資料室

聞くことによって内的に成長する

Inner Growth through Listening

バラ十字会の保管文書より

From a Rosicrucian manuscript

 多くの会話が、単にひとりごとをお互いに繰り返しているようなものになってしまっています。多くの状況で、本当に相手の話を聞いているのかどうかを自問してみてください。他の人が言っていることを聞かずに、話したり自分の意見を述べたりすることが原因で、日々の難題の多くが起こっています。効果的なコミュニケーションでは、他の人に話をすることだけでなく他の人の話を聞くことが、極めて大きな要素です

 私たちの多くはお互いの話をきちんと聞いていませんし、自分の話していることさえも聞いていません。話している人が意見のすべてを述べ終わるまで、自分の考えを示さずによく考えながら注意して相手の話を聞いていることが、何回のうち何回ぐらいあるでしょうか。実際にあなたがこのことを調べてみるならば、当初考えていた以上に、話を聞いている割合が低いという結論に間違いなく達することでしょう。会話の場面で言外の意味をとらえること、つまり、話す人が用いている言葉通りの意味でなく、相手が本当に言おうとしていることを聞き取ることができる人はほとんどいません。

 私たちは、聞くことについてほとんど指導を受けることがなく、多くの学校では発展的な聞き取り学習も不足しており、話を聞くという技能に固有の複雑さがあることを考えると、このような状況は驚くべきことではありません。人々の注目を集めるあらゆる分野、特に企業の重役や芸能界などに見られる横柄な態度が、多くの人に影響していることを考慮すると、それは、まったく驚くべきことではなくなります。科学的な研究によると、話を聞く技能は教えてもらうことが可能であり、指導を受けると話を聞く能力が大幅に向上することが示されています。さらに、話を聞く指導を受けると、読書の能力と言葉を用いる能力も改善します。だからと言って、聞き上手な人がまったくいないわけではありません。私たちは誰もが、人生の折々に、必要なときに助けを求めて話を聞いてもらえるような思いやりのある懐(ふところ)の深い人に、少なくとも一人は出会うようです。

 話を良く聞こうとすると、沈黙の時が生じます。それは建設的で有意義な沈黙です。私たちの生活において、残念ながら沈黙は小さな役割しか果たさないようで、沈黙が役に立つ場面をめったに経験することはありません。どんな人でも2人の人間が一緒にいるときには、何かを話さなければならないということが、ほとんど強制にさえ感じられます。どちらも意欲的に話そうとしない場合、不自然で気まずい雰囲気がただよいます。考えを練り上げる時間がないままに、思いつきが口から漏(も)れ、一瞬たりとも言葉を途切れさせてはならないという思いに駆り立てられて、互いの言葉が重なり合います。その結果、とても不完全な考えが交換され始め、何よりも、役立つ可能性がある考えの宝庫に蓋(ふた)がされて、利用されないまま放置されます。急いで思いついた考えが、会話の隙間(すき ま)を埋めるために口から飛び出しているだけだからです。

 もっと聞き上手になるにはどうすればいいのでしょうか。何から始めればいいのでしょうか。聞き上手な人とは、温かく親しみやすい人で、基本的に他人に好意的で、理解と同情を示す能力が高く、関心を持って相手に関わる能力と意欲がある人に違いありません。関心を抱いている相手に対しては、積極的に話さなければならないということがあまり生じません。話を聞く態度によって、相手にはこちらが関心を抱いているかどうかが分かり、こちらが関心を持っていることは、相手が話すのを助けることになります。関心を持つことは愛情です。愛情は心と体の両方に影響を及ぼします。

 話を聞くことになったすべての人に対して愛情が生じるわけではありませんが、ある種の思いやりは必要です。真に思いやりを持って話を聞けば、私たちの興味と関心は相手に伝わります

 聞き上手な人は知性を活用して聞きます。そして、何が話されているのかを完全に理解しようとします。そして関心と忍耐を持って聞きます。話し手が、人類という仲間であることを常に意識しています。友達に対して真の愛情を感じているならば、その友達の考えは自分の考えと同じように重要なはずです。ですから、私たちは自然に、友達が何を考えているかを知りたいと思うものです。

 想像しながら聞くと、話し手の立場になって感じることができます。そうするならば、会話を独占しようと望むことなく話を聞くことが容易になります。私たちは自発的に自分の意見を控えて、話題に口を挟まないようにして、友人が自分の意見を表わすことを勧められていると感じる雰囲気を作ることに集中しなければなりません。さらに、会話で共有したことがらのすべてを、思慮なく他の人に伝えてしまうことがないようにして、信頼される聞き手にならなくてはなりません。これらすべては、すぐに簡単に達成できることではありません。自分自身が成長するにつれて、徐々にできるようになることです。

 より優しい人になると、それと同時に自然に、より聞き上手な人になります。他の人の話を聞くということをほんとうに行い始めると、すぐに、会話以外でも何かに耳を傾けている自分に気づくことになります。晴れ渡った夜空の星の下で散歩しながら、あるいは、風が強く波が押し寄せてくる日当りのよいビーチを散歩しながら、畏敬の念に駆られて沈黙したことがない人がいるでしょうか。こうした時の沈黙には、計り知れない価値があることがわかります。

 聞き上手になれる、もうひとつの別の場面があります。自分のなる声が語ろうとしていることを明確に聞き取れる人はほとんどいません。しかし、あの手紙を書こうとか、感謝の電話をかけようとか、私たちは内なる声に促されることがあります。時には、今行っていることを止めて休憩するように忠告されたり、新しい何らかのプロジェクトを直ちに始めるように忠告されたりもします。何が多すぎるのか、何が少なすぎるのかを知らせてくれることもあります。私たちが隣人を非難し始めたときに、穏やかにたしなめてくれるのも内なる声です。

 耳を傾けることは、受信するための方法であり、内なる声の中に、まさにソウル(魂)からもたらされるメッセージを聞くことができます。内なる声は音なく伝えられる場合もありますし、澄んだ声のように聞こえる場合もあります。しかし、内なる声は常に短く、明瞭で、単刀直入で、通常は精神的な生き方に関わる内容です。内なる声であるかどうかを判別する別の基準は、その声が真実であると感じられるかどうかです。

バラ十字会の学習では、自己と対話するための多くのテクニックが示されます。その一部を紹介します。

1.時々、自分の思考を目的なくさまよわせるようにします。白日夢や具体的でない思考を楽しむことを自分に許します。

2.内的な思考を口に出します。内なる声を手放して忘れてしまうのではなく、試しに声に出すことによって調べてみます。

3.頭の中に現れたものを、何でも自由に書き出してみます。

4.リラックス法、瞑想、深呼吸の練習をします。

5.毎日または毎週、日記を書く時間をとります。思いついたことを記録します。そうすることで、さらに新しい思いつきが出てきます。

6.もっと自分を受け入れるようにします。他の人からどう思われているのかを、いつも気にすることはしないようにします。この種の自意識によって、あなたの直観が何かを話そうとしているときに、それが検閲され排除されてしまうことがあるからです。

7.完全な静寂の中で過ごす時間をとります。ラジオ、ステレオ、テレビ、会話のような背景の雑音は、直観という静かな声をかき消してしまうことがあるからです。

8・建設的で前向きな態度を保ちます。「私には創造性がない」、あるいは「私にはこの問題を解決できない」などの後向きな思考があると、直観を働かせる余地が少なくなるからです。

 聞く能力が発達するにつれて、家庭、仕事、地域社会などで、そして残りの人生で、望んでいる成果を上げる自分の力が増しているのに気づくことになります。

「ほとんどの人が、理解しようとして聞いていません。返事をしようとして聞いています。」 ― スティーブン・コヴィー、『7つの習慣』の著者

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

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