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エソテリックとは

2019年3月8日


 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

東京板橋では、ソメイヨシノのつぼみもずいぶんと膨らんできました。

いかがお過ごしでしょうか。

 

フランスの画家ゴーギャンが書いた絵画に、「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」という題名の油絵があります。

ゴーギャン作「我々ははどこから来たのか……」 ボストン美術館所蔵Wikimedia Commons [Public Domain]

ゴーギャン作「我々はどこから来たのか…」、ボストン美術館所蔵、Wikimedia Commons [Public Domain]

 

この題名はまさに、いわゆる「ビッグ・クエスチョン」にあたり、人間の本質、人生の目的についての疑問を投げかけています。

 

少なくとも数千年、人類は哲学、宗教などの分野を通して、この問いに取り組んできました。

そして、多くの人の意見によれば、どうやらこの問いへの答えは理屈を超越していて、かなりの苦労の末に、体験によってしか“見破る”ことができないようなのです。

 

そこで、ビッグ・クエスチョンに対する向き合い方は、主に2つに分かれてきました。

ひとつは、体験した人の語ることを聞いたり、書いたものを読んだりして、それをとりあえず信じるという向き合い方です。

この方法は、「エクソテリック」(exoteric)と呼ばれます。「公教的」、「公開的」、「通俗的」などと訳されています(いずれも私の好きな訳語ではありませんが)。

比較的最近まで、大部分の宗教の多くの信者が、この方法に従ってきました。

 

もうひとつは、直接自分で体験しようとする態度です。この態度は「エソテリック」(esoteric)という言葉で表されます。

エソテリックな向き合い方は、多くの場合、その具体的な方法が秘密にされることが多かったので、この語は、「秘伝的」、「奥義的」、「秘教的」、「密教の」などと訳されてきました。

エソテリックな取り組みは、以前は少数の専門家だけが取ることのできる方法でした。しかし現在では、人類の意識の進歩と情報の広まりのおかげで(質の高い情報だけが広まっているわけではありませんが)、誰もが実践することができるようになりました。

 

当会のフランス代表が書いた下記の文章では、このようなエソテリックな取り組みの始まりは、古代エジプトにあるということが説明されています。

▽ ▽ ▽

『原初の伝統について』

“A propos de la Tradition primordiale”

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン

 

多くの方がご存知のことと思いますが、歴史の研究と神秘学(mysticism:神秘哲学)の研究という2つの性質を合わせ持った数多くの本が出版されています。そして、それらの本では、「原初の伝統」(Sophia perennis)について述べられることが多々あります。

〈原初の伝統〉とは、いわゆる”啓示”宗教が生じた源流です。より具体的に言えば、宗教のエソテリック(esoteric)な部門、ユダヤ教で言えばカバラ、キリスト教で言えばグノーシス派、イスラム教で言えばスーフィズムが、〈原初の伝統〉から生じたとされます。

これらのエソテリックな宗教の考え方を比べてみると、そこには多くの共通点があることが分かります。また、エソテリックな宗教の重要な要素である、知識や英知を探求するための実践方法には、互いにほとんど矛盾がないということは注目に値します。

このことは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の一般向けの教えに関しては、必ずしも当てはまりません。

 

今述べた3つのエソテリックな宗教だけが、〈原初の伝統〉から生じたのではなく、そこからは、古い伝統を持つ思想団体も生じました。そのような団体として、バラ十字会(バラ十字団)、伝統マルティニスト会、フリーメーソンなどを揚げることができます。

テンプル騎士団の城トマール

テンプル騎士団の城トマール

 

そして、これらの団体に伝えられている知識にも共通点があり、使われている用語にも多くの類似したものがあります。

ですから、カバラの研究家、グノーシス派やスーフィズムの信奉者は、取り組んでいることの本質は同じであると互いに同意することができますし、この事情は、バラ十字会や伝統マルティニスト会やフリーメーソンの会員についても同じです。

つまり、どのようなことを実践しているかという具体的な方法には、いくらかの違いがありますが、目指していることはほとんど同じだと言うことができます。それは、一般には知られていない知識を手に入れて、活用して、人格の完成に役立てようとすることです。

 

〈原初の伝統〉の起源はどこにあるのでしょうか。判明している歴史の範囲内で言えば、その源は、古代エジプトの第18王朝期に成立した、いくつかの神秘学派だと一般に考えられています。

当時、進歩した神秘家たちは定期的に集まって、宇宙や自然界や人間自体の神秘を研究していました。時が経つにつれて、この研究からは、神秘学やヘルメス思想だけでなく、天文学、医学、地理学、建築学などの驚異的に進んだ知識が生じました(エジプト文明は、これらの分野でかなりのレベルに達していたと考えられる十分な証拠があります)。

これらの知識は秘密にされ、神秘学派に入会した人だけがそれを知ることができました。一方で、当時の一般の人たちの取り組みは、エジプトの宗教に特徴的な多数の神々を崇拝するということに限られていました。

スフィンクスと砂漠と青空

 

〈原初の伝統〉は、古代エジプトから広がって、古代ギリシャ、そして次に古代ローマへと伝えられました。

その後には、少しずつ進歩しながら、中世とルネッサンス期のヨーロッパに取り入れられました。ルネッサンス期には、特にバラ十字会がこれらの知識の収集に力を尽し、秘密を保ちながら継承していました。

1614年には「バラ十字友愛組織の声明」というマニフェスト(宣言書)が出版され、バラ十字会の名前が広く知られるようになりました。このマニフェストには、バラ十字会の“哲学的な科学”の伝統的な起源が描かれ、多くの人が、〈原初の伝統〉への関心を呼び覚まされました。

数年後の1623年には、パリのさまざまな通りに奇妙なポスターが張り出され、バラ十字会はさらに広く一般に知られるようになりました。そこにはこう書かれていました。「我々は書物を出版せず、注目も受けない。ただ、あらゆる言葉を話し、我々の哲学を示し伝えるだけである」。

 

バラ十字会AMORCは20世紀の初めに作られた組織ですが、先ほど話題にした「バラ十字友愛組織の声明」で語られているバラ十字会の伝統を受け継いでいます。ですから、当会はその知識と哲学を通して、〈原初の伝統〉を未来に伝えることに寄与していると言うことができます。

しかし、単なる伝達役ではなく、特にバラ十字国際大学による研究と作業を通して、この伝統をさらに豊かにすることにも努めています。いかなる哲学や神秘学であっても、宗教であっても、それが固定化し進歩しなくなれば、中長期的には、やがて衰えて消滅することになります。

当会はこのことを十分に理解し、遠い過去の伝統を基礎にするとともに、新しい考え方を可能な限り取り入れ、意識と精神性の進歩のための活動を続けています。

バラ十字会AMORCフランス本部代表
セルジュ・ツーサン

 

著者セルジュ・ツーサンについて

1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。

多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。

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再び本庄です。

私の考えでは、日本伝統の茶道、華道、香道、さまざまな武道には、今回ご説明したような意味で、本来エソテリックな傾向があります。また、最近多くの教室があるヨガや瞑想も、常に人気のある禅も、エソテリックな行いと呼ぶことができるように思います。

日本には伝統的に、理屈よりも体験を重んじる傾向があるのかもしれません。素晴らしいことではないでしょうか。

 

では、今日はこの辺で。

また、お付き合いください。

 

追伸:もしあなたが、エソテリックな方法で、つまり自分の体験を通して、人間の本質、人生の目的を見破ることを目指すのであれば、下記のバラ十字会の通信講座をガイド役にすることができます。

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