資料室

水と形而上学的治療

Water and Metaphysical Healing

ポール・デュポン

by Paul Dupont

 現代人の私たちは水の質について、十分に注意を払っていると言えるでしょうか。水資源は尽きることがないのでしょうか。汚れやゴミなどを取り除くために水の無駄遣いをしてもよいのでしょうか。心が水によって清められるということには根拠があるのでしょうか。そもそも、心の清らかさが、何らかの汚染によって損なわれるということがあり得るのでしょうか。どのような意味で、水は健康に役立っているのでしょうか。

水と四大原理

Water and the Four Principles

 古代の人々は、水のことを神であると考えました。遠い昔から、水は病気を治す方法の一つだと考えられていました。その理由は、水が純粋さを象徴していたからであり、そして、さまざまな植物にある薬効の元が水だと考えられていたからです。古代エジプト時代には、「儀式的魔術」(訳注)と一般的に呼ばれている行為で、水が重要な役割を果たしていました。バラ十字哲学の観点から述べれば、水の中には、「宇宙の原理」と呼ばれるもののひとつが働いています。この原理について説明するために、古代ギリシャの人々が古代エジプトの神秘学派から手に入れた知識を見ていくことにしましょう。

訳注:儀式的魔術(ceremonial magic):シャーマンや呪術師と呼ばれる者が行っていた治療、雨乞いなどのための儀式。

 ミレトスのタレスは、水があらゆるものの基礎であると考えていました。時のはじめに存在し、万物の源であり、清浄で単純で、何も混ぜられていないものが水だと考えられたのです。この考えは、エンペドクレスの思想に基づいています。彼は水、火、土、空気を「4つの根」(four roots)と呼びました

 プラトンもまた、土、水、空気、火のことを四大原理(four principles)であると考えました。「隠された法則」(hidden laws)と彼が呼んだ法則に従って、この4つの原理のそれぞれは、互いに他に変化すると考えました。彼はまた、火が最も軽く、火は空気よりも軽く、空気は水よりも軽く、水は土よりも軽いと言っています。対話篇のひとつである「ティマイオス」でプラトンは、これらの原理のそれぞれが元素に構造を与え、物質に結晶としての形をもたらすと述べています。現代では、原子核と電子が元素を形作っていると考えられています。プラトンは、土という原理が立方体(正六面体)、空気が正八面体、水が正二十面体、火が正四面体を作ると考えていました。このプラトンの考えを現代風に言い表すならば、物質とはスピリットというエネルギーが変換されたものであり、その元になっている原理によって定められるあるデザインに従って、電子の配置と数が決まり、その物質の性質が表れると解釈することができます。

 元素(element)と原理(principle)という用語は意味が異なります。元素は物質に構造を与えている最も小さな要素ですが、宇宙の影響力である原理は、元素を支配している秩序です。4つの原理には、“宇宙の光”の流出が表されています。“光”という宇宙の精髄(essence:エッセンス)が、先ほどの4つの原理の源です。この“光”がある意味では、唯一の根本原理であり、私たち人間は、光というこの原理に基づいて行動しなくてはなりません。水もまた宇宙の精髄のひとつであることから、光という宇宙の原理を、水の中にも見いだすことができます。

 錬金術師たちによって伝えられているヘルメス学の知識の中には、四大元素(four elements)という考え方があります。錬金術師は、「錬金術の正方形」の4つの頂点に四大元素を配置しました。彼らは知らず知らずのうちに、元素と原理という用語を混同したのでしょうか。あるいは、四大元素のそのような配置を用いて、唯一の原理の影響のもとに働いている4つの原理について語ることを選んだのでしょうか。錬金術師たちが「黄金」と呼んだこの唯一の原理は、対立する2つの極性の要素から作られています。錬金術師たちは、特に、ドイツのアルトナで見つかったバラ十字会の文書の著者たちは、彼らが黄金と呼んでいるものは物質ではなく、むしろ土と水に関する、ある根本的な原理であると述べています。

 このように、当時のバラ十字会員たちは、実際の水よりも、水の原理のことを重要だと考えていました。四大原理のひとつである水は、神聖なエネルギーであり、物質としての水に非物質的な効力を与えています。この効力は、〈心の中の創造主〉として私たち人間が把握する存在の意志の、ある種の流出だということができます。ですから、水には宇宙意識があり、空気、火、土という他の原理にも宇宙意識があります。

 形而上学的な治療において、物質の水は、水の原理と同様に重要です

 今まで述べてきた4つの原理に加えて、過去のバラ十字会員が「神性」(divinities)と呼んだ物質の状態があります。この「神性」という言葉は、聖なる世界の(3つの)状態の反映であるという意味で使われています。神性とは、固体、液体、そして気体もしくはガスの状態のことです。ちなみに「ガス」(gas)という言葉は、混沌を意味する古代ギリシャ語の「カオス」(chaos)に由来していて、17世紀になって初めて使われるようになりました。神性という3つの状態は、宇宙の光が具体化されたものですが、自然界では土、水、空気、火という4つの原理として現れます。そして、この4つの原理によって、生物が作り出されます。生物はひとたび存在すると、それ自体で存続します。ちなみに、神性とは原子の運動の状態に他なりません。固体と液体と気体という状態が存在することは、まさに生命の重要な基礎になっています。また、運動は、時間と空間という枠組みがあることによって生じています。

 たとえば水は、固体にも、液体や気体にもなることができます。自然界において、固体の状態の水は氷として存在し、液体の状態は海や川の水として、気体の状態は、雲や水蒸気に見ることができます。4つの原理は、媒体となる第3のものに、その働きが左右されます。たとえば、土に水が含まれていると、大地(土)で火が燃えることは難しくなりますが、一方で、風(空気)が吹くと火は盛んに燃え、大地(土)に水を引き寄せます(訳注)。4つの原理には、空気が火に勢いを与え、水が土に豊かさを与えるように、他を助けるような関係もあります。これらの関係のすべてには、物質的な法則と宇宙の法則の両方が関連しており、治療に応用することができます。

訳注:古代の雨乞いの儀式で焚き火を用いたような場合に、その根本になっていた考え方だと推測される。

 この種の議論に私たちが関心を持つのは、これらの原理を、治療に応用することができるからです。重要なことは、水の宇宙的な原理を用いて体内に調和をもたらす方法を調査することであり、宇宙の知性の運び手としての役割を水が果たすメカニズムを、直観を活用して理解することです。水を用いて体内に調和をもたらす方法については、この記事の最後で検討することにして、まずは水が人体で果たしている役割を見ていくことにします。次に、磁化された水がどのようにしてサイキック体(訳注)に治癒をもたらすのか、そして、非物質的でスピリチュアルな性質を持つ水と同調することによって、人間の肉体とサイキック体とソウルのすべてが、どのようにして浄化され活力を与えられるのかを見ていきます。

訳注:サイキック体(psychic body):バラ十字会の神秘哲学では、物質からなる体と、スピリチュアル体と呼ばれることもある非物質的なソウル(魂)の相互作用によって、この2つの中間的な性質を持つサイキック体が形成されるとされている。

地球上の水と肉体

Terrestrial water and the physical body

 水は、人体の重量の50~75%を占めています。体重60キロの大人の60%が水だとすると、およそ36リットルが水だということになります。水は、体じゅうのすべての細胞に存在し、また細胞と細胞の間にも存在しています。水は、血液とリンパ液の主成分として、臓器の内外を循環しています。ちなみに、水は主に3つの方法で身体の活動を維持しています。栄養分と気体成分を溶かして運搬すること、老廃物や酸類を運び去って体を浄化すること、生命を維持し組織を再生するように活動することの3つです。私たちの体は、修復と再生を常に必要としており、それが水の働きによってなし遂げられています。

水が果たす3つの機能

Water's three functions

 第1に、水には不要なものを取り除き、体を浄化する機能があります。無機塩類は体全体に磁気的なエネルギーを与えていますが、ある時点でその役割を終え不要になります。不要になった無機塩類と酸類と老廃物を水は希釈して、これらの濃度を下げます。また水には、体内で分泌され体のあちこちに運ばれる分子の集団をばらばらにする働きがあります。この働きによって、肝臓で分泌されるいくつかの毒物は、小さな分子にされ、さらに硫黄の作用で他の物質に変えられて除去されます。また水があることによって、血液中の不要な酸が腎臓から尿として排出されます。また、磁気的なエネルギーが失われたビタミンやミネラルといった微量物質が集められます。これらの物質は、水のエネルギーの値を低下させるため、身体から除去しなくてはなりません。

 水の第2の機能は、さまざまなものを溶かして水溶液にすることです。このことによって、水はさまざまな物質を運んで、体全体に供給することができます。つまり、体のために必要な栄養分を水に溶かして、すべての細胞に届けているのです。ちなみに、植物が土に含まれる塩類を根から取り入れることができるのも水の働きのおかげです。植物の中で塩類は水の分子と結合し、生物が吸収することができる構造の分子に変化します。人体の場合も同じで、水によって吸収することができる構造の分子が作られ、この分子によって組織を再生することや、この分子を体全体に運ぶことができます。

 水の第3の機能は、生命のスパーク(spark of life:生命の火花)が物質として現れるようにすることです。つまり、水に含まれる生命力が、生命のスパークとして取り込まれることによって、体細胞内で流動的な活動が引き起こされ継続するようになります。この活動によって、体細胞は成長し分裂することができるようになります。水の以上の3種の機能は、細胞の生命にとっていずれも極めて重要です。

結合した水と遊離した水

Bonded and free water

 たった今説明した第3の機能を果たすために、体内の水には2つの状態があることが知られています。第1の状態の水は、無機塩類、特に塩化ナトリウムと結びついています。この状態では、水の磁気的なエネルギーが保たれています。第2の状態の水は、塩類と結びついてはおらず、遊離して存在しています。この状態を、「清浄な(pure)水」と呼ぶこともできます。

 塩類と結びついている水は、磁気的なエネルギーを持っていることから、陰極性の性質の生命力を保持していると言えます。陰極性の性質の生命力は、細胞間の結合を強め、物質的なエネルギーを回復させる働きがあります。この生命力は細胞膜に特に多く存在しています。結合状態にあるこの水の中の無機塩類によって、神経の電磁的なエネルギー、細胞そのもののエネルギーなど、生物に命を与えている多くのエネルギーが高められます。塩類と結合した水の特徴として、電気の伝導体であるということがあり、このことによって、中枢神経系に神経細胞の信号を伝えることができます。

 水には第2の状態があります。それは遊離した水(塩類と結合していない水)です。水のこの状態は細胞の呼吸によって生じます。細胞が血液から酸素を受け取るとき、血液は、陽極性の性質の生命力も受け渡すという役割も果たしています。栄養素の水素とともに酸素がミトコンドリア(1ミクロン程度の粒状組織)へと運ばれます。ミトコンドリアとは、呼吸に関して重要な役割を果たしている細胞内の小器官です。栄養素は、炭素と水素を主に含む分子からなり、陰極性の性質の生命力を運んでいます。水素と酸素の結合によって、2つの極性の生命力が一緒になり、生命が存続することができます。ですから私たちは、このとき生命のスパーク(spark of life)が生じると言うことができます。この結合によって、清浄な水の新しい分子が形成されます。

 細胞内の清浄な水は、宇宙意識が集中し、生命力として表現されている場所であると考えることができます。この水には、宇宙の知性の清浄さを取り入れ、それを保持する働きがあります。以上が、先ほど述べた宇宙の知性の運び手としての役割を水が果たすメカニズムです。宇宙の知性は、水分子の配列や水に含まれる非物質的な要素として表現されます。そして、一般にはあまり知られていないこの水の原理は、細胞内の他の器官に伝えられます。したがって、清浄な水はそれ自体が役に立つだけでなく、清浄な水が含んでいる非物質的な要素も役に立ちます。水に取り込まれた宇宙意識という性質が、細胞の核で使い果たされると、水は役割を終えて排出されます。

 清浄な水の持つこのエネルギーは、宇宙意識の性質を体に与えます。それは、体の組織を再生して新たな活力を与え、調和を整えて回復させます。そしてこのエネルギーがサイキック体に与えられることによって、サイキック体は強靭になり、高い能力を発揮するようになります。ですから、水のエネルギーによって、生命という活動と組織の再生が支えられています

水と四大元素

Water and the four elements

 水は四大元素と呼ばれるものと関連して基本的な役割を果たしています。ちなみに、元素(エレメント:element)という用語は、もともとは電子を指すのに用いられていました。四大元素とは、4つの原理に対応している自然界に存在する物質の種類です。

 まず最初に、体内に存在する水について、土、空気、火との関連を考えてみましょう。水がなければ、これらの3つの原理は、生命をもたらすために結びつくことができません。人間の体は他の3つの要素よりも水が占める割合が多いのですが、水は、他のそれぞれの要素と連動して働いています。この働きによって、私たちの体では、水、土、火、空気という原理が正しい割合で働くようにされています。この4つの原理は人間の体の中で、望ましい比率で働いています。この比率は、自然界における四大元素の比率として宇宙意識が定めた値と同じです。そして、人体内の4つの原理の比率によって、人間の健康のバランスが保たれています。

水と土

Water and earth

 体を再生するためには、土が体に取り入れられ、その一部にならなくてはならなりません。そのため人体は、消化という働きを必要としています。腸内に十分な水がなければ消化はできません。腸管の中では常に、およそ10リットルの水が循環しています。胃だけでも、1日におよそ3リットルの水が分泌されています。肝臓は、胆嚢とすい臓の分泌を介して、全体でおよそ3リットルの水を分泌しています。この水は、消化の鍵となるさまざまな酵素のために必要とされます。消化酵素は加水分解酵素(訳注)ですので、水が存在しなければ働くことができません。

訳注:加水分解酵素(hydrolase):食物は水と反応することによって小さな分子に分解し体に吸収される。食物が水とのこの反応を起こすために働く酵素は、加水分解酵素と呼ばれる。

水と空気

Water and air

 水は陰極性の性質の生命力を運ぶ媒体として必要であると同時に、空気中にある陽極性の性質の生命力を吸収するために必要です。陽極性の性質の生命力を赤血球に届けるためには、空気が、肺の細胞に損傷を与えることなく肺に入らなければなりません。このことが、肺サーファクタント(pulmonary surfactant)に含まれる水のおかげで可能になります。サーファクタントとは、表面張力を大きく変化させることのできる液体のことで、この場合は表面張力を減少させることができます。

水と火

Water and fire

 火の強さを調整し、火を循環させることのできる水の働きのおかげで、酸化(燃焼)過程という火が体内で働くことができます。水があることによって火の温度を調節することができます。この調整は、内部の自己(訳注)が視床下部と脳下垂体を通して行っています。

訳注:内部の自己(inner self):この場合には、生理活動をコントロールしている潜在意識(sub-consciousness:下意識)のこと。宇宙意識に直接制御されている。

 暑い中で激しい運動を行うと、水分が失われ、熱により極度に疲労した状態に陥ることがあります。水分の不足は高熱を出す原因となり、それによって昏睡に陥ることもあります。感染症のように体内に原因がある場合でも、上記のように外界に原因がある場合でも、体内の温度が上昇しすぎると、交感神経系の働きによって皮膚の血管が拡張し、周囲の空気と熱交換が盛んになります。しかし、このプロセスに関わるすべての法則が明らかになっているわけではありません。

 体内の火、つまり身体の熱の原因は2つあります。ひとつは、細胞の呼吸によって生じる熱エネルギーに由来するものです。この熱は、肺で取り入れられる空気に含まれる火、つまり大気に含まれている陽極性の性質を持つ生命力のことであり、そのおおもとは太陽です。もう一つは、腸内で行われている消化の過程に由来する酵素反応の熱です。この熱は消化液が作用する対象である栄養素、すなわち食物に起因しています。食物は大地(土)から収穫されるので、この熱は陰極性の性質を持つ火と呼ばれます。東洋の鍼灸医が教えているように、これらの2つの内部の火はどちらも、経絡(meridian)を循環していると考えることができます。したがってこの場合は、生命力が問題とされているのではなく、物質のレベルのエネルギーが関連しています。

 これらの知識が総合されて、さまざまな治療技術が生み出されました。古代の人々は、早くから水のメリットを知っていました。熱いお湯に入浴したり、温泉を利用したりすることは、よく知られた古代の治療法です。ローマの人々は、入浴を治療に広く用いていました。この治療法の起源は、極めて古い時代から崇拝され用いられていたケルトの泉にあります。泉から発した水は、温かいときは温泉と呼ばれ、冷たくてミネラルを含んでいる場合には冷泉や鉱泉と呼ばれます。そして水は、火の特性、すなわち火の温かさを伝える運び手です。また、水は土の特性も運びます。ミネラルが水に吸収されるからです。さらに、水は空気の特性も運びます。泉の水は炭酸ガスを含むからです。さまざまな種類のミネラルウォーターには、身体のある特定の働きとの関連があり、その働きを高めることができます。たとえば、カルシウムと硫酸塩が含まれるミネラルウォーターは、これらのミネラルとともに腎臓に運ばれると、腎臓を刺激します。この種の水は排尿を促進する利尿剤です。硫酸マグネシウムを含む水は腸に働きかけ、胆汁を排出することにより、血液を浄化する優れた役割を果たします。硫黄を含む水は肝臓を刺激して、肝臓の解毒作用を高めます。重炭酸ナトリウムを含む水は、小腸で行われる消化を助け、血液をアルカリ性にし、過剰な酸を打ち消すなどの効果があります。過剰な尿酸が存在すると、腎臓に負担をかけることがありますが、このタイプの水は尿酸の排出を促します。この水は、尿の酸性度を減少させるため、さまざまな尿路感染症の症状を緩和する効果があります。海水のように塩化ナトリウムを含む水を少量飲むと、血液が刺激されます。この水は副腎の働きには有益ですが、長期間飲み続けると、心臓に過度の負担がかかることがあります。

【免責事項】この記事に書かれている効用はある研究者の見解であり、すべての方に同様の効用を保証するものではありません。

 温泉の湯のような高温の水は、毛細血管に影響を及ぼしたり、他にもさまざまな間接的な影響を及ぼしたりしますが、血管を拡張させ血流を増加させるということが最も主な影響です。それとは対照的に、冷たい水は血管を収縮させます。ですから、高温の水を人体の器官に影響を及ぼす手段として用いることができます。

 この原理は、バラ十字会の治療方法を行うにあたり、有力な補助手段として用いることができます。たとえば、ある器官を刺激したいときには、その器官の近くの皮膚に温水の流れを連続して当てるようにすると、局所的に血流を増加させることができます。もちろん、やけどに注意して行わなくてはなりませんし、感染症がある場合にはこの処置は行いません。しかし、高温の水にはこのような効果があり、しかも温泉のお湯には、塩類、磁気的性質の特に強い微量元素、治療効果をもたらすと思われる微量の天然の放射性元素などが含まれているので、健康増進のためのリゾート施設で用いられています。温泉のお湯によって、肝臓のさまざまな機能を改善したり、腎臓の尿の排出量を増やしたりすることができます。

 火の意味に関連している水の応用の別の例に、毛細血管で起きる反作用を挙げることができます。頭痛を感じているときに、足だけを熱いお湯に浸す足湯をしてみると、その反作用の一例を実感することができます。局部的な頭痛がする場合、その多くは頭部の血管の拡張に関係があります。それと同時に、肝臓や腸のような器官の血流と関係があることもしばしばです。頭痛が生じたら、まず応急処置をして、その後に足湯をすることによって、痛みを取り除くことができます。また、関節炎を起こしている場合に、粘土すなわち水で溶いた土を関節の周りに塗布して痛みを和らげることができます。その理由は、体の必要に応じて、水によって無機塩類の交換が起こるからです。

 温水によって高熱を止めることもできます。体温が高いのですから、このことは矛盾のように思えるかもしれません。普通に考えると、患者を冷水のお風呂に入れたりした方が良いと思いがちです。40度か、それよりやや高い温度の湯への入浴を行ったインフルエンザの患者たちは、体温がただちに低下し、この効果が持続しました。体温を下げるためには、冷水への入浴よりも効果があります。冷水で入浴を行うと、冷たさに対する反作用として、発熱が急激に上昇してしまうことがあります。ちなみにこの現象は、自律神経系の反応に関係しています。体が高温にさらされると、自律神経系の反応によって、体温がすぐに下げられるのです。

 風邪をひいて体温が上昇することは、ウイルスの数の増加を防ぐためには望ましいことですので、あまり急激に体温を下げるべきではありません。ですから、適切な温度であることが必要ですが、温水への入浴は冷水浴よりも好ましいのです。体の回りが温かいとき、視床下部は体内の温度を下げます。その結果、平均で1、2度体温が低下し、発熱が安定します。しかしもちろん患者は、ベッドで安静にして十分な休息を取らなくてはなりません。

(付記)インフルエンザや他の病気で発熱しているときの、その人への処置は、医師などの専門家によって行われるべきものです。

 反対に、冷たい水は血管を収縮させ、その結果血液を内臓に集中させることになります。その結果、内臓が刺激され、体温は上昇します。このため冷たいシャワーには、活力を与え、エネルギーを回復させる効果があります。体の組織のエネルギーを増やすことにもつながります。たとえば、下腹部や直腸、生殖器の器官を強化するために、かつては冷水浴が勧められていました。衰弱した筋肉や腱や組織を強くするために、冷たいシャワーを浴びることも推奨されていました。

 しかし、こうした行為は心臓や心臓血管系に強い反応をもたらすことがあるという事実を考慮に入れなければなりません。心臓や血管などに問題がある人は、冷水浴を行うべきではありません。交感神経系の反応によって血管の収縮が引き起こされるため、これらの方法によって心臓に問題が生じる可能性があります。

 また、以前に広く用いられていた方法に腸の洗浄がありますが、最近ではあまり行われていません。それは純粋な水を用いて腸内を洗浄する方法であり、腸と腸管の壁から過剰な腸内細菌フローラが排出されることになります。また、植物から抽出物を、腸の洗浄に用いる水に加える方法もあり、この方法では、治癒に役立つ要素が吸収されることになります。

【免責事項】この記事に書かれている効用はある研究者の見解であり、すべての方に同様の効用を保証するものではありません。

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

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