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赤い蝋燭と人魚-文芸作品を神秘学的に読み解く11

2018年7月27日


 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

暑い日が続きますね。いかがお過ごしでしょうか。

 

札幌で当会のインストラクターをされている私の友人から、大正時代の童話についての寄稿をいただきました。お読みになったことのある方は、きっと懐かしく感じることと思います。

 

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文芸作品を神秘学的に読み解く(11)

『赤い蝋燭(ロウソク)と人魚』 - 小川未明

 

森和久のポートレート

森 和久

 

北の海に棲む人魚がいました。北の海はとても寂しく、生まれてくる子どもには、こんなところではなく、もっと明るく楽しいところで生きてほしいと願うのでした。

そこで、人間はこの世界の中で一番優しいものなので、我が子を人間に託そうと考えました。人魚と人間は、上半身は同じなので、子どもも人間の仲間として受け入れられ、幸福に生きていけるだろうと考えたのです。

 

一方、海沿いのある町に老夫婦の営む小さな蝋燭屋がありました。近くのお宮へ漁師がお参りするときに納めるための蝋燭をここで買うので繁盛していました。

ある日、蝋燭屋のおばあさんが商売繁盛のお礼にこのお宮へお参りに行くと、赤ん坊の捨て子を見つけました。これも神様が授けてくれたのだろうと家に連れ帰って育てることにしました。これが人魚の子どもでした。

 

成長した人魚の子どもは美しい娘になり、蝋燭に絵を描くことで家の手伝いをするようになり、この蝋燭は評判になり、ますます商売繁盛となりました。しかし、蝋燭が売れれば売れるほど、絵を描く娘はヘトヘトに疲れる毎日でした。

そんなある日、香具師(やし)がやってきて、人魚の娘を売ってくれと頼み込みました。老夫婦も最初は神様からの授かりだからと断っていたのですが、大金に目がくらみ、娘を売ってしまいました。娘は真っ赤に塗った蝋燭を家に残して連れて行かれてしまいました。

白と赤の和ロウソク

 

それからというもの、赤い蝋燭がお宮に灯った晩は必ず大嵐になり、赤い蝋燭を見た者は、溺れ死ぬようになりました。蝋燭屋の老夫婦は神様の罰があたったと言って、商売をやめてしまいました。

海は毎日のように大荒れで、不気味に高波がうねるようになりました。そして数年もしないうちに、この町は滅びてなくなりました。

 

これは小川未明による1921年(大正10年)の作品です。彼の代表作の一つですが、私はこの物語を小学生の頃に読んでとても怖い印象を持ちました。イラストで載っていた「赤い蝋燭」というのが、気持ち悪さを増幅させていて、忌み嫌うようになりました。

そして長年忘れていたのですが、先日、同級会に出席し、小学生当時の懐かしい級友たちと会った数日後、突然この物語を思い出したのです。きっと何か意味があったのでしょう。

Ogawa Mimei

小川 未明 By 朝日新聞社 (『アサヒグラフ』 1953年12月2日号) [Public domain], via Wikimedia Commons

 

元々、蝋燭屋の老夫婦は実直に生き、感謝の気持ちも忘れない人たちでした。ですからある法則により、報われた人生を送ってきました。多くの人々もこのような生き方を夢見たりします。そのために現世利益的な教えやテクニックも世間には多々見受けられます。

しかし、最も重要なことは、自分が手に入れた後の処し方です。この物語も人間の心の弱さを描いており、老夫婦は3つの過ちを犯してしまいました。

 

それは人魚の娘に大量の絵を描かせることで重労働を強い、ついには娘を売ってしまったことです。その結果、ある法則が発動され、老夫婦はすでに持っていたものまでもすべて失ってしまったのです。

人魚の娘は育てて貰った恩に報いるため、精一杯頑張り続けました。老夫婦の一番の過ちは、人間を信頼してくれた人魚の気持ちを裏切ったことです。

 

このような普遍的法則は誰にでも同じように働きます。逃れることは出来ませんし、むしろ活用すべきものです。私がこの物語を思い出したのもこれらの法則を再認識するためなのかもしれません。

 

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ふたたび本庄です。

この文章で話題になっている普遍的法則は、カルマの法則と呼ばれることがあります。

この法則は、不運や不幸との関連で話題にされることが多いのですが、ある人の行動や発言や思考が善である場合、その人の将来には幸運と幸福が必ずもたらされるという反対の側面も、この法則の一部です。

 

善悪とはそもそも何かという問題がありますが、そのことはとりあえず置いておくことにして、あなたは、このような法則が実際に働いているとお考えになるでしょうか。それとも迷信だとお考えになるでしょうか。

バラ十字会の通信講座では、学習を始めてから14か月目にこのことが取り上げられます。慎重に検討することが有益なテーマです。

 

では、今日はこのあたりで。

またおつきあいください。

 

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