記事:『誠実さについて』

誠実さとは何か
誠実さとは何でしょうか。辞書には、誠実さとは「自分の考えていることを包み隠しなく話す人の性質」であると書かれています。そうすると包み隠さないことは、「誠実である人の性質」だということになります。
とすれば、包み隠さないのは良いことでしょうか。一見すると「はい」と言うことができるように思われます。そうは言っても、考えていることを包み隠さずに語ることは、その人が正しいことも、語られていることが真実であることも意味しません。つまり、発言が誠実であっても間違っているということがあり得ます。
したがって、誠実さが誤った前提に基づいている場合、それは誤解、さらには不寛容を引き起こす要因になり得ます。たとえば、多くの政治家は自分が誠実であると主張します。仮に彼らがそうであったとしても、だからといって彼らが皆正しいと結論づけるべきでしょうか。

偽善
誠実さが美徳であると見なされている主な理由は、それが偽善の対極にあり、多くの人が偽善のことを嫌悪すべき欠点であると考えているからでしょう。ご存じのように偽善とは、本来の自分を隠し、多くの場合、利益やご都合主義のために、本当に思っていることとは正反対のことさえ言う人の特徴です。
確かに、偽善者がこの悪習に流されるとき、その人は不誠実であり、人をあざむいています。私たちは誰もが、自分に対して偽善的な態度をとる人と関わった経験があることでしょう。そのときは気づかなかったとしても、時間が経つにつれて「偶然」が重なり、その人の態度や言葉が偽善的であったことに気づきます。
「誠実さは本来、有益なものである」
極めて古いバラ十字会の格言に、「偽善に気をつけなさい。それは光を破壊するものであるから!」というものがあります。
この格言には「光」という象徴的な表現が用いられていますが、他の人との関係において偽善的にならないように私たちに強く促しています。というのも偽善という欠点は、誤解や曲解、さらには対立の源になるからです。
実際に偽善は光を破壊します。それは、本来有益であるはずの誠実さが欠如しているという意味においてです。また私たちは誰もが、誠実な人を好意的に受け止め、偽善的な人を嫌う傾向があることに、あなたもお気づきでしょう。
それは、誠実さがお互いの信頼を育むのに対して、偽善はそれを示す相手への不信感しか生まないことを私たちが心の底で承知しているからです。

いかなる状況でも誠実であることは可能か、そしてそうあるべきか?
いかなる状況でも誠実であることは可能でしょうか。そしてそうあるべきでしょうか。驚かれるかもしれませんが、私はそうでないと考えます。特定のケースでは、特に相手が不必要に気分を害するであろうとわかっている場合には、考えていることを率直に言わない方が良いことがあります。
この場合、それは偽善ではなく自制心です。なぜならその目的は、相手をだましたり利用したりすることではなく、怒らせたり傷つけたりするのを避けることだからです。このことからは、「すべての事実に語る価値があるわけではない」という格言が思い起こされます。
この観点から考えると、話している相手について考えていることすべてを口にしたり、ある特定の分野における自分の信念、確信、もしくは意見をあからさまに表現したりするために、誠実さを口実にしてはならないということに思い及びます。誠実であることと分別を持つことは両立できます。
誠実な人とはどのような人か?
一般的に言えば、誠実な人とは、善意を持ち、嘘をつかず、決して他人を操ろうとしない人です。ですから誠実な人は、他の人に対して親切にふるまい、約束を守り、期待に応えようとする傾向があります。
自分が正しいと主張するのではなく、他の人に対しても自分に対しても本当のことを正直に語ろうと努めます。自分には間違えたり過ちを犯したりする可能性があることを知っているため、ある話題について助言や意見を述べる際にも、独断的になることがありません。
自身の良心の声に受容的かつ敏感であり、それに耳を傾け従おうと努力します。
この点において、誠実さは他の美徳を内包する美徳であり、だからこそ、誠実さを完全に目覚めさせることは難しく、日常生活において誠実さを体現できる人は、それほど多くありません。

※上記の文章は、バラ十字会日本本部が発行しているメルマガ「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の記事のひとつです。このメルマガの購読をこちらから登録すると、毎週、配信記事が読めるほか、季刊雑誌「バラのこころ」(神秘・科学・芸術)のPDFファイルを年に4回入手することができます。
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執筆者プロフィール
セルジュ・トゥーサン
1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。 多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。





