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大草原の小さな家

2020年12月11日


 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

いよいよ年の瀬が押し迫ってきました。いかがお過ごしでしょうか。

 

札幌で当会のインストラクターを務めている私の友人が、懐かしいドラマについての文章を寄稿してくださったので、ご紹介します。

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文芸作品を神秘学的に読み解く(25)

『大草原の小さな家』 ローラ・インガルス・ワイルダー

森和久のポートレート

森 和久

 

皆さんご存じ、人気テレビ・ドラマ・シリーズ『大草原の小さな家(Little House on the Prairie)』の原作です。3人の幼い姉妹と両親からなるインガルス一家の物語で、次女のローラ・インガルス・ワイルダー(Laura Ingalls Wilder)が子どもの頃の実体験を元に書き綴り1935年に刊行されました。シリーズの第3巻(ストーリーとしては第2巻)となります。

時は、1870年代、アメリカのウィスコンシン州にある大きな森で暮らしていたインガルス一家は、この森に住む人々が増えすぎ、暮らしづらくなり西部への移住を決めます。ローラはここで生まれました。親戚たちと今生の別れをし、住み慣れた森を後にします。この森での様子はシリーズの第1巻『大きな森の小さな家 (Little House in the Big Woods)』で描かれています。

一家は馬車に家財道具一切を積み、カンザス州へ旅立ちます。大変な苦労をし、ウィスコンシン~アイオワ~ミズーリ~カンザスと馬車を走らせ耕作地へと開拓できそうな、そして狩りの出来る野生動物も多そうな大草原に辿り着きます。

 

温かい日差しの中で、末っ子のキャリーは眠り、ローラは大草原の自然を満喫しています。そこに狩りから帰って来た父親のチャールズは言います「この土地は獲物で寿司詰め一杯だぞ」「ここには欲しいものは何でもある。俺たちは王様みたいなくらしが出来るんだよ!」インガルス一家は理想の新天地に巡り逢えたのです。

その大草原の片隅に自力で家を建てようとしますが、母親のキャロラインは作業中に足を怪我してしまいます。チャールズは1人で家を建て続けますが、1人では至難の業です。そんな時、チャールズが狩りに出た先で、近くに住むエドワーズ氏と知り合い、2人でお互いの家を建てることにし、家の建設については無事解決します。小さくとも素敵な我が家の完成です。

一家は他にも多くの困難に直面しますが、前向きな姿勢と適切な判断力で切り抜けていきます。直感力も発揮されます。「終わり良ければ全て良し (all’s well that ends well.)」というのがチャールズの口癖です。(元々はウィリアム・シェイクスピアによる戯曲のタイトル)

当時は開拓時代の終わり頃で、物のない開拓民は手作りで多くの物を賄(まかな)っていました。家は完成しましたが、入り口にドアはなく、窓にガラスもありません。近くの町まで、と言っても往復で4日かかりますが、やっと買い物に行けたチャールズは窓ガラスを買ってきます。その時の子どもたちの喜びようは大変なものです。風の日も窓から日の光が部屋の中に注ぎ込み、雨の日でも窓から外の大草原の景色を眺められるのですから。

ウィスコンシン州の農場

 

ある日、チャールズはローラと長女メアリーを連れ、いなくなったネイティブ・アメリカン(作中ではインディアン)のキャンプ跡地に向かいました。そしてネイティブ・アメリカンの焚き火跡を観察しているとローラとメアリーは土埃の中に色とりどりの綺麗なビーズを見つけ、2人で片手一杯ずつのビーズを拾い家に持ち帰りました。

家に帰ってローラは煌めくビーズを見て、「こっちは私の物」と言い、対してメアリーは、「キャリーには私のをあげるわ」と言いました。そして母親はローラが何か言うのを待っていました。でもローラは何も言いたくありませんでした。ローラはその素敵なビーズを自分のものにしておきたかったのです。

ローラの胸は熱くなり、メアリーがこんな良い子でなければ良かったのにと心底思うのでした。でもメアリーをこれ以上良い子にしたくない、「キャリーに私のもあげるわ」とゆっくり口を開きました。「私の寛大で思いやりのある子どもたちだわねえ」と母親は言いました。でもローラは内心ずっとメアリーが妬ましく、ビーズを欲しいと思い続けるのでした。

作者のローラは作中、姉メアリーの善人さと自分のわがままぶりを子どもならではの言動を交えて屈託無く描いています。その点も人気の理由の1つでしょう。

 

その人の現実は、その人が望んだ通りのものです。その人の信じている事が現実になるのです。ですから人の数だけ異なる「現実」があります。メアリーのように「キャリーが喜んでくれて嬉しい」と思えるか、ローラのように「自分の物がなくなって辛い」と思うかということです。

そして人間は成長していくべきものです。ローラもハイ・ティーンの頃には理解していることでしょう。(それらのことについてはシリーズの8作目『この輝かしい日々(These Happy Golden Years)』を参照ください)

ローラ役のメリッサ・ギルバート

ローラ役のメリッサ・ギルバート、1975年 / Wikimedia Commons (public domain)

 

冬になり、雨が続き、川も水嵩が増え橋もないので渡るのは困難を極めます。クリスマスが近付いて来ても川水はゴーゴーと音を立て、唸りを上げています。これではサンタクロースも渡って来られないでしょう。ローラとメアリーは塞ぎ込む毎日です。とうとうクリスマスになっても状況は変わらず、一家は暗いクリスマスの夜を過ごします。キャロラインは買い置きの白砂糖を子どもたちへのクリスマス・プレゼントにしようと考えます。

朝になって、ずぶ濡れのガチガチ震えたエドワーズ氏がやって来ました。激流の川を渡ってきたのです。エドワーズ氏が言うには、町でサンタクロースに会って、プレゼントを頼まれたので持ってきたということです。ローラとメアリーは大喜びです。それぞれのブリキのコップ(それまでは2人で1つのコップを使っていました)、キャンディ、小さなケーキ、そして1ペニー硬貨(2人には大金)がサンタクロースからのプレゼントです。2人の喜びようといったら徒(ただ)ならぬものです。素晴らしいクリスマスになりました。

多くの幸福があるのに、僅(わず)かな不幸を探すべきではありません。不幸は目に付きますが、幸福は見えにくいのです。それはすでに持っているものはさらに持つことはできないからです。そして受け取ったら感謝を忘れずに。人は与えただけのものを受け取ることも忘れずに。そういったことをこの物語は思い起こさせてくれます。

ウィスコンシン州の農場の冬

 

この物語のもう一つのテーマはネイティブ・アメリカンとの関わりです。チャールズのいないときに突然家にネイティブ・アメリカンが現れたことが何度かあり、キャロラインは殺されるのではないか、何かされるのではないかと戦々恐々でした。また、チャールズのいるときも突然現れ、その時はチャールズと食事をし、煙草を吸い合い、そのネイティブ・アメリカンは帰って行きました。

ローラは思います、「私はここがインディアンのテリトリーだと思ったんだけど。インディアンは怒っちゃわないかしら」と。ネイティブ・アメリカンに対して、ローラ、キャロライン、そしてチャールズのそれぞれが違った気持ちと認識を持っていました。近くに住むスコット氏は「良いインディアンは死んだインディアンだけだ」と言って憚(はばか)りません。チャールズは、決してそれには同意しませんでした。

そして後日、ネイティブ・アメリカンの大集会があり、白人を襲う、襲わないで大揉めしたのです。結局穏健派の主張が通ったようでインガルス一家は襲われずに済みました。ネイティブ・アメリカンに理解を示していたチャールズの判断は正しかったようです。いつぞや現れチャールズと面会したのはネイティブ・アメリカンの偉大なる戦士「ソルダ・デュ・シェーヌ (Soldat du Chêne)」で、彼が白人を殺したりするのを止めさせたということです。

 

ところが、インガルス家のある場所はネイティブ・アメリカンの居留地なので兵隊が追い払いに来るということになりました。それを聞いてチャールズは自分から出て行くことを決意します。そしてやっと安住の地を見つけたと思っていたのに大草原の小さな家を捨て、新たな住み処を求めて、インガルス一家はまた旅に出るのでした。(以後の物語はシリーズの4巻目以降に続きます)

もちろん、持ち前の明るさとポジティブ思考でインガルス一家はこれからも人生を切り開いていくのです。

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ふたたび本庄です。

 

インターネットで調べてみたところ、NHK-BSが現在、「大草原の小さな家」のリマスター版のシーズン4を放送しているとのことです。また、HuluやAmazonプライム・ビデオでも見られるようです。

ドラマは全シーズンで100話近く、本も何巻にもわたるので、コロナで自粛が勧められている今が一気に鑑賞、再鑑賞するチャンスかもしれません。

 

下記は、森さんの前回の文章です。

記事:『最後の一葉

 

では、今日はこのあたりで。

また、お付き合いください。

 

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