資料室

生まれ変わり

私の人生を変えた個人的な体験

Reincarnation

ピーター・ローレンス

By Peter Lawrence

 生まれ変わり(転生)という観念は、何千年も前から存在します。多くの古代文化には、生まれ変わりについてのさまざまな理論があります。ごく簡単に説明すると生まれ変わりとは、私たちが死ぬと、それまで生きていた存在のある部分が新しい人生を始める、つまり別の肉体に宿るという哲学的な考え方です。しかしほとんどの場合は、自分の過去の人生(過去世、前世)について何か具体的なことを、現在の人生(現世)で思い出すことはできません。そのため、ほとんどの人にとって生まれ変わりは、単なる理論か信念に過ぎません。

 しかし、過去の人生のできごとを思い出すためにできることがあります。過去の人生の記憶を体験することで、今の自分の性格や置かれている状況のさまざまな様相を理解することができ、現在の人生の課題や状況のいくつかの意味を理解する上でも役立ちます。私の場合、それを体験するためのプロセスは、思い出すことを強く願う視覚化から始まり、熱心な祈りへと続き、最後は深い瞑想で終わります。この瞑想の目的は、外側の世界から受け取る日常生活での意識を遮断して、過去の人生で形成されたエネルギー体(energy-form)と接触して、イメージや音や香りや感情を感知できるようにすることです。私の例で恐縮ですが、過去のある人生を思い出したそのような試みのひとつのことをみなさんにお話ししたいと思います。私にとってその試みが特別なのは、初めての成功だったからです。

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 数週間にわたって定期的な視覚化を集中して行い、今まで何回も行ってきたように、過去の人生の一つでのできごとを正確に思い出せるように祈った後で、過去の人生の何らかの要素を体験したいと強く望みながら瞑想状態に入ろうとしました。深い瞑想状態に入ろうとしたとき、とても多くの人々が裕福な人としてではなく、貧困に苦しむ農民として死んだに違いないという思いにとらわれてしまいました。そして、もしも生まれ変わりを信じるならば、ほとんどの人はとても質素な境遇で人生の大部分を過ごしたのだろうと考えたのです。それからゆっくりと、自分の過去の人生での平凡な農民としての生活とその折々の場面を感じ始めました。すると突然何の前触れもなく、私の想いはまったく異なる種類のものになりました。背中を丸めて椅子に座っている現在の自分と、干し草の寝床に横たわっている別の誰かをどちらも自分であると感じました。

 状況が展開していくのに任せていると、すぐに次のような光景に吸い込まれました。夏の終わりの天気のよい日に、私がよく知っている人たちが畑で働いていました。私は、でこぼこの日干しレンガで作られた粗末な小屋の中に横たわっていました。壁は黒いすすで覆われ、時々日光が差し込んでいましたが薄暗い場所でした。黒い壺の周りをハエが音を立てて飛び回っていて、ハエの下には、消えかけた最後の小さな炎がくすぶっていました。私は最愛の人たちに、自分は大丈夫だから、畑仕事に行きなさいと言ったことを思い出しました。しかし、私の終わりが近づいていることを知っていたので、皆の目には悲しみがあふれていました。新鮮なわらのとても良い香りで、無邪気な子供の頃の幸せな記憶を思い出すと、突然すべてが静寂に包まれ、平安を感じました。何ヵ月も苦しめられていた体の痛みは消え、とてつもなく大きな不思議な存在からもたらされる静寂の前で、じっと動かずに横たわっていました。

 そして、まさにその瞬間、自分が死んだことを確信しました。平安の感情が高まり、束縛されていた何かが解き放たれました。それはまるで鳥かごから飛び立つ鳥のようでした。完全に分離すると、小屋からそれほど離れていない畑で懸命に働いている最愛の人たちが見えました。ぼろぼろの古着で半分ほどが覆われた自分のやせ衰えた体も見ることができ、最愛の人たちが苛酷な労働から戻り、私の死体を見つける様子もわかりました。私は、それほど深い感情を感じているというよりは、ただ自分の時間が終わってしまったことと、夕方までには、誰もが深い悲しみよりも、私の死を事実として受け入れるであろうことを確信していました。それから私は漂っていき、生涯働いていた畑を通り過ぎ、どんどんと明るくなっていく光に向かっていき、存在する唯一のものがその光だけになるまで進んでいきました。

 光の強烈なエネルギーは、言葉では表せない平安の感覚とこれからも継続される目的で私を満たしました。そして、私が残してきた人たちへのわずかな悲しみを中和してくれました。そして、そのときの人生に別れを告げるとすぐに、現在ここで私が経験している人生について思い出し始めました。そして、はっとして完全に目を覚まし、意識を取り戻し、自分が体験したことを理解しました。その短い体験は、おそらく数秒のことでしたが、深いレベルで私に変化をもたらしました。しかし、ほんの短い時間とはいえ過去の人生が再び体験され、そのとき感じたすべてを焼き尽くすほどの強烈さは、生まれ変わりの可能性に対する私の考えを、信念から確信へと変えていました。この確信は、過去の人生のひとときが強烈に再体験されたことに基づいています。

 その日以来、過去の人生についての他の体験を何回かしていますが、それらの体験の時代や場所が分かったことはありません。突破口となった最初の体験は、特別な贈り物であったのだろうと私は考えています。この体験によって、自分の身に起こることすべてを辛抱強く受け入れられるようになりました。自分の精神的な進歩において、「先へ進まなくては」という切迫した必要を感じることがなくなりました。精神的な進歩は、ふさわしい時期に望ましいペースで起こるのであって、自分が対処でき、内なる英知に変えることができる速さ以上のスピードで起こることはないと分かっているからです。しかし私には、心の深い部分の成熟は、自分でそうなるように努力した場合にだけ起こるということも分かっています。あなたにも同じような体験をしてほしいと思っています。そしてその体験から、「生まれ変わり」という言葉に、あなたにもまた、新たな意味がもたらされることを願っています。

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

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