かれています。また、その後の2ページには、やはりドイツ語で、「ヘルメスのエメラルド・タブレットの解説と説明」という題の文章が、詩の形式で書かれています。

エメラルド・タブレットの図版(カラー)

エメラルド・タブレットの図版(カラー)。クリックすると画像ファイルが表示されます。

 

ヘルメス・トリスメギストスの言葉については、以前に下記のページで日本語訳をご紹介しましたので、そちらを参照してください。

参考記事:『エメラルド・タブレットとは

 

今週、「ヘルメスのエメラルド・タブレットの解説と説明」の部分の翻訳を行いました。この文章が日本語に訳されるのは初めてのことだと思います。原本は、バラ十字会AMORCの北中南米担当英語圏本部の所有している英語訳のデータです。やや長い文章なので、今回は前半をご紹介します。

 

この文章には、人間の不完全さを完全な性質に変えるための秘法、つまり、傲慢さを謙虚さに変え、利己心を分け与える心に、狭い心を親切な心に変えるための秘法が含まれています。

しかしおそらく専門家以外には、普通に読んだのでは、何を意味しているのかさっぱり分からないと思います。

なぜ、これほど分かりにくく書くのだろうかと、最初は私も疑問に思っていました。ところが、読み込んでいるうちに理解したのですが、この文章は、心の奥を刺激することで、そこから何かが湧き上がってくることを意図しています。

 

そこで、次のように、当時の錬金術師のまねをしてみることをお勧めします。

 

1.30分ほど、誰にも邪魔されない時間を確保して、ひとりきりになれる静かな場所に行ってください。そこがあなたの「オラトリウム」になります。

2.まず、心を静めて、エメラルド・タブレットの図版をじっくりと観察してください。

3.そして、次の言葉を唱えます。

「これから読む文章によって、私の心に、錬金術の秘法が明かされますように。」

4.次に図版を参照しながら、以下の文章(前半)を読んでみてください。

5.読み終えたら、しばらくの間、心の奥の声に耳を傾けてください。

 

* * *

 

ヘルメスのエメラルド・タブレットの解釈と説明(前半)

 

この図は、一見しただけでは、単純で取るに足らないもののように思われるが、偉大で重要な事柄が隠されている。

のみならず、この図にはある種の秘密が含まれていて、それは、世界で最も偉大な宝である。

というのも、この地上で、次のような者よりも優れていると考えられる者がいるであろうか。黄金のような徳と威厳を常に保ち、健康さを生涯にわたって保つ王である。そしてこの王は、どのような生き物にも超えることのできない、あらかじめ定められた寿命に達するまで、生き生きとして、はつらつとしている。

先ほど述べたように、このすべてがこの図の中に明らかに含まれている。

図の中には3つの盾があり、ワシとライオンと独立した星が描かれている。

そして、その3つのまさに中央には、皇帝の地位を表わす球が巧みに描かれている。

同じように、この図の中には天と地が意図的に配置されており、互いに向かって伸ばされている2つの手の間には、さまざまな金属の象徴が見られる。

そして、絵を囲んでいる円周の中には、7つの単語が記されている。

そこでこれから私は、それぞれが個々に何を意味するかを述べ、ためらうことなく、それがどのような名前で呼ばれるかを示す。

そこには賢者の秘密があり、この秘密の中に偉大な力が見いだされるであろう。

そして、どのようにして準備を行うべきかということも、以下に説明される。

3つの盾は、塩と硫黄と水銀を示す。

塩は肉体(corpus)であり、錬金術の技法において、まさに最後のものにあたる。

そして硫黄は、魂(soul)であり、それなしでは肉体は何もできない。

水銀は力のスピリット(spirit)であり、肉体とソウルをひとつに保っている。それゆえにそれは媒介(medium)と呼ばれる。なぜなら、媒介がなくては、作られた何ものも安定性を保つことがないからである。

魂と肉体は、スピリットがこの2つとともにある限り、死ぬことがない。

そして、宿るべき肉体がなければ、魂とスピリットは存在することができない。そして、魂とともになければ、肉体もスピリットも何の能力も持たない。

これが錬金術の意味である。肉体は形と安定性を与える。魂は肉体に宿り、それに血の気を与える。スピリットは肉体を満たし、それに流動性を与える。そしてそれゆえに、これら3つのうちのひとつだけでは、錬金術は存在することができない。

また、最も偉大なる秘技も、単独では存在することができず、肉体と魂とスピリットを必要とする。

それでは、この3つが生じた源である第4のものとは何であろうか。下の盾の7つの先端を持つ星が、その名前を示している。

同じようにライオンは、色と力によって、その本質と性質を示している。

ワシには、黄色と白が現れている。

私の語っていることを注意深く聴きなさい。よく用心しなさい。王権を表わす球は、この最高の善を象徴している。

天と地と四大元素と火と光と水が、その中にある。

2つの手は、正しい思考と真の知識という誓いの証人である。そして、すべての金属と他の多くの源は、この2つに由来する。

さて、残るは7つの単語である。さらに、それらが何を意味するのかを聴きなさい。今、このことを良く理解したならば、今後この知識が、汝を見捨てることは決してない。

すべての語は、ある都市を表わしていて、そのそれぞれには、ひとつだけ入り口がある。

第1の語は金を示し、その見かけは黄色である。

第2は、純白の銀である。

第3は水銀であり、灰色である。

第4は錫(スズ)であり、空色である。

第5は鉄であり、血のような赤である。

第6は銅であり、真の緑色である。

第7は鉛であり、墨のような黒である。

私が意味することに注意し、よく理解しなさい。これらの都市の入り口に、まさに錬金術のすべての基礎がある。

どの都市も、単独では何の成果も出すことができない。他のすべてを用いる必要がある。

そして、入り口が閉ざされるやいなや、いずれの都市にも入ることができない。

そして、もし都市に入り口がなかったとすれば、これらの7つは何もなし遂げることができなかったであろう。

しかし、これらの入り口が同時に閉じられるとき、7色からひとつの光線が出現する。

ひとつになって輝いたとき、その威力は何にも比べられない。

このような驚異を、汝は地上では見ることができない。それゆえに、さらに個別要素について聴きなさい。7つの文字、7つの単語、7つの都市、7つの入り口、7つの時刻、7つの金属、7つの曜日、7つの暗号である。

それはまた、7つの薬草であり、7つの技法であり、7つの鉱石である。

永遠なる技法はすべて、これらによって成立する。

このことを見いだした者に幸あれ。

もし、以上のことが汝にとって難しすぎて理解できないのであれば、ここに私は再び、いくつかの他の個別要素を挙げる。私は汝に、憎しみもうらやみもなく、明確に単純に完全に明らかにする。どのようにして、それが硫酸(Vitriol)という一語によって名付けられるのかを、それを理解できる者に明らかにする。

もし汝が、熱心な努力によってカバラの方法を理解し、暗号の中に7と50という数を発見するならば、汝はあらゆるところにこの数を見いだすであろう。

この作業が汝を落胆させないように、私の述べることを正しく理解せよ。そうすれば汝はこの作業を楽しむことができる。

さらに、次のことを完全に理解せよ。何も濡らさない水というものが存在する。

この水から、さまざまな金属が作られ、その水は氷のように固く凍る。

湿った塵(ちり)が豊かな風を起こし、その中にはあらゆる性質がある。

このことをもし汝が理解しないのであれば、私は汝のために他の名前は示さない。

そして、どのようにしてそれを準備するかを示す。

それには、7つの方法がある……

 

* * *

 

バラ十字会の通信講座(下記)を学ばれている方々に補足があります。この文章でスピリットと呼ばれているものは、教材では根源的生命力(Vital Life Force)と呼ばれています。

 

参考:『1ヵ月無料体験プログラムのご案内

 

いかがでしたでしょうか。次回は、この文章の後半をご紹介します。

 

実は、『バラ十字会員の秘密の象徴』に掲載されているエメラルド・タブレットの図版は白黒なのです。ご紹介したカラーの図版は、専門家が彩色したものですが、それがあなたにとって、最も望ましい彩色であるとは限りません。

ですから、白黒の図版を掲載しますので、時間の余裕がある方には、次回までに印刷して塗り絵をしてみることをお勧めします。心静かに塗り絵をすると、楽しい不思議なひとときを経験できることと思います。

エメラルド・タブレットの図版(白黒)

エメラルド・タブレットの図版(白黒)。クリックすると画像ファイルが表示されます。

 

 

では、今日はこの辺りで

また、お付き合いください。

 

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正義について

2018年11月2日

 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

 

朝のニュースで紹介されていたのですが、春の空の色は空色(そらいろ)というのに対して、夏空の色は紺碧(こんぺき)、秋と冬の空の色は天色(あまいろ)と言うそうです。天色は空色よりも少しだけ澄んだ鮮やかな薄青です。

今朝の東京板橋の空は、まさに天色でした。

 

いかがお過ごしでしょうか。

 

 

さて、正義という言葉は、どうも最近、あまりいい意味で使われることが多くないのではと感じています。あまり根拠もないのに、自分の意見を大上段に振りかざすというようなイメージでしょうか。

真実は立場によって異なると考える、最近の傾向の影響かもしれません。

 

当会のフランス代表が正義について書いた文章を翻訳しましたので、今回はそれをご紹介します。

▽ ▽ ▽

『正義について』(À propos de la justice)

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン

 

辞書を引いてみると、正義(justice)は哲学的な理想であり、法的なシステム(訳注)でもあると書かれています。

訳注:フランス語や英語の単語「justice」には、正義という意味と司法という意味がある。

 

私にとって明らかに思われるのは、自分や他の人にとって何が正義で、何が不正かということを判断する内的な感覚が、すべての人に備わっているということです。このことを確認するためには、不当な扱いを受けたときに子供が示すふるまいを観察するだけで十分ではないでしょうか。

たとえばある子供が、実際には何も悪いことをしていないのに、何かを言ったり行ったりしたとされて叱られたような場合です。その子は激しくそれを否定し、途方に暮れて泣きじゃくりながら、自分の正しさを主張することでしょう。

 

すべての人が、正義についての内的な感覚を持っているのは、なぜなのでしょうか。バラ十字哲学の観点から言うと、それは人間には魂(soul:ソウル)があるからであり、魂は「正義の感覚」と一体だからです。

同様に、人間の行動の中で何が原則として善であり、何が原則として悪であるかを、すべての人が心の奥で知っているということも私は確信しています。このことについても、それを裏付ける子供の行動を、あなたもきっと見たことがあるのではないでしょうか。

ある子供が、“悪い”ことだとはっきり知りながら、それを行った場合、伏し目がちになり、口ごもりながら、おどおどとしています。残念なことに教育は、多くの場合にこの資質を守り育もうとはしないので、多くの人が徐々に“道徳感覚”を失い、自身の良心に耳を傾けなくなってしまいます。

正義の女神と花畑

 

別の疑問も生じます。もしすべての人に正義についての内的な感覚が備わっているのであれば、世の中にこれほど不正が多いのはなぜなのでしょう。その理由は、自分の魂の促しではなく、エゴの衝動の影響のもとに行動する傾向が人にあるからだと思われます。

エゴは自分の関心と利益を動機にしがちであり、時として、いえ、あまりにもしばしば、他の人たちを軽視します。私たちはその結果、自身の正義の感覚と道徳の感覚に反するようにエゴにけしかけられ、不正な行ない、あるいは悪の行ないにさえ導かれてしまいます。

全般的に言えば、私たち人間には間違ったことでさえ行う自由があります。ここでは話題として詳細には取り上げませんが、この自由は私たち人間にとって重荷であるのかそうでないかなど、自由意志について、興味深いさまざまな疑問を検討することができます。

 

人は周囲の人に対して不正なこと(非難、名誉毀損、攻撃、搾取、束縛など)をしてしまうことがあり、その犠牲となった人にはさまざまな否定的な影響が生じるので、人間社会は正義を維持することを目的として司法という制度を作るようになりました。

司法制度は、時とともに発達して複雑になり、現在では多数の職業(警察、検察官、裁判官、弁護士など)を含む全体的なシステムになっています。そして、不正の犠牲になった人がその損害を補償されるためには、長い手続きを経る必要があります。

司法制度のことを私は大切なものだと考えていますが、あらゆる種類の煩雑な手続きと、それ自体に生じている不正のために、このシステムはもはやボロボロになっているのではないかと感じています。

古書と時計と天秤

 

残念なことに、さまざまな不足、特に教育の不足、そして物質を偏重する(心を軽視する)傾向と個人主義が原因で、不正な行ないがますます増え、社会に不公正が広がっています。

人間の性質のうちの最良の部分の促しのもとに行動する能力こそが、個人と集団の幸せの基礎であるということを多くの人が理解し、人類が全体として協調するようになることを私は心から願っています。

バラ十字会AMORCフランス本部代表
セルジュ・ツーサン

 

著者セルジュ・ツーサンについて

1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。

多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。

△ △ △

再び本庄です。

この文章に示されているような、人の本来の性質は善であるという考え方は、性善説と呼ばれています。

そして、その正反対は性悪説だと一般的には考えられていて、性悪説の代表的な思想家は荀子だとされます。

 

ところが調べてみると、「人の性は悪なり、その善なるは偽なり」という荀子の言葉は、二重に誤解されているようなのです。

多くの場合この言葉は、「人の本来の性質は悪であり、善だと考えるのは偽(いつわ)りである」などと解釈されています。

 

ところがこの言葉の前半の部分は、人間の本質について述べているのではなく、「人間は環境や欲望によって悪に走りやすい傾向がある」ということを指摘しているのだそうです。

さらに、「偽」という漢字に「いつわり」という意味が生じたのは後の時代のことで、この当時の意味は「変化したもの」もしくは「作為によって成立したもの」だったそうです。

ですから、この言葉の後半は、「善は、(悪に走りやすいという傾向を)教育や訓練という作為によって変化させたものである」というような意味になります。

 

人間の本質を深く追究した優れた思想家には、それが悪だと考える人はいないのかもしれません。興味深いことです。

 

下記は、前回紹介したセルジュ・ツーサンの文章です。ご参考まで。

独立と独立心について

 

では、今日はこの辺で

また、お付き合いください。

 

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原爆のない世界を願って

2018年10月26日

 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

 

東京板橋では、コスモスがそこここで咲いています。秋が深まり、冬も近いことが感じられます。

いかがお過ごしでしょうか。

 

今日は、中国地方を旅していた、友人の山下さんから寄稿いただいた文章をご紹介させていただきます。

 

▽ ▽ ▽

 

記事:『原爆のない世界を願って』

バラ十字会日本本部AMORC 理事 山下勝悦

バラ十字会日本本部AMORC 理事 山下 勝悦

 

つい先日、広島、山口、島根県を巡る二泊三日の旅に行ってきました。某旅行会社主催の団体旅行です。今回の旅の目玉は厳島神社、秋芳洞、秋吉台等々の見学だったのですが、私としては原爆ドーム、平和公園の訪問が一番の目的でした。

 

原爆ドーム、平和公園の訪問は初日の午後からでした。案内と説明は現地の案内係の方がしてくださるとのこと。案内係の方とは原爆ドームの近くで合流。早速原爆ドームに関しての説明が始まりました。

この時はスケジュールの都合で(何しろ分刻みのスケジュールでしたから…)、少し離れた場所から見ることになりました。それでも原爆ドームが訴えようとするメッセージはしっかりと受け取る事ができました。

原爆ドーム

原爆ドーム

 

次に平和公園に移動です。案内係の方とドームの脇を流れる川の橋を渡る時、私のかみさんが『ここが大勢の人達が亡くなった川なのだよね…』と。私は『ここか…。この川か…。今は静かに流れているけれど……』。すると次の瞬間、どこからか声が聞こえてきたような気が……。

静かな声で『頼みます、頼みますよ…』と。声の主は誰だったのでしょうか? どこから聞こえてきたのでしょうか?

今でも耳の奥にはっきりと残っています。これは私の単なる思い込みだったのでしょうか? いいえ、違うと思います。あの声は原爆で命を落とされた多くの方々からの『核の無い平和な世界の実現に協力お願いします』というメッセージだったのではないでしょうか。私はそう思うことにしました。

 

平和公園は静かな穏やかな場所でした。そこで案内の方から公園内で燃え続ける『平和の灯』の説明を受けました。初めて知りました。この世界から全ての核兵器が無くなった時に平和の灯は消されるのだそうです。

ふと思いました。世界中から核兵器が全て無くなった後にも『平和の象徴』として燃え続けていてください。その時に再び会いにきますから…と。

平和の灯

平和の灯

 

最後に資料館です。館内に入ってすぐの場所に大きな写真パネルが掲げてありました。私はその写真を一目見た瞬間、身体中に電流が流れた様な衝撃を受けました。写真に写っていたのは小学生と思える子供たちと担任の先生との集合写真でした。

みんな明るい笑顔です。この写真が撮影された数日後、あるいは数ヶ月後でしょうか、全員が原爆で亡くなられたのでしょうね。涙が溢れ出て止まらなくなりました。

原爆死没者慰霊碑

原爆死没者慰霊碑

 

資料館には他にも核廃絶を訴える沢山の写真や遺品が展示されていましたが、私にはこの写真が一番の衝撃でした。幼い子供たちまでもが犠牲となる戦争とは一体何なのでしょうか。

戦争とはホンノ数人の権力者同士の意地や権力争いに一般民間人が引きずり込まれ、強制的に権力者の代理人として戦わせられることと私は解釈していますが……

 

私は館内ではほとんど放心状態でした。その後、資料館を出てすぐにかみさんと二人、どちらからともなく出た言葉が『次は長崎に行こう』でした。

 

△ △ △

 

再び本庄です。

紀元前5世紀に、ギリシャの歴史家ヘロドトスが次のような言葉を残しているそうです。

「平和より戦争を選ぶほど無分別な人間がどこにおりましょうや。平和なときには子が父の弔いをする。しかし戦いとなれば、父が子を葬らねばならぬ。」

 

それから2500年が経った今も、私たち人間は少しも賢くなっていないような気がします。

不思議で仕方ありません。

 

下記は前回の山下さんの記事です。よろしければ、こちらもどうぞ。

 

参考記事:『立ち食いそば屋のおばちゃん

 

今回はこの辺りで。

また、お付き合いください。

 

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独立と独立心について

2018年10月19日

 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

すっかり涼しくなりましたね。東京板橋では木々の葉が落ち始め、そこここが晩秋の装いになってきました。

 

いかがお過ごしでしょうか。

 

さて、日本では社会の同調圧力が強いと言われることがあります。同調圧力とは、多数の意見とは異なる意見を持つ人を、変人だと見なしたり、ひどい場合には、態度を変えることを迫ったり、差別したり、集団から排除したりする傾向のことです。

また、SNSが普及してからは、同調圧力がますますひどくなったと言われます。

私自身は、他の国と状況の比較ができるほど経験が豊かではありませんが、SNSでの炎上騒ぎを見たり、インタビューへのスポーツマンの返答やテレビニュースで、言葉遣いに細心の注意が払われ、通り一遍の発言や決まり文句が増えているのを見たりすると、確かに、同調圧力による堅苦しさが、最近増しているのではと感じることがあります。

 

今回は、このような同調圧力への対抗、反発でもある独立と独立心について、当会のフランス代表が書いた文章をご紹介します。日本的な考え方とは異なる点も、そこここに見られ、興味深い文章だと思います。

▽ ▽ ▽

独立と独立心について

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン

 

通常は10代の頃のことですが、人生において、家族から離れて独立することが必要になる時期がほとんどの人に訪れます。このような独立は、多くの場合本人が望んでいることでもあり、その人に必要なことでもあります。

なぜなら、人間には自由意志というものがあり、それを行使したいと感じることが人間の自然な性質だからです。親などの支配から解放されることは、子供にとって、人格を鍛え人生の舵取りを自分で行うために必要なことです。

独立ということが起こるのは動物の世界でも同じで、群れから離れたり、自分の巣穴を作ったりして、個別の生活をするようになります。

独立心 イメージ図 水槽の群れから飛び出す金魚

 

独立ということは、家族と別居し自身の住居を持つことだけを意味しているのではありません。独立とは心の状態でもあり、政治や宗教や哲学や、他のどのような種類の団体や運動にも属さないことを望むことだと考える人もいます。

精神的な意味でのこの独立によって、このような人たちは、考えたり話したり行動したりするときに、自律(自分で自分自身をコントロール)していて、自主的でいられると感じるようです。言い換えれば、そうすることでこれらの人たちは、外部からの影響、圧力、操作のすべてから逃れられると考えています。

このような意図はそれ自体尊重されるべきものですし、仕事や活動の性質によって止むを得ない選択である場合もあることでしょう。しかし、いかなる集団や運動にも加わらないことが、自律し自主的であることを保証するために真に効果的な手段なのだろうかという疑問が生じます。

 

独立心が強い人は、多くの場合、他の人が自分のことをどう考えるかにあまり強い関心を持たず、ファッションや読書や音楽や他の好みに関して、流行に従う必要を感じません。ですから、どのように生活するかということに関して、他人から影響を受けることがあまりありません。

このような人たちは責任感が強く、誤解されたり不公正な扱いをされたりする危険があったとしても、自分の選択の結果を自分で受け入れます。ですから、独立心が強いことは、ある種の聡明さにあたると言うことができます。そして、この聡明さを持っている人はそれほど多くありません。

ひとりで買い物に行く子供

 

独立しているということは、中立であるということを意味しません。社会生活に関するあれやこれやの点について中立の意見を持っていなくても、人は考え方や選択のやり方において、自主独立していることができます。

一方で、ある事柄について中立の立場を取ることを一部の人は臆病さの表れだと考えるようですが、必ずしもそうではありません。私個人の例を考えてみても、特に意見がなかったり良く知らなかったりする事柄について、臆病さを感じることなく中立の立場を取ることがあります。

中立という立場は、対立が生じている状況において、“火に油を注ぐ”ことを避ける目的で選ばれている場合には、聡明さの証拠であることさえあります。

 

独立心を他人への無関心と混同するべきではありません。無関心は極端な場合には、他の人たちに何の注意も払わないような程度にまで行き着いてしまうことがあります。病気の人や、貧困に苦しんでいる人や、厳しい苦難に直面している人を見ても何も感じないのです。

このような利己的な冷淡さを持つ人には、多くの場合、共感の心や同情心が不足しています。残念なことに、社会に個人主義が広がるにつれて、ますます多くの人が、特に親しい人と自分の利益だけに関心を持つようになってしまい、他人に無関心な人たちが増える傾向にあります。

作詞家で歌手のジルベール・ベコーは次のように書いています。「世界を壊すもの、それは無関心」。

バラ十字会AMORCフランス本部代表
セルジュ・ツーサン

著者セルジュ・ツーサンについて

1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。

多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。

△ △ △

再び本庄です。

無関心については、私も反省させられます。都会と地方で状況は違うと思いますが、私と同じように、マンションやアパートの同じ棟に住んでいる人たちのことを、ほとんど知らない人も多いのではないでしょうか。

 

下記は、前回紹介したセルジュ・ツーサンの文章です。ご参考まで。

物質至上主義について

 

では、今日はこの辺で

また、お付き合いください。

 

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