投稿日: 2025/08/12
最終更新日: 2025/08/14

以下の記事は、バラ十字会日本本部の季刊雑誌『バラのこころ』の記事を、インターネット上に再掲載したものです。

※ バラ十字会は、宗教や政治のいかなる組織からも独立した歴史ある会員制の哲学団体です。

区切り

宇宙意識
Cosmic Consciousness

スヴェン・ヨハンソン(バラ十字会AMORC世界総本部元副代表)
By Sven Johansson

「宇宙意識」という言葉は、現在では広く知られていますが、過去1世紀以上にわたってさまざまな解釈が加えられてきました。おそらく「宇宙意識」という言葉とその意味を広く一般に知らしめた人物は、誰をおいてもリチャード・モーリス・バック(Richard Maurice Bucke)でしょう。彼は19世紀末のカナダの作家で精神科医でもあり、有名な『宇宙意識』というタイトルの本を書きました。古典的な著作であり手軽に入手できますし、一読の価値があります。

バックの『宇宙意識』を読んだことのある方の多くは、宇宙意識とは何かという大まかな概念を、少なくとも頭では把握していることと思います。しかしほとんどの場合、このような知的な概念は、必ずしも、いやほぼ間違いなく、体験そのものを正確に表現したものではありません。バックの著書からも、その点は明らかです。そうであれば、直接の体験がない場合に、宇宙意識のような壮大で広大な概念をどのように定義すればいいのでしょうか。

間違いなく、宇宙意識を体験したことがある人はごく少数でしょうし、自分が体験したことを説明できる人はもっと少ないでしょう。しかし、私たち人間はとても好奇心が強い生きものであるため、自分が体験したことだけでなく、他人が体験したことにも呼び名を付けて分類しなければ気が済まないような精神構造をしています。特に、特定の言葉や表現をどのような意味で理解するのかを、説明しないではいられません。このような行動は、お互いのコミュニケーションをさらに円滑にするために行われるものです。もちろん、宇宙意識の場合にそれは、誤った行いであることになるかもしれません。すべての体験には呼び名が必要ですが、いったん呼び名が付けられると、その呼び名が私たちの概念を限定し、制約を設けてしまいます。さらに、その呼び名が指し示すことを完全に体験することを妨げてしまったり、少しでも体験することさえ妨げてしまうかもしれません。私たちは、「知性のやり方」という拘束服に捕えられていて、知性は最終的に到達する「実際の体験」とはほとんど関係がありません。

宇宙意識が突然に流入したという、さまざまな文章を読むことができます。より適切な言葉があれば良いのですが、「聖なる精髄」(divine essence)の流入とまさに呼ぶことができる体験を、著者たちが例外なく指し示していることに気づかずにはいられません。

「聖なる精髄」が何を意味するかは、もちろん解釈の問題ですが、本質的には、ある「精神的な構造」(模擬的な姿もしくはイメージ)のことを述べています。すなわち、すべての人間が所有していて、人間という存在の奥深くに埋め込まれており、宇宙に存在する中で最も高度な種類の意識に関連する精神的な構造のことです。

「聖なる精髄」についてある人の実際の体験は、明らかに多くの類似点があるものの、他の人の体験とまったく同じであることは決してありません。とはいえ、世界がいくつもの宗教に分かれており、その多くが「神とは何か」という概念について、「正しく」、実際のところ「唯一」の概念を持っていると公言している様子を観察するだけで、聖なる精髄についての体験には確かに類似点が存在することがわかります。しかも、現在の宗教は硬直化しているように思われますが、それぞれの宗教の中では、聖なる精髄とは何かについて大まかな一致が得られています。そして、そのような無意識的で合意されていない同意のおかげで、「聖なる精髄」という表現は、ほぼあらゆる社会で安心して使用することができ、理解されています。

瞑想する女性
宇宙の完全さ(Cosmic Perfection)は、ほんの一瞬垣間見ただけでも、極めて壮大で重要なできごとになり、内面の奥深い変容のきっかけになる (from istock.com/fizkes/Nikkizalewski)

「聖なる精髄」、あるいは「宇宙精神」(Cosmic Mind)は、純粋に人間が構築した知的な概念ですが、まったくの絵空事というわけではありません。この概念には、純粋に物質的な対応物も存在します。ある宇宙精神の物質的な顕現(現れ)は、他の意識の顕現と同様です。宇宙精神や意識が現れるためには、物質的な媒体(乗りもの)が必要であるため、私たちはその現れに、物理的な「鋳型」(mould)や「形態」を通して、すなわち「物質からなる体」を通してだけ気づくことができます。私たちが暮らす物質世界では、聖なる精髄を顕現させるための媒体(乗りもの)は、極めて小さな細胞であることもあれば、想像を絶するような複雑な生体であることもあります。しかし、どのような場合でも、「宇宙精神」とも呼ばれる聖なる精髄は、媒体であるその体を物質的にも精神的にもより高度で完全な状態へと導く進歩の原動力になります。そしてこの進歩は、その体が創られた鋳型に適用される成長と進化の法則に従います。

この宇宙精神は、その環境に存在するありとあらゆるものを全体的に知覚して、すべての細胞をその生命力で満たしているため、限りなく小さな生命体でさえも、環境に反応し進化する方法を知っています。それは、生命体のDNAだけのおかげではなく、あらゆるDNAの鎖の形成を支配する原理的な「法則の集大成」によるものです。極めて小さな生命体であっても、ある「基本計画」に従って「創造」されています。その計画とは、極めて複雑な「鋳型」のようなものであり、それが、その生命体の知覚と進化の可能性に関わる特徴と限界を定めています。どれほど原始的な生物であっても、自体と調和した状態を実現することによって物理的に良好な状態を手に入れる方法や、その生物の完全な状態を妨げるものや脅威となるものを排除する方法を知っています。このことを念頭に置くと、極めて単純な種類の生物であっても、意識を持ち、理想的な状態に向かって進化しようとする強い衝動を持っていると言うことができます。

個々の生命体は、極めて単純な意識の表現から、より複雑で洗練された意識の表現へと段階的に進歩します。このようにして、宇宙精神そのもの、あるいは少なくとも宇宙精神についての私たちの認識は、絶えず進化を続ける媒体を通して、段階的に成長し拡大していきます。最終的には、理解が及ばないほど果てしなく続く進化の梯子(はし ご)を登りつめた先で、個々の生命体は、生けるソウル(訳注)であるそれ自体を神聖な意識で満たし、変わることのないそれ自体の完全さを、はっきりと目に見える形で現し始めます。このことは、宇宙意識にそれまでは、不完全さがあったり制約があったりしたということを意味するのではなく、不完全で制約があるように思われるのは、それが、宇宙精神の現れの解釈に過ぎないからです。つまり、バラ十字会員の多くが「ソウル人格」(soul personality)と呼んでいる、生けるソウルの限定的な能力を通して、宇宙精神がフィルターを通して知覚され解釈されたものだからです。

(訳注:生けるソウル(living soul):ソウル(魂)が物質的な体に宿り命を持つようになった存在、すなわち生きもの、特に人間という生きもののこと。)

宇宙精神は常に完全であり、これまでも常に完全でした。そして、すべての生物の細胞を、同一の完全な意識の閃光(spark)で満たしています。しかし、それぞれの生命体は、自体が利用できる宇宙意識のごく一部だけしか表現することができません。生命体が、内在する神聖なエネルギーを完全に表現する能力を持つまでには、長い進化の道のりが必要とされます。私たちが知る限り、人間は、宇宙意識の偉大さをこの世界に最も良く表すことができる「生けるソウル」です。そして宇宙意識は、次の3つの基本的な意識レベルを通して作用します。

1.私たちは周囲の環境を、客観的意識と主観的意識を通して認識します。客観的意識は、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚という五感の刺激があることによって存在しています。これらの外界からの刺激に対する人間の内的反応は主観的意識から生じ、主観的意識は思考、記憶、想像などの能力を用います。

2.人間には、下意識(潜在意識)が備わっており、この意識は不随意の(自動的な)身体機能のすべてを監督しコントロールすることができます。また随意的な行動を出現させたり、サイキック(超心理学的)な性質のあらゆる側面を統合することができます。

3.人間の意識の最後のレベルは、純粋な状態の宇宙意識に相当します。明らかに、最初の2つのレベルは、この3番目のレベルがあることで存在しているのであり、3つのレベルはすべて絶えず同期して機能しています。私たちは、精神の客観的能力と主観的能力を通して下意識精神に到達できるのと同じように、下意識精神を通じて宇宙意識に近づき、いつの日か宇宙意識を体験することができます。

そのためには、「自分自身を熟知し」、「内的な自己と親しく心を通わせる」ことを学ぶ必要があります。自らの意識を徐々に高め、客観的(物質的)な領域よりも上方に達することを目指さなくてはなりません。そうすれば、下意識を内的な自己と宇宙の仲介役として使えるようになります。このようにして高められたソウル人格は、私たちの意識の最高の次元、すなわち内なる創造主と調和します。

瞑想する男性
人間には、下意識(潜在意識)が備わっており、この意識は、不随意の(自動的な)身体機能のすべてを監督しコントロールできる (from istock.com/Liubomyr Vorona/Nikkizalewski)

この意識レベルと、人間の意識と宇宙意識との間の親しい交流と、普遍的な「償いの法則」(より一般的な名称では「カルマの法則」)という基礎によって、遠い過去の現実から現在の現実へと情報の伝達が起こり、人生の偉大な教訓の詳細が自身の意識にもたらされると考えられます。これらの人生の教訓は、高度に進歩した過去の神秘家たちが数々の人生で学んだものであり、彼らは、もはや私たちの理解の及ぶような種類の人生を過ごす必要がない進歩のレベルに達しています。このような崇高な交流から得られた知識は、地球での歴史的な出来事には限られず、宇宙の始まり以来のあらゆる出来事と人生体験が含まれています。このような意識状態で生きている人は、宇宙の啓示に相応する体験を享受しています。

宇宙の啓示が何を意味するかを明確に定義することはおそらく不可能ですが、詩や他の多くの著作の示唆によれば、宇宙の完全さをほんの一瞬でも垣間見ることは、極めて強烈で重大な体験であり、その後の人生すべてを左右するような奥深い内面的変容の引き金になります。このような一瞥(いち べつ)はおそらく、人間が一生のうちに体験できる最も高度な認識を表していると考えられます。人間の現在の肉体の状態と精神の状態にはさまざまな限界があるため、このような至高の意識の極めてわずかな部分しか、私たちには把握することができません。

空を見つめる男性
宇宙の完全さを体験すると、それは極めて壮大で重要なできごとになり、内面の奥深い変容のきっかけになる (from istock.com/monkeybusinessimages/Nikkizalewski)

あなたや私のような普通の人間が、宇宙意識が顕現するための道具であるなら、この同じ宇宙意識を建設的に活用して、地球上で暮らす人生の残りの日々を、より洗練することができるということを理解するのは重要なことです。必要なことは、可能な限り頻繁に、意識の活動の関心を、これまで以上に高く純粋な事柄へと集中させることだけです。たとえ客観的な意識を通して宇宙意識に到達できないとしても、建設的であることが明らかである実際の活動を選ぶ必要があります。そのような活動によって、自身と、そして自身と「カルマ的に近しい」すべての人を、これまで以上に崇高な意識に近づけることができます。

極めて確固とした前向きな取り組みによってだけ、私たちは下意識(潜在意識)の扉を開き、最終的に、つかの間であっても宇宙意識のレベルに到達できます。そして、この件を先延ばしにすればするほど、地上での人生の究極の目標、すなわち啓示を得て、あらゆる面で人生を完全に知り尽くしコントロールできるようになるまでの時間も長くかかることになります。地上で暮らすことの究極の目標は、宇宙という変転の源に戻ることであり、それは私たちそれぞれの中にあります。究極の目標は、錯覚と惑わしに満ちた客観的世界を後にし、自身の意識を、宇宙意識の流れの純粋な源泉に浸すことです。そのとき、バラ十字会で「宇宙意識」として知られている状態を完全に経験することができます。

真の神秘家たちは誰もが、肉体の意識が真の宇宙意識とひとつになるこの状態に達することを熱望しています。この経験は疑いなく、数え切れないほどの生まれ変わりを通して築き上げてきたあらゆる努力の集大成です。そして、自身の生活の中に、宇宙意識の体験のすべてを、唯一の変わることのない現実として取り入れることが、実際のところ、地上での人生の「最終の目標」であり「究極の目的」です。

※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

体験教材を無料で進呈中!
バラ十字会の神秘学通信講座を
オンラインで1ヵ月間
体験できます

無料でお読みいただける3冊の教本には以下の内容が含まれています

当会の通信講座の教材
第1号

第1号:内面の進歩を加速する神秘学とは、人生の神秘を実感する5つの実習
第2号:人間にある2つの性質とバラ十字の象徴、あなたに伝えられる知識はどのように蓄積されたか
第3号:学習の4つの課程とその詳細な内容、古代の神秘学派、当会の研究陣について

無料体験のご案内講座の詳細はこちら