投稿日: 2024/11/01

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

意識とは何でしょうか。哲学者デカルトは「我思う、ゆえに我あり。」という言葉で意識とは何かを表しました。

つまり、大まかに言えば、「今していることが自分で分かっている」こと(自己意識)が意識の働きだと考えました。

感動は、このような自己意識と深く関わっています。自己意識がなければ、たとえば「ああ、夕焼け空が赤いなあ!」と実感するというのは考えにくいことです。

そこで、「心の哲学」という分野の現代の研究者の多くは、夕焼け空の質感を感じることも意識の働きの一種であり、自己意識と同様に、脳の働きを超越している(脳の機能だけでは説明できない)と考えているようです。

参考記事:『デカルトの心身二元論とは?他説の例と合せてわかりやすく解説

科学による意識の定義(イメージ)

それに対して、唯物論の立場をとる哲学者の多くは、意識とは単に脳の活動から生じる働きだととらえているようです。

もしそうだとすると、人間の神経細胞の働きと学習過程をまねして発達してきたAIは、意識を持っている、あるいはいずれ意識を持つと考えなければならなくなるように思います。

このことについて、以前に下記の記事を書きましたので、興味をお持ちの方はご一読ください。

参考記事:『生成AIは危険?芭蕉の俳句についてChatGPTと真剣に議論して分かったこと

さて、当会のフランス代表のセルジュ・トゥーサンが、自身の人気ブログに意識をテーマにした文章を書いていますので、ご紹介します。

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バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン
バラ十字会フランス本部代表セルジュ・トゥーサン

人間の意識の働きが存在しているのは脳のおかげだと、多くの科学者が考えています。この考えの延長として、脳の活動の結果として脳波計に表示されるデルタ(δ)波、シータ(θ)波、アルファ(α)波、ベータ(β)波のことを人間の意識と同一視している人さえいます。確かに、思考、記憶、想像など、人のさまざまな精神の働きが、脳によって作り出されるのを否定することはできません。しかし、物質からなる体だけが意識の所在地なのでしょうか。バラ十字会の見地から申し上げると、答えは「いいえ」です。物質からなる体は、外面的な意識の所在地であり、この意識は、人の意識の中でもいわゆる「死」と呼ばれているできごとによって失われる部分にあたります。

ご存知のことと思いますが、昏睡状態にあり、脳波計が脳の活動を示さなかった人が、数ヵ月あるいは数年後にその状態から“生還して”、その間に起こった出来事について話すことがあります。このことによって、脳の活動の範囲を超えたレベルで、できごとを知り理解する能力が人にあることが立証されています。なぜこのようなことが起きるのかと言えば、意識が脳だけによって作り出されるのではなく、それどころか、意識とはむしろ魂の働きだということがその理由です。この観点から言うと魂とは、五感の状態にかかわらず、“見たり”、“聞いたり”、“考えたり”することができる精神エネルギーで述べることができます。

愛犬を抱きしめる女の子

意識を持つのは人間だけだと考えることは、犯してはならないもうひとつの誤りです。種類はさまざまですが、すべての生き物に意識が存在しています。また、すべての動物には意識と感覚があります。もちろんある種の動物は、他の動物よりも高いレベルの意識を持っています。たとえば犬には、ミミズよりもはるかに高いレベルの意識があり、人に比べても「ただ、話すことができないだけだ」と言われることもしばしばです。植物にもまた独自の意識があります。ある種の植物は互いに“交信”していることが知られており、人の声や音楽に反応する植物もあります。しかし、これらの植物には、脳も神経系もありません。

植物の蔓を歩くテントウムシ(動物と植物の意識のイメージ)

意識のことを魂の働きであると考え、動物と同じように植物にも知覚能力があるとするならば、原始的なレベルであるとしても、動物や植物には魂が存在していると言えるでしょうか。バラ十字会だけでなく他の多くの思想に共通した考えですが、あらゆる生き物には共通して、普遍的ソウル(Universal Soul:宇宙の魂)が宿っています。そして宇宙意識(Universal Consciousness)は、この普遍的ソウルの働きです。まさにこの理由から、あらゆる生き物に意識があると言うことができます。そして、ある生物が進化すればするほど、その生物に宿っている普遍的ソウルは、より明確な個性を得ます。もちろん、地球の生物進化の最前線にいる人間には、はっきりとした個性を得た魂が宿っていて、洗練された意識があり、自己や他の人や周囲の状況を意識しているだけでなく、自身の本質や自身の聖なる源を自覚することができるようになる能力があります。神秘学(mysticism:神秘哲学)の考えでは、このことがまさに、地上で人間が生きる目的です。

公園で瞑想する女性の後ろ姿

最後に述べますが、意識が魂の働きであり知性が脳の働きであるとすれば、知性は、必ずしも魂の進歩を判断する基準ではないことになります。ですから、高度な知識と教養を備えた人の中にも、芸術・倫理・哲学などに表れている崇高な精神性(spirituality:スピリチュアリティ)に興味を示さない人もいれば、あらゆる人間を尊重するという考え(humanism:ヒューマニズム)を持ち合わせていない人もいます。反対に、教育を受けておらず、文化的には洗練されていない人の中にも、成熟した心を持ち、日々の生き方に優れた知恵が表れている人もいます。そして、この知恵こそが、バラ十字会員の多くが「心の知性」と呼び大切にしているものにあたります。

胸に手を当てて内省する女性
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下記は前回のセルジュ・トゥーサンの記事です。

参考記事:『進歩とは?その類義語|「進歩」と呼ばれている全てのことがほんとうに望ましいことなのか

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執筆者プロフィール

セルジュ・トゥーサン

1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。 多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。

本庄 敦

1960年6月17日生まれ。バラ十字会AMORC日本本部代表。東京大学教養学部卒。 スピリチュアリティに関する科学的な情報の発信と神秘学の普及に尽力している。 詳しいプロフィールはこちら↓
https://www.amorc.jp/profile/

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