投稿日: 2016/06/10
最終更新日: 2023/09/20

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

東京板橋は今日、梅雨の合間の日射しに恵まれています。

いかがお過ごしでしょうか。

突然ですが、賢者というとあなたは何を思い浮かべるでしょうか。

私はといえば、明治生まれの祖父が口ずさんでいた数え歌(?)のことを思い出します。

「一の賢者、二賢者、三の賢者、四賢者、四賢は…」と続く不思議な雰囲気の歌でした。いろいろ調べてみたのですが、今になっても、出所も意味もまったく分かりません。ご存知の方がいたら教えてください。

賢者という言葉から、ロールプレイングゲームを連想される方もいらっしゃるでしょうし、ハリー・ポッターシリーズのダンブルドア校長や、映画レッドクリフの諸葛孔明のことを思い浮かべる方もいらっしゃることでしょう。

今回は、賢者と英知について当会のフランス代表が、自身の人気ブログに書いた文章を翻訳しましたので、ご紹介させていただきたいと思います。

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バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサンのブログ

記事「英知について」

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン
Serge Toussaint

バラ十字会の哲学で、英知とは何であると考えられているかをご説明する前に、あらゆる人の潜在意識には、英知を表わす賢者という象徴を作り出す働き(元型)があるということに触れておくのは、おそらく重要なことでしょう。

潜在意識のこの働きが理由で、民話や伝承の多くには、賢者、すなわち英知にあふれたキャラクターが登場します。賢者は、老いた男の人の姿をしていることもあれば、妖精であったり、王や女王や騎士であったりすることもあります。

タロットカードの「隠者」
タロットカードの「隠者」

ほとんどの場合、彼らや彼女たちは、善意に満ちていて、正直で、公正で、未来を見通す能力を持っています。手短に言えば、賢者とは人としてほぼ完璧だと考えられるような存在です。

元型の働きが理由で私たち人間には、判断や行動が英知にあふれている人を尊敬し、崇拝さえする傾向があります。

賢者というこの元型に関連していますので、「ソフィア」(Sophia)についても触れておきましょう。プラトン哲学やグノーシス主義を含む多くの宗教と神秘学の伝統思想で、英知は擬人化されて、ソフィアという存在になっています。

14.25 Sophia (Wisdom) in the Celsus Library in Ephesus

英知の擬人化であるソフィア (The Celsus Library in Ephesus, Turkey, © José Luiz Bernardes Ribeiro / , via Wikimedia Commons)

ソクラテスはソフィアのことを、人の最高の徳の象徴であり、それゆえに人の神聖な性質の象徴であると考えました。ソクラテスの弟子のプラトンは、ソフィアのことを世界の魂であるとし、本質的な意味では、宇宙で唯一の魂(Universal Soul)と同じであると考えていました。

旧約聖書や外典福音書でもソフィアのことが述べられています。通常のキリスト教でも聖ソフィアが信仰されています。

バラ十字会の見方では、英知とは徳のひとつであり、人の誰にも現れている心の状態だと考えます。そして徳とは、人間の最も高貴な部分である魂(soul)の性質にあたります。

英知にあふれている人、すなわち賢者は、謙虚さ、正直さ、度量の広さ、寛容さ、非暴力などを日々の生活で示します。英知がこのようなものであると考えるならば、一度だけの人生で、私たちが英知の状態に達することはできないということが分かります。

このためバラ十字会員の多くは、転生説を支持し、英知の状態に達することを人は誰もが望んでいるけれども、実際にそれを達成するためには、何度も生まれ変わり、人生を体験する必要があると考えています。

英知の状態に完全に達すると、その人には、もはや人間として経験を積む必要がなくなります。仏教の用語を使うならば、サムサーラ(samsara)すなわち輪廻転生が止まります。

英知の状態は、バラ十字会では伝統的に「バラ十字の状態」と呼ばれていますが、人は誰もがこの状態にいずれは達します。

このことが意味するのは、現在の人生か別の人生かは分かりませんが、ある日、人は「英知の探求」を始めるということです。つまり、幸せと豊かさを誰もが求めていますが、何を望み、どのように振る舞えば幸せと豊かさを手にすることができるのかを調べ始めます。

人生では、望ましいできごとと、そうでないことと、心地よいできごとと、そうでないことを経験します。その結果、自分自身という存在と人生の深い意味を、どうしても探究したいと感じるようになります。

このことが真のスピリチュアリティへの第一歩であり、「汝、自身を知れ」という言葉が表わす道を歩むスタートになります。

「汝、自身を知れ」と書かれた窓
「汝、自身を知れ」と書かれた窓。(ドイツ・ルートヴィヒスハーフェンの公共ビルディング)

さて、徳のひとつである英知と知識の間にはどのような関係があるのでしょうか。もちろんこの2つには密接な関係があります。というのも、自身を知る努力をしないで賢明になることはできないからです。また、英知を探求することと、ある知識を探求することの間には、切っても切り離せない深い関係があるからです。

その知識とは、いわゆる「存在の神秘」です。つまり、自分自身、他の人、人生、社会、他の生き物、自然界、世界、宇宙はなぜ存在していて、そこにはどのような秘密が隠されているのか、なぜ隠されているのかという知識です。

人は、魂からの促しに導かれて進歩し続けていますが、存在の神秘を理解したいという望みは、この促しのひとつです。そして神秘学(mysticism:神秘主義)とは、存在の神秘を研究することに他なりません。

つまり神秘家とは、この言葉の最も尊い意味でいえば、知識と英知を探求する道の先頭を歩んでいる人のことであり、バラ十字会員の多くが神秘家にあたります。

バラ十字会AMORCフランス本部代表
セルジュ・ツーサン

著者セルジュ・ツーサンについて

1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。本稿はそのブログからの一記事。

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いかがでしたでしょうか。すっきりと納得するというよりは、考えるためのさまざまな材料を与えてくれる文章だったのではないかと思います。

それではまた、次回もお付き合いください。

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