以下の記事は、バラ十字会日本本部の季刊雑誌『バラのこころ』の記事を、インターネット上に再掲載したものです。
※ バラ十字会は、宗教や政治のいかなる組織からも独立した歴史ある会員制の哲学団体です。
密輸人
The Smuggler
この話は、イドリース・シャー(Idries Shah)の『スーフィー』(*1)から引用したものです。
かつてナスルディンは、藁で満杯になった荷かごを、いくつも背に載せたロバを連れて、毎日国境を越えて家に戻っていました。彼は密輸に手を染めていることを白状していたので、彼が毎晩、重い足取りで帰るとき、国境の監視人たちは何度も何度も取り調べを行いました。身体を調べ、藁をふるいにかけ、水に浸し、時には燃やしたりもしました。しかし彼は、目に見えて金持ちになっていきました。やがて彼は、引退して別の国で暮らすようになりました。何年か後に、税関の職員のひとりが彼を見かけました。「ナスルディン、今こそ教えてくれんか」。「我々はお前を一度も捕まえられなかったが、密輸していたものはいったい何だったのだ?」
「ロバです」とナスルディンは答えました。(*2)
脚注:
1.『スーフィー』(The Sufis):邦訳書は、『スーフィー、西欧と極東にかくされたイスラームの神秘』、久松重光訳、国書刊行会、2000年。
2.この話の国境の監視人は、神秘家の探究の目標が、隠された複雑なものに違いないと考えている人たちのたとえだと考えられる。
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