まえがき
さまざまな機会にご紹介していますが、20世紀の初めに再興された薔薇十字団である当会(バラ十字会AMORC)は、宗教や政治のいかなる組織からも独立した歴史ある会員制の哲学団体です。そして、神秘学派(mystery school)であり友愛組織であるという特徴を持っています。
しかし「神秘」は、誤解されがちな言葉です。超自然的な現象や能力のことを意味すると考える方や、人間によってまったく解き明かされていない事柄を指すと考える人がいます。実際のところ、神秘とは自己の内面の成長に役立つ、特定の集団で古くから伝えられてきた、世界と人生についての知識のことを指します。
当会のフランス代表が、自身の人気のブログで、このことを解説した記事をご紹介します。
記事:バラ十字会AMORCと「神秘」という語にはどういうつながりがあるか

AMORCについて
17世紀の初めに、薔薇十字団(バラ十字会)が世に姿を表したとき、それは単に「バラ十字会」(Ordre de la Rose-Croix)もしくは「バラ十字友愛組織」(Fraternité des Rose-Croix)と呼ばれていました。当時は極めて会員数が少なく秘密に活動をしていましたが、それは宗教的迫害と政治的迫害から身を守るために必要だったからです。その後の数世紀の間に薔薇十字団は様々な名称を用いましたが、そこには常に「バラ十字」(Rose-Croix)と「会」(Order)という言葉が含まれていました。1909年に薔薇十字団が再興されたとき、それはバラ十字会AMORCもしくはAMORCという名前で知られるようになりました。AMORCはラテン語「Antiquus Mysticusque Ordo Rosae Crucis」の頭文字を取ったものです。直訳するとこの語は「古代神秘バラ十字会」となります。それ以来、当会は世界中で活動しており、人種、国籍、文化、社会的な階級、宗教を問わず、あらゆる人たちが集まる団体になっています。

「古代」(Antiquus)という修飾語
「古代」という語は、バラ十字会が最近始まった運動ではないことを示しています。前述の通り、バラ十字会が社会に知られるようになったのは17世紀であり、1614年、1615年、1616年にそれぞれ出版された『バラ十字友愛組織の声明』、『バラ十字友愛組織の信条告白』、そして『クリスチャン・ローゼンクロイツの化学の結婚』という3つの宣言書が、そのきっかけでした。数年後の1623年、バラ十字会員たちはパリの街中にポスターを掲示し、真剣な探求者をバラ十字友愛組織へと招いたため、さらに多くの人に知られるようになりました。しかし伝統という点では当会はさらに古く、その起源は古代エジプトの神秘学派にまで遡ります。17世紀の有名なバラ十字会員であるミヒャエル・マイヤーは、著書『静寂』の中で「我々の起源はエジプトでありバラモン教であり、かつ、エレウシス神秘学とサモトラキ神秘学であり、さらに、ペルシャの賢者、ピタゴラス学派、アラブの民である」と述べています。
「神秘」という語
「神秘」(Mysticusque)という語には、しばしば「奇妙な」「風変わりな」「常軌を逸した」などの同義語として、軽蔑的な意味を与えられがちです。
そのためこの言葉は、非理性的で、世界に関心がないように思え、社会にとって重要でない人たちを表すために用いられることがあります。しかしこの言葉は、「密儀」(訳注)を意味するギリシャ語の「ムスティコス」(musticos)に由来しています。ここから派生した「神秘学」(mysticisme)という語は「存在の神秘の探究」を意味します。この観点からすれば、「世界と人生の神秘」に関心を抱いているバラ十字会員の集まりが「神秘」と形容されるのは妥当なことです。世界と人生の神秘とは、さらに具体的に言えば、世界の起源、神の概念、魂の性質、意識の働き、人生の目的、死という過程の段階など、スピリチュアリティや形而上学に関するテーマのことです。
訳注:密儀(mysteres):特定の人だけが参加することができ、そこでその集団の持っている秘密の知識が明かされる儀式。
AMORCがまさに目的としていることは、これらのテーマと他の多くのテーマに関する、バラ十字会の伝統的知識を会員の方々にお伝えすることです。それと同時にバラ十字会は、人道主義的な哲学を提唱しています。この人道主義の基礎にあるのは、すべての人は自己を超越して、自らと社会の利益のために自身の最良の部分を表現できるという考えです。

バラ十字会の神秘学
以上の説明に照らして考えると、バラ十字会の形容として「神秘」という言葉が用いられている場合、それは古代の神秘学派と伝統的につながっていることと、人生に関する神秘をより深く理解することを目的とした情報を伝え続けていることを示しています。
この点において、バラ十字会の神秘学は、信仰ではなく知識に基づいていると言うことができます。バラ十字会員の多くには、観念論(訳注)的な傾向があり、魂(soul)や、宗教的な意味ではなく神秘学的な意味の神(創造主)が存在すると考えています。つまり神のことを、天国にいて世界や人類を支配しているスーパーマンではなく、個人とは無関係な法則という手段で、世界全体に働きかけている普遍的な知性と捉(とら)えています。
訳注:観念論(idealism):唯物論に対立する考え方。物(物質)でなく心(精神)が世界の根源であるとする。
神秘学派
神秘学派に関する興味深い事実があります。それは古代エジプトのほぼすべての神殿(ルクソール、カルナック、フィラエ、エドフ、コム・オンボなど)に神秘学派が存在していたということです。人々のためにそこで執り行われていた宗教的儀式と並行して、神秘家たち(男性も女性も)は定期的に集まり、宇宙、自然界、そして人間自体についての神秘を研究していました。時が経つにつれて、古代ギリシャや古代ローマ、そして中世とルネサンス期のヨーロッパへと受け継がれた知識体系がこの研究から生じ、17世紀の初めにバラ十字会員によってその大部分が集められました。そしてやはりバラ十字会員が、それを今日まで伝えてきました。バラ十字会AMORCはこのことが理由で、古代エジプト、ギリシャ、ローマの神秘学派と自体との間に伝統的なつながりがあることを主張しています。

冒頭で話題にした、自己の内面の成長に役立つ、特定の集団で古くから伝えられてきた世界と人生についての知識とは、具体的にはどのようなものでしょうか。
いくつか実例を列挙します。
- ・ 人間の心と宇宙意識の関係
- ・ 直観の働きを目覚めさせる方法
- ・ 瞑想のテクニック
- ・ 視覚像の活用方法
- ・ 人間を活動させている2種類の生命力とその増強方法
- ・ 身体と精神の成長を支配する7段階の周期
- ・ 誕生と死のときに起こること
- ・ 神秘体験について
これらをインターネット上で学習することができます。ご興味をお持ちの方は、下記のボタンを押して、さらに詳細をお読みください。
※上記の文章は、バラ十字会日本本部が発行しているメルマガ「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の記事のひとつです。このメルマガの購読をこちらから登録すると、毎週、配信記事が読めるほか、季刊雑誌「バラのこころ」(神秘・科学・芸術)のPDFファイルを年に4回入手することができます。
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第1号:内面の進歩を加速する神秘学とは、人生の神秘を実感する5つの実習
第2号:人間にある2つの性質とバラ十字の象徴、あなたに伝えられる知識はどのように蓄積されたか
第3号:学習の4つの課程とその詳細な内容、古代の神秘学派、当会の研究陣について
執筆者プロフィール
セルジュ・トゥーサン
1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。 多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。





