学びの後は、静かな力に満ちた澄み切った感覚を得ることができる
精神科医師 遠藤 雅俊 様
今の私があるのは、二十歳代前半に学んだバラ十字会の課程のためではないだろうかという思いを、最近、ますます強くしている。今から二十数年前、入れる大学もなく、私は浪人をしていた。ふと書店で見た雑誌に、「人生を支配する」というバラ十字会の不思議な広告を見た。入会には大いに勇気を要したが、その後、約2年間バラ十字会で学んだ。その間に当初の希望以上の大学合格も果たした。喉もと過ぎればで、やがてバラ十字会の学びはやめてしまったが、不思議なことに、それ以降、人生がまるで魔法の絨毯で運ばれるような不思議な感覚が続いている。
その後、様々な東西思想や修行法を学んだ。そこで述べられていることのほとんどが、バラ十字会の2年間の学びに含まれていた。しかし、前者の多くには、文化的、個人的垢が付着し純粋な知識が伝えられていないように感じられた。多くの伝統的知識に、今、人々は生活や精神を向上させる力が無いことに気付き始めている。昨年私は、もう一度古来の純粋な知識を学びたいという抑えがたい思いに動かされ、再びバラ十字会に入会した。かつて学び、それが古代からの純粋な知恵の力を保ち、人生に肯定的変化をもたらす知恵を伝えている数少ない組織であったことを思い起こしたからである。
バラ十字会の教本の記述は薄味である。質の高い日本料理のように、後々までその余韻は内なる幸福を持続させる。精妙な最も核心を突いた記述がなされているような気がする。私は毎週木曜の晩に教本を学ぶことにしているが、学びの後はいつも深い瞑想から覚めた後のように、静かな力に満ちた澄み切った感覚を得ることができる。
自己の外に存在するいかなる権威や迷信、歪んだ自我に盲従する時代は終わりを告げる。内なる宇宙の光を見出し、それに従った多くの人々が人生を支配する世界の到来が間近なような気がする。一年間だけでいいと思う。バラ十字会での学びを試みれば、それが決して無駄ではなかったことを後になって知るに違いない。