公式ブログ

古代出雲について

2019年1月18日

 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト

 

東京板橋では、まだほんのわずかですが梅も咲き始めました。春が待ち遠しいですね。

いかがお過ごしでしょうか。

 

昨年、今まで行ったことがない場所に旅をしてみたいと思い、年末に出雲大社とその周辺を訪れてきました。

 

出雲には数多くの神話が残されています。「古事記」、「日本書紀」、「出雲国風土記」には、スサノオノミコト(素戔嗚尊)と、その子孫であるオオクニヌシノミコト(大国主命)という二柱の神にまつわる逸話が数多く登場します。

神話によれば、神々の国であるタカマガハラ(高天原)で乱暴なふるまいを繰り返したスサノオノミコトは、地上に追放され出雲に降り立ちます。

スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治した話、因幡(いなば)の白ウサギをオオクニヌシノミコトが助けた話など、皆さんもご存知のことと思います。

 

かつて出雲の近辺には、古代遺跡があまり発見されていなかったことから、昭和初期には、これらの神話には何の歴史的な背景もなく、完全な作り話であり、出雲には古代史における重要性はあまりないと考えていた学者が多かったとのことです。

ところが昭和40年代に、四隅突出型墳丘墓という、特殊なピラミッド型の古墳が山陰でいくつも見つかり、昭和末期から平成にかけては、銅剣、銅矛(どうほこ)、銅鐸(どうたく)が島根県で大量に発見されました。

 

たとえば、出雲市の荒神谷遺跡で銅剣358本、銅矛16本、銅鐸6個、雲南市の加茂岩倉遺跡では銅鐸39個が発見されています。これらの遺物は現在、出雲大社の隣にある古代出雲歴史博物館に保管、展示されています。

加茂岩倉遺跡出土銅鐸

加茂岩倉遺跡出土銅鐸(クリックすると拡大されます)

銅鐸

(クリックすると拡大されます)

 

 

この写真のように大量の銅剣が並んでいる様子があまりにも壮観だったので、展示室の学芸員の方に、「いったい、何のためにこれほどの数の剣が埋められていたのですか」と尋ねてみました。

「ほぼ確実に分かっていることは、これらが個人の所有物ではなく集団の持ち物だったということです…。分からないこと、研究しなければならないことがたくさんあります…。正直に申し上げれば、埋められた理由ははっきりとは分かっていないと言って良いと思います」と、ていねいに答えてくださいました。

出雲市荒神谷遺跡で発見された銅剣

出雲市荒神谷遺跡で発見された銅剣(クリックすると拡大されます)

 

弥生時代の中期に、大和朝廷に先立って出雲王朝という一大勢力が存在していたと考える学者が、今では多くなっているとのことです。出雲王朝は、西日本の日本海沿岸だけでなく、近畿、四国、山陽という広い地域を支配していたようです。

今月の12日に惜しくも亡くなられた哲学者の梅原猛さんは、スサノオノミコトとは韓国から渡来した一族の首領であり、現地の人々を苦しめていた豪族ヤマタノオロチを退治して、出雲平野を中心に王国を築いたのだと考えていました。そしてその後に、南九州から勢力を広げてきた天孫(てんそん)族との戦いに敗れて、神話で語られているような国譲りを迫られたのだとしています。(梅原猛著、『葬られた王朝-古代出雲の謎を解く』、新潮文庫)

 

今回初めて知って驚いたことがあります。日本の神社には、出雲神話と深いつながりがある神社が数多くあります。

全国に25,000社ある諏訪神社は、長野県の諏訪湖にある諏訪大社が総本社であり、タケミナカタ神(建御名方神)を祭っています。この神はオオクニヌシノミコトの子供にあたります。古事記によれば、オオクニヌシノミコトが天孫族に国譲りを迫られたとき、その返答を任されたタケミナカタ神は、諏訪湖まで逃げ延びたものの、この地に追い詰められて国譲りを承諾しました。

 

東京の府中市には大國魂神社があります。名前の通りオオクニヌシノミコトを祭っている神社です。武蔵国に降り立ったオオクニヌシノミコトは、この地の野口家で一夜を過ごしたとされています。

野口家の主人の妻はそのとき妊娠していたのですが、安産だったので、オオクニヌシノミコトは安産の神でもあるとされています。

 

もう40年以上前の中学生時代のことですが、私は府中に住んでいました。大國魂神社で祭事が行われているときには、境内には、マムシの粉や爆弾あられを売る香具師(やし)や、大道詰め将棋が出現します。

懐かしく思い出します。マムシの粉売りは、マムシが入っているらしいカゴのふたを少しだけずらして、「危険があぶない!」と大声を張り上げて見物人を驚かせます。

大道詰め将棋を披露している人は、おそらくプロ級の腕前で、縁台将棋の腕自慢が、次々とお金を巻き上げられていきます。

爆弾あられとは、専用の圧力釜でお米を爆発させて作るお菓子で、景気の良い爆発音をたてて、子供を喜ばせます。

 

熊野神社も出雲神話にゆかりがあります。ヤマタノオロチを退治したスサノオノミコトが熊野山で臼と杵(きね)を用いて火を起こしたのが、日本で最初の火の使用であると言い伝えられています。出雲神社を古くから司る出雲国造(くにみやっこ)は、もともとは熊野神社の宮司であり、この二社のつながりを示す「火継神事」という行事が、毎年10月15日に出雲大社で今も行われています。

 

「備後国風土記」に書かれている伝説ですが、ある旅人が一夜の宿を求めたとき、裕福な巨丹将来(こたんしょうらい)という者がそれを断り、巨丹の貧しい兄であった蘇民将来(そみんしょうらい)が、この旅人をもてなしました。すると、巨丹の一家だけが疫病で滅びてしまいます。後に旅人は自分の正体がスサノオノミコトであることを明かし、今後、茅(チガヤ)の茎で作った輪を首にかけて蘇民将来の子孫であると唱えれば、無病息災が保証されると語ります。

関東、とくに荒川の流域には氷川神社という神社が多くありますが、この神社はスサノオノミコトを祭っています。この写真は、私たちの事務所のすぐそばにある氷川神社の石垣の北東の隅です。「蘇民将来子孫」と文字が彫られています。

東京都板橋区氷川神社の石垣(蘇民将来子孫)

東京都板橋区氷川神社の石垣

 

茅(チガヤ)は、ススキに似たイネ科の植物ですが、湿地帯に育つこの種の植物と古代出雲の人々には深いつながりがあったようです。

オオクニヌシノミコトが因幡(いなば)の白ウサギを助けたときに用いたのは、イネ科の植物のガマの穂の花粉でした。

出雲大社の神楽殿のしめ縄

出雲大社の神楽殿のしめ縄(クリックすると拡大されます)

出雲大社の神楽殿のしめ縄(写真)は、重さが1,100キロもある巨大さで有名です。宮司さんに教えていただいたのですが、この神社のもっとも中心に位置する特別に神聖な場所(八足門の内側)では、しめ縄は稲わらや麻わらではなく、マコモの茎で作られるとのことです。マコモには神の威力が宿るとされ、出雲大社にはマコモを用いる神事がいくつかあります。

 

 

これも宮司さんにうかがった話ですが、「オオクニヌシ」という名前は、もともとは固有名詞ではなく、おそらく「国を治める人」という地位を意味していました。そして、インドのシバ神の化身である大黒天と同一視されたり縁結びの神とされたりしたのは比較的後年のことであり、本来は明らかに農業神であるとのことでした。

 

ちょうど年末の寒波が襲来しているときに、私は車で出雲に向かっていました。厚い雲を通して日の光が地平線に少しだけ射していました。ああ、あそこが雲出ずる国なのだと思いました。到着したときには固い雪が降り始め、顔にあたると痛いほどでした。山陰の冬の厳しさの一端を味わうことができ、古代の人々に思いを馳せることのできた不思議な日々でした。

ここまで読んでくださった皆さんにも、少しでも雰囲気を味わっていただくことができたなら嬉しく思います。

 

では、今日はこの辺りで

また、お付き合いください。

 

追伸:メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」に、こちらから登録すると、このブログに掲載される記事を、無料で定期購読することができます(いつでも配信解除できます)。

 


夢のお告げ

2019年1月11日

 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。今年もよろしくお付き合いください。

 

寒い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。

 

 

今回は、山形県にお住まいの友人の山下さんから寄稿いただいた、ジャズにまつわるお話をご紹介させていただきます。

 

▽ ▽ ▽

 

記事:『夢のお告げ』

バラ十字会日本本部AMORC 理事 山下勝悦

バラ十字会日本本部AMORC 理事 山下勝悦

 

私の住んでいる地域でも昨今の過疎化のあおりを受け、本屋さんが次々と姿を消しています。今は我が家から一番近い本屋さんでも車で20分といった距離です。さらに私たちの地方では本の発売日が1日、時には2日ぐらい遅れるのが常となっています。そんなことで私は、発売日の3日後ごろに買いに行くことにしています。

 

今回もそのつもりでした。ところが2日目のお昼頃、『行け、買いに行くんだ!!』と私を急かす声が聞こえた様な…気が。そこで『う~ん…直感には従うべきか…』。ということで、すぐに本屋さんに向かいました。

本屋さんに行きますと、まずは音楽雑誌のコーナーに直行です。これが私の毎度の習慣となっています。今回も、ざっと見渡すと『お~っと、お宝発見!!』。私の大好きなジャズ・ミュージシャン、エリック・ドルフィー(1964年に36歳で夭折)の特集記事が載った雑誌を見つけました。

サクソフォンと五線紙

実はこの本、数年前までは毎号購入していたのですが、ある時、出版社の事情で編集内容が変わってしまい、以来買うことが無かったのです。しかし今回は『買わねばならぬ…!!』です(笑)。当日に購入予定の本と一緒に即購入。

 

それから3日目の朝のことです。不思議な夢を見ました。私が夢の中でエリック・ドルフィーの記事を読もうとページをめくっています。すると突然、目の前に二枚の五線紙が現れました。一枚には#が、もう一枚には♭が記入されています。すると次の瞬間、右側から、すっと手が現れ#と♭の箇所を指差したのです。さらに『ほら、ここを見て…』と誰かが私に声をかけてきたのです。

次の瞬間、突然にひらめきました。つい前日までは苦手意識が先行、まったく理解しようとせずに丸暗記で対応していた音楽理論を(基本的なことでしたが…)、一瞬にして理解することができたのです。

ガバッと飛び起きました、次に寝ぼけまなこをこすりながら頭の中で整理して見ました。間違いありません。その通りです。わかって見れば簡単なことでした。ちょっと視点を変えれば簡単に理解できたことでした。それなのに、もう歳だからなどと自分に言い訳をして理解しようとする努力を怠っていたのです。

ピアノの内部

 

それにしても、あの夢は何だったのでしょうか。もしかすると、エリック・ドルフィーが『おいおい、こんなことも分からないのかい、困った“オッサン”だね~(笑)』などと言って出張講義に来てくれたのかも……(感謝)。

 

△ △ △

再び本庄です。

ジャズにまつわる私の一番の思い出はといえば、キース・ジャレットです。高校時代に親友に彼の『ケルン・コンサート』のカセットテープをプレゼントしてもらい、彼の即興のピアノ・ソロを、何度も繰り返し聴いていました。

その頃は私もピアノを少しだけ習っていたのですが、こんなふうに弾けたらどんな気持ちがするのだろうかと、ありえない想像を膨らましていました。

 

下記は前回の山下さんの記事です。

参考記事:『原爆のない世界を願って

 

では、今日はこの辺りで

また、お付き合いください。

 

追伸:メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」に、こちらから登録すると、このブログに掲載される記事を、無料で定期購読することができます(いつでも配信解除できます)。


子供の教育について

2018年12月26日

 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

年の瀬もいよいよ押し迫ってきました。

 

いかがお過ごしでしょうか。

 

 

当会のフランス代表が、ちょうど一週間前に自身のブログに、子供の教育について文章を書いていました。翻訳しましたので、今回はそれをご紹介させていただきます。

▽ ▽ ▽

子供の教育について

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン

 

最初に指摘させていただきたいのですが、子供の教育には2つの種類があり、区別して考えないと混乱が生じるように思います。

第1の種類の教育は、主として学校の教師によって行われていますが、理論的な知識や実際的な知識を教えることであり、この知識によって子供は、学校教育のその後のカリキュラムを学び続けることができ、その後に、社会生活や職業で役割を果たすことができます。

第2の種類の教育は倫理観を育むことであり、このことによって子供は、社会の中で敬意に値するふるまい方をすることができるようになります。この教育は、両親など、その子を育てている人の義務であり責任です。

残念なことに大人の一部は、この役割を適切に果たすための基準を持ち合わせておらず、その役割を放棄しています。

 

私たちが子供に必ず教えておかなければならない社会的な価値とは、どのようなものでしょうか。私の考えでは最も重要なことは、社会生活の調和を保つために必要不可欠である、他の人たちを尊重するという態度です。

このようなことを言うと、ちょっと時代遅れな人だと思われてしまうかもしれませんが、「おはようございます」、「さようなら」、「すみませんが」、「ありがとうございます」などの多くの便利な言葉があり、このような言葉によって、人と人との好ましい関係が支えられていますので、これらの言葉を適切に用いることができるように子供たちを訓練しておくべきです。

同様に、目の見えない人が道を渡ろうとしているときには助ける。年配の人が重い荷物を持っていたら代わりに運ぶことを申し出る。電車やバスでは必要としている人に席を譲る。公共の乗り物や会議では携帯電話をマナーモードにする。これらの事柄は、子供が必ず知っておかなければならない社会的な振る舞いだと私は考えています。

バスに乗る高齢の女性を助ける、親切な小学生の女の子

 

私たちが子供に伝えておかなければならない倫理的な価値観は、かつては「道徳」と呼ばれていました。

「かつては」とあえて言ったのは、「道徳」という言葉が長い歳月の間に宗教を強く連想させる語となってしまい、今では、「道徳」という言葉を口にしただけで、何か「ウソっぽい」ように感じられてしまい、拒絶さえ受けるようになっているからです。今日では、不道徳とまではいかなくても、道徳をあまり重要視しないことが流行にすらなっています。

しかし道徳とは、宗教的な意味ではなく哲学的な意味で言うならば、自分と他の人と環境を尊重することを単に意味します。このような意味の道徳であれば、どのような宗教を信仰していても、あるいは無宗教であっても、また、政治的にどのような意見を持っていても、あらゆる人が認め同意することができるのではないでしょうか。

子供の小学校での学習風景

 

しかし私の考えでは、教育にはさらに「スピリチュアリティ」(訳注)と呼ぶことのできる高度な要素が含まれているべきだと思います。具体的に言えば、そのような教育の目的は、忍耐、勇気、謙虚さ、寛容、誠実さ、寛容、非暴力などの資質を、子供の心に目覚めさせることです。

実際のところ、これらの資質こそが人間を、価値と威厳ある存在にしています。ソクラテスは「道徳哲学の祖」であると考えられていますが、これらの資質のことを「美徳」(virtues)と呼び、その中には魂の性質が表れているのだと考えました。

彼はまた、すべての人は、これら美徳のすべてを秘められた状態で所有しており、それが振る舞いに表れるためには、それを外に発揮することだけが必要なのだと考えていました。

17世紀のバラ十字会員のコメニウスはこう語っています。「幼年期から成人期へと移行するために、教育が施されなければならないのは個人だけではありません。人類全体にこそ教育が必要なのです」。

読書する母と子

 

訳注:スピリチュアリティ(spirituality):通常「精神性」、「崇高さ」などと訳される。最近では多くの場合、特定の宗教と関係しない、心の深奥にある善良さと美しさと正しさを指すことが多い。

コメニウス(John Amos Comenius、1592-1670):モラビア(チェコ東部)生まれの教育学者。「近代教育学の祖」、「ユネスコ精神の生みの親」と呼ばれる。

参考記事:『マララ・ユスフザイさんとコメニウス

 

ほとんどすべての親が子供のことを愛し、感情的にも物質的にも子供が幸せになるように努めます。

しかし子供に渡すことのできる最良の遺産は、この世を離れた後にやっと贈ることができる品物やお金ではなく、子供の心に刻むことができる価値観です。

これらの価値観は売り買いすることはできませんが、最良の教育は経済的な手段というような問題ではなく、意志のあり方についての教育ではないでしょうか。そしてこのような教育は、それ自体が最高の贈り物であり、子供への愛の最も美しい証明だと私は考えます。

ハイキングする男の子と父

バラ十字会AMORCフランス本部代表
セルジュ・ツーサン

 

著者セルジュ・ツーサンについて

1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。

多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。

△ △ △

再び本庄です。

上の文章の「道徳をあまり重要視しないことが流行にさえなっています」という個所に、私はかなりのショックを向けました。日本はフランスに比べて、この点に関しては状況がそれほど悪くないのかもしれません。

 

下記は、前回紹介したセルジュ・ツーサンの文章です。ご参考まで。

正義について

 

では、今日はこの辺で。

来週の金曜日(1月4日)は掲載をお休みいたしますので、次回の記事は1月11日になります。

また、お付き合いください。

 

追伸:メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」に、こちらから登録すると、このブログに掲載される記事を、無料で定期購読することができます(いつでも配信解除できます)。


四大元素の実習

2018年12月14日

 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト

 

師走も半ば近くが過ぎ、私たちの事務所も慌ただしさが増してきました。

いかがお過ごしでしょうか。

 

さて今日は、日常の慌ただしさから生じるストレスをひととき忘れて、リフレッシュするために役立てることができる、ある実習をご紹介したいと思います。

四大元素の実習です。

 

まず、ひとりになれる静かな場所を見つけてください。そして、20分ほどの、誰にも妨げられることのない時間を確保してください。スマートフォンなども、邪魔されないような設定をしておいてください。

 

椅子に座ります。できれば椅子の背にはもたれないようにして、背筋を軽く伸ばしてください。

大きく3回ほど深呼吸をしてリラックスします。

そして通常の呼吸に戻して、これからご説明する場面を頭の中に思い浮かべていきます。それほど複雑な状況ではありませし、説明と完全に同じでなくても構いませんので、気楽に、できれば大まかに記憶して進めていってください。

多くの方は、目を軽くつぶって行うのがやりやすいようですが、特にそうでなくても構いません。

 

1.水

天気の良い、夏のある日のお昼ごろです。あなたは雑木林をゆっくりとハイキングをしています。

歩いている道のすぐ横には小川が流れていて、水の心地よい音が聞こえています。

新緑と小川

 

道は少しだけ登りになっていて、あなたはゆっくりと小川に沿った道を上流のほうに歩いて行きます。

すると、川がよく見える心地よさそうな場所に、ベンチが備え付けてあります。

ちょっと休憩することにして、そのベンチに腰掛けます。

まわりには、新鮮な薄緑色の葉をした広葉樹の林が広がっています。木もれ日が川面に反射して、キラキラと輝いています。

水が澄んでいて、冷たそうです。

 

小川の水には、清らかなエネルギーが含まれています。そのエネルギーのおおもとは、海です。

私たちは生きものとして、数十億年前に海で生まれ、少しずつ進化してきました。ですから私たち人間の体の大部分は水でできています。

 

小川の水のエネルギーと清らかさが、あなたの体を満たしていくのを思い浮かべてください。

そして、水の音が、あなたの体の中にある不純なものをすべて洗い流してくれると、しばらくの間、想像してください。

 

2.土

あなたの靴底は土に触れています。きっとこの土は、まわりの木々から落ちた葉が分解してできたのでしょう。少し柔らかくてふかふかとしていて、心地よく感じます。

この土の養分によって、林の樹木が育っています。土に含まれている力強いエネルギーを感じてください。

土のエネルギーのおおもとは、母なる大地です。地球という青い美しい惑星が、そこで暮らしているすべての生きものを育んでいます。

土と新芽

 

大地のエネルギーが、左右の靴底を通して、あなたの中に入ってくると想像してください。

このエネルギーによって、あなたの体中の骨、筋肉に力強さが与えられていくのを、しばらくの間、思い浮かべてください。

 

3.空気

周囲に、木々のかぐわしい薫りをかすかに感じることができます。座っているあなたの顔を、優しいそよ風が、ときおりなでていきます。

新鮮な空気のエネルギーによって、あなたの肺が満たされているのを思い浮かべてください。

空気に含まれているエネルギーは神秘的です。世界中の古代文化が、息と命のことを同じだと見なしていました。

 

空気のエネルギーが両肺から、あなたの全身に広がっていくのを思い浮かべてください。

ぞくぞくとするような活力が、体の細胞の一つ一つに与えられるのを、しばらくの間、感じてください。

 

4.火

あなたの頭と手には、優しい木もれ日があたっています。かすかに暖かさを感じることができます。

木もれ日に太陽のエネルギーを感じてください。

小川と新緑と木もれ日

 

古代人は太陽のことを、火のもっとも偉大な現れだと考えていました。

そして、フェニックス(火の鳥)が火の中から生まれるように、火は若返りの象徴でした。

太陽のエネルギーによって、地球上のあらゆる植物が育まれています。

太陽のエネルギーがあなたの体に満ちていくのを、思い浮かべてください。このエネルギーによって、周囲の新緑と同じ若々しさにあなたが満たされていくのを、しばらくの間、感じてください。

 

水と土と空気と火のすべてのエネルギーに、あなたは満たされています。その充実感と、そして、周りの自然とあなたがひとつになっているのを、しばらくの間、感じてください。

その心地よさを十分に味わったら、ゆっくりと現実の世界に戻ってきてください。

まばたきをします。手を軽く握ったり開いたりします。肩を上げ下げしてください。

 

いかがでしょうか。

 

この実習は、紀元前5世紀のギリシャの哲学者エンペドクレスが唱えた、四大元素という考え方に基づいています。

四大元素という考え方を、今の物理学の原子論と比べて、未熟で役立たない考え方だと見なす人もいるようです。

しかし、この実習に実際に取り組んでいただくと、それとは異なる感想をお持ちになるかもしれません。

 

少なくとも、師走のこのあわただしい時節に、ひとときの心地良さを楽しんでいただくことができます。

 

ちなみに、バラ十字会の提供している通信講座では、神秘哲学、形而上学、人生哲学について学びますが、それと並行して、折々にこのような実習が紹介されます。

ご興味がある方は、無料で1ヵ月の体験受講ができますので、下記のリンクでお申し込みください。

https://www.amorc.jp/request/trial.html

 

では、今日はこの辺りで

また、お付き合いください。

 


『幸福な王子』-文芸作品を神秘学的に読み解く13

2018年12月7日

 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

すっかり寒くなりましたね。今日は、北海道、東北、山陰が雪だそうです。

 

いかがお過ごしでしょうか。

 

札幌で当会のインストラクターをされている私の友人から、アイルランドの作家オスカー・ワイルドの書いた、日に日に寒くなるこの時期にふさわしい童話についての寄稿をいただきました。

 

▽ ▽ ▽

文芸作品を神秘学的に読み解く(13)

「幸福な王子」(The Happy Prince) オスカー・ワイルド著

森和久のポートレート

森 和久

 

ある町の広場に「幸福な王子」と呼ばれる立派な像が立っていました。彼は生前も人々から愛され幸福に生き、そして黄金の体と宝石をちりばめた偉大な像として崇められていました。

 

ある夜、一羽のツバメが夜露を凌ごうとこの像の下にやってきます。しかし、雨も降っていないのに雫が落ちてきました。それは幸福な王子の哀しみの涙だったのです。王子は町に住む貧しい人たちのことを思い泣いていたのです。

そして王子は自分の体から宝石や金を剥ぎ取って貧しい町の人たちに届けてくれるようツバメに依頼します。ツバメはこれから越冬のため暖かいエジプトへ行くからできないと一旦は断りますが、王子の強い懇願によりその役割を引き受けます。

幸福な王子 王子とツバメ

 

貧しい人たちへの施しを繰り返し、ついには、王子は全身から貴金属をすべて剥ぎ取られ、ツバメは凍え死にます。みすぼらしい姿になった王子の像は引き倒され捨てられてしまいます。しかし、二人の魂はその貴さが認められ、神の元に召されます。

 

ツバメはこの町に来る前、一本の葦に恋していました。しかし、その葦はその場を離れようとはせず、二人の気持ちはすれ違い、ツバメは失恋の痛手を負って、仲間のツバメたちより6週間も遅くなってからエジプトへ旅立ったのでした。もう冬が来てしまい間に合わなくなるギリギリでした。

Happy prince

『幸福の王子』ウォルター・クレインによる挿絵 [Public domain]

 

ツバメがこの町で出会った幸福な王子もまた、その場所から動くことはできません。ツバメは幸福の王子からも、葦のときと同じように翻弄されます。でも、葦と王子では大きく違っていたことがあります。王子は自己犠牲のうえでツバメに協力を迫りました。

ツバメの気持ちが大きく変わった場面があります。王子の目はサファイアでできていました。その2個目のサファイアを外して貧しい人に与えてほしいという王子の願いを聞いた時、失明しまうのもいとわず、施しをしようとする王子にツバメは共感しました。このまま続けていては、ツバメは冬を越せず凍死してしまうことが判っていてもです。

 

作者はきっと自分をこのツバメに投影していたのでしょう。実生活で大きな挫折を味わったオスカー・ワイルドは、失意のどん底でこの作品を書きました。

Oscar Wilde (1854-1900) in New York, 1882. Picture by Napoleon Sarony (1821-1896) 2

オスカー・ワイルド(28歳当時)Napoleon Sarony撮影 [Public domain]

 

神秘学で述べられる宇宙法則の一つに「人は与えただけのものを受け取る」とあります。何が本当に重要なのかを認識することが大切です。もしあなたが登場する誰か、ツバメだったり、施しを受けた誰かだったりしたらどうするかを考えてみるのはいかがでしょうか。物事を認識し判断する一助となるでしょう。

 

△ △ △

 

ふたたび本庄です。

 

この文章を寄せていただいたことをきっかけに、『幸福な王子』を再び読んでみました。

鋭い風刺がちりばめられた素晴らしい作品ですが、結末直前のツバメと王子の経緯には一見したところでは救いがないように感じられ、童話に分類されていますが、むしろ思春期以降の方々や、大人向けの作品だと思います。

子供のころには理解できなかったさまざまな点が心に引っかかり、今も考えさせられ続けています。

 

下記は、森さんの前回の記事です。

マリー・ロジェの謎-文芸作品を神秘学的に読み解く12

 

では、今日はこのあたりで。

 

追伸:メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」に、こちらから登録すると、このブログに掲載される記事を、無料で定期購読することができます(いつでも配信解除できます)。


過去の記事一覧

このページのTOPへ