こんにちは。バラ十字会の本庄です。
残暑のお見舞いを申し上げます。いかがお過ごしでしょうか。
今朝の東京板橋は雲の少ない青空で、秋の気配が感じられるかのように涼しかったです。
先週末に札幌で仕事があり、その後に、同市の「芸術の森美術館」で開かれていた展覧会「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」を見ることができました。
100点あまりの、独特な作品が展示された興味深い催しで、その中には「四大元素」に関連する絵画もありましたので、ご紹介させていただきます。
まず、この展覧会で取り上げられているブリューゲルですが、フランドル地方の一族で、4代にもわたって多くの有名な画家を輩出しました。
フランドル地方は、ごく大雑把に言うと、今のベルギーにあたります。日本では、アニメ化された『フランダースの犬』が有名でしたので(古いでしょうか)、フランダースという名の方が、よく知られているかもしれません。
修道院で作られる美味しい地ビールが、たくさんあるところだそうです。
大ブリューゲルとも呼ばれるピーテル・ブリューゲルが生まれたのは16世紀の前半のことでした。イタリアで15世紀に始まったルネサンスは、この頃には、ヨーロッパ中に広まっていました。
そして、それまではカトリック教会の教義にまつわることが、芸術や思想、哲学の中心テーマというか大部分を占めていたのに対して、古典や他の文化や人間の実際の生活を重視しようとする機運が盛り上がりました。特に、ギリシャやローマの芸術や文化が、多くの人に注目されるようになりました。
ヨーロッパの絵画を例にとると、ルネッサンス期以前に描かれた題材の多くは、支配者や貴族や聖人の人物画か、聖書の逸話の一場面でした。
ところが大ブリューゲルは、自然の風景を描くことに力を注いだり、農家の人たちの祭りをテーマにしました。そしてその作風は一族の画家に受け継がれたばかりか、ヨーロッパの風景画の伝統の先駆けにもなりました。
大ブリューゲルの長男で同名のブリューゲル2世は、地獄を描いた絵が得意で、『地獄のブリューゲル』と呼ばれています。また、父と同じモチーフの作品も多数描いています。

この展覧会では一部の絵の撮影が許可されていたのですが、三脚やフラッシュは使うことができませんでした。そのため写真は少しぼけているのですが、大目に見てください。
踊っているたくさんの人たちの楽しげな様子や、酔った様子や、花嫁の、なぜかつまらなそうな表情がよく描かれていますね。配色がとてもにぎやかです。
大ブリューゲルの次男のヤン・ブリューゲル(1世)は好んで花を描きました。その細かい描写は質感がとても見事なので、彼は「花のブリューゲル」とか「ビロードのブリューゲル」と呼ばれます。

当時は、寓意画というものも描かれました。物語のある場面でも、風景や静物でもなく、ある観念を表す絵です。
たとえば先ほどのヤン・ブリューゲル1世の子供であるヤン・ブリューゲル2世の描いた次の4枚の絵は、愛、争い、嗅覚(きゅうかく)、聴覚を表しています。
特に聴覚の絵に描かれている古楽器などの小物などは、まるでそこにあるかのようで、これが400年ほど前の絵だとは信じられないほどです。




また、ヤン・ブリューゲル1世の子供であるアンブロシウス・ブリューゲルの次の4枚の寓意画は、土、水、空気、火という四大元素を表しています。それぞれの絵に登場している女性は、デメテル(豊穣の女神)、アンフィトリテ(海の女神)、ウラニア(占星術と天文の女神)、ヴィーナス(愛の女神)だそうです。




四大元素とは、ギリシャの哲学者たち、特にエンペドクレスが、自然界のさまざまな現象の根本にある原理だと考えたものです。先ほどヤン・ブリューゲル2世の「愛」と「争い」の寓意画を紹介しましたが、四大元素は愛と争いという原理によって、結合したり分離したりして、自然界のさまざまな現象を引き起こすと考えられました。
現代科学ではもちろん、物質の根本は、水素、酸素、炭素、窒素などの、現在は100種類以上発見されている化学元素であり、主に電子の働きによって結合しているということが知られています。
しかし、バラ十字会の通信講座では、化学元素のことも古代の四大元素のことも扱われています。
手短にご紹介するならば、四大元素は物質の根本要素ではなく、むしろ、生命の基礎的な原理だと捉えることができます。そして、この考えを応用して、興味深い瞑想や実習を行うことができます。
また、まったく別の視点ですが、四大元素のことを、秘伝的知識が伝授される4つの段階だと考えることもできます。
以下の記事では、当会のフランス代表が以上のことについて解説しています。
参考記事:「四大元素と古代哲学と錬金術」
では、今回はこの辺りで。
また、お付き合いください。
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