LETTRE OUVERTE AUX MYSTIQUES QUI S’IGNORENT
自分が神秘家だと気づいていない皆さまへのお手紙(前半)

「神秘学(mysticism:神秘哲学)とは、自らの起源と運命を問いかけ、世界を支配している存在論的な法則と調和して生きようとする、人間の魂に内在する傾向のことです。より広く言えば神秘学は、〈絶対なるもの〉と意識において合一することを目指します。」― イヴリン・アンダーヒル(1875-1941)
まえがき
「神秘家」(mystic)という言葉は一般にはあまり知られていません。日常会話で用いられると、考え方や生活の仕方が不可解で、少数派で、現実から遊離している人のことを指す場合があります。
しかし、本当のところはどうなのでしょうか? この問いへの答えを得るためには、(真の)神秘家の方々に向けた公開のお手紙を書き、誤解されがちな、しかし深い意味を持つこの語の起源と正確な意味を探ってみるのが最善の方法だと私は考えました。
読者の皆さんが、これからご紹介する考察に反応を示したり、賛同したりしてくださるかどうかを試してみようと思ったのです…。
語源から言うと「神秘家」という語は、「秘密」を意味するギリシャ語の「ミスティコス」(mysticos)と「神秘に関連する」を意味するラテン語の「ミスティクス」(mysticus)に由来します。この2つの語源は、古代ギリシャやローマで用いられていたこの語の2つの意味を反映しています。
遠い昔、この言葉は、人間存在の神秘に興味を持つ男女と、彼らが所有する知識の両方を意味していました。この知識は覆い隠され、特定の集団の入門者から別の入門者へと、口頭でだけ伝えられていました。このようにして、当時広まっていた「公式の」宗教と並行して、「神秘学派」(mystery school:神秘の学校)が存在していました。
そこには、信じることではなく研究と観察を通して知識を得ることを熱望する進んだ考えの神秘家たちが通っていました。私が男女と明記したのは、古代のこれらの学派(学校)が女性にも開かれていたからです。
「神秘学」とは、文字通り「神秘を研究する学問」を意味しますが、伝統的な観点からはその起源は古代エジプトだと考えられています。そのため神秘家の一部は、エジプトのことを「原初の伝統」(訳注)のゆりかごだと考えています。
秘伝思想に関する文献のいくつかでは、それは知識と知恵の木にたとえられています。そしてこの木は、エジプトの土壌から芽を出し、徐々に東洋と西洋の多くの国にその枝葉を広げていったとされています。
著名なエジプト学者である、E.A.ウォーリス・バッジは自身の著書の中にこう書いています。
「『ケリ・ヘブ』(訳注)の高僧集団は、秘密の知識を所有しており、その指導者たちはこの知識を注意深く守っていたと断言できる。もし私が証拠を正しく解釈しているのであれば、彼らが所有していたのはある種のグノーシス(訳注)であり、決して文書としてまとめられることのない知識であり、状況に応じてその影響を拡大したり縮小させたりすることができた。」
(訳注:原初の伝統(Primordial Tradition):ルネ・ゲノン、ホセイン・ナスル、フリッチョフシュオンのような思想家は、古代の宗教や伝統思想の多くが共通の源を持つと考えており、この源が「原初の伝統」と呼ばれる。)
(訳注:『ケリ・ヘブ』(Kheri-Gebs):古代エジプトの宗教儀式において重要な役割を果たした朗誦神官(ろうしょうしんかん)のこと。「祭儀書を携える者」を意味し、高度な知識を持った神官(祭司)のエリート集団であった。)
(訳注:グノーシス(gnosis):「認識」を意味するギリシャ語に由来する。直観によって得られた認識、特に救済をもたらす直観的認識。2世紀ごろのグノーシス主義(gnosticism)では、自分が神であると認識することで人間は救済されるとされキリスト教の異端思想となった。)

神秘学派(mystery Schools)
Les Écoles de mystères
現在でもエジプトは人々を魅了しています。この乾燥地帯で発達した文明は、特に3000年以上存続したということが理由で、現代の理性に挑戦し続けています。エジプト学者たちも、この文明が比較的原始的な状態から、これほど高度なレベルへと急速に発達した理由を説明できないままでいます。
確かなのは、古代エジプト人が、数論、幾何学、天文学、占星術、星学(astrosophy)、医学、建築学などの多くの分野で驚異的な知識を持っていたということです。今日まで、ギザのピラミッドがどのように建設されたのかは解明されていません。
一般的な意見とは異なっていますが、ピラミッドはクフ王、カフラー王、メンカウラー王の単なる墓としてだけ使われていたのではありません。それらは、この国に建てられた数多くの神殿で教えられていた「神秘」へと入門するための場所でもありました。
最も権威のある神殿のひとつはヘリオポリスの神殿であり、そこでは民衆向けの祭儀と並行して、神秘家専用の学習集会が開かれていました。
秘伝思想を研究しているさまざまな歴史家の研究によって確かめられたことですが、エジプトの神秘学派で得られた知識は、ファラオの地にとどまってはいませんでした。それはギリシャにも広まりました。エジプトで学ぶためにギリシャからこの地を訪れた哲学者たちのおかげです。
たとえばピュタゴラスは、20年以上エジプトで暮らし、エジプトの神秘学派に入門したことが知られています。紀元前580年ごろ大ギリシャ(現在の南イタリア)に戻った彼は、クロトン(Croton)に自身の学校を設立しました。この学校の正面の壁に彼は「すべては数である!」という言葉を刻ませました。
実際、ピタゴラスの信奉者たちは、目に見えるものも見えないものも、大宇宙においても小宇宙(microcosm:宇宙の縮図としての人間)においても、創造されたすべてのものは数に支配されると考えていました。彼らにとって数はすべてのものの本質であり、すべての本質は数でした。
その中でも彼の目から見て最も重要だったのは「10」であり、最初の4つの数の合計(1+2+3+4=10)である10という数を、彼らは「聖なるテトラクティス」と呼びました。次のピュタゴラスの言葉が示しているように、テトラクティスは崇拝の対象になっていました。「すべてを生み出した神聖なる数よ、創造の永遠なる流れを含んでいるあなたよ、私たちを祝福してください」。

エジプトの神秘に加えてピュタゴラスは、自身が入門を許されたエレウシス、デルフォイ、オルフェウスの神秘についても教えていました。彼は弟子たちに5年の期間を課し、その間弟子は、彼の話を聞くことだけで満足しなければなりませんでした。この5年の準備期間を終えると、彼らはピュタゴラスに会って直接話すことを許されました。この規則は、弟子たちの忠誠心を試すための最初の試練のひとつでした。
必要な忍耐力を示すことのできた者は、ピュタゴラスの教えの3つの段位に次々に進むことを認められました。ピュタゴラスは「哲学者」(philosopher:知恵を愛するもの)という言葉を最初に作った人であり、自らをそう呼ばれるようにしたと言われています。というのも彼は、人々から賢者であると見なされ、そのように崇拝されることを望まなかったからです。
また、神を指すために「宇宙の偉大な建築家」という表現を初めて用いたのも彼であるという説があります。神は、自身が創造したものを常に幾何学に従うようにしているとピュタゴラスは考えており、このことが数に対して彼が抱いていた関心を裏付けています。
神秘についての知識はギリシャから古代ローマへと広がり、ローマに住んでいたさまざまな思想家によってさらに豊かになりました。その中でも特に有名なのはプロティヌスであり、彼は西暦240年に自身の学校を設立しました。新プラトン主義の父と呼ばれる彼は、プラトンが提唱した神秘学の知識だけでなく、エジプトやギリシャの神秘を研究して得た知識も教えていました。
さらに彼は、錬金術にも大きな関心を寄せていました。錬金術の創始者はヘルメス・トリスメギストスだと言い伝えられています。ヘルメス・トリスメギストスのことを架空の人物だと考える人もいれば、紀元前3000年頃にエジプトに住んでいた参入者(訳注)だと考える人もいます。
魔術、占星術、錬金術、医学、哲学を扱った文献の集合である「ヘルメティカ」(Hermetica)は、彼によるものだとされています。プロティノスの学校には、当時の偉大な神秘家たちが集まりました。プロティノス自身は、「エンネアデス」という名で知られる一連の論文の著者です。それは彼の唯一の著作ですが、彼が生きているときにすでに名高い文書であり、西洋哲学全体に影響を与えました。
(訳注:参入者(initiate):神秘学派に入門し、高度な段階に達した人。)

古代ローマで教えられていた神秘(そこには、エジプトとギリシャの神秘も含まれます)は、中世およびルネサンス期のヨーロッパにおいては、錬金術師たちによって伝え続けられましたが、ここまでに述べてきたことを考えれば、それは驚くべきことではありません。一般に信じられていることとは異なり、錬金術師は、銅や鉛などの卑金属を金に変換することだけに力を注いでいたわけではありません。
この物質的な錬金術と並行して、彼らは魂に内在する美徳(忍耐、謙虚さ、慈愛、誠実さ)を目覚めさせる心の錬金術(spiritual alchemy)を実践していました。実際のところ、彼らにとって最も重要だったのはこの知恵の探求です。このことは、バシリウス・ヴァレンティヌスという名で知られている錬金術師の次の言葉に表されています。「もし我々の石を見つけることを望むのであれば、美徳を維持し、あなたの心が真実と光の愛によって照らされるようにしなさい」。
ご存じかもしれませんが、錬金術師たちが私たちに残してくれた最も美しい象徴のひとつに、「Dat rosa mel apibus」(バラはミツバチに蜜を与える)というラテン語の文言が背後に書かれた赤いバラがあります。この文言は次のことを意味しています。「知識(蜜)を探し求める人(ミツバチ)は、それを手に入れることができる」もしくは、「知識は、それを探し求める人を引きつける」です。

自分が神秘家だとは気づいていない皆さまへのお手紙(後半)

バラ十字会AMORC(The Ancient and Mystical Order of the Rosy Cross)
L’Ancien et Mystique Ordre de ta Rose-Croix
ドイツの神秘家ミヒャエル・マイヤー(1568-1622)は当時のバラ十字会員(薔薇十字団員)であったと推測されていますが、著書『騒ぎの後の沈黙』(Silentium Post Clamores)にこう書いています。「我々(バラ十字会)の起源はエジプト、バラモンの教えであり、エレウシス神秘学とサモトラケ神秘学であり、さらにペルシャの賢者、ピュタゴラス学派、そしてアラブの民である」。
バラ十字会が、匿名の集団であることを止め、『バラ十字友愛組織の声明』(Fama Fraternitatis Rosae Crucis)という宣言書を発表したのは1614年のことでした。これに続いて、1615年には『バラ十字友愛組織の信条告白』(Confessio Fraternitatis Rosae Crucis)、1616年には『クリスチャン・ローゼンクロイツの化学の結婚』(Chymische Hochzeit,Christiani Rosencreütz)という2つの宣言書が出版されました。
しかし、バラ十字会の存在が真に公表されたのは1623年のことであり、この年にパリの街頭には、次のように書かれた謎めいた貼り紙が出現しました。「我々バラ十字高等学院の評議員は、公然とまた密かにこの街に滞在している。我々は出版もせず注目も受けない。ただ滞在の地に選んだ国々のあらゆる言葉を話し、我々の哲学を教授するのみである。それは友人を、死の過ちから救い出すためである」。
その後の数世紀において、バラ十字会は自らの誓約を誠実に守り、「神秘」の知識を継承することに努めると同時に、それをさらに豊かなものにしてきました。秘伝思想についてのさまざまな歴史家の意見に従えば、今日この作業に最も力を注いでいるのは、1909年に設立されたAMORC(the Ancient and Mystical Order of the Rosy Cross)、別名バラ十字会AMORCです。
男性にも女性にも開かれ、宗教とも政治とも無関係なこの団体は、会員になりたいという希望を表明した人たちに(具体的な申請方法は国によって異なりますが)、書面と口頭での教育を行っています。また、おそらくご参考になることと思いますが、バラ十字会AMORCは世界中で高い評価を得ており、特に文化、教育、平和への貢献が評価され、いくつかの国で公益法人として認められています。そのモットーは「厳格な独立のもとでの最大の寛容」です。
正式名称の中にある「古代」(Ancient)という語は、バラ十字会の歴史的な古さだけでなく、それが「原初の伝統」に根ざしていることを示しています。「神秘」という語は、バラ十字思想が神秘学と不可分であることを表しています。

当然のことですが、バラ十字会やバラ十字会員だけが、神秘学に携わっている訳ではありません。例として「啓典の宗教」のうちの3つだけを挙げますが、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の中にも神秘家が存在し、これらの人たちの関心は、その宗教の顕教(公開の部分)ではなく秘教(秘伝の部分)に向けられています。言い換えれば、これらの人たちの思索と瞑想の糧になっているのは、カバラ、グノーシス思想、スーフィズムであり、「通常の」信者が保持している教条的な信仰ではありません。
つまり、カバリスト、グノーシス派の人々、スーフィーは、何よりも知恵の探求に突き動かされているのであり、そのため、自分たちが持つ知識の本質について、宗教が異なっても互いに同意し理解し合うことができます。
バラ十字会の神秘学の特徴は普遍性であり、過去や現在のいかなる宗教にも、間接的にでさえ結びついていないという点にあります。そのためある秘伝哲学の歴史家は、「バラ十字会のスピリチュアリティ(spirituality:精神性)は東洋と西洋の架け橋である」と述べています。これはまさにその通りであり、バラ十字会AMORCの会員には常に、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教や、他の宗教の信者もいれば、いかなる宗教も信仰していない人たちもいました。今日では、会員の半数以上が宗教信仰を持たない人たちです。
しかし、「神秘」の話に戻りましょう。なぜ神秘学は過去に秘密にされていたのでしょうか。それは当時の主要な宗教の聖職者が、神秘学のことを異端であり、自分たちの教えている教義に反していると考え、それを禁止するためにあらゆる手段を講じていたからです。さらに政治の権力者たちは、神秘学には敵対の原因となる可能性があり、それゆえに神秘学を学んでいる人たちには、政治的な反乱を起こすリスクがあると考えていました。
そのため神秘家たちは、自らの活動を隠すことを余儀なくされました。そうしなければ、逮捕、投獄、拷問や、死刑に処させる危険さえありました。ギリシャ・ローマの宗教の時代から存在したこの危険は、キリスト教が出現した後にも存続し、比較的最近まで続いていました。これまでに、どれほど多くの哲学者や思想家が、男女を問わず異端審問の犠牲となり、地下牢の奥深くや積んだまきの炎の中で、命を落としたことでしょうか。
ですからさまざまな神秘学派が、かつては秘密結社として活動していたのは理解できることです。現在も、一部の宗教の指導者や信者の間には教条主義や排他主義の信奉者が多くいますが、幸いなことに、人類の全体的な考え方は大きく進歩しました。バラ十字会AMORCのような活動は、もはや秘密を守る必要はなく、せいぜい、一部の国で控えめに活動することが必要な程度です。

宗教性、スピリチュアリティ、神秘学(Religiosity, Spirituality and Mysticism)
Religiosité, Spiritualité et Mysticisme
「宗教性」、「スピリチュアリティ」、「神秘学」の間には、どのような関連があるのでしょうか。その語に示されている通り、宗教性とは宗教の特徴にあたります。つまりその宗教の信条に忠実であり、それ特有の教義に従い、長い間絶対的な信頼を寄せられてきたその宗教の聖職者集団の権威を尊重することからなります。
スピリチュアリティ(spirituality:魂の崇高さ)は、宗教性を超越しています。人間の魂の存在と、宇宙に働く崇高な知性の存在を認める一方で、いかなる宗教とも関係なく体験されるという意味においてです。そのため「非宗教のスピリチュアリティ」(secular spirituality)という言葉がときおり用いられます。
神秘学はスピリチュアリティの最高の形態にあたります。なぜならそれは、「神秘」を探究することに基礎にして、知識と知恵を追い求めることだと言えるからです。ですから、神秘家が行っていることは、ただ信じることではありません。人生には意味があり、人間は個人的なレベルでも集団的なレベルでも、自らの運命に大きな責任を追っていると神秘家は確信し、自分自身を知り、世界の中で自分が占める位置を理解しようと努力します。
言い換えれば神秘家は、デルフォイの神殿の正面に刻まれていた有名な格言「汝、自身を知れ」に同意します。ちなみにこの格言には、後にある匿名の人によって「そうすれば汝は、宇宙と神々を知ることになる。」という言葉が付け加えられました。

しかし、「神秘」とは何を意味するのでしょうか。一般にそれは、すべての人が人生のある時点において、必ず自問することになる実存的な疑問のことです。
「神は存在するのか?」、「宇宙の起源は何か?」、「地球上の生命は偶然の産物なのか?」、「私たち人間が存在することに意味はあるのか?」、「私たちは自分の運命、ひいては自分の宿命をコントロールできるのか?」、「死後の世界、つまりあの世はあるのか?」、「自由意志、カルマ、輪廻転生などについて、どう考えるべきか?」
これらはすべて、人間の意識の中に遅かれ早かれ芽生え、その人を神秘の探求へと駆り立てる疑問です。そうなるのは、自分の魂の衝動に駆り立てられて、ものごとの「理由」と「仕組み」を理解しようとする時が必ず来るからです。この願望に耳を貸すか貸さないか、それに従うかどうかはその人の自由です。
しかし、それをいつまでも避け続けることはできません。というのもこの衝動は人間存在の不可欠な一部であり、神秘の探求を人生の理想として選ぶ日が来るまで、その声は繰り返し心に呼びかけ続けるからです。そしてそれに応えたその時から、神秘の探求はその人にとって、それ以外はあり得ない必然の選択になります。
バラ十字会の観点からすれば、人間が実存的な問いを発することができるという事実そのものが、人間の魂が、自らの起源と本質の神秘を理解することを切望しているという証拠になっています。これは、神秘学が人の魂のコード(code:規範)のひとつであり、意味の探求へと人を駆り立てることを意味しています。
子供が極めて早い段階から両親に次のような質問をすることに、あなたもお気づきでしょう。「僕(私)はどうやって『作られた』の?」、「生まれる前はどこにいたの?」、「なぜ人は死ぬの?」、「死んだらどこへ行くの?」、「誰が世界を作ったの?」
これはまさに、目覚めつつある子供の意識が、自分自身や展開されつつある人生に疑問を抱くように導いている証拠です。当然のことですが、子供たちが受け取る答えは、家庭環境や社会的背景によって異なるものになります。
いずれにせよ、偉大な神秘家テイヤール・ド・シャルダンが見事に言葉にしたように、事実はこうです。「私たちは、魂に響く経験(spiritual experience)をしている人間ではない。私たちは、人間であるという経験をしている魂なのだ」。
付け加えさせてください。この経験は、一度の人生という範囲に限られるものではありません。それは、その人の魂が英知という境地に達するまで、生まれ変わりを繰り返しながら何度も続いていきます。しかしこのことについては、また別の機会に取り上げましょう……。

無知から知識へ…(From ignorance to knowledge …)
De l’ignorance à la connaissance …
神秘家が行うこのような取り組みや考え方は、彼らが物質的な世界から遊離し、現実感覚を失っているということを意味しているのでしょうか。
いいえ。確かに神秘家は、スピリチュアリティ(spirituality:魂の衝動)を自分の生き方の基礎にし、スピリチュアリティから生きる意味を引き出していますが、自身が所有する知識と培(つちか)った知恵を実践的に活用するのは、日常生活における他の人との関わり合いにおいてです。
神秘家の目標は、自身の個人的な進歩や幸福のためだけに働くことではありません。すべての人の利益のために世界をより良い場所にすることもまた彼の目標です。そのためには、家庭、近所づきあい、職場、地域社会で、この目的にふさわしい行動をとることが求められます。
幸いなことに、あらゆる分野、あらゆる社会階層に神秘家が存在しています。もし神秘家がもっと多くいれば、世界は限りなく良くなるだろうと私は心から思っています。
彼らの顔に「私は神秘家である」と書かれているわけではありません。また、彼らの外見や服装にもそれを示すものはありません。その一方で、日常生活で神秘家と接する人たちは、最良の自分を表現しようとする意志や、選択と行動において倫理を優先しようとする意志をその人の中に見いだすことでしょう。
この手紙も終わりに近づきましたが、ここで皆さんにお尋ねします。ここまで読んできて、あなたは自分のことを「自分が神秘家であるとは気づいていない神秘家」である、あるいは、そうであったことがあるとお感じでしょうか。もしそうであれば、あなたには神秘学へと向かいたいという心の傾向があるのであり、自身の心のこの願いに応じていないのは残念なことです。
しかし、もしかしたらあなたはすでに神秘の道を歩んでおられるのかもしれません。もしそうなら、私はあなたのためにこのことを嬉しく思います。なぜならその歩みが、あなたの健康と幸福に寄与しているのは確実だからです。
また、この手紙を単に好奇心から読み、少なくとも現段階では、あなたの中に何も共鳴するものがなかったという場合もあることでしょう。それでも、バラ十字会の観点における真の神秘家とは何かを、あなたが今まで以上に良く理解する一助になったことを私は願っています。
心から、あなたのご多幸をお祈り申し上げます。
セルジュ・トゥーサン

バラ十字会AMORCの日本本部代表の本庄です。フランス本部代表のお手紙を最後までお読みくださり、ありがとうございます。
記事には、人を神秘の探求へと駆り立てる疑問のことが書かれていました。そのいくつかを繰り返します。
「私たち人間が存在することに意味はあるのか?」、「私たちは自分の運命、ひいては自分の宿命をコントロールできるのか?」、「死後の世界、つまりあの世はあるのか?」、「自由意志、カルマ、輪廻転生などについて、どう考えるべきか?」
これらは「答えることのできない問い」、あるいは「人それぞれで答えが異なる問い」であるという意見の方も多いことでしょう。私もこの意見に基本的には賛成です。
一方で、人類の長い歴史では様々な神秘学派が生じては消え、その中で多くの人がこの問いと格闘してきました。そして積み上げられた知識と経験の一部は、バラ十字会AMORCに受け継がれています。
これらを体系的にわかりやすく解説してくれる講座があるとしたら、いかがでしょうか。詳細を知りたいとお感じでしょうか。もしそうでしたら、こちら(講座の詳細)を今すぐお読みください。
【神秘学通信講座】学習コースの内容、費用、無料体験のご案内
執筆者プロフィール
セルジュ・トゥーサン
1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。 多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。
本庄 敦
1960年6月17日生まれ。バラ十字会AMORC日本本部代表。東京大学教養学部卒。
スピリチュアリティに関する科学的な情報の発信と神秘学の普及に尽力している。
詳しいプロフィールはこちら↓
https://www.amorc.jp/profile/
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第1号:内面の進歩を加速する神秘学とは、人生の神秘を実感する5つの実習
第2号:人間にある2つの性質とバラ十字の象徴、あなたに伝えられる知識はどのように蓄積されたか
第3号:学習の4つの課程とその詳細な内容、古代の神秘学派、当会の研究陣について
参考記事1:【完全ガイド】「神秘」とは何か|神秘学派とバラ十字会
参考記事2:神秘とは何か?神秘学(mysticism)と神秘体験もわかりやすく解説
参考記事3:ロバート・フラッドのバラと十字





