投稿日: 2022/08/04
最終更新日: 2023/03/20

こんにちは、バラ十字会の本庄です。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト

◆ 二分二至と古代人

さて、最近たまたま見たテレビ番組で、ストーン・ヘンジのことが紹介されていました。皆さんもご存じのことと思いますが、イギリスのソールズベリーの近郊にある、巨石からなる古代遺跡です。

この遺跡の中心部には、3~4重の同心円に沿って大きな石が立てられているのですが、その円から離れた外側にも、いくつか石が立てられていて、そのうちのひとつに、ヒール・ストーン(heel stone:かかと石)という特に目立つ石があります。夏至の日に円の中心から見ると太陽がヒール・ストーンの方向から昇ってきます。

ストーン・ヘンジとヒール・ストーン
ストーン・ヘンジとヒール・ストーン(手前)

またストーン・ヘンジには、春分と秋分、冬至の日の出の場所を示す石もあるそうです。

春分と秋分、夏至と冬至は、合わせて二分二至と呼ばれますが、世界中の他の遺跡の研究から、あらゆる土地の古代人がほぼ例外なく、二分二至に深い関心を抱いていたことが知られています。

その理由は、季節の移り変わりを正確にとらえることが狩猟、採集、農耕のいずれにも重要だったからのようです。

◆ 東という特別な方角

さて、春分と秋分に太陽が昇ってくる方角は真東にあたります。多くの古代文化で、東は特別な方角だとされていました。今回は、東という方角と古代人についての話題をいくつかご紹介したいと思います。

この図は、古代ケルト文化で用いられていた図案です。左の線は夏至の日に太陽が昇る方向、中央の線は春分と秋分の日に太陽が昇る方向、右の線は冬至の日に太陽が昇る方向を表しています。

二分二至の日の出の方向を表すケルト文化の図案

古代ローマには「光は東方から」ということわざがありました。これは、ローマの文化が、ローマの東に位置する古代ギリシャからもたらされたものであり、古代ギリシャの文化は、さらに東の古代エジプトやメソポタミアからもたらされたということを意味しています。

エジプトやメソポタミアは国外から傭兵を数多く雇っていたので、帰国したこれらの人々によってギリシャにその文化が伝えられたのだそうです。古代エジプトやメソポタミアを表す『オリエント』(orient)という語は、日が昇るというラテン語に由来しています。

◆ 宗教建築と方角

ところで、レオナルド・ダ・ヴィンチの書いたこの人体図を、皆さんもきっとご覧になったことがあるのではないでしょうか。人間の体の各部の寸法が、見事な比率に従っていることを表しています。

ウィトウィウスの人体図(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
ウィトウィウスの人体図(レオナルド・ダ・ヴィンチ)

古代ローマの建築家ウィトウィウスは、自身の著書『建築について』で、人体の寸法の比率には普遍的な調和が表れており、建築もそのような比率に従うべきだと主張しました。この人体図は、『建築について』に書かれている内容に沿ってダ・ヴィンチが作成したものです。

ウィトウィウスのこの本には『神殿はどちら向きにするべきか』という題の章があり、祈る人が東を向いて祈ることになるように、祭壇は建物の東側(日の出の方向)にするべきだと書いてあります。

しかし、ヨーロッパの大聖堂の多くは、実際の東に向けて建てられてはおらず、象徴的な東に向けて建てられています。

たとえば、世界で最も美しいゴシック建築とされる、フランスのシャルトル市にあるノートルダムの大聖堂は、聖母マリアが天に上昇したとされる8月15日の日の出の方角という、象徴的な東に向けて建てられています。

シャルトルにあるノートルダムの大聖堂
シャルトルにあるノートルダムの大聖堂

◆ アジアでの、「東」という方角の意味

話題を東洋に移しましょう。

青森県にある三内丸山遺跡は、縄文文化の壮大な遺跡です。直径が1メートルという巨大なクリの木の六本の柱が立てられていた穴の痕跡が発見され、大型の高床式の木造建築が復元されています。

三内丸山遺跡の六本柱
三内丸山遺跡の六本柱

六本柱は、日の出によって二分二至を知るための観測装置だったという説があります。六本の柱は、長方形の辺に沿って配置されていますが、その一方の対角線は、当時の真東を向いているとのことです。

中国の後漢時代の『説文解字』(せつもんかいじ)という本(西暦100年頃に成立)は、漢字の成り立ちを示した有名な字典です。この本によれば、「東」という漢字は、「木」のある場所から「日」が昇ってくること示す字だとされています。まるで三内丸山遺跡の六本柱のことであるかのようです。

しかし一方で、中国最古の文字である甲骨文字の研究が、『説文解字』の成立の後に行われるようになり、『説文解字』の数多くの説明が覆されています。

甲骨文字研究の大家、故白川静さんの説ですが、「東」という漢字は、元々は、小さい袋の上下をしばった形を表す象形文字であり、吹子(ふいご)などに使われるこの部品が「トウ」と呼ばれ、後に同じ音声で呼ばれる東という方角を意味するようになったのだそうです。

奈良時代に聖徳太子は推古天皇の名で、「日の出ずるところの天子、日の没するところの天子にいたす。つつがなきや。」という書き出しの手紙を、遣隋使に託したとされています。もちろん、東にある日本と、西にある中国(隋)のことを意味しています。

隋の皇帝はこの手紙を読んで激怒したと、中学校の歴史の時間に教わった覚えがあります。「日の出ずる」は国の発展、「日の没する」は国の衰退を暗示するからだそうです。しかし最近の研究では、隋帝が怒ったというのは、どうやら事実ではないとされているようです。

今回は、二分二至、東という方角と古代の人たちを話題にしました。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

またお付き合いください。

付記:今回の話題のいくつかは、現代書林さんから出版された当会の書籍『図形と数が表す宇宙の秩序』に詳しく説明されています。バラ十字国際大学の公認講師ルイ・グロースが一般向けに書いた、ライフワークともいえる本です。古代幾何学、数の象徴学、神秘哲学に興味をお持ちの方に特にお勧めします。詳しくは、下記のamazonのサイトをご覧ください。

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