以下の記事は、バラ十字会日本本部の季刊雑誌『バラのこころ』の記事を、インターネット上に再掲載したものです。
※ バラ十字会は、宗教や政治のいかなる組織からも独立した歴史ある会員制の哲学団体です。

子供のサイキック能力
Psychic Faculties of Children
H・スペンサー・ルイス博士
By Dr. H Spencer Lewis

子供は、一歳ほどの幼い時期からサイキック(訳注)能力を現し始めることがあります。私たちが念頭に置いておくべきことは、第一に、子供のサイキック能力が高度に発達しているということ、第二に、子供の生活の極めて早い時期には、人生についての物質主義的な見方によって、サイキック能力がそれほど妨げられてはいないということです。実際、子供の心は超感覚的な影響を自然に受けており、1歳から5歳までの間の平均的な子供たちは、客観的機能(五感)によって見聞きしている以上にサイキック能力によって、興味深く魅力的な性質のものを見たり聞いたりしていることが多いと言っても過言ではありません。
(訳注:サイキック(psychic)能力:超感覚的能力。五感を通さない知覚や非物質世界の認識、予知などの能力を指し、超心理学(para-psychology)の分野で研究されている。)
幼い子供にとって、世界の少なくとも半分はサイキックな世界(非物質的な世界)であり、半分は物質的な世界です。子供の幼い心にとってサイキックな世界は、ほとんどの大人にとって客観的な世界がそうあるのとまったく同じぐらい現実的であり、自然で普通な世界です。だからこそ、幼い子供たちはおとぎ話や、大人たちの一部が荒唐無稽な夢と呼ぶような物語に興味を持ちやすいのです。かすかに見える妖精や、動き回ったり空中に浮かんでいたりするほとんど透明な人についての話や、空に見える幻想的で美しい世界や国の話をするのは子供にとって難しいことではありません。なぜなら子供はいつでも、そのようなかすかに見えるものやほとんど透明なものたちが空中に浮かんでいたり動き回っていたりするのを見ているからです。そこには妖精の国のさまざまな美しい光景があるのですが、彼らより年上の私たちは、サイキック能力を再開発し目覚めさせない限り、それを知ることはありません。
遊んでいるときに、何もしゃべらなくなり深い物思いに耽っているように見える子供たちの多くは、実は超心理学的な何らかの状態と同調しており、それを観察したり調べたり、場合によっては分析しています。こうした子供たちに最初に訪れる大きな衝撃は、周囲の大人たち、特に自分の親が、自分が見たり聞いたりしているものと同じものを見ても聞いてもいないのを徐々に理解することです。その次の衝撃は、子供たちが見たり聞いたりした不思議で美しいものについて話し始めたときに訪れます。彼らの親や他の大人は、あなたは間違っていて、そんなものは存在しない単なる想像だとその子に言います。ここで、その子は選択に直面します。親の言うことを信じて、何らかの理由で自分の心が間違ったものや存在しないものを作り出しているのだと納得するのか、あるいは親が大きな勘違いをしていて、自分の心が正しいと考えるかです。

現代では、私たちの誰もが子供の心理について十分な知識を持ち合わせており、親の誠実さと知識、信じられないほどの能力に対して、子供たちが驚くべき強い信頼を発達させることを理解しています。子供時代のかなり長い期間、子供は親を知恵と力の神であるかのように見ています。そのような子供たちにとって、親が自分をだましたり、わざと嘘をついたり、意地悪なことや卑劣なこと、ごまかしのようなことをしていると考えるのは衝撃的なことです。子供の心にはこうした傾向があるので、子供たちが親の言葉を「絶対的な規範」として受け入れ、自分が見た妖精や、目に見えなかったり透き通ったりしているものは存在しないと言われたときに、自分の印象を疑い始めるのは当然のことです。
先ほど述べたように、それまでに見たり聞いたりしてきた精妙なものへの信頼を少しずつ築き上げてきた子供の心にとって、このことは大きな衝撃です。そして、サイキック能力で知覚している事物の世界を粉々に砕き、否定し、破壊し、意識から消し去るという途方もない課題に直面することになります。それはちょうど大人である私たちが、これまで絶大な信頼を置いてきた物質世界の半分を破壊し、否定し、意識から消し去るように仮に求められたときに起こることと同じです。私たちが大人として超心理学的な法則を学ぶようになり、自然の真の法則を習得した場合、自分が信頼していた物質的なものの多くを意識から消し去る必要はありません。それらを完全に破壊する必要はなく、単に適切な用語を用いて解釈し直す必要があるだけです。一方で子供の心は、自分にとって完全に現実であった超感覚的な世界を完全に排除し、破壊しなければなりません。
子供たちは、道端や公園で他の子供たちと遊べる年齢になると、自分が確信しているものの存在を他の子供たちが否定するのを聞いて、やはり多くの衝撃を受けます。そして学校へ行く時期になると、彼らはまたしても物質主義的な世界を受け入れる意見や、サイキック能力によって知覚している事物を否定する声だけに四方を囲まれることになります。
サイキックな印象の存在を否定し、サイキックな印象に同調することを徐々に行わなくなると、サイキック能力の鋭い働きが失われることを、私たちは自分の経験から知っています。そうすると徐々にサイキック能力は休眠状態になり、ついにはまったく機能しなくなります。そのため大人になった私たちには、この能力を再び目覚めさせたり、子供のころと同じような超感覚的な同調を行ったりすることがとても難しくなります。

ですから親たちは子供が幼い頃から、サイキックな印象を見たり聞いたりするように勧めてあげるべきです。暗闇や夜を怖がる必要はないと言われて、幼い頃から暗い部屋のベッドに寝かされた子供たちを私は知っています。なぜなら、小さな子供たちを守ってくれる守護天使がいるし、天上の他の住人も他の天使もいるし、昼間と同じように夜もそれらが見えるので怖がらなくて良いよと言われたのです。こうした超感覚的な存在を見た光景を話すようになった後に、子供たちの一部は、怖がる必要はないよと言われました。そして私が気づいたのは、これらの子供たちが寝付く前にしばらく暗闇の中で横たわりながら、宇宙が寝室を色とりどりの光と美しい光景で満たしてくれるのを楽しんでいることでした。
子供が成長してこれらを自然なあり方で見るようになったとき、この現象に熱狂することはありません。しかし、10代後半の若者の心にこれらの印象が得られるようにした場合には、その現象に夢中になり過ぎてしまいます。幼い子供は、他の人が自分も心から興味を持ち、同じ固い信念を持っていることを会話で示さない限り、こうしたことについて他の人と話そうとはしません。このようなサイキックな同調は、疑いなく子供の健康を増進し、直観の能力を高度に発達させます。その結果、子供は直観の与えてくれる教訓を学びやすくなり、自分の人生を取り巻く出来事や状況を予見しやすくなるだけでなく、直面する問題の正しい性質を迅速に解釈できるようになります。
カルマ、正義、償い、真実、愛、普遍的寛容、普遍的平和、健康についての法則を、子供の心に教えるのは容易なことです。そのようにすると、嫉妬深く、時には怒り、復讐に燃える神ではなく、親切で慈悲深い、愛に満ちた神の姿が子供たちの心に浮かんできます。子供の心は、カルマと正義の法則を分かりやすく説明するならば、容易に理解することができます。こうした説明を、地獄の炎や天罰の説明よりもはるかに論理的で合理的だと受け入れます。
このことは親にとっての偉大な仕事であり、この仕事によって、未来の世代の救済と、世界中により良い、より素晴らしい大人たちが現れる基礎が築かれることに疑いはありません。
※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。
体験教材を無料で進呈中!
バラ十字会の神秘学通信講座を
1ヵ月間体験できます
無料でお読みいただける3冊の教本には以下の内容が含まれています

第1号:内面の進歩を加速する神秘学とは、人生の神秘を実感する5つの実習
第2号:人間にある2つの性質とバラ十字の象徴、あなたに伝えられる知識はどのように蓄積されたか
第3号:学習の4つの課程とその詳細な内容、古代の神秘学派、当会の研究陣について