投稿日: 2024/06/11

以下の記事は、バラ十字会日本本部の季刊雑誌『バラのこころ』の記事を、インターネット上に再掲載したものです。

※ バラ十字会は、宗教や政治のいかなる組織からも独立した歴史ある会員制の哲学団体です。

区切り

活力を維持するために
Sanctum Musings – Safeguarding our Vitality

ケニス・U・イディオディ(バラ十字会西アフリカ英語圏本部名誉主宰)
By Kenneth U Idiodi, Grand Master Emeritus for English speaking West Africa of the Rosicrucian Order

惑星間と惑星周辺の広大な空間を太陽風が満たすことで、惑星を包み込む磁気の泡が形成され、外部から届く放射線から惑星を守る覆いの役割をこの泡が果たしている
太陽は磁気プラズマである強力な太陽風を噴き出し、惑星間と惑星周辺の広大な空間を太陽風が満たすことで、惑星を包み込む磁気の泡が形成され、外部から届く放射線から惑星を守る覆いの役割をこの泡が果たしている

私たちの活力には大きさも重さもありません。活力は物質ではありませんが、物質からなる現実世界の中で感じ取ることができ、言葉で言い表すことができます。活力というものを理解するには、非物質的なスピリチュアルな視点と、物質的な視点の両面から考える必要があります。物質世界は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚という私たちの五感に強い印象を与えます。多くの人の生活が、物質世界によってほぼ完全に支配されてしまっています。そのため、スピリチュアリティに対する感覚が弱められて鈍くなり、自分自身がスピリチュアルな性質を持っているという考え方に疑念を抱いたり、完全に拒絶したりします。そのような人たちは「マテリアリスト」(materialist:物質主義者)と呼ばれることがあります。

しかし、物質世界の微視的な姿を詳しく調べてみると、私たちが考えているほど固定的なものではないことが明らかになります。物質を原子や素粒子のレベルで見ると、その中には「物」よりもより多くの空間があることが分かります。私たちにとって固体のように思えるものは、空間内の素粒子の振動に過ぎません。素粒子は限りなく小さいため、その実際の性質を私たちは知ることができません。実際のところ、素粒子というものが実在であるかどうかは明らかなことではありません。

物質世界の性質の不確かさを実感したため、物質世界での生活を拒絶し、スピリチュアルな領域だけに限定された生き方を確立しようとする人も現れました。社会から引き籠って世捨て人になる人もいれば、形ある世界での体験を最終的かつ悲劇的に拒絶して自殺を選ぶ人までいます。世捨て人は物質世界をことごとく否定するのですから、スピリチュアルな世界の存在を信じないマテリアリストとは正反対の立場に立っています。この両極端の間にあるのがバラ十字会の考え方です。この考え方では、私たちの本質はソウル(soul:魂)という非物質的な存在ですが、私たちは物質世界で物質的な経験をしています。簡潔な言葉で言うならば、私たち人間とは、ほんの束の間の物質的体験をしている非物質的な存在です。したがって、充実した人生経験を望むのであれば、物質世界とスピリチュアルな世界の両方を支配している法則と調和して生きることが必要です。

仲の良い友達と時を過ごしたり、良質でバラエティーに富む食べ物を食べたりすることは、高いレベルの活力を維持するのに役立つ
仲の良い友達と時を過ごしたり、良質でバラエティーに富む食べ物を食べたりすることは、高いレベルの活力を維持するのに役立つ

肉体は、私たちが物質世界で役割を果たすための道具です。私たちは肉体を大切にしなければなりません。なぜなら、肉体の状態が良ければ良いほど、物質的な経験もスピリチュアルな経験も良いものになるからです。バラ十字哲学の観点からすると、肉体が最も望ましい状態にあるのは、肉体に活力を与えている生命力が完璧なバランスを保っているときです。

バラ十字会の学習では、生命力には2つの種類があることが説明されます。ひとつはプラスの極性を持つ生命力であり、もう一方はマイナスの極性を持つ生命力です。活力と健康を十分に発揮するには、この2つのバランスが必要とされます。生命を維持するためには呼吸する必要があります。しかし、生命の維持のために働いている空気は、窒素と酸素とその他の気体の単なる混合物ではありません。これらの単なる混合物は、生命力とは無関係のただの気体に過ぎません。私たちが呼吸している空気の中には、生命力の精妙な要素が含まれており、それは太陽からもたらされていることが、バラ十字会の研究によって明らかにされています。これこそが私たちの活力の源であり、またそれ以上の意味を持っています。

私たちの生命に太陽がどれほど重要かを理解するためには、太陽が突然消滅したらどうなるかを想像するだけで十分です。太陽から発せられる暖かさ、光、いまだに十分に解明されていないその他の放射がなければ、生命は育ち続けることができません。太陽はおそらく、自然界に見られる神聖な働きを表す最も深遠な象徴です。私たちは毎日太陽を見ていますが、太陽には多くの謎が残されています。科学者たちは、太陽のことを注意深く調べた結果、それが空に浮かぶ単なる火の玉ではないことを承知しています。太陽のすでに知られている特徴のいくつかが、科学界を悩ませ続けています。

たとえば、太陽を取り囲んでいるコロナは、太陽表面よりもはるかに高温であることが知られています。つまり、太陽の大気内では、太陽表面に近づくにつれて温度が低下しますが、その原因はまだ完全には解明されていません。私たちの惑星である地球は太陽系の他の惑星と同様に、太陽によって、他の恒星から降り注ぐ放射線から守られています。太陽は磁気プラズマ(電気を帯びた原子で構成されているガス)である強力な太陽風を噴き出し、惑星間と惑星周辺の広大な空間を太陽風が満たすことで、惑星を包み込む磁気の泡が形成され、外部から届く放射線(宇宙線)から惑星を守る覆いの役割をこの泡が果たしています。言い換えれば、私たちは文字どおり太陽の温かな母性に包まれているのです。太陽は驚くほど安定した星です。他の恒星の多くが安定を保つどころか、急速に膨張したり収縮したりと不安定な振る舞いをするのとは大違いです。

おそらく太陽には、私たちの理解を越えた何かが隠されているのでしょう。太陽は、私たちの生命力の源であると同時に、生命力の完璧な象徴でもあります。私たちの健康が申し分ない状態にある時には、太陽から光が発するのと同じように、私たちからある放射が発しています。しかし、太陽から得た生命力を保持しそのさまざまな性質を外に表すためには、地球に由来するもう一つのエネルギーの助けを借りなければなりません。

人間の身体は、大地のエネルギーを利用できるように作られており、このエネルギーが体内の生命力の基礎として日常的に働いています。そして体は、体内に蓄えたこのエネルギーを有効に活用するために、さまざまな器官や細胞へと見事に分配しています。人体のエネルギー源には、食物、水、空気、磁気などがあります。エネルギー源に対する意識を高めると、必要なエネルギーをより効果的に吸収する方法を知ることができます。

先ほど述べたように、吸収されたエネルギーは分配されなければなりません。分配が効果的に行われないと、人体に吸収されたエネルギーは、体外から侵入した微生物に奪われ利用されてしまいます。こうした微生物は、体内の臓器に負担をかけながら増殖し、執拗に臓器を攻撃し、機能不全が生じるプロセスが始まります。体内にエネルギーを分配するシステムには、血液の流れ、神経系、内分泌系がありますが、これらの分配システムが、最適な働きをする状態に保たれていなければなりません。人体はエネルギーシステムの一種であり、高い効率でエネルギーを吸収し、分配し、消費するように最適化されています。つまり、無駄が最小限に抑えられ、エネルギーの入出力比が高くなるようにされています。

肉体を良好な状態に保つには、定期的な運動が欠かせない
肉体を良好な状態に保つには、定期的な運動が欠かせない

高い活力を維持するためには、行った方がいい習慣と避けるべき習慣とがあります。肉体を良好な状態に保つには、定期的な運動が欠かせません。現代では、座りっぱなしの生活を送る人が増えています。長時間座り続けることの弊害は、医学界ではもちろん、一般にもよく知られるようになっています。座りっぱなしのライフスタイルは、糖尿病、高血圧、大腸がん、うつ病や不安神経症、肥満、筋肉や骨の衰えなどのリスクを高めることが医学的に知られています。

これらを避けるためには、座った姿勢から1時間ごとに立ち上がって、基本的なストレッチ運動を2分ほど行ってから席に戻ると良いでしょう。運動は血液の循環と神経系にとても好ましい影響を与えます。前述したように、この2つは体内のエネルギーの分配に重要な役割を果たしています。毎日少なくとも20分は運動することが推奨されています。早足で歩くことは、普段の生活で実践できる最良かつ万能の運動です。

食事もまた、私たちの活力に大きく関係しています。食事の量や質はもちろんのこと、食事を摂る時間も重要です。夜、就寝直前に食事を摂ることは良い考えではありません。夜の睡眠の時間は、身体の自然治癒と再生に最も効果的に用いられるからです。夜間に食べ物を消化するという追加の仕事を身体に課すと、睡眠が私たちに与えてくれる活力の回復の一部が損なわれることになります。体が正常に働くために必要な栄養素のすべて含むバラエティーに富んだ食品、中でも果物や野菜を食べることが望ましいのですが、食べ過ぎは太り過ぎにつながるので避けなければなりません。体重超過すなわち肥満によって、糖尿病、心臓病、何種類かの癌など、多くの病気にかかるリスクが高まります。食事は、適切な時間に、健康維持に役立つ食品だけを、身体が必要とする量を摂取するにとどめるべきです。

私たちの活力と健康は、考え方や感情にも左右されます。ミュージカルやドラマを見たり、その他の娯楽を心から楽しんだり、気の置けない友人たちと心を弾ませながらお出かけしたりすると、後から元気が湧いてくることがよくあります。時には、体中の神経を流れるピリピリするような感じを覚えることもあります。これは、神経系を活性化させる刺激が与えられたことで、神経系の機能が改善したことを示しています。「勉強ばかりして遊ばない子どもは駄目になる」(All work and no play makes Jack a dull boy.)という格言は、定期的な刺激を与えられずに機能が衰えた神経系の活気のない状態を、ズバリと言い当てているのかもしれません。ですから、生活の時間の一部を定期的に娯楽に充てるべきです。そうすることで神経が活性化した状態に保たれ、それが神経系を助けることになります。

感情は神経系だけでなく内分泌系を通じても、肉体に極めて大きな影響を与えます。内分泌系は成長や代謝や、体の多くの重要な働きを調整するホルモンを作り出して分泌する腺から構成されています。ですから、内分泌系が順調に働くのを促すために、できるだけ頻繁に、調和の取れた感情が生じるような方向に、自分の思考を導かなくてはなりません。そのためには、定期的にメンタル・エクササイズ(mental exercises)を行い、そこで自分の思考を意識的に方向づけ、精神的にできるだけ高揚した状態を心の中に作り上げます。

この方法は、「天上の聖所との同調」(Celestial Sanctum Attunement)として知られているバラ十字会の瞑想の実践で用いられています。この同調の瞑想では「天上の聖所」と呼ばれる、想像力が及ぶ範囲で最も神聖で、穏やかさに満ち、美しい場所を心の中に作り上げます。そして、自分が「天上の聖所」に昇り、しばらくの間そこで休息している様子をイメージします。最良の結果を得るためには、まず調和を欠くすべての考えを排除することで、瞑想のための心の準備をします。それと同時に、自身の体と思考を浄化したいという意図を象徴する行為として、コップ一杯の水を飲み、手を洗います。次に、静かな場所で椅子に座り、特定の宗教とは無関係の次の祈りの言葉を唱えます。「〈宇宙〉の聖なる本質が私の存在を満たし、心と体の不純なものすべてを純粋にしてくれますように。そして清らかで、そこにふさわしい人間として『天上の聖所』に入り、同調がかなえられますように。ソー・モート・イット・ビー(訳注)」。次に、先ほど述べた「天上の聖所」を思い浮かべるエクササイズを始めます。この実習を終えたいと感じたら、次の祈りを唱えて締めくくります。「天上の聖所とのこの同調を、〈宇宙〉が神聖なものにしてくれますように」。「天上の聖所との同調」を定期的に実践することは、健康や活力を維持することに役立つだけでなく、生活のさまざまな面に極めて有益であることが知られています。

訳注:ソー・モート・イット・ビー(So mote it be.):「そうありますように」を意味する英語の古語。

良質でバラエティーに富む食べ物を食べる

私たちの活力に影響を与える人生の興味深い側面に、他の人たちとの交流があります。私たちが接する人たちの中には、活力を与えてくれる人もいれば、逆に活力を奪い取ってしまう人もいます。この影響は、相手と面と向かっている場合に限らず、お互いが遠く離れた場所で電話をしている時の心理的接触でも、ショートメッセージやフェイスブック、ワッツアップ、ツイッターなどの対話型ソーシャルメディア・プラットフォームを用いてチャットしている時でも生じます。実際に多くの人が、ソーシャルメディアによって活力を奪われると訴えています。ソーシャルメディアを通じて、心理的に接触する相手の数が大幅に増え、それによって活力が失われる体験をする機会が増えているからです。

しかし私たちは、エネルギーを失わせる人たちを「エネルギー吸血鬼」などと見なしてはならず、私たちが互いに影響を与えながら他人と触れ合う時には、エネルギーが釣り合うような自然なプロセスが起こっていることを理解しなくてはなりません。その結果、一方の人から別の人にエネルギーの流れが起こることがあります。しかし、流出した分のエネルギーは必要に応じて戻ってきます。それでも、体からのエネルギーの流出を減らすことは可能です。両手の指を組んで、手のひらがみぞおち(訳注)を覆うように腹部に置き、両足を揃え、体内の活力が保たれているのを思い浮かべます。これならば、相手に気づかれずに行うことができます。また、人間と同様に環境にも、エネルギーを与えてくれる環境と、私たちを消耗させてしまう環境がありますが、この場合にも人との交流のときと同じテクニックを用いることができます。

訳注:みぞおち:胸骨より下でへそより上の腹部。内部に自律神経系の太陽神経叢が位置する。みずおち。

日々の活動に費やす活力を把握しておき、自分のエネルギーの残量を常にチェックすることが大切です。こうすることで、生命力を保つするために何をすべきか、何を避けるべきかが見えてきます。インターネット上には、心理学から神秘学や宗教の実践まで、さまざまな自己修養の実践方法を紹介するサイトがあふれています。それらは、人生が改善されることを保証していますが、かえって私たちの活力を奪ってしまうものがあります。それに気づいた場合は、実践するのを直ちに中止しなければなりません。その方法は他の人にとっては望ましいものであるかもしれませんが、あなたのエネルギーを奪ってしまうのであれば、間違いなくあなたにとっては望ましくないものです。

たとえば、非物質的なヒーリング(metaphysical healing)の実践に興味がある場合は、自分のエネルギー量をチェックし、活力を損なわないテクニックを取り入れる必要があります。さらに、ヒーリングの実施の前後に、エネルギーを蓄えるテクニックを用いることが有効です。私たちが活力を得たり失ったりするのは、決してその時々の偶然によって起こるのではありません。宇宙を支配している自然の法則やスピリチュアルな法則との関係の中で、あなたの活動に応じて生じるものです。

朝焼けの中を散歩する人

バラ十字会で学習している人の多くは、自然法則とスピリチュアルな法則のどちらとも調和して生きようと努めています。私たちの周囲に現れており、私たちがその一部である自然界の営みを、自然法則が支配しています。一方でスピリチュアルな法則は、私たちが常に身近に感じている内面世界を支配しています。たとえ私たちが気づいていなくても、常に支配しています。

どちらも、ものごとの全体的な調和を維持するために確立された法則であり、すべての人に同じように働いています。すべての人が幸せと満足を達成するための規則は、これらの法則の中に含まれています。これらの法則と調和して生きるということは、単に、それらの規則を役立てるということを意味しています。もしこれらの法則と調和することを望むのであれば、それを知り、実感することが不可欠であることは言うまでもありません。その知識と実感は、個人的な経験、調査や学習、そして直感を通して私たちにもたらされます。

自分の思考や発言や行動が、人生で経験するものごとに影響する結果を次々に生み出す原因になっていることに気づけば、それらすべてに心を配るようになります。自然法則やスピリチュアルな法則をしっかりと学べば、現在の状態から過去に遡って現在の状況の原因を突き止めることができ、さらには、現在の行動によって将来起こり得る結果を予測できることもあります。配慮の行き届いた生き方ができるように自分を訓練することは、自分の生活態度によって人生の出来事が定められていることを確信すれば、さほど難しいことではありません。とは言え、これらの法則がどのように働くかを知識として知っているだけでは十分ではありません。その働き方の具体例を、生き生きとした形で実感している必要があります。

これらの法則は、実地に体験してこそ、私たちの意識の中で生きたものになります。「経験こそが最良の教師である」と言われるのはそのためです。しかし幸いなことに、私たちは他の人の経験からも学ぶこともできるので、あらゆる辛い体験を自分でしなければならない訳ではありません。しかしそのためには、すべての人に生まれつき備わっている「思いやり」の美徳を養い育む必要があります。私たちは、知識と思いやりを身につけることによって、完璧な自分になる方法へと導かれます。

私たちの活力は、真の自己、すなわち私たちの実存に直結しています。活力が豊かであればあるほど、私たちは真の自己をより良く外に表現することができます。自身のあらゆるレベルにおいて、真の自己を最大限に輝かせるためには、自身の活力を守るために必要なあらゆる手段を講じなければなりません。私たちの生き方が進歩を続け、私たちの内部と周囲に存在する〈宇宙〉の〈光〉(Light)と〈生命〉(Life)と〈愛〉(Love)の、この上なく生き生きとした表現となりますように。

※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

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