こんにちは。バラ十字会の本庄です。
すっかり寒くなりました。朝、自転車に乗っていて手がかじかみます。
いかがお過ごしでしょうか。
さて、ジオスペース(Geospace)という言葉をご存じでしょうか。
カーナビ用のGPSや天気の予報には、いまや人工衛星が欠かせなくなっています。そのため、地球の近くの宇宙空間には、多くの人工衛星が回っています。
このような、人類の活動の影響が強く及んでいる範囲のことがジオスペースと呼ばれます。
方位磁石の針が北を指すことからも分かるように、地球は大きな磁石です。この磁石の磁場によって、地球上の生きものは、太陽からの放射線や他の宇宙線から守られています。
地球の磁場の様子を示すイラストをご覧になったことがあるでしょうか。
その様子を見ると、まるで生き物の細胞のような形だと、私はいつも感じます。
地球という核が、ジオスペースという細胞質によって守られ、全体として細胞を構成しているかのようです。
「母なる大地」、「マザー・アース」(Mother Earth)という言葉があります。この言葉は、原始的で根拠のない、単なる擬人化なのでしょうか。
私はそのようには思いません。
往々にして、形は性質を表していると思うのです。地球とジオスペースの形が、細胞に似ているのですから、地球も生きものであり、動物や人間などの生きものと同じように、ある種の意識があると考えることは、それほど不自然ではないのではないでしょうか。
ちなみに、過去の神秘家の多くが、動物や人間と同じように地球にも、ある種の意識があると考えていました。
このような意識は、きっと、私たちの想像をはるかに超えていることでしょう。
しかし、私はときどき、思いを巡らせます。地球で暮らす生きものたちのことを、地球は、深く愛しているのでしょうか。それとも淡々と育んでいるのでしょうか。
人類が、地球と自然環境に敬意を払うことなく、自分勝手な行いを今後も続けていくとしたら、どこまで寛容さを保っていてくれるのでしょうか。
先週の月曜日から、南太平洋のフィジーをホスト国にして、ドイツで国連気候変動会議(COP23)が開かれています。今日が、その閉会の日にあたります。
南太平洋のキリバスやツバルのような小国は、海面上昇によって国家消滅の危機にあります。そしてフィジーは、これらの国に援助の手を差し伸べています。海面上昇の原因は、地球の温暖化だと考えられています。
国連気候変動会議(COP23)のロゴ(See page for author [Public domain], via Wikimedia Commons)
地球温暖化を抑えるための国際的な取り決めであるパリ協定から、米国は離脱することを宣言しました。しかし、この動きに反対している14の州とプエルトリコ自治連邦区が米国気候同盟を組織し、国とは独立してパリ協定の実現に取り組もうとしています。
カリフォルニア州は、この米国気候同盟を発案し加盟している州のひとつです。かなり以前から、とても環境保護に熱心な州です。
十年ほど前に、カリフォルニアに行ったことがあります。そのときに見たのですが、州のいたる所に特別なレーン(車線)がありました。このレーンでは、2人以上の人が乗っている車だけしか走ることが許されていません。ガソリンの消費と排気ガスの量を減らすためです。
他のレーンが渋滞しているときも、このレーンでは比較的スムーズに走ることができます。今ではこのレーンには、2人以上の人が乗っている車とEV車などのエコカーが走ることができるそうです。
余談ですが、屋根に太陽電池パネルを張ったEV車が出てこないことが、私には不思議でしかたありません。
カリフォルニア州が環境保護に熱心な理由には、先ほどの南太平洋の国々と同じように、気候変動の影響をまともに受けているからかもしれません。
この州では干ばつの影響で水が不足しています。先月には、極端な乾燥のために大規模な山火事が起こり、亡くなられた方も出ていました。
バラ十字会AMORCの米国本部はカリフォルニア州のサンノゼ市というところにあります。シリコンバレーのあるところです。そして、自治体の方針に沿って、環境保護のための積極的な取り組みを行っています。
サンノゼ市にあるバラ十字公園では、以前は、広大な敷地に芝生が植えられていました。芝生を保つためには大量の水やりが必要とされます。2005年に始められたプロジェクトによって、この芝生は自生種の植物に植え替えられました。
この植え替えにより、年間4000万リットルの水を節約することができました。2017年の水道代に換算すると、年間630万円の節約だそうです。すごいですね。水不足のためカリフォルニア州では水道代がとても高いのです。
またバラ十字公園では、使用するエネルギーのすべてを太陽光発電でまかなうという、ネット・ゼロ・エネルギーと呼ばれるプロジェクトが成功しました。
公園の建物の屋根は、クール・ルーフと呼ばれる太陽光をよく反射する素材に取り替えられ、太陽光発電のパネルが設置されました。
また、冷暖房設備は、エネルギー効率の高いシステムに交換されました。
バラ十字公園にある建物の多くは1930年代に建てられたものです。ネット・ゼロ・エネルギーは、これまでは、このような古い建物では無理だとされていたのです。このプロジェクトの総費用は、電気代の削減によって、13年で取り戻すことができるそうです。
先ほどの水資源の節約と、このネット・ゼロ・エネルギー・プロジェクトは、極めて大きな成果を上げたことから、サンノゼ市のモデル事業に認められています。
これも余談ですが、もしサンノゼ市を訪れる機会があったときには、ぜひバラ十字公園を訪れてみてください。
植物でいっぱいの落ち着きのある庭と、古代エジプト博物館を楽しむことができます。博物館では、古代エジプトの多数の遺物のほか、錬金術についての展示も行われています。
「イージプシャン・ミュージアム」と言えば、地元タクシーの運転手さんの誰もが知っています。
さて、バラ十字会AMORCの日本本部は、米国本部に比べればとても小さな活動拠点です。しかし、環境保護への取り組みとして、ささやかですが、次のような自分たちができることに、誇りをもって取り組んでいます。
1.私も含め従業員は、夏は薄着、冬は厚着をして、冷暖房を控えめにしています(今、私の懐には、ハクキンカイロが入っています)。
2.内部文書とメモには、裏紙を用いています。
3.紙ゴミは、再生用のゴミに必ず分類しています。
4.スイッチの付いた延長コードを用いて、パソコン、共用ドライブ、プリンター、ハブなどの待機電力を必要最小限に抑えています。
先ほどのパリ協定の話に戻りますが、この協定では、世界の国々だけではなく、非国家アクター(自治体、都市、大学、企業)の取り組みが重視されています。
最近のNHKのニュースで紹介されていたのですが、融資や投資や株式の購入の際に、その企業の環境保護への取り組みが判断要素のひとつとされることが、世界中で一般的になっています。
ある企業の経営陣や働く人たちの、意欲が高く創造的であるかどうかということと、その企業の環境保護の意識の高さには、強い相関があるのだそうです。
バラ十字会AMORCは世界の約87ヵ国で活動している大きな組織です。団体として積極的に環境保護に取り組んでいかなければなりません。また、教育団体として多くの方々に環境保護の大切さを実感していただくという責務もあります。
そこで、神秘学(mysticism:神秘哲学)という立場から見たとき、なぜ環境保護が大切なのかをマニフェスト(宣言書)で訴え、多くの人に読んでいただく努力をしています。
日本語版はこちらになりますので、ご興味のある方はご一読ください。
マニフェスト(宣言書):『バラ十字友愛組織からあなたへの訴え』
このマニフェストに書かれているのですが、人類が明るい未来にたどり着くために、次の3つの要素が重要だと当会は考えています。精神性の重視(spirituality:スピリチュアリティ)、人間の尊重(humanism:ヒューマニズム)、環境の保護(ecology:エコロジー)です。
個人的には、これに人工知能の倫理的な利用を付け加えるべきだと最近思うようになりました。自律型殺人兵器の開発を禁止するなどです。
この話は深刻な話題です。またいつか、取り上げさせていただくかもしれません。
以上、やや長くなりました。
今日はこの辺で。
また、お付き合いください。
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