投稿日: 2026/06/02
最終更新日: 2026/06/04

以下の記事は、バラ十字会日本本部の季刊雑誌『バラのこころ』の記事を、インターネット上に再掲載したものです。

※ バラ十字会は、宗教や政治のいかなる組織からも独立した歴史ある会員制の哲学団体です。

区切り

足元の美しきものたち
The Beauty Beneath

ウォルター・プファル
By Walter Puphal

野の草花

自然界の現象や働きから〈無限なるもの〉を知る人もいれば、音楽や詩などの芸術によってインスピレーションを受け取る人もいます。形や線や色彩は、多くの人にとって、至高の実在界の表現です。また、私たちの住む世界は、通常の理解の範囲を超えた力と英知の現れであると考えている人が数多くいます。

天上の神秘に目を凝らしても、身の回りに展開している人生の真実を探究しても、進化しつつある精神と人間の意識に取り組んでも、自身の洞察力が鋭くなると、その分だけ、「無限の英知」が存在することに私たちは少しずつ気づくようになります。

花に出会うことは、いつも、心が温まる経験です。よく知っている花であっても、珍しい花であっても、それを私は、〈創造主/神〉が与えてくれるものの一例であると感じ、いつかは、より直接的な体験として知りたいと願っているものであると考えます。それについて学ぶことを花に促されているように私は感じるのです。それは注意を向けるべき何かであり、人生というモザイク模様に加えられる何か新しい小片であり、新しい友人であり、新しい声であり、新しい喜びです。

野の花のない世界を想像してみてください。草地や丘や、山陰の峡谷は、何と寂しくつまらない場所になってしまうことでしょうか。あなたのよく行くお気に入りの場所には、私たちの幸せのための〈創造主/神〉の好意と気遣いが反映されていると考えてください。そして、その場所を守っていくために、声を上げ行動していくことを静かに決意してください。

春の魔法、日が延びていく様子、樺や樫の木の幹の中を上っていく樹液、そして身近な季節の訪れについて私たちは話題にします。しかし、野に咲く春の花ほど、旺盛な生命力を印象的に表わしているものは他にありません。

柔らかな風が吹き、すみれが咲き出すにつれて、心を楽しませてくれる自然と共に暮らし、私たちは優しく心安らかになりますが、小さな花々に、それほど大きなことができるという驚きを失うことはありません。アツモリソウの鮮烈さとそのエキゾチックな美しさには、いつも驚かされます。

咲き誇る草花たち

夏の終わりには、明るい青色のエゾ菊と小さなノイバラの花々が、様々なキンポウゲと矢車草の、色とりどりの繁みに混ざって咲いています。ナデシコの柔らかいピンク色が、美しいハーモニーとやさしい旋律をかもし出しています。

手つかずのままの草やそよ風は見るものを誘い、さらに歩みを進めるように駆り立てます。草むらには、心を躍らせる青紫色の柔らかいリンドウの群れがあります。このような花々に一度出会うと、決して忘れることはできません。花との出会いは私たちの心を虜にしてしまいます。

自然の中で生きる野生の植物は、それぞれのやり方で、周囲との調和を保っています。それらは、自身の能力を発達させて、さまざまな状態の土壌から栄養を吸収したり、必要な水分を見つけたりしています。日の光を受け取ることができるように、普通より高く成長することもあります。他と生長と競いながら、植物は年ごとに同じ場所で育ち、苦労しながら適応し進化を続けています。

キキョウの仲間のいくつかは、むきだしの岩崖の表面に生い茂り、ほんの小さな裂け目に根を張ります。そのような場所で、どのようにして、炎天下の夏と厳しい冬を生き延びるのでしょうか。

もし野生の花が絶滅するならば、何が残るのかと、かつて私は考えたことがあります。他が生き残り、花々だけが絶えると想定したとしても、間違いなく人間は、美に感謝し、美を尊く思う能力のほとんどを失ってしまうのではないでしょうか。そして、心の進歩のために美が与えてくれている支援も、人は投げ捨ててしまうことになるでしょう。

※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

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