投稿日: 2021/12/10
最終更新日: 2023/02/17

ヴィム・バーナード

私の妻にはある「欠点」があって…、いえ、訂正します、私の妻には素晴らしい「長所」があります。ネコを愛することです。実際のところ、妻は大きいものでも小さいものでも、あらゆる生き物が好きなのですが、中でも特に猫が大好きです。そして動物たちも、私には理解しがたいような熱意と献身で、妻に愛を返します。ありとあらゆる不幸な境遇の動物に妻が愛と思いやりを注いでいるとき、ほんとうに、妻の人生は満ち足りています。そして私にとって幸運なことに、妻は私を「名誉動物」と見なしてくれているので、この恩恵にあずかることができます。

ある日、妻は、目が見えない猫を家に連れて帰ってきました。これまでのところはこの1回限りですが、そのうちまた連れ帰ると確信しています。ときおり私が、ぺちゃんこの財布を指さすとき以外は、妻の動物に対する優しさには限りがありません。ペットの世話は決して安く付くものではありませんが、もちろん命には替え難いものです。我が家の子どもたちと同じように、動物たちは私たちとともに成長し、大人になり、あらゆるものを私たちと分かち合います。子どもたちはすぐにこの猫の名前を思いつきました。バンピー(Bumpy)です。たぶん、この猫がよく家具にぶつかる(bump)ためです。

悪戯っ子たちにとって、目が見えない猫はあらがい難い誘惑の的になることに私は気づきました。5歳の息子ディランは動物好きだと私は断言することができますが、彼は障害物コースを作って、「名前を呼んで、バンピーが椅子にぶつかるかどうかを見ようよ」と大声を上げました。バンピーは喜びの声を上げ、いくつもの障害物の間に入ると体を震わせました。しかし、気立ての良いバンビーは、呼んでいる息子の元へたどり着こうと何度も何度も通り抜けようとしました。私は何て残酷な行為だと怒り、息子を厳しく叱りつけようとしているときに、バンピーに同情した7歳の娘のアンジェラが声を上げ、飛び出して、猫を抱き上げ、誰にも渡すまいと座り込みました。アンジェラが、膝の上でボールのように丸くなった猫をなでてあげると、バンピーはゴロゴロと喉を鳴らし続け、すぐに娘と猫は一緒にぐっすりと眠ってしまいました。

猫は必ず足から着地するという法則が、バンピーにも当てはまるかどうかを、特に悪戯好きな友だちが調べようとしました。そこで、その友だちはベッドの上に立ちバンピーを逆さまに持ち上げると、手を放しました。猫はなぜ必ず足から着地するのか私は知りませんが、この残酷な実験をもう一度やろうとするのを止めさせる前に、ベッドに叩きつけられる音で、私たちは皆、目が見えない猫は足から着地しないことを知りました。目が見えない猫は、背中か体の横を地面にぶつけ、決して足から着地することはありません。ベッドは柔らかいのでバンピーが怪我をすることはありませんでしたが、この実験を何度も繰り返す間、バンピーはいっときも止めずにゴロゴロと喉を鳴らし続けました。バンピーの目が見えたとしても、同じように優しい性格であったとは思いますが、完全に目が見える他のペットたちで、この素敵な小さな猫と同じくらい気だてのよい動物は一匹もいません。

バンピーは、私たちの好意を確かに得るために特別に良い性格になることで、その障害を何とかして補おうとしているのかもしれないと考えたくなりますが、それはばかげた考えでしょうか。私のソウル(soul:魂)が、今までで最も思いやりにあふれたときと同じくらい、思いやりにあふれた洗練された猫のソウルを、私はこの小さな生き物の中に見いだしました。どんな苦労があるとしても、バンピーは私たちのために存在しているのかもしれません。目が見えないがゆえにバンピーは、他の猫よりも多くの努力を重ね、まさしく「成熟したソウル」の性質である、寛大さと周囲を和ませる魅力を備えているのかもしれません。

その障害にもかかわらず、バンピーが、どれほど優雅にトラブルを克服するかということは、いつも私の驚きであり続けています。バンピーの聴覚は研ぎ澄まされ、飛び回る蛾の位置を捕まえようと空中に飛び上がる前に、正確に把握します。バンピーが見事に捕らえるところをまだ一度も見たことはありませんが、裏庭の背の高い草むらで幸せそうにしなやかに跳ね回る陽気さを見ると、自分の存在を小さく感じます。なぜ私は、それほど幸せではなく、人生に対してあまり感謝できないでいるのでしょうか。やはり、私は目で見ることができるからなのかもしれません。うちで飼っているビーグル犬の汚れた足を愛情を込めてなめて、全部の汚れを取ってあげるようなバンピーの忍耐や優しい気持ちは、美と愛の賜であり、私たちがすべての動物をどのように扱えばいいのか、また少なくとも私にとっては、特に他の人とどのように接すればいいのかを根本から教えてくれます。バンピーがこれほど温厚で寛大でいることができるのですから、私たちはバンピーと同じ進歩のレベルに達して、同じ行いをしなければなりません。バンピーは一緒に寝ようと決めた子どもの寝室をいとも簡単に見つけ出し、台所にある猫用の小さな出入り口を、まるで広い扉かのように通り抜けます。悪戯っ子にいじめられても、バンピーは冷静に穏やかさと我慢強さを保ち、喉をゴロゴロと鳴らして子どもたちへの愛を表し続けています。バンピーは、愛という名の命ある贈りものです。バンピーと出会うことができた運命に、感謝しても感謝しても、感謝したりないほどです。

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