投稿日: 2022/01/07
最終更新日: 2022/08/08

読者の皆さま、あけましておめでとうございます。

 

バラ十字会の本庄です。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト

 

昨日は、東京では珍しいことに雪が積もりました。今朝は事務所も底冷えがしていて、暖房が効くまではと、携帯カイロを身につけ、ニット帽をかぶったまま仕事を始めました。

 

私が使っているカイロは、数年前に親しい友人からプレゼントしていただいたものです。とても優れたもので、毎冬愛用しています。

朝一番にこのカイロにベンジンを注入して点火します。たった大さじ1杯ほどのベンジンで一日中暖かさが続き、使い捨てのカイロよりもエコな感じが気に入っています。

何年も前からエコロジー(環境の保護)が社会全体で強く意識されるようになっています。ですから、もしかしたら携帯カイロは、世界中で爆発的な人気商品になるかもしれません。

 

さて、ESGという言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。ESGとは環境保護(Ecology)、社会問題(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を取った言葉です。この3つに積極的に取り組んでいる企業に優先して資金を投資するという方針(ESG投資)が世界中で広がっています。

より具体的に言えば、温室効果ガスの排出削減、生物多様性の保護、男女平等、地域社会への貢献、法令遵守、個人情報保護などに熱心な会社が、投資先として高く評価されます。

最近話をした、金融関係の仕事をしている知人によれば、ヨーロッパやアメリカではすでに大口の投資家の大部分がESGを判断の基準として採用しており、日本でもこの傾向が強まりつつあります。

投資家がこのような企業を選ぶのは、道徳的な理由と言うよりはむしろ、企業が安定した収益を上げ続けるために、ESGを重視することが不可欠だと考えているからのようです。

また、経営の手法としてもESGは注目されています。従業員の企業への愛着やモチベーションを強く保つために有効だとのことです。

 

 

ESGによく似ているものに、国連が2015年に採択したSDGs(Sustainable Development Goals)があります。SDGsは、「持続可能な開発目標」もしくは「持続可能な発展の目標」などと翻訳されています。

名前の通り、人類が今後も持続的に発展していくための目標を意味しています。

 

SDGsには、世界的な目標として17の項目が挙げられています。インターネットでどうぞ調べてみてください。先ほどのESGと同じように、人権の重視と環境の保護に関連する内容が数多く取り上げられています。

愛犬を抱く少女

 

バラ十字会も人権の重視と環境の保護のことを、人類が明るい未来を迎えるために特に重視するべき問題だと考えています。

当会は2014年にマニフェスト(Manifesto:宣言書)を発表していますが、このマニフェストでは、この2つに精神性の重視(spirituality:スピリチュアリティ)を加え、3つの主要テーマとしています。

マニフェスト「バラ十字友愛組織からあなたへの訴え」(Appellatio Fraternitatis Rosae Crucis)

 

人権の尊重と環境の保護は、人の内面の進歩に関連しているように私には思われます。人の内面の進歩はさまざまな形で外に表れますが、そのひとつとして、幸せを望む範囲が広がることが挙げられます。

 

人権についての歴史を振り返ると、幸せについての考え方に次のような変化があることが見て取れます。

18世紀以前の人類の大部分は、自分とは違う宗教や民族の人が幸せであろうとなかろうと、そのことにほとんど関心を持っていませんでした。

しかし産業革命以降、自分とどれほど異なっているとしても、世界中のすべての人たちが幸せであることを望む人たちが、着実に増えてきました。

このことは、歴史に大きな影響を与え、たとえば、世界中で奴隷制が廃止されました。また、多くの国で人種、性別、信条にかかわらず、あらゆる人に、教育を受ける権利、機会の平等、幸福を追求する権利、選挙権が保証されました。

人権尊重のイメージ図

 

子供の発達を観察すると、幸せを望む範囲が広がるという傾向は、人の心にとって自然なことのように思われます。

子供が自分と他人を区別することができるようになるのは、6ヵ月から1歳ごろだと言われています。その後、子供は自分の快適さだけでなく母への共感を示すようなり、さらに、家族全体が大切な存在になります。

それ以降は、教育に大きく影響されるようですが、思春期に地域社会、国家、世界へと目を向けるようになっていきます。

鏡を見て自己認識をする幼児

 

幸せを望む範囲が広がるということは、今も多くの人たちの心の中で、当然のように続いていることでしょう。しかし、心理学の幾人かの専門家の指摘によれば、現在は人類の転換期にあたり、やや様相の異なる変化が進行しているようです。

 

それは、人間だけでなく、地球に住むすべての生きものの幸せを望む人たちが増えているという変化です。

人権の尊重に加えて、環境の保護が重視されるようになったのは、この変化の表れだと思われます。地球環境が健全に保たれなければ、多くの生きものが幸せでいることができないからです。

また、アニマルウェルフェア(動物福祉)ということも唱えられるようになり、動物の虐待が強く非難されるようになりました。EU(欧州連合)では、豚やニワトリのケージ飼育が段階的に廃止されようとしています。

生物種を超えた協力のイメージ図

 

以上のことに関連していますが、2012年にブラジルの国会上院で、バラ十字会の当時の世界総本部代表が下記の文章を発表しました。

* * *

21世紀の始まりであり3度目の千年紀の幕開けにあたる現在、私たちの星は、ひいては人類の生存は重大な危機にさらされています。

忘れずにいましょう。私たちが生きている地球という星は、40億年以上もの昔から存在している一方、私たちが知っているような人類がこの地球に出現したのは、たかだか300万年ほど前にしか過ぎないことを。そして、その人類が、この100年足らずのうちに地球を危機に陥れてしまったことを。

忘れずにいましょう。地球の3分の2を覆っているのが水であることを。そして、私たち自身の体の75%が水でできていて、水なしには生きていけないということを。

忘れずにいましょう。森は、私たちが吸い込む酸素を作り出す、いわば地球の肺なのだということを。森がなければ大気は存在せず、したがって生命も存在しないということを。

忘れずにいましょう。人類が出現する数百万年も以前から、地上には動物たちが暮らしていたのであり、私たち人類の生存は、動物たちに支えられているのだということを。また、動物たちが、知性を持った、感受性豊かな生き物であるということを。

猫と犬を脇に抱えた少年

 

忘れずにいましょう。自然界の4つの領域(鉱物界、植物界、動物界、人間界)は相互に依存していて、それぞれの領域の間には、すきまも明確な境界もないということを。また、そのそれぞれの領域は、異なったレベル、異なった形の意識を有しているということを。

忘れずにいましょう。地球は、自体が発生する電磁場に包まれていて、この電磁場が大気と連動して、生命に大きな役割を果たしているということを。

地球を取り囲む電磁場

 

忘れずにいましょう。私たちの星が存在することは、偶然の産物、すなわち時間と空間が引き起こした単なる偶発的な出来事などではなく、私たちが〈創造主/神〉と呼んでいる、かの〈宇宙の知性〉が考え出して、そして実行に移した〈計画〉の一環なのだということを。

忘れずにいましょう。地球とは、単に人間が存在することを受け入れてくれる星であるばかりでなく、様々な魂が人の体の中に生まれ変わり精神的な進化を遂げた後に、素晴らしい帰結を迎えるための環境でもあるということを。

忘れずにいましょう。私たちの星こそ、創造されたものの中でも最高傑作のひとつであることを。地球に似た星は、宇宙にただひとつだけあるのではないにせよ、たぐい稀な天体であり、人類がこの地に暮らせるということは、極めて大きな特権であるということを。

忘れずにいましょう。地球は私たちの所有物などではなく、私たちが一生を送る間だけ私たちの裁量に任されているに過ぎないのだということを。そして、地球こそ、未来の世代に受け渡すことのできるものの中でも、最も貴重な財産であるということを。

環境保護のイメージ

 

忘れずにいましょう。私たちは、地球に対していかなる権利も持っておらず、持っているのは、地球に敬意を払い、保護保全に努める義務だけであるということを――たったひとことで言うとすれば、地球を愛しましょう。

次の言葉を忘れずにいましょう。子供たちと一緒に覚えて、私たちみんなの標語にしましょう。

「地球と人は一心同体」(Terra humanitasque una sunt.)

* * *

 

今回は、人類の内面の進歩の表れであると考えられる、人権の尊重と環境の保護を話題にしました。

興味深く感じていただければ嬉しく思います。

 

では、この辺りで。

またお付き合いください。

 

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