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不行動について

2021年7月9日


こんにちは。バラ十字会の本庄です。今年の梅雨はほんとうによく降りますね。東京板橋でも何日も雨が続いています。熱海で起きた災害は、ほんとうに痛ましいばかりです。

皆さんも、どうかくれぐれもお気をつけください。

 

当会のフランス代表が、自身の人気ブログに「不行動」(ノン=アクション)について書いていますので、今回はその文章をご紹介します。「不行動」とは耳慣れない言葉ですね。私も初めて聞きました。

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記事:「不行動について」

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン

 

人が何らかの表現をするとき、そのやり方には3つの種類があります。思考と発言と行動です。通常の見方から言えば、思考とは行動ではありません。なぜなら思考は、見ることや聞くこと、広く言えば五感で知覚することができないからです。

しかし私たちの思考は、自分や他の人に影響を与えます。私たちが肯定的な思いを抱いているとき、つまり思考の背後に好ましい感情があるとき、その影響は自分の体全体の健康にとって有益ですし、周囲にも好ましい雰囲気を作り出します。反対に、私たちが否定的な思いを抱いているとき、つまり好ましくない感情に支配されているとき、それは自分の身体に望ましくない影響を与えますし、周囲にも悪い雰囲気が広がります。

このことは、人間の思考がある種の振動であることに関連しています。人間の思考にはその性質によって、肯定的なエネルギーや否定的なエネルギーが伴っていて、それが周囲に伝えられます。

そのため、奇妙に思えるかもしれませんが、考えるということは心を用いて行動することだと言うことができ、身体を使った行動と同じように肯定的な影響や否定的な影響を周囲に与えます。

朝焼けの湖とボート、静かな風景

 

行動をしないこと

人間の心には、まったく考えないということができません。言い方を変えれば、活動しない状態に心を保っておくことはできません。ですから重要なのは、自分の思考をどのような性質のものにするかということです。

対照的に、人間は言葉を用いて活動しないこと、つまり沈黙を保つこと、くだけた言い方では「口をつぐんでいること」ができます。しかし、沈黙を保つことは簡単ではありません。というのも、私たち人間にはエゴ(表面的で自己中心的な自己)が影響しており、「私」という名のもとに自分を表現することを望む傾向があるからです。

沈黙を保っていられるようにする有力な方法は謙虚さを育むことであり、次の格言にできるだけ従うようにすることです。それは、「あなたが語ろうとしていることが沈黙より美しくないのであれば、口を開かないようにしなさい」というものです。

この格言は、バラ十字会員の多くが心がけようと日々努力している指針のひとつです。

静かにというジェスチャーをしている子供

 

まったく考えないでいること、つまり精神的に何の活動もしないことが不可能であるのと同じように、病気や障害によって妨げられているのでなければ、体をずっと動かさないでいることはできませんし、数時間でさえ身動きしないでいることはできません。

実際のところ、話したり移動したり、何かをつかんだり道具を用いたり、手短に言えば体を活動させることが日々の生活で必要になります。また実際に試してみると、完璧に体を動かさないことはとても難しいことが分ります。目覚めているときに人の体には動く必要があります。

それゆえに、神秘学(神秘哲学:mysticism)でたびたび語られることですが、体のことを「乗りもの」(vehicle)にたとえるのは適切なことです。

眠っているときに、私たちはほとんど活動しないと思われていますが、実際には、何度も夢を見て感情の起伏を味わい、まぶたを動かしたり、ひんぱんに寝返りを打ったりしています。私たちは実際のところ、死が訪れるまで、完全に活動しなくなることはありません。

竹、石、ロウソク、ハスの花、水

 

鋭い洞察から行う不行動

以上のような、生理的に活動しないこととは別の意味で、行動をしないということがあります。それは「不行動」(non-action:ノン=アクション)と呼ばれます。

不行動は、怠慢さや不注意や興味のなさや気のゆるみからではなく、ある特定の状況において、あることに関与せず反応しないことが、自分の利益だけではなく他の人たちの利益のためにも望ましいと考えて採用する態度です。不行動を採用するのは、行動しないということがおそらく、出くわした問題に対する最善の方策になると考えられる場合です。

「おそらく」と述べたのは、それが望ましくない選択になり、何も解決せずに状況を悪化させることにさえなってしまう可能性があるからです。そのような場合に私たちは「時すでに遅し」と感じ、不行動を選択したことを後悔することでしょう。

 

私たち人間はさまざまな状況に直面するので、不行動という選択を適切に行うのは難しいことです。なぜなら、ある状況においては、最善の方法で行動したときよりも行動しなかったときの方が深刻な結果を招くからです。

行動ではなく不行動という態度を適切に選ぶためには、鋭い洞察力だけでなく最善を尽くしたいという誠実な望みに突き動かされていることが必要です。不行動はまた、あいまいでなく明確な意図を持ってそうすることを意味し、目をつぶることではなく広い視野から行われることを意味し、暴力ではなく非暴力を意味します。

そのため、「聡明さへの愛」(love of wisdom)という哲学(philosophy)の本来の意味で、不行動は哲学的な態度だと多くの場合に見なされています。インドで生まれ、ヨーロッパと米国で活躍した哲学者で著作家のクリシュナムルティ(1895-1986)は次の言葉を残しています。「良く考え抜かれた不行動は、最善の行動にあたります」。

枯山水の庭園を見つめる女性のシルエット

 

著者セルジュ・ツーサンについて

1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。

多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。

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ふたたび本庄です。

 

コロナ禍をきっかけにして世界中で社会のさまざまな面が見直されようとしています。皆さんの多くも耳にされていることと思いますが、今は時代の転機にあたると多くの人が考えています。人類におよそ400年ぶりに訪れた大きな転換点だと考える人もいます。

都市に人が集中したこと、資本主義、消費社会、競争主義などが現代の主な特徴のように私には思われます。

そうすると、「不行動」は、次の時代がどのようになるのか、どうするべきなのかを考えるための重要なキーワードかもしれません。

 

以下は、前回のセルジュ・ツーサンの文章です。

神秘学のクイズ

 

では、今日はこのあたりで。

また、よろしくお付き合いください。

 

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