地球とスピリチュアル・エコロジー

スピリチュアル・エコロジー

Spiritual Ecology

ルーシー・クロフォード=サンディソン

バラ十字会AMORC、オーストラレーシア・アジア担当英語圏本部代表

By Lucy Crawford-Sandison

2012年4月に当会は「スピリチュアル・エコロジー」という考え方を提唱しました。それは、スピリチュアリティ(心の深奥が示す善良さ)の重視と環境保護への取り組みは切っても切り離せない関係にあり、一方だけでは存在することも持ちこたえることもできないという考え方です。

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「人生を支配する」(Mastery of Life)ことを目指して旅に出ると、私たちが支配しようとしている「人生」が実のところ何を意味するかについて、さまざまな考え方があることがすぐに分かります。それは、ふだんの生活を、高度な英知の導きに沿うようにするという考えかもしれません。あるいは、大して深い目的意識もないままに、日々の生活の役割を果たすことに、貴重な生命のエネルギーを使い果たしてしまわないようにするのを学ぶことかもしれません。人生の向上には、個人的なものと集団的なものの両方が含まれます。21世紀において、特に注目されている集団的なテーマは、人類と他のすべての生き物を含む地球上の生命全体との関係です。

このようなすべての生き物との関係は、一般的に「エコロジー」(Ecology)と呼ばれています。2014年に発表されたバラ十字会の宣言書(manifesto:マニフェスト)「バラ十字友愛組織からあなたへの訴え」(訳注)には、エコロジー(環境の保護)が、3つの指針のうちのひとつとして挙げられています。この3つは、あらゆる人生の状況の改善のために、私たちが協力して取り組むことができる指針です。ちなみに他の2つは、ヒューマニズム(humanism:人間の尊重)スピリチュアリティ(spirituality:精神性の重視)です。では、エコロジーというテーマを神秘学の観点でとらえるとすればどうなるでしょうか。

訳注:以下のリンク、あるいは「バラ十字会、マニフェスト」で検索してお読みください。

バラ十字会AMORCのマニフェスト(Manifesto):宣言書のご紹介

「エコロジー」(Ecology)という言葉は、ギリシャ語で住居や家を意味する「オイコス」(Oikos)に由来します。つまり、エコロジーとは「住居」の研究です。そしてこの意味に近い言葉に、家事管理の実践を意味する「オイコノミコス」(Oikonomikos)という言葉があります。このことは、神秘学的な意味で特に興味深いヒントを与えてくれます。なぜなら、住居とは何かが内在する、つまり何かが宿るための焦点だからです。「宿る」ということは、物質的な面と精神的な面の両方で捉えることができます。象徴的に言えば、家とはその中に保護を見いだすことができる場所です。家とは、体と心の両方を保護し、栄養を与えてくれる場所です。調和のとれた家庭はチームのように機能し、人間、ペット、庭の草木など、家庭のメンバー全員が、同じように保護され育まれます。それと同じように、人間には肉体の活動、感情の活動、精神の活動、サイキック(physical:超感覚的な)機能の活動がありますが、それらが全体として調和して働くためには、そのすべてを同じように大切にする必要があることを、私たち人間の内なる自己は知っています

地球という惑星は、物質的な意味でも精神的な意味でも、「住居」であり「家庭」であると見なすことができます。古代ギリシャ人が「ガイア」(Gaia)と呼んでいたように、地球のことを巨大なひとつの生命体であると考えることができます。あなたは地球のことをどの程度、意識を持つ生命体であると考えているでしょうか。地球の感情とはどのようなものなのでしょうか。そこには魂が宿っているのでしょうか。確かに、地球はあらゆる種類の生きものを保護している家であり、そこには宇宙の摂理がその壮麗さのすべてとともに現れています。地球はまた、さまざまな生きものを通して、普遍的ソウル(Universal Soul:宇宙の魂)が多様でユニークなあり方で表現されている場所です。「生命の家」である地球はまた、私たち人間が新生児として訪れる貴い学校です。

この地球では、すべての住人のために有益な「家庭のルール」、普遍的な宇宙の法則を学ぶことができます。さらに、他のあらゆる家と同じように、家庭のメンバーの一部が調和の取れた貢献をしていない場合には、他のメンバーが家庭の生活のバランスを保つために、家事の負担を補わなくてはなりません。人類の物質主義的な支配によって自然が疲弊してしまうと、地球がバランスを保つことに限界が訪れます。しかし、他の人たちが自身の心の奥に存在する善良さを発見し、それを人生に取り組む方法に反映させることを支援することによって、私たちはこの問題の解決に寄与することができます。

博物学的な考えを用いるとすれば、地球には、鉱物界、植物界、動物界、人間界という、「界」(kingdom)と呼ばれる4つの主な領域があります。この4つの界は、階層構造を持つ宇宙の摂理が反映されたものであり、別々のものではありません。4つの界の間に厳密な境界線はなく、それぞれは全体的であり、それぞれの生命は連携しています。物質の錬金術の立場から言えば、4つの界は、水、空気、火、土という四大元素を媒介として互いに混じり合うように存在しています。さらに、4つの界はひとつに結びついて、すべての生き物からなる連続した意識を作り上げています。すべての人には、可能な限り洗練されたやり方で、この連続した意識の流れに自分の意識を合流させることによって、この全体的な意識に建設的に寄与する特別な責任があります。すべての生命に対して敬愛の念を持つことは、自然の神秘を感じ取る糸口を見つけるための最良の出発点です。自身の内面的な性質と、宇宙と身の回りの自然がひとつであることを理解する努力を熱心に行うことで、自然界という家庭へ入る扉を開くことができるようになります。

しばらくの間、地球の丸い姿を思い浮かべてみてください。地球は「あらゆる角度から学ぶ」場所なのです。大きな生きものも小さな生きものも、すべての生きものが、生命の連携の中で進化しています。生きものはお互いに独立して進化しているのでしょうか。私たちは永遠に続く生命のシンフォニーを、心の中で聴くことができるのではないでしょうか。シェイクスピアは「地球は耳を傾ける者のために音楽を奏でる」と言っています。瞬く間に、広大な宇宙空間を旅するこの宝石(地球)は、意識の進化に関与しているすべての生きものの間の無数の交流を目撃してきました。そして人類は、生物の意識に特別な貢献をしています。つまり高度に洗練された生命の表現という贈り物を、生物全体の意識に付け加えています。この意識は、宇宙の愛からの贈り物です。

今日では、世界の隅々にまで放送電波が届くようになりましたが、自然界に対する古代からの敬意と責任を人類がすっかり忘れてしまい、なぜ道を外れてさまよっているか、どのようにしてそうなったのかという議論が行われています。環境問題の専門家たちは、人類が地球の生態系に解決が難しい不均衡をもたらし、人類自体の存在を脅かす大規模な環境危機を引き起こすほど、道を踏み外してしまったと述べています。このような状況に多くの人たちが打ちひしがれて、自然のバランスを再び取り戻すという作業が、個人にとってはあまりにも荷が重いものに感じられ、無力感にさいなまれています。

人生に神秘学の観点から取り組むことによって、環境の持続可能性(environmental sustainability)という技術的な視点とは違うところで、私たちはエコロジーへの関心を広げることができます。たとえば、天然資源の利用に関する唯物論的で科学技術一辺倒の議論や、環境保護政策や建築物の設計方法などの個別の議論よりも、はるかに優れた取り組みができます。今挙げたような分野は、私たちがどうしたらもっと無駄のない生活を送ることができるか、またそのようにしなければならないかということについて大切な情報を提供してくれますが、神秘学の観点からのアプローチは、環境問題の議論の場に、はるかに広い視点をもたらすことができます。これには、スピリットと呼ばれる物質の中の振動エネルギーについての深い知識やソウル(soul:魂)からもたらされる人生の英知などを含めることができます。

ソウル意識(訳注)を含む「スピリチュアル・エコロジー」には、生命の連携を広げて普遍的な愛を取り入れ、すべての生きものに対する深い敬愛の念として体験するという可能性が秘められています。それは、すべてのものに内在する宇宙の貴い本質に対する愛であり、意識を持つ生きものによって保たれている活動への愛であり、普遍的なソウルが特有の表現で表わされている私たちの周りにあるすべての生きものへの愛です。心の栄養、内面的な平安、より大きな幸せは、心の崇高さという観点から人生に取り組むことによって得られ、それは過度な機能主義(訳注)や物質主義(訳注)から人類が離れ、徐々に方向転換していくことを意味します。現在の風潮に代わって、人間の創造性と、利他的な行為をすることができる能力に、世界中でより一層の信頼が置かれるようになります。

(訳注:ソウル意識(soul consciousness):バラ十字会の哲学では、人間の意識には浅い方から深い方へと順に、客観的(顕在)意識、下(潜在)意識、宇宙意識という階層構造があるとされている。このうちの下意識の宇宙意識に近い部分には、個人のソウル(soul:魂)の性質に近い、本質的に善である意識が存在するとされ、ソウル意識と呼ばれている。)
(機能主義(functionalism):1.ものを何らかの実体としてとらえるのではなく、その働きにこそ価値があると考える主義。2.人間の心を、単なる脳の働きであるとする考え方。)
(物質主義(materialism):1.物質の価値を重視し、心の価値を軽視する主義。2.世界の根本要素は物質であり、心の原因は物質であるとする説(唯物論)。)

心の深奥が本来持っている善の性質がもっともっと表現されるようになれば、人間は、地球上のすべての生命との関係を改善する努力を自発的にするようになります。そうすれば人類は、物と心の対立という問題をはらむ二元論から脱却することができ、世界中で「スピリチュアル・エコロジー」を推し進めることができ、将来生まれ変わるときのために地球をもっと大切にし、あらゆる種類の意識が進化するための、生きものたちのための、敬愛される家にすることができます。

※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

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