投稿日: 2026/02/10

以下の記事は、バラ十字会日本本部の季刊雑誌『バラのこころ』の記事を、インターネット上に再掲載したものです。

※ バラ十字会は、宗教や政治のいかなる組織からも独立した歴史ある会員制の哲学団体です。

区切り

壮大な生命、バオバブの木
The Baobab Tree

メアリー・ジョーンズ
By Mary Jones

バオバブの木

およそ1億8000万年前、初期の超大陸の一つであると考えられるゴンドワナ大陸が分裂を始め、恐竜の時代のジュラ紀が幕を開けました。地殻変動によって巨大な大陸が地球全体に分布していくと、ゴンドワナを故郷とする古代の植物もまた運ばれていきました。バオバブの木(学名:アダンソニア属)は、2100万年前にマダガスカル島で誕生し、やがてアフリカ、アラビア半島、インド、オーストラリアへと広がっていったことが知られています。この木がマダガスカルで誕生したのは比較的最近のことですが、その祖先は古代の超大陸ゴンドワナ大陸にまで遡る、今まで知られていなかった植物かもしれません。

アダンソニア属には8つの種があり、一般的にはバオバブと呼ばれています。その中でも最も古い種が、アダンソニア・グランディディエリです。アダンソニア・グランディディエリは、2100万年前にマダガスカル島で初めて誕生しました。やがて、丈夫な種子は海流に乗ってアフリカやオーストラリアに運ばれていきました。バオバブには以下の種があります。

マダガスカルに分布:
- アダンソニア・グランディディエリ
- アダンソニア・ルブロスティパ
- アダンソニア・スアレゼンシス
- アダンソニア・ペリエリ
- アダンソニア・マダガスカリエンシス
- アダンソニア・ザ

アフリカ大陸、アラビア半島、インドに分布:
- アダンソニア・ディギタタ

オーストラリアに分布:
- アダンソニア・グレゴリー

時代を超えた巨木

バオバブは現在のほぼすべての生物よりも古く、超大陸ゴンドワナが1億8000万年前に小さな大陸に分裂し始める前から生息していた可能性があります。このことは推測の域を出ませんが、バオバブが約2100万年前のマダガスカルに由来することは遺伝学的に証明されています。現在、8種が極めて乾燥した地域で生き残り、他の植物がほとんど育たない風景の中で、生命と前向きなエネルギーの象徴になっています。バオバブは通常、とても乾燥した環境に極めて良く適応します。バオバブの木は多肉植物であり、雨季には巨大な幹や枝に水を吸収して蓄え、乾季に栄養豊富な果実を実らせることができます。そのため、この壮大な植物は「生命の木」として知られるようになりました。

アダンソニア・ディギタタ(アフリカバオバブ)は、アフリカの32カ国、アラビア半島、インド西部の一部で生育しており、5000年もの間生き延びてきたことが知られています。樹高は30メートルに達することもあり、中には幹の周囲が50メートルという巨大な木もあります。動物や人間に隠れ家や食料や水を提供してくれるため、サバンナの多くのコミュニティが古代のこの木々の近くに住居を構えています。

夕暮れ時のバオバブの木の印象的なシルエットは、アフリカの田舎で過ごしたことのある人にとってはおなじみの光景ですが、「ライオン・キング」、「アバター」、「マダガスカル」などの映画や、有名な児童小説「星の王子様」で重要なモチーフとして描かれたことで、他の大陸でもよく知られています。

生命の木

アフリカバオバブの樹皮と果実には、命を支えることに役立つ300以上の用途があり、多くの先住民族の治療法や伝統や民間伝承の中心となっています。アダンソニア属の8種は世界中で知られていますが、花が咲くことや、食料になる果実があることを知っている人は多くありません。この素晴らしい果実が、世界で最も栄養価の高い食品の一つであることを知っている人は、さらに少ないでしょう。

実際のところ、アダンソニア属の木のあらゆる部分に価値があります。樹皮はロープや衣服に加工することができますし、種子は化粧用オイルに用いられ、葉は食用になります。幹には大量の水分が蓄えられ、果実には栄養素と抗酸化物質が極めて豊富に含まれています。アフリカの女性たちは何世紀にもわたって、健康と美容の天然の源としてバオバブの果実に頼ってきました。

バオバブの果実

バオバブは、枝についたまま自然に乾燥する世界で唯一の果物です。落下して腐敗するのではなく、枝についたまま6ヵ月の間太陽のもとで日干しになり、緑色のビロードのような皮がココナッツのような硬い殻に変化していき、その中には栄養豊富な乾燥した果肉が閉じ込められます。完全に乾燥した果実を収穫し、種を取り除き、ふるいにかけるだけで、おいしくて純粋な果物パウダーになります。

他の多くのサプリメントとは異なり、天然の100%純粋な果実です。驚くべきことに、この果物パウダーは保存料や添加物を使わなくても3年ほどの間品質を保つことができます。バオバブの果実はビタミンCがとても豊富で、およそ50%の食物繊維が含まれ、あらゆる果物の中で最も多い抗酸化物質の含有量を誇ります。バオバブの果実の効能は以下の通りです。

・エネルギー補給 - 疲労や倦怠感の軽減。

・免疫機能 - 病気や感染症の予防。

・消化器系の健康 - 腸内環境を改善する天然の成分が含まれており、腸の健康をサポートする。

・健康的で若々しい肌 - コラーゲンの生成を助け、肌の潤いを保ち、加齢の兆候の軽減に役立つ。

・抗酸化作用 - バオバブの果肉には、果実100gあたりオレンジ6個分に相当する天然のビタミンCが含まれているため、抗酸化作用が特に優れている。

・解熱作用 - バオバブの樹皮から得られる半流動性のゴム質は、腫れ物の治療に用いられる。また、バオバブの樹皮には「アダンソニン」というアルカロイド(訳注)が含まれており、特にマラリアによる発熱の処置に用いられてきた。ガーナでは、キニーネ(訳注)の代わりに、バオバブの樹皮がさまざまな種類の発熱の治療に用いられている。コンゴ共和国のブラザヴィルでは、バオバブの樹皮の煎じ薬が骨軟化症の子供の入浴に使われ、タンザニアでは歯痛の際の口内洗浄剤として用いられている。

・抗菌作用 ー 葉の煎じ薬は、下痢、発熱、炎症、腎臓病、喘息の治療、血液の浄化に用いられる。葉はタンパク質の良質な供給源でもある。果実、種子、葉からの抽出物には抗菌作用、抗真菌作用がある。

(訳注:アルカロイド(alkaloid):窒素を含む塩基性の植物成分の総称。植物塩基。激しい毒性をもつものが多い。)

(訳注:キニーネ(quinine):キナノキの樹皮から抽出するアルカロイドでマラリアの特効薬。)

生態系に不可欠なバオバブの木

アフリカの乾燥したサバンナの生態系にとって、バオバブは根本的に重要です。地中に広がる巨大な根が、土壌の湿度を保ち、栄養素の循環を助け、土壌の浸食を防ぎます。乾燥した気候の、他の植物がほとんど育たない風景の中で、バオバブの木は生命を象徴しています。夜には白い大きな花を咲かせ、オオコウモリやスズメガやガラゴ(小型のサル)が熱心に花粉を運びます。花は24時間以内にしぼんで散り、美しい景観を作り出します。

その後、果実は何ヵ月もかけて成長し、種子の詰まった大きな固まりになり、その長さは30センチほどにもなります。果実は酒石酸とビタミンCを含み、多くの生物種にとって重要な栄養源であり食料源です。バオバブはまた、鳥、トカゲ、サル、さらにはゾウなどの数百種の動物にとって重要な水の供給源であり、隠れ家にもなります。動物たちは、近くに水場がないときには、バオバブの樹皮を食べて水分を得ることができます。

アフリカバオバブは、その巨大さ、寿命、果実、樹皮だけでなく、複数の融合した幹を継続的に成長させる様子も注目に値します。樹皮はこれらの幹の間の空間で作り直されますが、これはバオバブ特有の現象です。

人間にとって、バオバブの果肉は食べたり、水に浸して爽やかな飲み物を作ったり、ジャムにして保存したり、焙煎して挽いてコーヒーのような飲み物にしたりすることもできる食品です。樹皮は叩いて、ロープ、マット、かご、紙や布などあらゆるものを作ることができます。葉も茹でて食べることができますし、花粉からは糊を作ることができます。

ザンビアとジンバブエのザンベジ川流域の先住民族の村では、バオバブの枝が四方八方に広がっていることから、それらは実は根であると考えられています。地元の伝説によると、バオバブはあまりにも傲慢だったため、神々が怒って根こそぎ引き抜き、逆さまにして地面に投げ返したのだとされています。

地元の人々は何世紀にもわたり、この壮大な木と調和して生きることを学び、多くの用途を生かして豊かに生活してきましたが、決して使い果たしてしまうことはありませんでした。しかし気候変動の影響により、過去10年の間にアフリカ最古で最大級のバオバブの木13本のうち9本が枯死しました。科学者は、気温の上昇が直接的な原因か、あるいはそれによって樹木が弱り、乾燥や病気、火災、風などの影響を受けやすくなったのではないかと推測しています。

雨季でさえ、土壌の深い層まで浸透するほどの雨が降ることはほとんどありませんが、樹皮を構成する物質がスポンジ状であることによって、幹の組織の奥深くまでバオバブは水を吸収することができます。枝がU字型をしているため、水がゆっくりとしたたり落ち、雨がやんだ後も長時間にわたって水分を最大限に吸収することができます。水は樹木の道管組織に吸収され、樹木の細胞内に移動して長期間蓄えられます。大きな木はおよそ14万リットルもの水を蓄えることができます。

バオバブの木、アダンソニア属は、なんと素晴らしい生きものでしょうか。

バオバブの木と夕陽

※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

体験教材を無料で進呈中!
バラ十字会の神秘学通信講座を
オンラインで1ヵ月間
体験できます

無料でお読みいただける3冊の教本には以下の内容が含まれています

当会の通信講座の教材
第1号

第1号:内面の進歩を加速する神秘学とは、人生の神秘を実感する5つの実習
第2号:人間にある2つの性質とバラ十字の象徴、あなたに伝えられる知識はどのように蓄積されたか
第3号:学習の4つの課程とその詳細な内容、古代の神秘学派、当会の研究陣について

無料体験のご案内講座の詳細はこちら