公式ブログ

錬金術師ニコラ・フラメル?

2018年10月12日


 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト

 

東京板橋では、2日ほど秋雨が続いています。もうすっかり涼しくなりました。

 

いかがお過ごしでしょうか。

 

先週は会議でフランスのパリに行っていたのですが、仕事の合間に面白いレストランに入ることができました。

このレストランは、まさにパリの中心部、ルーブル美術館から東に1キロほどの所にあり、錬金術師だとされているニコラ・フラメル(Nicolas Flamel)の家を改装して作られています。

レストラン ニコラ・フラメル【クリックすると拡大されます】

 

レストランの前の細い通りは、パリで一番古い通りだとのことです。ちなみに、このレストランから20メートルほど離れた所には、当会が活動し経営している大規模な文化センター(Espace Saint Martin)があります。

 

ニコラ・フラメル(英語読みではニコラス・フラメル)という名前をお聞きになったことがおありでしょうか。

伝説の錬金術師だとされている人で、たとえば『ハリー・ポッターと賢者の石』では、ハリーが通っている学校の校長先生ダンブルドアの665歳の友人として登場します。

写真をご覧ください。レストランの入り口の上には、パリ市が製作した次のような碑文が掲げられていました。こう書かれています。

レストラン「ニコラ・フラメル」の入り口に掲げられている碑文

レストランの入り口に掲げられている碑文

 

「ニコラ・フラメルと妻ペレネレの家

彼らの慈善財団の記憶を保存するために

フラメルが1407年に建てた家を1900年にパリ市が復元」

 

ニコラ・フラメルは14世紀中ごろのパリの出版業者でした。出版業者といっても、当時は活字が発明される前ですので、今とは全く異なる職業であり「写字生兼書籍販売人」と呼ばれていました。

要するに、本を書き写して売るのが仕事だったわけです。さまざまな学問を支える貴重な本を正確に書き写して売る仕事ですので、世の多くの人から尊敬される、高い収入が得られる職業だったようです。

そして、ニコラと彼の妻ペレネレは、多額のお金を教会や病院、礼拝堂に寄付したり、慈善事業を行ったりしていたことが記録として残されています。

Flamel

ニコラ・フラメル Balthasar Moncornet [Public domain], via Wikimedia Commons

 

ニコラ・フラメルは錬金術師だと言い伝えられています。そして、「象形寓意の書」という錬金術の書が、彼の代表的な著作だとされています。彼は〈賢者の石〉を作るのに成功し、この石を用いて水銀を純金に変えたばかりか、自身を不老不死に変えたとさえされています。

 

しかし、現代の研究家によれば、「象形寓意の書」は別の人の著作であり、ニコラ・フラメルが錬金術を行っていたという証拠は残っていないとのことです。

 

そして、事実はこのようなことだったのではないかと推測されています。

ニコラ夫妻は、貴族階級でもなく、政治的にも有力者でもなかったにもかかわらず、さまざまな方面に多額の寄付をしたり慈善事業をしたりしていたことから、錬金術で財産を作ったので、そのようなことができたのではないかという言い伝えが生じたようなのです。

この言い伝えは、最初は内輪だけの噂話のようなものだったようです。

パリで一番古い通り

パリで一番古い通り

 

一方、ニコラ・フラメルの死後50年ほど後のことですが、イタリア人のマルシリオ・フィチーノという人が、「ヘルメス文書」と呼ばれる一連の写本と哲学者プラトンの著作を、ギリシャ語からラテン語に翻訳することを完了し出版します。

ヘルメス文書とは、ギリシャに征服されたエジプトで、特に当時の国際的な文化都市であったアレクサンドリアで、西暦紀元前後から3世紀ごろに作られた文書で、神秘学(神秘哲学)、宗教、占星術、錬金術、自然魔術が扱われています。

自然魔術とは、霊ではなく、医薬、磁気、言葉を用いる魔術です。

 

参考記事:「エメラルド・タブレットとは

 

ヘルメス文書は、それまでは東ローマ帝国にしか伝わっていなかったのですが、フィチーノの功績で西ヨーロッパの人たちにも知られるようになります。

そしてこのことが引き金となり、16~17世紀にヨーロッパでヘルメス思想と自然魔術が大流行します。

 

そして17世紀に、ヘルメス思想の中でも、特に錬金術を研究しその成果を書物にしていた人たちは、自分たちの業績を権威づけるために、ニコラ・フラメルの名前と言い伝えを利用し、彼を書物の作者だと偽ったようなのです。

しかし他の点では、これらの錬金術師たちの大部分は、不真面目な人であったわけでも、詐欺師であったわけでもありません。

彼らは真剣に、自然の神秘を解き明かそうとする努力を行ない、そのプロセスと知識を、自身の内面的な成長のために役立てていただけでなく、病気や他の理由で苦しんでいる人たちのためにも活用していたのです。

パリ市内のサン・ジノサン墓地に寄進した錬金術の寓意図(18世紀に取り壊されたレリーフの模写)  Wikipedia「ニコラ・フラメル」のページより(パブリック・ドメイン)【クリックすると拡大されます】

 

この当時のバラ十字会員も、同様の動機で、ヘルメス思想、特にカバラと錬金術を深く研究していたことが知られています。

『薔薇十字の覚醒』を書いたイギリスの歴史家フラセス・イエイツによれば、ヘルメス思想と自然魔術は、天文学者のコペルニクスやケプラー、数学者のライプニッツ、物理学者のニュートンに影響を及ぼし、近代科学の成立に大きな貢献を果たしました。

参考記事:「アイザック・ニュートンと太古の神殿

 

私たちは、ヘルメス思想が歴史的に重要であるだけでなく、その中には、現在では忘れ去られていて、今後見直されることになるであろう貴重な考え方が大量に含まれていると考え、それを、会員の方々に提供している通信講座教材のテーマのひとつにしています。

 

パリのレストランの話に戻ります。食事の最後に、冷やした大きなスープ皿に乗ったデザートが出てきました。オレンジのシャーベットを包んだ、ボールのようにまん丸のチョコレートが中央にちょこんと置かれています。

「なぜスープ皿?」と思ったところに、店主が出てきて、「まだ食べちゃいかんよ」と言って回っています。

そして店主は、その上にホットチョコレートを注ぎました。すると、熱でボールが良い具合に崩れて、今まで一度も食べたことのない、冷たくて温かい素敵なデザートが完成しました。

 

フランスの人のデザートへのこだわりは凄いですね。メインの料理も美味しかったのですが、最後までとても楽しいひとときを過ごさせてもらいました。

レストラン「ニコラ・フラメル」の店内の様子

店内の様子

 

では、今回はこの辺りで。

また、お付き合いください。

 

追伸:メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」に、こちらから登録すると、このブログに掲載される記事を、無料で定期購読することができます(いつでも配信解除できます)。


このページのTOPへ