こんにちは。バラ十字会の本庄です。
この数日、暑くなったり寒くなったりですね。東京板橋では、ユリ、アジサイ、バラがそこここに咲いています。
いかがお過ごしでしょうか。
山形に住んでいる、お祭りとジャズが三度の飯よりも好きだという私の友人から、お酒の思い出についての寄稿が届きました。
▽ ▽ ▽
記事:『ウイスキーにまつわる話』
忘れもしません。平成7年11月4日のことです。仕事中に突然の腰痛に襲われました。若いころからの、いわゆる職業病です。いつもですと一週間位で治まっていたのですが、そのときは季節の影響もあり快復するのに時間がかかり、酒が飲めない(飲ませてもらえない)状態が3カ月間ほど続きました。
その後、どうにか快復した様だなと思えた一月末の事です、ちょっとだけならと、正月に頂いたお酒をほんの少しだけ呑んでみました。
すると、何が起こったのでしょうか…? 身体がアルコールを全く受け付けてくれません。
それ以来、完全に酒と縁が切れてしまいました。でも、酒に関した話は今でも大好きです(笑)。酒にまつわるテレビ番組等を見つけますと必ず見ることにしています(笑)。今回はそんな私が友人らと酒を飲みまくっていたころの話です。
お酒を飲まれない方々もしばしのお付き合いを。
私が二十代後半の頃だったと記憶しています。ある時、友人から電話が入りました。『元気か~?』に始まり、いつの間にか話題は『最近、どんな酒を飲んでる?』に。
そこで私が『サントリーのオールドだよ』と答えました。
すると、『サントリーのオールド? ありゃ高いだろう!!』『うん、まあまあ高いよ。だから、少しずつ飲んでるよ』。すると『そうか、ウイスキーだったらトリスにしろよ。俺はトリス一辺倒だよ、TVのコマーシャルでもやってるだろう“安い美味い”って。一度飲んでみろよ。絶対にやみつきになるから!!』
私は思わず『え!?お前さんがトリス』でした。
当時、トリスウイスキーは日本で一番安い酒と言われていました。
実はこの友人、数年前に会社を立ち上げ、その後は持ち前の商才を発揮して破竹の勢いで事業を拡大していたのです。
そこで、ストレートに聞いてみました『お前さんの今の稼ぎだったら舶来のウイスキーだって楽に買えるだろう?』。
すると『あ~。スコッチウイスキーとかだったら取引先の業者さんたちからのもらい物がたくさんあるよ、そういったウイスキーは会社関係の仕事で人に会いに行く時にお土産として持っていくんだよ、相手方は思い切り喜んでくれるし、商談もスムーズにはかどるよ』。
そりゃ相手の方は大喜びするでしょう(笑)。
そして、会話の最後にだめ押しされました『お前さんもトリスウイスキーにしろよ。ところで、買うんだったら一升瓶サイズだからね、千円でお釣りがくるよ』。そのころの私はトリスウイスキーはポケット瓶、普通瓶と有るのは知っていましたが一升瓶サイズがあることは初耳でした。
その日、そうそうになじみの酒屋さんに直行。
酒屋のオヤジさんに『あの~。友人から聞いたんですがトリスの一升瓶ってありますか?』。するとオヤジさん、ニコニコ顔で『あるよ。これはうまいよ~!!』。
さて、自宅に帰るとすぐに、ど~れ、まずはオンザロックで、そしてほんのちょっと口に含んだ瞬間『辛い~!!!』。『口から火を吐くような』といった表現がありますが、口と耳の穴からは火柱が、目からは閃光が飛び出しました(笑)。辛口の酒は苦手ではありませんでしたがトリスの辛さは半端なものではありませんでした。
その時は一升瓶サイズで購入したことを思いっ切り後悔しました。どうしよう、友人に譲ろうかとも思いました。でも覚悟を決めてもう一口。すると『あれ!?』不思議なことに辛さをあまり感じなくなっていました。
数日後には友人が言った通りに。完全にやみつきになっていました(笑)。
その後は連日の様にトリスの一升瓶をかたわらに立てオンザロックを楽しんでいたのですが……。
夏のある日、ウチのカミさんが『オトーサン。お酒を飲むのは構わないけど、その格好(服装)で一升瓶を脇に立てて飲むのは止めてね!!』。どんな様子だったのかは皆さんのご想像にお任せします。個人的には気に入っていたんですがね~(笑)。
トリスの一升瓶はその後に取っ手の付いた形状となり名称もジャンボ・ボトルとなり、長い間販売が続いたのですが、酒税法の改正と同時に姿を消してしまいました。それでも数年前に形状を変えて復活したのですが、私には昔のデザインが懐かしく思えます。辛さは昔と変わらないのでしょうか?。
確かめてみたい気持ちはあるんですが。何しろ、今はアルコールを受け付けない身体になっちまったもんですから。
辛口ウイスキーにまつわる話をもう一つ。
平成7年9月の時です。
同業者の会でバス旅行に出かけた時のことです。出発して間もなくバスは山形県から宮城県に通じる国道48号線に。ここで予想はしていたのですが誰が言うとなく『寄り道していこう!!』。
御存知の方もおられるとは思いますが、国道48号線から脇道に少し入った所にニッカウイスキーの仙台工場があるんです。
もうお分かりですよね。工場の奥に有る無料試飲コーナーに寄り道していこうということです。
現在の試飲コーナーは工場の敷地に入ってすぐの場所になっています。内部には売店も併設されており、出来立てのウイスキーはもちろんのこと、ウイスキーの樽をデザインした器に入ったチョコレートやウイスキーボンボン等のお菓子も購入できます。さらに歴史資料館も兼ねていますので、酒の飲めない人でも楽しめる場所となっています。
さて、それでは話を元に戻しましょう。
当時の試飲コーナーは木の樽に入ったウイスキーをセルフサービスで飲み放題でした。私が一口呑むのとほぼ同時に廻りから『うわ~辛い~!!』の悲鳴声が。超の字が付くほどの辛口のウイスキーでした。私は辛口には慣れてますから『大丈夫、大丈夫、二口目からは辛くなくなるよ』皆さん方に声を掛けました。
すると、ちょっと間を置いて『美味い~!!』。
今度はコーナーの担当者に質問が飛び交いました『このウイスキーの銘柄は何ですか?年代物ですか?価格は?此処の売店で購入出来ますか?』。すると『これは貯蔵庫内から無作為に選んだ樽から汲んできたいわば究極のシングルモルトでございます。銘柄も無ければ製品化の予定もごさいません。今日、ここでしか呑めない一品ものでございます。じっくりと味わって下さい』。
ところで、試飲用のグラスがなんとも粋なデザインです。ちょっと小振りな造りでニッカのロゴマークが入っています。おそらく販促グッズとして生産された非売品だったと思います。それでも何とか一個だけでも手に入れられないものかと思い、担当者にそれとなく声を掛けてみました。
『このグラスはここの売店で購入できますか?』
すると『申し訳ございません、このグラスは私どもメーカーのオリジナル製品でございます、特に販売は行っておりません』
予想通りの言葉が返ってきました。それでも、何とか合法的に譲ってもらえる方法はないものだろうか。あれこれ考えながら、空になったグラスを満杯にすると『それでは皆さん、そろそろ出発しますよ~』の声が。
瞬間、閃きました!!
試飲コーナーの担当者の顔を見ながら『え~!!もう出発だそうです』。
その後の会話の流れは皆さん方のご想像にお任せします(笑)。
ウイスキー造りは蒸留した原酒を樽に詰めて貯蔵庫で寝かせて熟成させるのですが。その時、年数に応じて僅かずつですが中身が減っていくのだそうです。つまり蒸発して行くわけです。その減った分を『天使の分け前』とか『天使の取り分』と呼ぶのだそうです。それとは別に、樽に染み込んで目減りした分を『悪魔の取り分』と呼ぶのだそうです。
トリスウイスキーの場合、熟成年数はそれほど長くないと聞きました。ということは、私は天使と悪魔、両者の取り分を横取りさせて頂いていたということに…。
それでは、改めてお二方にお礼申し上げます。
『ごちそうさまでした!!』
△ △ △
ふたたび本庄です。
子供の頃に見たトリスおじさんのCMのことを思い出しました。トリスおじさん(アンクルトリス)とは、この写真のポケッットビンのラベルに描かれているキャラクターです。
バーのカウンターに座ったトリスおじさんが、ウイスキーを飲むにつれて、顔が下の方から赤くなっていくというCMで、見たのは昭和40年ごろだったように思います。
また、当時、家の食器棚には、トリスおじさんのつまようじ入れがあったことも懐かしく思い出しました。
下記は、山下さんの前回の文章です。
記事:『LPレコードの思い出』
では、今日はこのあたりで また、お付き合いください。
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