ウェルビーイングの意味
バラ十字会の本庄です。
※ バラ十字会は、宗教や政治のいかなる組織からも独立した歴史ある会員制の哲学団体です。
ウェルビーイングが今回の話題です。耳慣れない言葉だとお感じになる方もいらっしゃるかもしれません。
英語では「well-being」であり、直訳すると「良好な状態」を意味し、幸福、福祉、安寧、福利などの訳語があてられています。
語源はイタリア語の「ベネッセレ」(benessere)で、ラテン語の「善い」(bene)と「である」「esse」の組み合わせから生じています。
1947年に世界保健機構(WHO)は、健康の定義として「肉体的、精神的、および社会的に完全に良好な状態(ウェルビーイング)であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」を憲章に採択しました。
また、2015年に国連は「持続可能な開発目標」(SDGs)として2030年までに達成すべき17の項目の目標を総会で採択しましたが、その第3項目は「すべての人に健康と福祉(ウェルビーイング)を」(Good Health and Well-Being)とされています。 バラ十字会フランス本部代表が、自身の人気のブログに「ウェルビーイングについて」という題の文章を発表していますので、その日本語訳をご紹介します。


記事:『ウェルビーイングについて』

ウェルビーイングの追求
最近、ウェルビーイングと「ウェルビーイングの追求」がたびたび話題になっています。実際のところ、この追求は新しいものでも最近始まったものでもありません。人類が地球上に出現して以来、人は常に生活環境を改善し、物質的な面でより幸せに生きようと努力してきました。このことを確認するためには、人間が暮らしをより快適で幸せなものにするために、想像し、発明し、創り出してきたすべてのもののことを考えれば十分です。不幸や不快な状態を好む人はほとんどいません。私たちの大部分は、心と体のウェルビーイングと幸福を本能的に追求し、肉体的なものであろうと精神的なものであろうと、苦痛を避けようとします。
ウェルビーイングとは何か?
一般にウェルビーイングとは、「身体的な欲求が満たされ、悩みがないことによってもたらされる快い感覚」もしくは「欲求を満たすことができる物質的な状況」と定義されます。これらの定義は基本的には正しいものですが、そこには不正確な点が残されています。ウェルビーイングとは何かをより良く理解するためには、まず「良い状態」とは何を意味するかを自問する必要があると思います。バラ十字会の哲学的観点からすると、「良い状態」には4つの側面、すなわち肉体的、精神的、感情的、そしてスピリチュアルな側面があります。この4つの条件が満たされたときにだけ、人間は真に「良い」と感じ、その結果、幸福を感じることができます。明らかに、このようなウェルビーイングの状態は実現することが難しく、それを維持することはさらに困難です。

身体的なウェルビーイング
当然のことですが、身体のウェルビーイングは体と健康状態に関連しています。もし健康状態が悪いと、良い気分になることは難しくなります。重大な不調や病気をかかえている場合には、「晴れやかな気分」や「良い気分」でいることはほとんど不可能です。劣悪な環境で生活していたり、衣食住に最低限の快適さが得られない場合も同様です。そして残念ながら、地球上の10億人以上の人たちがそのような状態で暮らしています。そして、もし幸運なことに健康である場合には、肉体的に幸せでいることに役立つ最良の方法は、健康を維持するために可能なすべてのことを行なうことです。できるだけ健康的な食事をし、タバコ、ドラッグ、過度のアルコールを避け、スポーツであってもなくても定期的な身体活動を行ない、十分に睡眠を取り、「悪い」ストレスを避けるなどです。
精神と感情のウェルビーイング
精神のウェルビーイングは、その人の思考の性質に関連しています。もし、あまりにもたびたび否定的な思考をするならば、つまり恨み、憤り、嫉妬、怒りや、さらに悪いことに憎しみに思考が満ちているならば、穏やかな心境でいることはできません。同じことが感情についても言えます。なぜなら、ほとんどの感情はその人の思考と密接に関連しているからです。私たちが幸せ、喜び、心の平安、愛情などを感じているとき、精神と感情の状態は肯定的であり、それが本人にウェルビーイングを感じさせます。また精神と感情のウェルビーイングは、体のウェルビーイング、つまり身体の健康にプラスの影響を与えるということも付け加えておきます。逆に、否定的な思考や感情は体の健康に悪影響を与えます。このような相互作用は現在ではよく知られており、否定的な思考や感情によって起こる不調や病気は、一般に「心身症」と呼ばれています。

スピリチュアリティの重要性
しかし、バラ十字哲学の観点から言うと、ウェルビーイングにはスピリチュアリティ(後述)という超越的な側面も含まれます。人間という存在は肉体に限定されるものではなく、そこには魂(soul)が宿っているという考えを受け入れるならば、私たちが多かれ少なかれ切望している心の平安と幸福は、その人がスピリチュアリティにどの程度留意するかということにも左右されることになります。物質を過度に重視する態度、さらに悪いことには唯物論を信奉すると、長い目で見ればその人は幸福になれないということが、このことによって説明されます。遅かれ早かれ、唯物論者の大部分はある種のいらだちや無力感を経験し、人生の意味を探求する必要を感じることになります。その人はそのときから、自身の魂が及ぼすプラスの影響に徐々に心を開き、肉体的、精神的、感情的なレベルでその恩恵を感じるようになります。
バラ十字会AMORCフランス本部代表 セルジュ・トゥーサン
著者セルジュ・トゥーサンについて
1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。
多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。


あとがき
再び本庄です。
上の文章では、最後にスピリチュアリティのことが取り上げられていました。
スピリチュアリティは、「精神性」、「霊性」などと訳されますが、どうもピンとこないと感じる方々が多いようです。
より具体的には「人間の心の奥にある崇高さ」を主に指していると考えられます。詳しい解説を作りましたので、ご興味のある方は次のページをお読みください。
下記は、前回のセルジュ・トゥーサンの記事です。
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
また、お付き合いください。
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第3号:学習の4つの課程とその詳細な内容、古代の神秘学派、当会の研究陣について
執筆者プロフィール
セルジュ・トゥーサン
1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。 多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。
本庄 敦
1960年6月17日生まれ。バラ十字会AMORC日本本部代表。東京大学教養学部卒。
スピリチュアリティに関する科学的な情報の発信と神秘学の普及に尽力している。
詳しいプロフィールはこちら↓
https://www.amorc.jp/profile/