資料室

バラ十字古代エジプト博物館のコレクションから 〜葬送の船〜

Treasures from Rosicrucian Egyptian Museum 
〜 Funerary Boat - RC 480 〜

アカシアの木製の彩色品
  エジプト中王国時代(紀元前2000年頃)

 葬送の船を表わすこの遺物には、亡くなった人の魂があの世に向かって旅をしていくという古代エジプト人の考え方が示されています。古代エジプトの人々が、このような木製の模型の船を作ったのは、死者の魂が魔法に守られて、アビドスの聖地へと旅をすることができるようにするためでした。アビドスは、上エジプト(ナイル川上流のエジプト)のナイル川西岸にある、有名な埋葬地の都市でした。当時の人々にとってこの都市は、復活ということを強く連想させる地でした。というのも、冥界の神オシリスが、妻イシスによってアビドスの地に埋葬されたと古代エジプト人は考えていたからです。オシリスが死からよみがえったことから、古代エジプトの人々は彼に倣おうとしました。この葬送の船には棺が備えられており、来世への旅に用いられました。死者は船でアビドスに到着し、魔術によってオシリスに“なりました”。そして永遠の命と若さを保証されたのです。

 この葬送の船は、およそ4000年前のものですが、上エジプトのテル・エル・アマルナの近くのナイル川西岸にある、メアール=アン(Meir-an)考古学遺跡の付近で発見されました。この船では、天蓋の下に棺が備え付けられています。棺の後ろに座っているのは死者の妻だということがはっきりと分かります。古代エジプトの人々は、復活のためには女性の存在が不可欠であると考えていました。妻の像は、夫の死を悼んでいることを表現しているだけでなく、イシスの化身も表わしています。イシスは、殺害された夫オシリスに命を再び吹き込んだ女神だからです。この芸術品は、死者への敬意を表していると同時に、死者のたどる精神の旅を象徴しています。

 この愛らしい葬送の船は、他の数々の古代エジプトの遺物とともに、カリフォルニア州サンノゼ市のバラ十字古代エジプト博物館の夏の特別展「ナイルの女性展」で展示されました。

リサ・シュワッパハ・シリフ、文学修士
バラ十字古代エジプト博物館学芸員、副館長

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