投稿日: 2015/03/06
最終更新日: 2024/03/22

こんにちは。バラ十字会日本本部の本庄です。

※ バラ十字会は、宗教や政治のいかなる組織からも独立した歴史ある会員制の哲学団体です。

ベテルギウス(Betelgeuse)はオリオン座のα(アルファ)星です。α(アルファ)星とは、通常はその星座で最も明るい星のことですが、ベテルギウスは変光星(明るさを変える星)で、β(ベータ)星のリゲル(Rigel)よりも明るくなったり暗くなったりします。

2020年の2月に急激に暗くなり、もしかしたら大爆発を起こす前兆ではないかと騒がれましたが、その後再び明るくなり、周期的な変光を繰り返していました。ところがまさに今(2024年3月上旬)再び不規則な減光が確認され、天文学者や天文ファンに注目されているそうです。

オリオン座周辺の星図
オリオン座周辺の星図 By Copyright © 2003 Torsten Bronger [GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html) or CC-BY-SA-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/)], via Wikimedia Commons

ギリシャ神話に登場する巨人オリオンは、海と地震の神ポセイドンの息子だとされます。

狩猟を愛する美男子だったそうですが、あまり誠実ではなかったらしく、夜明けとオーロラの女神とされるエオス(アウローラ)を愛人にし、そのことで月の女神アルテミスの怒りを買って殺され、猟犬と一緒に天に登り、オリオン座とおおいぬ座になったと伝えられています。

オリオン座は、見つけやすい星座です。縦に長い四角形の中央に、巨人のベルトにあたる三つ星が横に並んでいます。

この長方形の左上にある、巨人の肩にあたる赤い星がベテルギウスで、赤色超巨星と呼ばれる種類の恒星です。

ベテルギウスの名前の由来はアラビア語の「ヤド・アル・ジャウザ」(Yad Al-Jawza)であり、最初の「Y」が「B」に誤って音写され「Bedalgeuze」という語ができたのだとされています。「ヤド・アル・ジャウザ」の意味は、「巨人の腕」、「中央の脇の下」、「白い帯の羊の前肢」などの諸説があるとのことです。下のイラストを見ると何となく「脇の下」が有力なように、私には思えてきます。

オリオン座付近の星の配置のイラスト

恒星にも生き物と同じように寿命があり、赤色巨星、赤色超巨星はその晩年の姿です。年老いてふくれあがっているのです。太陽もあと50億年ほどすると赤色巨星になると考えられています。

ベテルギウスの直径は太陽の約800倍です。現在の太陽がもしサッカーボールぐらいの大きさだとすると、ベテルギウスの大きさは、東京ドームぐらいにあたります。

ベテルギウスはもうすぐ超新星爆発と呼ばれる死を迎えるため、とても不安定で、大きさも明るさも不規則に変化しています。

最新の観測によると、ベテルギウスはまるでデコポンのように、一部が盛り上がった奇妙な形をしています。この盛り上がっている部分だけでも、太陽の4000万個分の体積だということです。

ベテルギウスのヨーロッパ南天天文台によるイラスト
ベテルギウスのヨーロッパ南天天文台によるイラスト By ESO/L. Calçada (http://www.eso.org/public/images/eso0927a/) [CC BY 4.0 (http://creativecommons.org/licenses/by/4.0)], via Wikimedia Commons

恒星は核融合によって輝いていますが、燃料を使い果たすと自体の重力によってつぶれて爆発します。星の死にあたるこのできごとの激しさは、その星の質量(重さ)によって変わってきます。太陽の10倍以上の質量を持つ星の寿命が尽きたときの爆発が超新星爆発と呼ばれています。

爆発の時には、まるで新しい星であるかのように突然明るさが増して輝きます。ベテルギウスは地球に比較的近い(約600光年)ので、この爆発は、人類の歴史の中でもかつてなかったほどの一大天体ショーになります。

予測によれば、満月の100倍ほどの明るさになり、その色も赤から白に変わり、昼も夜も3ヵ月間輝き続けるそうです。そして、その後は数年をかけてだんだんと暗くなり、オリオン座の外側は、見える星は3つだけになってしまいます。

地球と超新星(イメージ)

先ほど「もうすぐ」と言いましたが、天文学上の話なので、時間のスケールは大きなものです。明日起きてもおかしくないと考える人もいるようですが、多くの天文学者は10万年ほど先だと考えているようです。

超新星爆発が起こると、ガンマー線と呼ばれる放射線が周囲に放出されます。爆発を起こした星の30光年以内にもし生物が住む星があれば、壊滅的な被害が及ぶと考えられていますが、ベテルギウスから地球までの距離はその約20倍(約600光年)なので、地球への影響はほとんどないと考えられています。

恒星は、生物の誕生に重要な役割を果たしています。

というのも、初期の宇宙には、水素という最も単純な元素しかなかったからです。

水素の中心にある核の部分はプラスの電気を帯びているため、核と核は近づくと反発し、融合してそれ以上重い元素となることが、通常はできません。核融合が起きるためには、恒星の中心のような高温・高圧が必要とされます。

宇宙空間にただよっているガスが重力によって一箇所に集まると、核融合が始まり恒星が輝き始めます。星の誕生です。そして、水素を燃料として光を放つと同時に、星の中心には、水素より重い元素がたくさん作られていきます。

そして、それが星の死の際に爆発して吹き飛ばされ、新しい星の材料である星間ガスになります。

このことが何度も繰り返されて、宇宙には、水素より重い新しい元素が増えていきました。

恒星のこの働きによって、たとえばシリコンや酸素のような元素が作られなければ、地球のような岩石からできている惑星は誕生しなかったでしょう。また、生物が生じるのに必要な炭素や窒素、鉄のような物質も存在しなかったことでしょう。

しかし鉄より重い元素は、これからベテルギウスに起こることが予想されているような、超新星爆発の最中の劇的な反応でしか作られません。特にそのうちモリブデンやヨウ素などは、酵素やホルモンの材料として地球上で知られている生きものに欠かせない元素です。

ですから、人間を含むあらゆる生きものは、まさに恒星によって命を与えられた、恒星の子供だと言うことができます。

恒星は、生まれ、輝き、爆発して一生を終えることにより、生物が生じ進化するための材料を用意してくれたことになります。しかもその中でも、ベテルギウスのように太陽よりも質量が10倍以上大きい大型の恒星は、最期に超新星爆発という物理的に複雑な一大イベントを引き起こして、生物のために必要な重元素を作り出してくれています。生きものの立場から言えば、宇宙を限りなく豊かにしてくれたのは恒星の働きです。

太陽系や銀河系に限らず、宇宙のあらゆるところでたくさんの恒星が生まれ、輝き、爆発することが繰り返されているようです。ですから生き物は、宇宙のあらゆる所に存在していると考えるのが自然なように思われます。

さまざまな秘伝思想で共通して言われていることですが、この宇宙は、ある普遍的な意識の構想によって生じたとされています。もしそうだとしたら、この意識は、何と壮大な計画を立てたことでしょうか。

そして、この壮大な計画の中には、生物誕生のための多様な元素が準備されるための手段として、恒星の内部で核融合が起こることや、ベテルギウスのような大型の恒星では、重力崩壊によって超新星爆発が起こることが織り込まれていたのでしょう。

そして、この計画を準備した普遍的な意識はまさに、ひとりひとりの人の最も深層にある意識と同じものであると言われています。

地球上に現れた生き物は、進化して多様化し、やがて多くの生き物が自己意識を獲得し、そのうち特に人間は、鋭い知性を発達させ、天体を観測し、物理や化学の研究により、やっと、宇宙というこの壮大な物語を少しだけ理解できるようになりました。

参考記事:『宇宙意識とは? 潜在意識との違い、普遍的意識とつながることとスピリチュアルな進歩

神秘学派であるバラ十字会には、次のようなたとえ話が伝えられています。

宇宙は最初、たった一本のロウソクだったのです。ロウソクは輝いていました。しかし、それ以外には何も、暗闇さえもありませんでした。

そして宇宙は、自分を見るために鏡を望み、構想し、作り出したのです。生きものという鏡によって、宇宙は自分自身を、鏡の中の姿として見ることができるようになるからです。

樹上から遠方を見つめるサル

あなたにお勧めがあります。多少時間が確保できるときに、このたとえ話について、ひとりになれる静かな場所で、じっくりと考えてみていただきたいのです。

ロウソクのこの話が、今回ご紹介した宇宙の歴史と、そしてもしかしたら、この宇宙が存在している理由をおおむね表わしていると、お感じになられるかもしれません。

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執筆者プロフィール

本庄 敦

本庄 敦

1960年6月17日生まれ。バラ十字会AMORC日本本部代表。東京大学教養学部卒。
スピリチュアリティに関する科学的な情報の発信と神秘学(mysticism:神秘哲学)の普及に尽力している。
詳しいプロフィールはこちら:https://www.amorc.jp/profile/

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