投稿日: 2025/01/17
最終更新日: 2025/01/23

以下の記事は、バラ十字会日本本部の季刊雑誌『バラのこころ』の記事を、インターネット上に再掲載したものです。

※ バラ十字会は、宗教や政治のいかなる組織からも独立した歴史ある会員制の哲学団体です。

区切り

意識 - 最後のフロンティア
Consciousness – The Final Frontier

ビル・アンダーソン
By Bill Anderson

瞑想する男性

映画『スタートレック』では、各エピソードの冒頭に「宇宙、それは最後のフロンティア」というフレーズが流れます。ごく自然な表現に聞こえるかもしれませんが、私が生きている間に人類はすでに月面着陸を果たし、火星に探査機を送り、冥王星や太陽系の他のさまざまな惑星を驚くほど詳細に撮影し、さらには2機のボイジャー宇宙探査機を太陽系外の星間空間へと送り出しました。

私の考えでは、宇宙はもはや立ちはだかる壁ではなく、最後のフロンティアでもありません。人類にとっての真の「最後のフロンティア」は、意識という謎に満ちた領域に違いありません。意識を研究することで、人間であることの意味や、人類という生物種が何をなし遂げる運命なのかといった事柄の核心に迫る機会を得ることができます。人類のなし遂げたことの核心に私たちが至り、自分自身の内面の働きを完全に理解するならば、宇宙全体は私たちの前にその姿を自ずから明かし、人間という謎がついに完全に理解されることでしょう。

知恵の探求

私が学士課程で哲学を学んでいた頃、講師たちは、意識を研究する場合には2つのアプローチしかないと教えていました。それは、従来の科学用語を用いて意識を説明できると考えるか、あるいは、意識は科学では決して理解できない不可思議で神秘的なものだと考えるか、そのどちらかであるというものでした。私にはどちらの考え方も満足なものだとは思えませんでした。どちらにも「全て」か「無」かという取り組みのようなところがあり、中間的な考え方や、自分とは正反対の観点の諸要素に調査する価値があるという可能性を、かたくなに避けているように思われたからです。

カール・ユング
「私たち一人ひとりの内部には、得体のしれない別の何者かが潜んでいる」- カール・ユング

私は、なにごとに対しても科学的なアプローチが大好きなのですが、意識という現象に関しては、納得のいく説明に科学はまだ近づいてさえいないと思います。意識についての科学研究が他の科学と同じように行われるようになる日を私は心待ちにしていますし、きっとその日が来ると確信しています。しかしすでに、私の内部で考えているものは何か、つまり私の思考している部分とは何かについて、少なくとも現時点において信じるに値するに違いない考えを、私は所有しています。

バラ十字会員の多くは次のように考えています。すべての人間はソウル(soul:魂)を所有しており、何らかの不可解なやり方でそのソウルが意識を発生させます。適切に整えられた脳、身体、神経系が「根源的生命力」によって「点火」される準備が整ったときに、そこにソウルが宿るとその結果として、意識を所有し思考や感情を持つ人間と呼ばれる生きた存在になります。

「人間の進歩の鍵は意識の進化にある」。これはバラ十字会のある文書の言葉ですが、意識の正体は何か、そしてそれがどのようにして存在するようになるのかを理解するための長年に渡る探究の重要性を示しています。バラ十字会に伝えられていることによれば、意識はいかなる種類のものであろうとソウルが原因で生じる性質であり、それは生命の心という側面だと考えることができます。その働きには感覚、認識、思考が含まれており、思考の能動的な働きとしては想像力、願望、インスピレーションが挙げられます。意識は生命の核心であり、外側の世界(環境)と内側の世界(心の世界)のどちらにも意識を向けることができます。

さらに人間の内部には、超越的な崇高さを持つ意識が存在し、それには固有で独特な働きがあり、独自の領域で物事を認識するということもバラ十字会には伝えられています。このスピリチュアルな意識が内なる自己である一方、肉体的な意識は物質的な世界だけを対象にします。意識と生命力と精神は互いに関連していて、同時に肉体に入り、そして同時に肉体を去ります。(参考文献*1)

古代ギリシャの思想

意識を解明する試みは、古くは初期の古代ギリシャ思想の中にその萌芽を見出すことができます。バラ十字会の通信講座の第5段の学習カリキュラムには、そのさまざまな実例が解説されていますが、それらが後に汎心論として知られるようになった学説を指していることは明らかです。汎心論は、何が存在するのか、何が存在を出現させるのか、何が存在を実際そうあるように出現させるのかを問うことから真実の探究を始めます。

ギリシャの哲学者たちは「存在とは何か」を問い、さらには「現実」とは何かと、現実でないものは何かを論じました。この時人類は歴史が始まって以来初めて、「実際に存在する」ものは、人間が認識しているものとはまったく違うのではないかという疑問を抱いたのでした。そしてこの疑問こそ、私たちの知る限り、真の科学的探究の始まりを予感させるものでした。

ソクラテスより古い、古代ギリシャ哲学の黎明期の哲学者の一人で、現在のトルコの都市ミレトス(Miletus)を中心に活躍したタレス(Thales、BCE624-545頃)は、普遍的な精神に向かおうとする人間精神の性質について論じました。この主張の根底には、心を持った存在とは自ら動くものであるという考え方があります。タレスは、磁石や一定の状況下に置かれた琥珀が、ひとりでに動くことがある点に着目し、それは琥珀が心を有し、したがって意識を持っているからだと結論づけたのです。もちろん、磁石やマイナスの電荷を帯びた琥珀が、私たちが理解している心とは似ても似つかないものであることが今日では知られていますが、このようなテーマについて哲学的な思索が行われたのは、これが初めてのことでした。

ソクラテス以前の哲学者たちは、一つのジレンマに陥っていました。それは、心が宇宙を構成する基本要素であるのか、あるいは心がさらに基本的な要素に還元できるものなのかということです。もし、心が宇宙の基本要素であるという見方を選ぶならば、心という特徴を明らかに持たないものが根本的なレベルにおいて存在することを説明する必要がありました。クラゾメナイ(Clazomenae)のアナクサゴラス(Anaxagoras、BCE500-425頃)は、さまざまな要素がより基本的な要素から生じるという説を真っ向から否定し、「すべての個々のものの中には、万物全体(宇宙)がある」という考え方を提唱しました。

しかし、心に関するアナクサゴラスの見解は単純なものではありません。すべてのものには心(現代風に言えば「創造者の心」)の一部が宿っていると彼は考えていたように思われますが、すべてのものが心を持つとまでは言い切ってはいません。彼は、宇宙のことを無数に多くの材料から構成されたものだと見なしており、それらはヌース(nous、心)という、全体を支配する単一の原理によって秩序づけられコントロールされていると考えていました。ヌースは統一をもたらす宇宙の影響力であり、ヌースがさまざまな要素の活動と作用を絡み合わせて、世界という織物を作っています。宇宙の至るところに存在する心とは、漠然とした抽象的な心ではなく、本質的には動物の心と同じようなもの、つまり活発に活動するソウル(魂)です。現実世界に関する統一的な理論を打ち立てようとしたこの古代の哲学の試みの印象的な点は、心、とりわけ意識が特別な問題として常にテーマになっていたことです。

心の錬金術

錬金術は体系的な実験と化学の先駆けであっただけでなく、意識に関する首尾一貫した科学を創造しようとした最初の試みでもありました。初期の自然哲学者たちは、精神の中身を客観的な現象として扱い、自分たちの実験室で用いられる普遍的な操作によって、暗い鉛色の心を、輝く黄金の心に変えられると考えていました。

錬金術の背後にあるヘルメス哲学は、人間の思考や感情は宇宙全体の思考や感情であると説いていました。錬金術に固有のこの視点からは、心の構造に対する深い洞察が生じました。錬金術師たちは意識のことをある種の自然の力とみなし、論理と直観を結びつけ、客観的現実と主観的現実を一体化することによって、この自然の力を手なずけられると考えました。現代の統一理論を探究する人たちと同じように彼らは、自然界においても、自分自身の精神やソウルにおいても、さらには単一の宇宙精神においても通用する普遍的な原理を、唯一の真の哲学として探究していました。その結果得られる心と物質についての観念は、賢者の石についてのより正しい理解に導いてくれます。この理解では、賢者の石は物質というよりは、心の状態だと言うことができます。(*2)

汎心論

「私たち人間を人間たらしめているものは、結局のところ、人間に特有のものではないかもしれない。」- ディヴッド・アッテンボロー

汎心論(panpsychism)とは、すべてのものには心あるいはそれに似た性質があるという考え方です。この言葉自体は、16世紀のイタリア人哲学者フランチェスコ・パトリツィ(Francesco Patrizi、1529-1597)が作った造語で、ギリシャ語のパン(pan:すべて)とプシュケ(psyche:魂または心)という2つの言葉に由来します。

「汎心論」という言葉は文字通り、「すべてのものには心がある」ことを意味します。しかし、自然界において心は、基本的でいたるところに存在するものであるという考え方だというのが、今日の一般的理解です。その主張の根本には、細胞などの微少なレベルのものにも心があり、そのような例は物質世界全般のあらゆるものの中に見られるという考えがあります。

汎心論は現代の用語ですが、その考え方は、東西の哲学史において古くから立派に存在しており、近年、哲学界で再び脚光を浴びています。汎心論を支持する人たちにとって、この考え方は物理主義(訳注)と二元論との中間に位置する魅力的な考え方です。二元論とは、心と物質は根本的に異なるものであるという考え方ですが、この立場には、自然のあり方が根本的に統一されたものにならないという懸念があり、心と脳がどのように互いに影響を与えているかを理解することが極めて困難になるという恐れもあります。一方、物理主義はシンプルで統一された世界像を提供しますが、その代償として、人間や動物の意識の発生について十分な説明ができません。汎心論は、初めて耳にした方には奇異に聞こえるかもしれませんが、間違いなく統一された自然観であると同時に、人間の心に関して納得のいく説明を保証します。

(訳注:物理主義(physicalism):机や石のような物だけでなく、知識や心なども素粒子や電磁波などの物理学的対象の集まりと活動であると考える立場。観念論や二元論と対立する。)

哲学者の中には、宇宙に存在する文字通りありとあらゆる対象、あらゆる対象のあらゆる部分、そして複数の対象からなるあらゆるシステムが、心に似た性質を備えていると主張してきた人もいれば、もっと限定的に、ある範囲の特定の種類のものだけに心がある、あるいは、少なくとも原子などの微少な存在に心があるという説を唱えてきた人もいます。

目
「私たち人間を人間たらしめているものは、結局のところ、人間に特有のものではないかもしれない」- ディヴッド・アッテンボロー

現代の考察

意識はどこから来るのか? 意識が脳の働きによる特別なものではなく、すべての物質に備わっている性質であるとしたら? エルヴィン・シュレディンガー(Edwin Schrodinger、1887-1961)はこう述べています。「意識を物理的な用語で説明することはできない。なぜなら、意識は絶対的に根源的なものであり、他のいかなるものによっても説明されないからである」。現代の思想家の見解をさらに見てみましょう。フランスの哲学者アンリ・ベルクソン(Henri Bergson、1859-1941)は、その著書『持続と同時性』(Duree et Simultaneite, 1922)の中で次のように書いています。

「私たちが立証したいのは、意識の介在なしには、途切れることのない現実世界について語ることはできないということだ。(中略)記憶という要素、したがって意識という要素なしには、以前と以後をつなぐ結びつきについて想像したり考えたりすることは不可能である」。

アンリ・ベルクソン
アンリ・ベルクソン

最近の哲学の多様な発展は、これまで西洋哲学を覆っていた汎心論への嫌悪感を逆転させる一助になっています。1970年代以降、形而上学に向けられていた敵意は徐々に後退し、現在では、分析哲学の伝統に属する多くの哲学者が、形而上学を避けて通れないものとして受け入れています。そして20世紀末から21世紀の今日に至るまで、物理学者が意識について満足な説明を打ち出せずにいることから、多くの哲学者がその代替案を模索し続けています。この2つの結果として、人間の意識がどのように生じるかについて十分な説明を提供するためにも、物質の本質について肯定的な説明を与えるためにも、汎心論の可能性を真剣に探究する分析哲学者たちが、いまだに少数派ではあるものの増加し、その影響力も増しつつあります。

標準的な見方では、意識は高度に進化した生物の脳の中にだけ存在するのであって、したがって意識は宇宙のほんの一部にしか存在せず、意識の歴史は、まだ極めて浅いとされます。しかし汎心論によれば、意識は宇宙に充満しており、宇宙の根源的な性質です。これは、万物に意識が存在しているという意味ではありません。汎心論の基本的主張として言えることは、現実世界を構成する根本的な要素、おそらく電子やクォークには、極めて単純な種類の経験があるということです。人間や動物の脳の極めて複雑な経験は、脳の最も基本的な部分の経験から何らかの方法で引き出されているのです。

汎心論者にとって意識とは、物質に備わっている性質です。この考え方に立てば、物質があるだけであり、自然を超越するものも非物質的なものもありません。しかし、物質は2つの観点から捉えることができます。物理学は、物質をその挙動という観点において「外側から」説明します。しかし、「内側から」見た物質は、さまざまな種類の意識によって構成されています。

この考え方が私たちに提供してくれるのは、私たちの科学的世界観に意識を組み込む美しくシンプルでエレガントな方法です。この方法によって、私たちが自分自身の内面について知っていることと、外側から見た物質について科学が教えてくれていることを、まるで結婚するかのように統合することができます。

意識を科学することには、肝心な部分に大きな難点があります。それは、意識は観察できないということです。電子の内部を覗いて、その電子に意識があるかどうかを見ることはできません。また、誰かの頭の中を覗いて、その人の感情や経験を見ることも、やはりできません。私たちが意識の存在を知っているのは、観察や実験を通してではなく、意識があるからです。他人の意識について知る唯一の方法は、その人に質問することです。「私はあなたの経験を直接知ることはできないが、あなたが何を感じているいるかを尋ねることはできる」のです。

また、すべての生きものがある種の意識を持っている可能性について考察すべきです。それは私たちの意識と同じではないかもしれません。たとえば、植物は日の光があたると花が開き、暗くなると閉じることが知られています。これは初歩的な種類の意識と言えるかもしれません。同様に、樹木は根を通してコミュニケーションを取っていると考えらます。

樹木は根を通してコミュニケーションを取っていると考えられる
哲学者の一部は、宇宙に存在する文字通りありとあらゆる対象が、心に似た性質を備えていると主張してきた。樹木は根を通してコミュニケーションを取っていると考えられる

人間は地球という範囲を超えて星々を見ることができ、そのようにして意識が成長します。しかしアリの巣を覗いてみると、個々のアリはそれぞれの意識を持ちながらも、同時に集団としての意識も持っています。これはミツバチも同様です。彼らの意識は私たちとは異なり、宇宙はもとより自分たちの生活圏以外の世界を知ることができないのですから、人間の意識よりも制約が大きいと言えるかもしれません。彼らが相手にし、したがって意識を向けているのは、自分たちの活動範囲だけです。

海では、さまざまなレベルの意識が見られます。ごく初歩的な意識から、極めて知能が高いと言われているタコのような生物種、そして知能の高さが最近発見されたイルカやクジラに至るまで、さまざまな意識が存在します。イルカやクジラは言葉を用いてコミュニケーションをとりますが、陸地や宇宙全体について何を知っているのでしょうか? 意識はどのようにして広がるのでしょうか?

アリの巣の中の個々のアリは、それぞれの意識を持ちながらも、同時に集団としての意識も持っている。これはミツバチも同様である
アリの巣の中の個々のアリは、それぞれの意識を持ちながらも、同時に集団としての意識も持っている。これはミツバチも同様である

宇宙意識

「私たちは意識を持つようになった宇宙であり、生命は宇宙が自らを理解するための手段である」ーブライアン・コックス

生命が存在するところなら宇宙のどこにでも意識が満ちあふれているということを喜んで認めるとしたら、次のステップは宇宙意識の概念です(*3)。バラ十字会AMORCの世界総本部名誉代表であるクリスチャン・ベルナールは著書『バラ十字会員の考察』(Rosicrucian Reflection)の中で、「宇宙意識とは何か?」という問いに答えています。彼の答えを要約するならば、宇宙意識とは「普遍的ソウル」(Universal Soul:宇宙の魂)によって生じている根本的な性質であり、「最も小さな生物から最も発達した人間まで」すべての生物体に現れています。

宇宙意識は、生きとし生けるものが自らの性質を完成させる方向に進化することを促します。私たちは自分自身を知り、自分の存在の最も深い部分に到達することを学ばなければなりません。彼はこの本の結びで、「宇宙意識を体験することに私たちが成功したときに、私たちは宇宙の意識、すなわち創造者の意識を成就したことになる」と述べています。

科学革命

雑誌『ニュー・サイエンティスト』(New Scientist)の2020年5月2日号にマイケル・ブルックス(Michael Brooks)が寄稿した特別記事が掲載されました。彼は意識の数理モデルについて論じ、その中でミュンヘン数理哲学センターのヨハネス・クライナー(Johannes Kleiner)が語った「これは科学革命の始まりかもしれない」という言葉を引用しています。ブルックスは、意識について研究している数学者についてコメントし、彼らの発見が示しているように思われるのは、意識とは何かという正確な記述を達成しようとするのならば、思い込みを捨てて、生命を持たないいかなる種類の対象も、もしかしたら宇宙そのものでさえ意識を有している可能性があることを受け入れる必要があるということだと述べています。(*4)

この科学革命は長い年月をかけてもたらされたものです。哲学者たちは数千年もの間、意識の性質について熟考しましたが、ほとんど成果を得られませんでした。そして半世紀前に、生物学者たちがこの問題に関わるようになりました。彼らは、脳細胞の活動と、クオリア(qualia)と呼ばれる主観的な感覚経験とが相互に関連していることを発見しました(*5)。そして、素粒子やその他の基本的な要素には単純な種類の意識が備わっており、それらが組み合わさって私たち人間の意識を作り出しているかもしれないと示唆しました。

意識にはレベルの違いがあるのでしょうか? 起きているときと眠っているときでは、意識のレベルが違うことは誰もが知っています。私たちは、この星に暮らすすべての生き物が、何らかの種類の意識を持っていることをすでに見てきました。しかしそれは、私たちに理解できない種類の意識であるかもしれません。それはちょうど、コロンブスが訪れる以前のアメリカ大陸にヨーロッパ人がいたとしても、その文化が理解できないようなものです。最新の研究によると、私たちの脳にある神経細胞の数は約900億個です。しかしそれらがどのように機能しているのかは謎に包まれたままです。(*6)

海には、さまざまなレベルの意識が見られる。イルカのような一部の海洋生物の知能の高さが最近発見された
海には、さまざまなレベルの意識が見られる。イルカのような一部の海洋生物の知能の高さが最近発見された

謎の解明

「地球とは、宇宙という広大な競技場に浮かぶ、極めて小さな舞台である」- カール・セーガン著『Pale blue dot』(1994年刊)より

私たちは時間と空間をさすらう旅人です。私は幸運なことに、地球上のあちこちを旅して、自分にとって「特別」と思われる場所をいくつか見つけることができました。一体それは何を意味しているのでしょうか。他のほとんどの場所とは違って、それらの特定の場所が特別であると私に感じさせたものは何なのでしょう。それは、私の意識がその特別な場所の意識に対して抱いた親近感なのではないかと思います。

南米アンデスの人たちは、無生物にもある種の意識があると考え、岩、山、小川などをほとんど神のように扱っていました。彼らは間違っていたとか、あるいは、彼らは山奥での暮らしで私たちよりも高度な精神的目覚めに達していたとか、そんなことを語るとしたら、私たちは一体何者なのでしょうか。コンキスタドール(訳注)がメキシコやペルーに初めて足を踏み入れたとき、彼らは単に理解していなかったのです。威厳に満ちた現地の人の意識と、心を通わせることもできず、理解することさえできなかったのです。

(訳注:コンキスタドール(conquistadores):16世紀にメキシコ、ペルーを征服してインカ、アンデス文明を破壊したスペインの征服者。)

私は、太陽や月を朝最初に見たときには必ず頭を下げて、それらを自分の意識の中に迎え入れることを日々実践しています。田舎を訪れ、格別に美しい景色を見たときも同じことをします。こうして宇宙意識に敬意を表しているのです。私たちの誰もがその一部なのですから。

バラ十字会に伝えられている汎心論では、この世界のすべてのものが「創造者」あるいは「神」あるいは「宇宙」と呼ばれているものの中に含まれていると述べられています。ですから、宇宙全体が私たちと同じように意識を持っていると考えても、それほど飛躍した話ではないでしょう。

地上の歌をすべて歌うことができ、地上の言語をすべて話せるのは、誰であろうか。夜空の星と海の小石を一つ残らず数えられるのは、誰であろうか。もちろんそれは、ラトビアのダイナ(訳注)に他ならない!

(訳注:ラトビアのダイナ(Latvian Daina):ラトビアで古くから口承によって伝えられてきた詩歌。その数は12,000以上に及び、歴史、自然、日常生活、愛や悲しみを扱っている。ここでは比喩的に、宇宙意識に触発されて創造された多様な芸術全体のことを指していると思われる。)

南米アンデスの人たちは、無生物にもある種の意識があると考え、岩、山、小川などをほとんど神のように扱っていた
南米アンデスの人たちは、無生物にもある種の意識があると考え、岩、山、小川などをほとんど神のように扱っていた

参考文献

  1. The Rosicrucian Manual – 1972 edition.
  2. The Roots of a Science of Consciousness in Hermetic Alchemy by Dennis William Hauck, Ph.D in the Rose+Croix Journal Vol. 11 (2016).
  3. “Rosicrucian Reflections“ Chapter 9.
  4. “Here, There, Everywhere” in New Scientist, 20 May 2020, pp. 40-44
  5. IBID.
  6. “Your Conscious Mind”, ISBN: 978-1-47362-962-2.

※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

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